GM:
数多の闇がいよいよ襲い掛かってこようかというまさに絶体絶命のそのとき、あなたたちの後方より、金竜クレメンタインの産み落とした卵が、まばゆい光を放ちました。それは、上空でクレメンタインが放った光にとてもよく似ています。その強い光は、あなたたちにとっては暖かく感じられ、不思議と安らぎをもたらすものでした。
エリオット:
「うわぁ!」
メイジー:
「ま、眩しいッ!」
GM:
しかし、闇のものたちにとって、その光は自分たちの存在を許さないものでした。閃光に照らされた闇が次々と掻き消えていきます。一度、二度、三度と強い閃光が放たれると、あなたたちを囲んでいた闇の塊は、跡形もなく光の中に消え去っていきました。
闇の塊が完全になくなると、光は徐々に弱まっていきます。それに伴い、卵は輝きを失くし、いつのまにかその外殻は半透明になっていました。
エリオット:
ということは、卵の中が見えるのかな?
GM:
はい。卵のほうへと目を向けてみると、外殻が半透明になった卵の真ん中に、なにか輝く球体のようなものが浮かんでいることが確認できました。
アルフォンス:
「な、なんだこりゃ? こいつが闇の化け物をおっぱらっちまったってのか?」
メイジー:
「ワタシたちのことを助けてくれたのかな?」
GM:
では、その瞬間にDEXによる知覚判定をおこなってください。目標値は15です。
一同:
(コロコロ)
フェルナンド&エリオット:
失敗。
メイジー:
そんなぁ……。まさか、こんなところで大失敗だなんて……。
GM:
(あらら、頼りのメイジーが大失敗するとは。これはやばいかも……)
アルフォンス:
16で成功。
GM:
(おお! アルフォンス、頑張った!)
では、アルフォンス以外の面々は卵のほうに気を取られてしまい気づけなかったのですが、アルフォンスだけは、さきほどクレメンタインが激突した崖の壁面に亀裂が走り、今まさにあなたたちの頭上から大きな岩盤が落下してこようとしていることに気がつきました。
アルフォンス:
「危ねぇッ! みんな逃げろッ!」
エリオット:
「え?」
GM:
アルフォンスの警告を受けたことで、各自SPDを用いた目標値16の回避判定に成功すれば、岩盤の落下から身をかわせるようになりました。この判定は互助可能です。
ただし、このままだとクレメンタインの身体もろとも、卵は岩盤の下敷きとなってしまいます。もしあなたたちが希望するのであれば、岩盤を回避すると同時にほかの行動を取ってもらっても構いません。その場合にはさらなる判定が発生し、どちらの判定にも成功した場合のみ岩盤を無事回避できたことになります。
メイジー:
反射的に、卵を持って運ぼうとします! 頑張れば間に合うはず。ワタシは諦めない!
フェルナンド:
なら、メイジーに目くばせしてうなずいた。諦めない気持ちは大切だ。俺も手伝おう。とはいえ、そもそもオレはSPDの値が低いんだがな(笑)。
メイジー:
そこはワタシがフォローするから大丈夫。
GM:
(互いにフォローしあう展開は実に『Plain D20』らしくていいね!)
もし卵を運ぼうとするのであれば、先ほどの回避判定に加えて、STRかDEXかINTのいずれかを用いた目標値16の判定にも成功する必要があります。判定にどの能力値を使うかは、卵の運び方次第です。また、この判定は互助可能ではありますが、卵を直接助けることになるひとりだけは互助関係を築けないこととします。
アルフォンス:
じゃあ、オレは卵を運ぼうとするふたりの上に落ちてくる岩盤の破片を両手剣で払いのける。
エリオット:
えっと、さすがに岩盤を受け止めるっていうのは無理だよね(笑)?
GM:
落下してくるのを受け止められる程度の岩盤だったら苦労しませんね(笑)。ですが、岩盤が落下してくるのを少しだけ遅らせるくらいのことであれば、できるかもしれませんよ。
アルフォンス:
まあ、とりあえずはSPD判定だな。
(コロコロ)10……。6足りない(苦笑)。
メイジー:
神様……。どうか、みんなのぶんまで……。
(コロコロ)やったーッ! 28で成功!
フェルナンド:
(コロコロ)17、成功!
エリオット:
(コロコロ)23で成功。
GM:
誰が誰をどのようにして助けるのか、ちゃんと描写してくださいね。
エリオット:
じゃあ、アルフォンスのことはボクが助けるよ。アルフォンスの達成値に6点分け与えるね。
「風の精霊よッ!」と言って、全員に風の加護を付与します。これで、身体が軽くなって、身軽に動けるようになりました。
GM:
続けて、希望する人は卵を救出する判定をおこなってください。この判定に失敗すると、救出を試みた人は落下する岩盤から逃げられなかったことになります。
一同:
やる!
GM:
全員ですか?
エリオット:
あれ? でも、もしかして失敗すると足手まといになる?
GM:
はい、そうなりますね。確率的に判断するなら、能力値を一本伸ばしにしている人が、少数精鋭でチャレンジしたほうがいいかもしれません。
ですが、あらかじめぶっちゃけてしまうと、もしここで判定に失敗しても、そのときにはレイモンドが身を挺して助けてくれるので、全員でチャレンジしてもらっても構いませんよ。ただし、その場合、レイモンドが重症を負ってしまい、永遠にステータスが下がった状態になりますけど。
エリオット:
ボクは思わず口走った。
「みんなで助けよう!」
若気の至りで感情的に動いちゃうからね(笑)。
一同:
(笑)
レイモンド(GM):
「待てッ! お前たち、今すぐ逃げるんだッ!」
GM:
レイモンドにとっては、卵よりもあなたたちのほうが大切なようです。
メイジー:
ワタシはDEXで判定。
「絶対に間に合わせてみせる!」
(コロコロ)やったー! 27で成功!
エリオット:
INTで判定。
(コロコロ)ピッタリ16。
アルフォンス:
オレはSTRで判定する。
(コロコロ)20。余裕だぜ!
フェルナンド:
俺もSTRで判定。
(コロコロ)14……。2足りない。
アルフォンス:
じゃあ、卵はメイジーに任せて、オレはフェルナンドの上に落ちてきた岩盤の破片を両手剣で弾き飛ばした。
GM:
では、そのような状況の中、卵を運ぼうとしたメイジーは卵に手を触れることになります。その瞬間、卵の外殻がまるで水でできた膜のように、ピシャッと弾けて崩れ落ちてしまいました。
メイジー:
「えッ!?」
卵が割れちゃったら運べないんじゃ!?
GM:
すると、卵の中央にあった光球は奇妙に形状を変化させ、人の姿を形成していきます。
メイジー:
あ、運べる(笑)!
GM:
気がついたときには、先ほどまで光の球だったものが、一糸まとわぬ10歳くらいの女の子の姿に変わっていました。澄んだ明るい金色の髪、透き通るような白い肌、そしてクレメンタインによく似た赤い色の瞳を持った少女です。
金色の髪の少女(GM):
「……」
メイジー:
とっさにその子のことを抱きかかえた。
GM:
その少女の身体はとても細く、驚くほど軽く感じられます。
メイジー:
そのまま走ってその場を離れます。
GM:
では、メイジーが少女のことを抱えてその場を退避すると、まさに間一髪、メイジーのすぐ後方に剥離した岩盤が崩れ落ちてきました。そして、大量に落ちてきた土石の下敷きとなり、クレメンタインの亡骸は完全に覆い隠されてしまいます。
ふたたび辺りが静けさを取り戻したとき、金竜クレメンタインの亡骸がそこにあったことを示すものは、大量の血でぬかるんだ地面だけとなっていました。
アルフォンス:
「あっぶねぇ……」
フェルナンド:
「なんとか助かったな」
エリオット:
「……でも、なんで卵が女の子になっちゃったの?」
メイジー:
「それはわからないけど、この子がクレメンタインの子供なのかな?」
GM:
メイジーの腕の中に抱えられた金色の髪の少女は、その大きな目をパチパチと二、三度瞬きさせると、メイジーの顔をジッと見つめました。
金色の髪の少女(GM):
「……」
メイジー:
「大丈夫?」
GM:
しかし、メイジーが声をかけても少女がそれにこたえることはなく、そのまま瞳を閉じて気を失ってしまいます。ただ、少女は浅い呼吸を続けており、とりあえず命にかかわるようなことはなさそうだということはわかりました。
フェルナンド:
昨夜エリオットにかけたマントをまだエリオットが身に付けてるなら、それを貸せという表情を向けた。
メイジー:
そうだね。女の子にマントをかけてあげよう。
エリオット:
あ、はい。
レイモンド(GM):
「まさか、こんなことに巻き込まれるとはな……」
メイジー:
「こういうものなんですか?」
ちょっと意味不明な言葉だけど、村人の理解を大きく超えたことが起こりすぎてて、いったいなにを確認したらいいのかもよくわかってない(笑)。
レイモンド(GM):
「いや、さすがに俺にもなにがなにやら……」
アルフォンス:
竜の楽園に関する知識判定で成功してたことで、この状況についてなにかわかることはねぇか?
GM:
それについては、これまでの判定の達成値ではわかりませんでした。もし、さらに詳しい情報が知りたいのであれば、ソフィア婆さんに訪ねてみるとなにか知っているかもしれませんね。
エリオット:
「多分、ソフィアお婆ちゃんならなにか知っているはずだよ! またあの闇の化け物が現れる前に、村に戻ったほうがいいんじゃないかな?」
レイモンド(GM):
「……そうだな。これから村に戻るとなると夜間の強行軍になるが、お前たちの身体のほうは大丈夫か?」
フェルナンド:
「はいッ!」
エリオット:
「へっちゃらです!」
メイジー:
「このくらい、大丈夫……。うん、大丈夫……」
ただいま耐久値半減中。ただし、万全な状態でも耐久値は2点だけど(笑)。
レイモンド(GM):
「メイジー。すまないが、先導役を頼めるか? この中ではお前が一番山道に詳しいはずだ」
メイジー:
「わかった。この辺りのことなら任せといて! じゃあ、この子は……」
えーと、金竜の子はフェルナンドにあずけるってことでいいかな? アルフォンスにあずけて転ばれても困るし(笑)。
フェルナンド:
なら、俺の荷物はアルフォンスに持ってもらうことにして、金竜の子を背負った。
レイモンド(GM):
「よし、それじゃあ、まずはキャンプ地点まで戻ろう。そして、荷物をまとめたら、急いで村に戻るぞ」
GM:
こうして、あなたたちはキャンプ地点に戻って荷物をまとめると、まだ暗い森の中をサットン村へと向けて歩き出したのでした。
はじめての実戦を乗り越えたためなのか、あなたたちは帰路の途中で自分たちの身体に力がみなぎっていることを実感します。また、戦いの中で受けていたはずの傷もいつのまにか治っていました。
ここで、全員の耐久値が1点回復するとともに、レベルも1つ向上します。
一同:
おおー!
GM:
勘の鋭いキャラクターはこのことを不思議に思うかもしれませんが、どう捕えるかは各自にお任せします。
GM:
では、早速レベルアップ処理をおこなってください。これによって、クラス数の上限も1つ多くなります。あわせて、戦闘時の特殊行動カードのドロー枚数も1枚増えました。
エリオット:
わーいッ!
メイジー:
成長感あるね!
エリオット:
そうだ、GM。クラスをチェンジさせてもいいかな? “精霊使い”を“精霊術師”に変えたいんだけれど……。
GM:
え? それによってなにか違いがあるんですか?
エリオット:
いや、やれることが変わるわけじゃないんだけど、ランクアップしたって感じで(笑)。
GM:
ああ、そういうことであれば好きにしてもらって構いませんよ。それでエリオットが満足してくれるなら、こちらとしてはなんの問題もありません。
エリオット:
やったー! やったー!
一同:
(それぞれキャラクターシートを修正)
GM:
さて、レベルアップ作業が完了したら、各自報告をお願いします。
フェルナンド:
俺はSTRとINTの値を1つずつ上げた。それと、山歩きを経験したんで、新たに“ランド・ウォーカー”のクラスを取得しておく。
メイジー:
ワタシはDEXを2つ成長させた。これでDEX値は13だよ。
アルフォンス:
じゃあ、オレは“レンジャー”のクラスを取得しておく。今回の試験で危うく自信を失いそうになったから、山歩きに強くなっておこう(笑)。今後、人知れずこっそりと山登りの練習をすることになると思う。
能力値の成長はSPDに全部つぎ込む。やっぱ先手を取るってのは重要だよな。
エリオット:
ボクも今回はSPDを成長させることにしたよ。自分の有利なエリアで戦いたいからね。
そして、“精霊使い”から“精霊術師”にクラスチェンジ(笑)。
GM:
了解しました。
エリオット:
そういえば、ボクからみんなへの感情はキャンプの時点で全部「好意や敬意」になったわけだけど、みんなの感情の変化はどうなっているの?
フェルナンド:
俺はアルフォンスとエリオットに対するネガティブな「嫉妬や対抗心」が、ポジティブなものに変わったってくらいかな。ランクとしては変化なし。
メイジー:
ワタシはフェルナンドに対する感情が「無関心」から「好意や敬意」に変わった。信頼できる相手って印象。
ほかは変わらず。
アルフォンス:
オレはレイモンドのことを信頼するようになって、感情が「嫌悪や侮蔑」から「好意や敬意」に変わった。
フェルナンドに対しても、背中を任せられるくらい信頼できるようになったってことで、「無関心」だったのを「好意や敬意」に。
メイジーとエリオットについては、以前よりは少しマシになったけど、「嫌悪や侮蔑」のままで。
GM:
これで、レイモンドに対する全員の感情が好意的なものになりましたね。
メイジー:
やっぱり、イベント効果の印象が強かったよね。レイモンド先生、超頼りになる。
アルフォンス:
固定ダメージ強えぇー(笑)!
エリオット:
でも、あとで「フフフ……しょせん奴は騎士の中でも最弱……」とか言われたりして(笑)。