GM:
では、あなたたちはイハーサの情報を得るために、二手に分かれて街を歩き回るわけですね。
アルフォンス:
イメージ的にはフェルナンドたちに兵宿舎の近辺をあたってもらって、オレたちはそこから離れたスラムとかそういった怪しそうなところを調べる感じかな。
エリオット:
ボクのことをそんな危険なところに連れ込むなんて、アルフォンスは結構サディスティックなんだね。
アルフォンス:
おい、エリオット。オメェ、また殴られてぇのか……?
GM:
えー、さきほどアルフォンスが口にした兵宿舎というのは、おそらく騎士館のことを指しているのでしょうが、それだと塀の中にある城の外郭部になってしまいますので、情報収集場所としては城周辺の比較的治安のよさそうなところか、あるいは城から離れた治安の悪そうなところという切り分けになるかと思います。
アルフォンス:
じゃあ、そんな感じで。
GM:
了解しました。では、それぞれのチームの代表者はINTを用いた情報収集判定をおこなってください。目標値は15です。なお、先ほど説明したとおり、判定に失敗するとゴロツキたちに絡まれてしまいます。
アルフォンス:
「おい、エリオット。聞き込み自体はオレがやるから、オマエは直感でイハーサの情報を知ってそうな奴を探してくれ。オマエには、オレには聞こえねぇような声がいろいろ聞こえてんだろ?」
GM:
(ロジカルな捜索を想定してINT判定にしたのだけれど、そういうふうに言われると似非臭いオカルティック能力で人探ししているかのように思えるから不思議)
エリオット:
「うん、わかったよ」
それじゃ、フードを被って顔を隠すようにしてアルフォンスのうしろについて歩きながら、情報通とおぼしき人を探し始めた。
(コロコロ)大成功! (コロコロ)達成値は42。
「あ! あの人なら知ってるかも……」
GM:
どうやら、アルフォンスとエリオットは首尾よくイハーサの情報にたどり着いたようですね。
GM:
片やフェルナンドとメイジーのほうはどうでしょう?
フェルナンド:
俺たちは城の近くを歩いて、見回り中の兵士とかと話せるチャンスを探すことにする。
INT判定だから俺が振っておくぞ。
メイジー:
オッケー。
フェルナンド:
(コロコロ)14で失敗。
GM:
リカバリポイントを使っておきますか?
フェルナンド:
アルフォンスたちのほうは情報を得られたみたいだし、ここはゴロツキたちに絡まれておいたほうが面白い気もするが(笑)。
メイジー:
よし! じゃあ、ワタシが絡まれたことにしよう。そっちのほうが、フェルナンドが絡まれるよりは自然でしょ?
GM:
了解しました。では、そのシーンは一時保留としておき、もう一方の視点へとシーンを移します。
GM:
サットン村の若者たちがイハーサの情報を求めて街中を歩き回っているころ、当のイハーサは午前中の業務を終えて休憩時間を過ごしていました。なにをしているかはイハーサ自信が決定してください。まあ、このあとのおおよその展開は、アルフォンスたちが接触してくるのを待つか、フェルナンドたちに対して接触するかのどちらかになるかと思いますが。
イハーサ:
その二択なら、フェルナンドたちに接触するほうが面白そうだな。アルフォンスたちのほうは判定に成功してるから、放っておいてもたどり着くだろうし。
GM:
わかりました。ならば、このようなシーンから進めていきましょう。
午前の仕事を終えたイハーサは、城門から外へと出て行こうとしていたところで、同僚の城塞騎士に声を掛けられました。
城塞騎士(GM):
「お、イハーサ。あがりか?」
イハーサ:
「いやあ、まだあがるのは無理だな」
城塞騎士(GM):
「そうなのか? たしか、昨日から家に帰らず、泊まり込みで帳簿をつくってるんだろ? いつもながら、この時期は大変だな。人手が足りなくて仕方ないんだろうが、あまり無理はするなよ」
イハーサ:
「いやいや、それに関してはお互い様さ。んじゃあ、息抜きがてらに、ちと昼飯でも食ってくるわ。……まったく、太陽が黄色いったらありゃあしねえぜ」
そんなことを言って、トボトボと飯屋に向かって歩いて行く。
GM:
では、そうやってイハーサは行きつけの店へと足を向けたわけですが、城勤めのイハーサの行きつけの店となると、必然的に城の近くの店になるわけですよ。それも、地元の者としては、表立った店よりも隠れた名店を行きつけの店にしたりするわけです。
イハーサ:
まあ、たしかにそんな感じだわな。
GM:
となると、おのずとイハーサは人通りの少ない道へと入っていくことになり、結果、裏通りからこのような声が聞こえてくるのを耳にするのでした。
ゴロツキA(GM):
「よう、坊ちゃんに嬢ちゃん、こんなところでいったいなにしてんのかなぁ?」
イハーサ:
ずいぶんとお行儀のいい声が聞こえてきたなと思って、興味を惹かれて声のするほうに行ってみる。
GM:
ならば、そこには4人のゴロツキたちに絡まれているフェルナンドとメイジーの姿がありました。
(さて、これまでメイジーのルックスに対する言及はなかったけれど、ここはシチュエーション的にこう言わざるをえまい……)
ゴロツキB(GM):
「ほぅ。こっちの嬢ちゃんはちょっとアホっぽいが、なかなかの上玉じゃねぇか」
メイジー:
「なによオジさん」
初対面の人間にアホ呼ばわりされたことでカチンときた。
ゴロツキC(GM):
「お父さんやお母さんはどうしたのかな?」
フェルナンド:
「こっちは急いでいるんだ。お前たちの相手をしている暇はない。悪いがどいてくれないか?」
GM:
フェルナンドがそうやってゴロツキたちをあしらおうとするのであれば、男のうちのひとりが、フェルナンドの足を横から蹴りあげてきます。
フェルナンド:
避けていいなら避けたい。
GM:
いいですよ。それなら、DEXの対抗判定をしましょう。(コロコロ)こちらの達成値は18です。
フェルナンド:
(コロコロ)9は避けられなかった。
GM:
では、フェルナンドは足をしたたかに蹴り上げられ、進行を阻害されてしまいます。
ゴロツキD(GM):
「オイコラ、舐めた口聞いてんじゃねぇぞッ! 大人しくオレたちに付き合えって言ってんだよ。まあ、こっちの嬢ちゃんだけ置いてってくれれば、坊ちゃんには消えてもらっても構わねぇけどな」
フェルナンド:
「俺の連れは売り物じゃない!」と言って、問答無用で殴りかかろう。この手の奴らを相手にするのは面倒くさいからな。
メイジー:
珍しくフェルナンドの気が立ってるね。
GM:
そのような感じで、イハーサはフェルナンドがゴロツキに対して拳を振り上げた光景を目撃することになりました。
イハーサ:
じゃあそこに、「おう、どうした、どうした? ずいぶんと賑やかじゃあねぇか」と、丸顔で髭面のオッサンが割って入っていった。
その黒髪は短く刈りこまれていて、見たところ40歳手前といったところ。そんな男が、左足の義足を若干引きずりながら近づいていく。
GM:
ゴロツキたちは、イハーサのことを見ても城塞騎士だとは思わなかったらしく、フェルナンドたちにみせた態度のまま、にらみを利かせてきます。
ゴロツキA(GM):
「なんだ、テメェ?」
イハーサ:
「俺の言葉の意味がわからなかったのか? 真昼間からあんまり騒がしくするのはやめておけって言ったんだよ」
ゴロツキB(GM):
「はぁ? 片輪者のくせに横から口だしてんじゃねぇよ! その出来損ないの足を、もっとヒデェ目にあわせてやろうか?」
イハーサ:
「そいつは勘弁してくれよ。これ以上ひどくされたら歩けもしねぇ。
ところで、そこの嬢ちゃんと兄ちゃん。大丈夫か?」
フェルナンド:
俺は拳を構えた状態で止まっている。
メイジー:
「オジサンこそ、危ないから離れてたほうがいいよ」
そう言いながら、ワタシはいつでも武器を構えられるように準備した。
GM:
では、ゴロツキのうちのひとりが、イハーサのことをチラチラと見ながらその周囲を歩きだし、背後に回ったところで腰から短剣を引き抜くと、そのままイハーサに向かって攻撃をしかけてきました。
ここでは判定はしなくて結構なので、イハーサは自分のキャラクター性を出しつつ、なんらかの方法でその攻撃を防いでください。
イハーサ:
なるほど。そうだな……。それじゃあ、こう言っておこう。
「なんだ、背後から斬りかかってくるつもりなのか? だが、見えているからな」
GM:
そのイハーサの言葉に驚いたゴロツキは、一瞬動きを止めたのですが、唾をゴクリと飲み込むと――
ゴロツキD(GM):
「だったらなんだって言うんだよッ!」
GM:
――と叫んで、斬りつけてきます。
イハーサ:
ならば、「左から袈裟切り」と言って、引きずっていた左足の義足を軸にグルリと回転し、ゴロツキの攻撃をかわした。さらに、「そして、足元がお留守」と続けて、鞘をつけたままの細身のサーベルで相手の足をスパッと払う。
GM:
そうすると、足をすくわれる格好となったゴロツキは、そのまま倒れて尻もちをついてしまいます。
イハーサ:
「もし剣を抜いていたら腱は切れていた。さあ、これで実力の差はわかったな? こう見えても俺は城塞騎士だ。悪いことは言わんから、ここは大人しく引き下がっておけ」
GM:
イハーサの言葉にゴロツキたちも一瞬怯みはしたのですが、これしきのことで戦意を喪失するような者たちではありません。
ゴロツキA(GM):
「ビビるんじゃねぇ! 数ではこっちが優ってるんだ。やっちまえッ!」
GM:
リーダー格の男がそう声を上げると、ゴロツキたちは一斉に自分の得物を引き抜いたのでした。
GM:
ここで、シーンはふたたびアルフォンスとエリオットによる情報収集へと戻ります。
スラム街周辺でイハーサに関する情報を探していたアルフォンスとエリオットは、とある酒場の主人から次のような話を耳にしました。
酒場の主人(GM):
「イハーサっていうと、あの城塞騎士のイハーサさんかい?」
アルフォンス:
「お、知ってるのか?」
酒場の主人(GM):
「まあ、うちにもたまに飲みに来ることがあるからね。この時間だったら飯屋にでも行ってるんじゃないかな? たしか、イハーサさんが行きつけにしてる飯屋は、城のそばにある『タスマン亭』だったと思うけど」
GM:
ということで、あなたたちはイハーサが行きつけにしているというお店の情報を教えてもらうことに成功します。
アルフォンス:
じゃあ、そこでさらに酒場の主人に尋ねておく。
「ついでに、イハーサの家の場所がわかったら、そっちも教えて欲しいんだが……」
酒場の主人(GM):
「ああ、たしかイハーサさんの家の場所は――」
イハーサ:
俺は城から少し離れたところに畑とか作れるだけの土地を買って、そこで暮らしている。女房が畑仕事をしてくれてるんだ。
アルフォンス:
じゃあ、行きつけの飯屋と家の場所を聞いたら、酒場を出た。
「エリオット、やるじゃねぇか。オマエの勘に任せて正解だったぜ!」
エリオット:
「よかったね。それじゃ、早速、イハーサさんの行きつけだっていうお店に行ってみようよ」
GM:
そのようにしてイハーサの情報を手に入れたアルフォンスとエリオットは、彼の行きつけだという飯屋を目指して城の近くまでやってきました。そして、そこで偶然にもゴロツキたちに絡まれるフェルナンドとメイジー、さらにはそれを仲裁しようとしていたイハーサのことを目撃することになります。
彼らを囲む4人のゴロツキたちは、それぞれの手に短剣を構え、いまにも襲いかかりそうな勢いです。
ゴロツキA(GM):
「しょせん、片輪ひとりにガキふたりだ。オレたち4人で一斉に襲いかかれば訳もない。この世の中は数が力なんだってことを教えてやるよ!」
メイジー:
メタい(笑)。
フェルナンド:
「やれやれ、結局こうなるのか……」
アルフォンス:
そのタミングで、細い裏路地から出てきて、ひとつため息をついた。
「オイオイ、オマエらこんなところでなにやってんだよ……」
メイジー:
「アルフォンス!」
フェルナンド:
「……いや、こいつらが一方的にメイジーに絡んできただけだ」
アルフォンス:
「はぁ? メイジーに絡んできただぁ? そいつはずいぶんと物好きな連中だなぁ」と言って、ゴロツキたちのことを物珍しそうに見た。
メイジー:
「ちょっと、アルフォンス。いくらなんでも、そういう言い方はひどいんじゃない?」
GM:
さて、新手が2人現れたことで、ゴロツキたちはあらためてあなたたちの人数を数えていきます。
ゴロツキA(GM):
「ひい、ふう、みい、よお、いつ……。むむむ……。オレたちはバカじゃねぇからな。オマエたちのほうが頭数が多いってことはわかった。この世は数が力なんだよ! 次からは気をつけなッ!」
GM:
そう言うと、ゴロツキたちは武器を収めて、その場から走り去っていきました。
一同:
(笑)
イハーサ:
「算術を教えてくれた父ちゃん母ちゃんに感謝しろよ!」と声をかけてそれを見送った。
GM:
ゴロツキたちの姿はすぐに見えなくなり、その場にはあなたたちだけが残されることになります。
フェルナンド:
じゃあ、俺はその人物がイハーサ本人であるとは露知らず、助けに入ってくれた人に礼を言った。
「ありがとうございます。おかげで助かりました」
イハーサ:
「いやいや、たまたま通りがかっただけさ」
フェルナンド:
「……そういえば、城塞騎士の方だというのは本当ですか?」
イハーサ:
「ああ。そうは見えないかもしれないが、一応な」
メイジー:
「じゃあ、もし知ってたら教えてほしいんですけど――」
エリオット:
「メイジー!」と、ボクは突然大きな声を出してメイジーの言葉を制した。で、そのあとに「情報はもう手に入ったよ……」と続ける。
メイジー:
「あ、そうなんだ?」
そういうことなら、ワタシは質問を取りやめた。
GM:
(え……。ここまで合流のお膳立てをしたというのに、まだ引っ張る気なの? 苦笑)
イハーサ:
「なんだかわからんが、調べものも済んだみたいでよかったな」
アルフォンス:
「ああ、なんか悪かったなオッサン。オレたちのツレが面倒かけちまったみたいで」
イハーサ:
「いや、大丈夫だ。気にすんな。ただ、あんまり無茶すんなよ。ここも昔はいい街だったんだが、最近はちょっとな。ごめんな、兄ちゃんたちよ。んじゃあ、ことも収まったようだし、俺はこれで」
そう言うと、俺は飯屋のほうに歩いていった。
GM:
では、イハーサはその場から去っていきました。そして、4人が残されます。
エリオット:
「メイジー、あの人は? 城塞騎士って話だったようだけれど……」
メイジー:
「そうらしいね」
エリオット:
「悪い人には見えなかったけれど、不用意に城塞騎士と話をするのは危険だよ。ボクたちの目的を知ったら、どう態度を変えてきたものかわからないんだから」
メイジー:
「うーん、確かに……。ごめん、軽率だった」
アルフォンス:
「万が一スカーレットと通じてたら、厄介なことになるからな。オレたちがイハーサって人のことを探してることは、城の関係者にはあまり知られないほうがいいだろ……。それに、さすがにあいつがイハーサ本人ってことはねぇだろうしな。レイモンドのオッサンが自分の代わりに頼れって言ってたんだから、まさか義足ってことはねぇだろ」
オレはイハーサが凄腕の騎士だって思い込んでる(笑)。
フェルナンド:
アルフォンスが貶すんだったら、俺が持ち上げておくか(笑)。
「いや、義足にしてあの身のこなし、ただ者じゃなかったぞ……」
エリオット:
「そんなことよりも、はやくイハーサさんを探しにいこうよ! 『タスマン亭』ってお店が行きつけなんだってさ」
アルフォンス:
「ああ、飯時にそこに行きゃ、会えるかもしれねぇって話だ」
メイジー:
「ちょうどお昼になったところだから、今から行けばお店にいるかもね」
エリオット:
「それに、そろそろボクたちもお昼にしようよ。ボク、お腹が減っちゃった」
アルフォンス:
「じゃあ、決まりだな。飯屋はこの近くのはずだ」
エリオット:
「たしか、こっちだよ」