GM:
しばらく寝台で休ませると、セルダルは意識を取り戻しました。
アゼル:
「すまない、セルダル……」
号泣している。なにせ、親友でありライバルだからな。
セルダル(GM):
セルダルは半目を開いて「まあ、いいってことよ……」と言ってから、アゼルの後ろにニルフェルの姿を確認して、「畜生、格好わりぃところみせちまったなぁ」と苦笑いしてみせます。
アゼル:
そんなセルダルを両腕に抱えると号泣し続ける。
セルダル(GM):
「よせよ、アゼル。気持ちわりぃ」
セルダルはアゼルを押し返すと、「こんくらい大丈夫、大丈夫。たいしたことねぇって」と言って寝台から身を起こそうとするのですが、血を多く失ってしまったせいかヨロヨロとふらつきます。
ジャナン(GM):
そんなセルダルの姿をみたジャナンは、「あまり無理はするな。その怪我じゃ、しばらくは動けまい。今日のところは横になって安静にしてるんだな」と言ってセルダルをたしなめました。
ニルフェル(GM):
「そうですよ、セルダルさん。ゆっくり休んでいてください」
流血シーンを目の当たりにしたことで少し怯えた様子だったニルフェルも、セルダルの無事な様子をみて多少落ち着いたようです。
ジャナン(GM):
その後、しばらくゼルダルの様子を心配そうに見ていたジャナンでしたが、窓の外に目を向けて高く昇った太陽を確認すると、「アゼル、こんなときにすまないんだが、明日の昼までセルダルのことを頼めないか?」と話しかけてきます。
「実は、昼から市街警備の仕事に出かけなきゃならんのだ……」
アゼル:
「そういうことであれば、わかりました。それまでセルダルのことは任せておいてください」
ジャナン(GM):
「悪いな、アゼル」そう言って、ジャナンはアゼルに頭を下げます。
「……そういうことだ、セルダル。俺が居ない間、あまり無茶はするなよ」
セルダル(GM):
「わーったよ。オレのことはもーいいから、仕事あんなら、さっさと行ってこいって。遅れるとまずいんだろ?」
ジャナン(GM):
「うむ……」(アゼルを見て)「それじゃ、頼んだぞ」
こうして、ジャナンは手早く支度を済ませると、家を出て行きました。
アゼル:
ジャナンが出て行ったのなら、ニルフェルに対してこう言う。
「すまない、ニルフェル。俺の部屋に、良く効く傷薬があるんだ」
GM:
傷薬ってヘルス・ポーション(魔法の傷薬)のことですよね? アゼルの所有アイテムには存在しないはずですが……。
アゼル:
金は払うから、持っていたことにしてくれよ。
GM:
うーん。(しばらく考えてから)了解です。ですが、ヘルス・ポーションはひとつ1,000銀貨する高級品ですよ。
アゼル:
高いな~。それは本当に効くのか?
GM:
もちろん効きますよ。“リプレニッシュ・ヘルス”と同等の効果ですから。持ってることにするのであれば、所持金から銀貨1,000枚減らしておいてくださいね。
アゼル:
よし、わかった! 俺は親友のために1,000銀貨を払う!
「ニルフェル。俺の部屋から、とっておきの薬を取ってきて――」いや、まてよ? (少し考えてから)俺のほうが足は速いよね?
GM:
今は鎧も着ていないですし、少なくともスカート姿のニルフェルよりは速いでしょう。
アゼル:
それじゃ、セルダルのことはニルフェルに任せて、全速力で薬を取ってこよう。
「やっぱり、ニルフェルはここでセルダルのことを看ていてくれ。俺が急いで取ってくる!」
GM:
では、アゼルは全速力で自分の部屋においてある秘蔵のヘルス・ポーションを取りに向かいました。と言っても、クルトの屋敷は目と鼻の先にあるので、大した時間も掛からず戻ってくることができるでしょう。
そうやって、十分程度間を開けて薬を取ってきたアゼルが戻ってくると……今度は部屋の中からちょっと入りにくくなるような会話が聞こえてきたり……(笑)。
アゼル:
ええッ!? それは……ちょっと……(苦笑)。
セルダル(GM):
「いーだろ? なあ、いーだろって?」
ニルフェル(GM):
「いけません、セルダルさん!」
セルダル(GM):
「痛くねぇから、大丈夫だって! ちょっとだけだからさ」
アゼル:
嫌がるニルフェルにセルダルが無理強いしてるようなら、部屋に入るなりセルダルのこと殴りつけるだろうな。もう少し紳士的に言い寄ってるなら、それで2人が幸せになってくれるなら、うれしいと思うほどの親友なんだが……。
シーン外のイーサ&エルド:
(ニヤニヤ)
ニルフェル(GM):
(少し声を強めて)「ダメです! お願いですから、やめてくださいッ!」
アゼル:
えっと……冗談じゃなくて、本当にそんなのが聞こえてきてるのか?
GM:
(しれっと)もちろん、本当ですよ。
アゼル:
ニルフェルは本気で嫌がってる?
GM:
何とかセルダルを思いとどまらせようとしている感じですかね。非常に切羽詰ったように聞こえます。
アゼル:
えーと、あー。(頭を押さえて悩みだす)
あ! そうだ! 俺は全速力で薬を持ってこようとしてたから、声なんて聞こえずに部屋の中に入っていくだろうな!
「セルダルッ! 待たせたなッ!」って言いながら、ガチャリと扉を開けた。
GM:
それでは、あなたが部屋の中に入ると、寝台から起き上がって、扉のほうへ出て行こうとするセルダルと、それを押し留めようとするニルフェルの姿があります。
アゼル:
え……?
シーン外のイーサ&エルド:
(爆笑)
アゼル:
「なにをしてるんだセルダル!? 安静にしてないと……」
ニルフェル(GM):
部屋に入ってきたアゼルに対して、ニルフェルが協力を求めます。
「兄さんからも言ってください! セルダルさんったら、街に行くって言って聞かないんです」
アゼル:
「え? 街に? 何をしに?」
セルダル(GM):
「せっかく、オヤジが明日の昼まで留守にしてんだぞ。この機会をみすみす逃してなるかよ!」
アゼル:
「馬鹿を言うな!」
セルダルの肩を掴んで、寝台まで押し返す。
「それより、この傷薬を飲んで早く傷を治すんだ。そして、また剣の稽古をしよう!」
セルダル(GM):
「なっ!? 何をゆーかと思えば、剣の稽古かよ!?」
シーン外のイーサ:
ここまできて、やることが剣の稽古とは、本当に暑苦しい奴だな(笑)。
アゼル:
そういうキャラクター設定なんだよ(苦笑)。
「いいから! とにかく、お前はまず傷を治すことに専念するんだ!」
セルダル(GM):
その押しに負けて、セルダルはしぶしぶ寝台に腰を下ろします。
アゼル:
しかし……結果的にニルフェルとは何もなかったのか……。まあ、アゼルは気にしてないが。
気にしすぎです(笑)。
GM:
セルダルに傷薬を飲ませるのであれば、生命点回復量を決定してください。《50レーティング》分だけ徐々に生命点が回復します。
アゼル:
(コロコロ)12点!
GM:
では、傷薬を飲んだセルダルの身体の傷はみるみる間に癒えてしまいました。お昼過ぎには、もう普段通り動き回れるようになります。
セルダル(GM):
セルダルは、斬撃の痕が深々と付いていたはずの場所を手でなぞると、驚きの声をあげました。
「おおッ! あんだけの傷口があっとゆー間に消えちまった! すげぇな、さっきの薬は!」
アゼル:
「行商人から買ったとっておきの薬だからな。よく効いたみたいで良かった」
しかし、こんなに凄いとは思わなかったな。だから1,000銀貨もするのか。
ニルフェル(GM):
「良かったですね、セルダルさん」そう言って、ニルフェルも安堵の表情を浮かべました。
アゼル:
「だが、傷が治ったとはいえ、今日のところは稽古も取りやめにして安静にしていたほうがいいな」
セルダル(GM):
「ってか、この期におよんで本気で稽古するつもりだったのかよ(苦笑)?」
ニルフェル(GM):
セルダルが十分に回復したことを確認すると、ニルフェルは部屋を後にしようとします。
「それじゃ、セルダルさん、兄さん。わたしはそろそろ家に戻りますね」
(少し考えてから)
「そうだ、セルダルさん。さっき、ジャナンさんが明日のお昼までは帰ってこないって言ってましたけど、もし良かったら今晩の夕食はうちで召し上がりませんか?」
アゼル:
「そうだ、セルダル。うちに来てくれ! 今晩は鶏の包み焼きだしな! 伯母さんの包み焼きは絶品だぞ」
セルダル(GM):
「そーだな。そー言ってもらえるなら、晩飯はご馳走になるとすっかな」
ニルフェル(GM):
「ぜひそうしてください。お母様にもそう伝えておきますから。……それじゃ、わたしは先に家に帰りますので、夕食に遅れずに来てくださいね」
アゼル:
「ああ。気をつけて帰れよ」
GM:
気をつけてって言っても、目と鼻の先なんですけどね(笑)。
さて、こうしてニルフェルも家に帰り、時刻は昼を少し過ぎたころとなります。
アゼル:
それじゃ、ニルフェルの持ってきてくれた弁当を食べるか。
セルダル(GM):
「なあ、アゼル。昼飯が終わったらどーする? 安静にしてろって言われたって、お前がくれた薬のおかげで、もうピンピンだ。こんなんで横になってたら退屈で死んじまうよ」
アゼル:
「そうだなぁ。それじゃ、軽く稽古するか!」
セルダル(GM):
「いやっ、そーじゃなくて(笑)! ほんと、お前は融通がきかねぇなぁ……」(呆れたように首を振って見せてから)「せっかくだから、街に繰り出そうぜ!」
アゼル:
「街に? そういえば、さっきも街に行こうとしてたみたいだが、何しに行くつもりだ? 何か買いたいものでもあるのか?」
セルダル(GM):
「買い物っつーか……行きたいのは酒場さ」
アゼル:
「傷が癒えたとはいえ、あれだけ血を流した後なんだぞ。酒はやめておけ!」
セルダル(GM):
「別に酒飲み目当てで行くわけじゃねぇって。街の酒場に可愛い子が働いてんだよ」
アゼル:
「可愛い子? 女将さんか? あの人は確かに可愛いところがあるなぁ。だが、歳が離れすぎだろ?」
セルダル(GM):
「……」(大きくため息をついて)「お前を誘ったオレが馬鹿だった。オレ一人で行ってくるわ。んじゃ、夕食時にまた会おーぜ」そう言うと、セルダルはもう耳を貸そうとせずに家から出て行きます。
アゼル:
「まてまてまて……待つんだっ!」と、追いかける!
「お前一人では行かせん! 一応、師匠にお前のことを頼まれたんだ。放っておくわけにはいかない。どうしても行くって言うなら俺も行く」
セルダル(GM):
(鬱陶しそうに)「来んのかよぉ~? ついて来んなら、少しは話あわせろよな。本気で頼むぞ。間違っても店の子を白けさせんなよ?」
GM:
そんなこんなで、2人は城塞都市イスパルタまで足を伸ばしたのでした。