LOST ウェイトターン制TRPG


TRPGリプレイ 輝くもの天より墜ちイメージ

05.エフォート岳に至る

GM:
 さて、ここであらためて、現在の状況とこれからの行程について説明しておきます。
 あなたたちがレイモンドのいるキャンプ地点を出発したのは正午を少し回ったころ。その地点からエフォート岳までは片道2時間ほどかかる見込みです。この季節だと、日が暮れるまでは残り5時間といったところです。つまり、1時間の休憩を1回だけとるのであれば問題ありませんが、もし2回以上休憩してしまうと、キャンプ地点に戻る前に日が暮れてしまうことになります。
 そして、エフォート岳に到達するまでに、VITを用いた登山判定を3回おこなってもらいます。エフォート岳に近づけば近づくほど目標値も高くなっていきますので、うまく互助ルールを活用して、できるかぎりペナルティを負わないようにしてください。
 では、さっそく1回目の登山判定をおこなっていきましょう。目標値は10となります。

フェルナンド:
(コロコロ)19で成功。かなり余裕。

メイジー:
(コロコロ)17で成功。

アルフォンス:
(コロコロ)なぜだ……。またしても大失敗……。

メイジー:
 うわあああッ! アルフォンスー(笑)!

フェルナンド:
 気をつけろって言われたばかりなのに(笑)。

エリオット:
(コロコロ)あ、ゴメンッ! ボクも大失敗……。

メイジー:
 エリオットもなの(笑)!?

エリオット:
 じゃあ、山登りの手助けになればと思って風の精霊に背中を押してもらおうとしたのだけれど、精霊のコントロールに失敗して逆向きに突風を吹かせてしまい、それによってボクとアルフォンスが吹き飛ばされてしまったということで。
「うわぁぁぁッ!」

フェルナンド:
 お前が原因だったのか(笑)。

メイジー:
 ワタシとフェルナンドの余剰分をあわせても、どちらかひとりしか助けられないね。

フェルナンド:
 ふむ、ならば仕方ないな。
「エリオット!」
 俺はとっさにエリオットの腕をつかんだ。自分の余剰分9点を使ってピッタリ成功。

エリオット:
「あ、ありがとう、フェルナンド」

フェルナンド:
「キャンプ地点につく前には俺のほうが助けてもらっていたし、お互い様だ」

エリオット:
 えーと、このタイミングでボクはフェルナンドに対して好意を抱きました。

メイジー:
 早い(笑)。

エリオット:
 いや、だって、フェルナンドは勉強もしっかりしていたし、助けてもらったりもしたしで、さすがに無関心のままではいられないからね。

相関関係

エリオット:
「そんなことよりも……」と言って、ボクはアルフォンスのほうへと視線を向けた。

メイジー:
 じゃあ、ワタシはアルフォンスのことを助けようとして手を伸ばしてたんだけど、7点じゃ足りないね。“レンジャー”としてリカバリポイントを使用すれば、助けてあげられないこともないんだけど……。

アルフォンス:
 やめろ。こんなところでもったいない! ここは甘んじてペナルティを受ける。ペナルティ箇所の判定は、(コロコロ)15。

GM:
 では、アルフォンスはINTに1点のペナルティを負いました。

アルフォンス:
「うわぁぁぁッ!」
 ゴロゴロと山道を転がり落ちて、後頭部を岩かなんかにしたたかに打ち付けた。で、頭から血を流して、一時的に昏倒している。

フェルナンド:
「おい、アルフォンスッ! 返事をしろッ!」

メイジー:
 慌ててアルフォンスのところまで駆け下りていきます。

エリオット:
 ボクも泣きながらアルフォンスのところまで駆け寄っていく。
「ご、ゴメンよ、アルフォンス! ボクが風の精霊をちゃんとコントロールできなかったばっかりに……。うわぁぁぁん、うわぁぁぁん」

メイジー:
「大丈夫、アルフォンス!?」
 そう言って、アルフォンスの頭に包帯をグルグル巻いて、応急処置しておくね。フレーバーだけど(笑)。

アルフォンス:
 じゃあ、オレはしばらくして意識を取り戻すと、唐突に跳ね起きて、「ん? オマエら、いったいなに騒いでんだよ?」とか言いだした。

メイジー:
「アルフォンス……? アナタ、まさか頭を強く打ち過ぎて、記憶を失ってるんじゃ?」

アルフォンス:
「なーに言ってんだよ。大丈夫に決まってんだろ。ほら、なんともないぜ?」
 そう言いつつ、自分自身でもなにが起こったのかよくわかってない(笑)。

エリオット:
 アルフォンスの頭に触ってタンコブができていることを確認した。

アルフォンス:
「痛てッ!」

エリオット:
「ボクのせいで、ゴメンね……。ゴメンね……」

アルフォンス:
「なんでオメェが謝ってんだよ? そんなことよりさっさとこの山登って、試験を終わらせちまおうぜ!」

エリオット:
「本当に大丈夫なの? 無理しちゃダメだよ?」

アルフォンス:
「大丈夫だって言ってんだろ。いい加減しつこいぞ」
 そう言いつつ、頭にまかれた包帯に気がついて、「ん? なんだこれ。うまく巻けてねぇじゃねぇかよ。これ、メイジーが巻いたのか? へったクソだな」とかぼやいておく。

メイジー:
「そうだけど、なにか文句でもあるの?」

アルフォンス:
「相変わらずがさつな女だぜ……」

フェルナンド:
「まあ、それだけの悪態がつけるようなら問題なさそうだな」
 念のためアルフォンスに癒しの魔法をかけることにする。で、それが済んだらふたたび歩きはじめる。
「よし、先を急ぐぞ」

GM:
 登山を続けるのであれば、2回目のVIT判定をおこなってください。今度の目標値は11になります。

フェルナンド:
(コロコロ)18で成功。

アルフォンス:
(コロコロ)13で成功。

エリオット:
(コロコロ)12で成功。

メイジー:
(コロコロ)10は1足りない。切り立った崖のそばを進んでいるときに、崖側へフラリとよろめいてしまった感じかな。
「あッ!」

GM:
(別に、そこまで致命的なシチュエーションは想定していなかったのだけれど……)

アルフォンス:
 じゃあ、とっさに手を伸ばして、軽々とメイジーのことを引き寄せた。

メイジー:
「あ、ありがとう……」

アルフォンス:
「ほんと、オマエはどんくせぇよな」

メイジー:
「はぁ? よりによって、アナタがそれを言うの?」

アルフォンス:
「あったりまえだろ? こんな岩場、オレ様にとっちゃ、ちょちょいのちょいだぜ!」

メイジー:
 そんなアルフォンスのことを見て呆れてる。
「まったく、二度も転んだくせによく言うよ……」

GM:
 はい、まだ休憩を挟まず登り続けるのであれば、3回目の判定へと移ります。今度の目標値は12です。

フェルナンド:
 まあ、休憩はエフォート岳についてからでいいだろう。
(コロコロ)13で成功。

エリオット:
(コロコロ)19で成功。

メイジー&アルフォンス:
(コロコロ)1足りない(笑)。

エリオット:
 ……ねえ、メイジーにアルフォンス。誰に助けて欲しい? 誤解のないように言っておくけれど、キミたちが望むのであれば、ボクは両方に手を貸すつもりでいるよ。でも、さっき精霊をうまくコントロールできなくて怖い目にあったから、今度は魔法は使わないでおくね。

アルフォンス:
 ああ、うん……。じゃあ、ここはエリオットに助けてもらうとするか。

メイジー:
 手を貸してくれるっていうなら、ワタシも素直に助けられるよ。

エリオット:
 じゃあ、「危ないッ!」と言って、ふたりの手を取った。

メイジー:
「ありがとう、エリオッ――」

エリオット:
「うーん、重いッ! 重いよーッ! 早く上がってきてよーッ!」

メイジー:
「……」

GM:
(今度はクリフハンガーでもしてるのかな……?)

エリオット:
「ハァ、ハァ。手をすりむいちゃったよ。でも、助かってよかったね♪」

アルフォンス:
「……助けられておいてなんだが、いちいちウザいよなオマエ」

フェルナンド&メイジー:
(笑)

エリオット:
 そういうキャラクター設定なんだよ(笑)。でも、やるべきことはしっかりやるから大目に見てね。

フェルナンド:
 やれやれ、先が思いやられるな……。

GM:
 さて、そのようなことがありつつも、あなたたちはなんとか無事にエフォート岳までやってくることができました。そこは驚くほど見晴らしがよく、まるで真っ赤な絨毯を敷き詰めたかのような紅葉を眼下に眺めることができます。
 そして、そんなエフォート岳には、レイモンドが話していたとおり、小さな石造りの祠がひとつだけポツンと建てられていました。

エリオット:
 小ピークってことは、周りにはもっと高い山もあるんだよね?

GM:
 はい。北西のほうへと目を向ければ、金竜が棲んでいるとされる山頂などが見えたりもします。

エリオット:
「うわぁ! 凄いやぁ! ボク、こんな景色、はじめて見たよ! ボクたちだけでこんなところまで登ってこられたんだね!」

アルフォンス:
「楽勝、楽勝。それより、さっさとメダルとやらを拾ってキャンプまで戻ろうぜ」

フェルナンド:
「そうだな。お前たちはメダルを回収しておいてくれ。そのあいだ俺は周囲を警戒しておく」

アルフォンス:
「あいよ」

メイジー:
 じゃあ、ワタシもフェルナンドと一緒に周りを警戒しておく。

GM:
 そうすると、祠を調べるのはアルフォンスとエリオットのふたりですね。
 ふたりが祠の中を覗いてみると、そこには直径30センチほどの平べったい石が置かれているだけでした。

エリオット:
「あれぇ?」
 この石がメダル……ってわけじゃないよね。

アルフォンス:
「なんだ? メダルが見当たらねぇぞ? どっかに隠されてんのか?」

エリオット:
「ちょ、ちょっと、ふたりともーッ!」と、フェルナンドとメイジーにも声をかけておくよ。

メイジー:
 声をかけられたのであれば、エリオットたちのほうに様子を見にいった。
「なになに? どうかしたの?」

エリオット:
「ねぇねぇ、ちょっと見てよ。メダルなんてどこにも置いてないんだ」

アルフォンス:
「まさか、この石の下にあるのか? よっこらせと」
 平べったい石をひっくりかえしてみた。

GM:
 石の下にもメダルは置かれていませんでした。それどころか、あなたたちがどんなに祠の周辺を探してみても、それらしいものは一向に見当たりません。

アルフォンス:
「こりゃあれだな。レイモンドのオッサンがメダルを置き忘れたんだな」

メイジー:
「えー? まさか、先生に限ってそんなことはないでしょ」

フェルナンド:
「メダルが見当たらないのも試験のうちなんじゃないのか?」

メイジー:
「つまり、これでメダルを見つけられずに帰ったら失格ってこと?」

フェルナンド:
「それはわからないが、まだ時間に余裕はあるんだ。もう少し辺りを調べてみよう」

アルフォンス:
「エリオット……。まさかとは思うが、オマエ、メダルを独り占めしちゃいねぇよな?」

エリオット:
「えッ? ボク、メダルなんて持ってないよぉ」とか言いながら、服の端を手で持ってパタパタはためかせるんだけれど、そのときオヘソがチラリと見えたりする。

一同:
(笑)

フェルナンド:
 これ以上ないほどウザいチラリズムをありがとう(笑)。

アルフォンス:
「オイッ、キモいからやめろッ! 誰もオメェのナヨっちい体なんか見たくねぇんだよッ!」
 そう言って、ゲシゲシとエリオットのことを蹴とばした。

エリオット:
「う、うわッ、なにするんだよぉー」

フェルナンド:
 そんなじゃれてるふたりのことを見て、俺は小さくため息をついた。
「メイジー。もう少し祠の中をよく調べてみてくれ」

メイジー:
「わかった」
 それに加えて、動物がメダルを持ち去ってしまった可能性を考えて、その形跡も調べてみることにする。

フェルナンド:
 ついでに、魔法的な反応があるかもしれないから、感知魔法も使っておくか。GM、ここはDEXとINTの判定でいいか?

GM:
 いいえ、それらのメダルを探す行為に関しては判定不要です。あなたたちはメダルとそれに関する形跡について、一切見つけることができませんでした。
 さて、その後あなたたちはどうしますか? すぐにキャンプ地点へと引き返すのか、それともしばらくのあいだエフォード岳に留まり続けるのか。

エリオット:
「どどど、どうしよう?」

アルフォンス:
「フェルナンドが言うように、これも試験のうちってことなら、このまま手ぶらでキャンプまで戻ったら、今年は失格ってことか……」

フェルナンド:
「可能性はあるだろうな。ただ、そうは言っても、祠にメダルのあった形跡は見当たらないし、周りにもこれといって怪しいところはないからな……」

メイジー:
「キャンプ地点に戻るにしても、もう少し休んでからのほうがいいんじゃない? アルフォンスの体調も、まだ万全じゃないみたいだし……」

フェルナンド:
「そうだな。とにかくアルフォンスはしばらく休んでいてくれ。そのあいだに、手の空いている者で周辺をもう一度よく調べてみよう」

エリオット:
「そうだね」

メイジー:
「アルフォンス、ちゃんと休んでるんだからね」

アルフォンス:
 むぅ……。サボりはオレの十八番なんだが、誰かにそうしろって言われて休むのも、それはそれでしゃくに触るんだよなぁ……。

GM:
 さて、アルフォンスは言われたとおりに休みをとりますか? 休むのであれば、現在INTに受けているペナルティは解除されます。もし休まないというのであれば、ペナルティはそのままですが、このあと行われる判定に参加できます。

アルフォンス:
 なるほど……。まあ、ここはほかの連中に任せて、とりあえず休んでおくことにする。

GM:
 ならば、アルフォンスはペナルティを回復させてください。そして、それ以外の人は周りを調べているということで、DEXを用いた感知判定をおこなってください。目標値は17です。

メイジー:
 任せておいて!
(コロコロ)成功。

GM:
 では、メイジーはエフォード岳の東側から、小石が転がり落ちる微かな音を耳にしました。音がしたほうへと視線を向けると、その瞬間、人影が素早く岩陰に身を隠したのが見えたような気がします。

メイジー:
 あれ? 誰か来てる?
 じゃあ、フェルナンドとエリオットに、「あそこに人影が見えたんだけど。なんだか登ってきてるみたい」と伝えます。

GM:
 メイジーがいち早くその存在に気がついたことで不意を打たれるということはありませんでしたが、かといってその動向をゆっくりと確認しているほどの余裕を与えることもなく、岩陰から飛び出してきた人影は一足飛びに岩場を駆け上がり、あなたたちの眼前へと姿を現しました。
 それは頭部に鳥のような仮面をつけた人物であり、身にまとった獣の毛皮からのぞく手には、抜身の曲刀が握られています。

フェルナンド:
「山の民かッ!?」

エリオット:
「う、うわああッ! アルフォンス、大変だよッ!」

アルフォンス:
 そんな声が聞こえたんであれば、とっさに立ち上がり、山の民の存在に気がついて両手剣を構えた。
「なんだこいつッ!? もしかして、オレたちのメダルを取ってった犯人はこいつか?」

GM:
 あなたたちと対峙したその男は、奇妙な鳥の仮面の下からくぐもった声を響かせました。

山の民(GM):
「ココ、オレタチノ、領域。立チ入ル者、何人タリトモ、許サナイ。力尽クデ、排除スル!」

エリオット:
 どうやら、山の民は共通語を話せるみたいだね。

メイジー:
「待って! お願い、ワタシたちの話を聞いて!」

GM:
 山の民はメイジーの投げ掛けた言葉を意に介することもなく、腰に提げた袋の中に手を入れると、そこからふたつの水晶を取り出しました。そして、間髪入れず、それを足元へと投げつけます。地面にあたった水晶が粉々に砕け散ると、突如としてその中から“炎”と“風”が巻き上がりました。
 精霊使いであるエリオットは、無条件でそれがなんであるのかを理解できます。水晶に封じられていたのは、炎の精霊と風の精霊でした。
 こうして、解き放たれた2体の精霊を従えた山の民は、あなたたちに襲い掛かってきます。

メイジー:
「もう! ちょっとくらい話を聞いてくれたっていいのに……」

アルフォンス:
「いつまでものんきなこと言ってんじゃねぇよ! くるぞッ!」




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