LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第1話(12)

GM:
 では、アゼルとセルダルはギルガメ亭へとやってきました。

アゼル:
 宿屋に着いたら、あの少年が居ないか周りを見渡すんだが……そういえば、名前聞いてなかったな。俺が自己紹介しただけで別れてたんだった。

エルド:
 アゼルさんがすぐに人ごみに入って行ってしまったので、僕から名乗る暇がありませんでした(笑)。
 僕は店に入って直ぐのところの席に座っています。見知った顔の人が店に入ってきたのがわかったので声をかけます。
「あっ。アゼルさん? たしか、アゼルさんでしたよね?」

アゼル:
「ああ。そうだ。……そっちの名前を聞くのを忘れていたな」

エルド:
「そうですね。こちらも名乗るのを忘れていました。僕はエルドといいます」

アゼル:
「そうか。エルドか。昨日はありがとう。……早速なんだが、まだ聖印が見つからないんだ……」

エルド:
「聖印でしたら、今朝街の中を歩いていたときに見つけましたよ」

アゼル:
「本当か!?」

セルダル(GM):
「嘘だぁ!? おい、マジかよ!?」

エルド:
「人に踏まれていたのか、だいぶ汚れていたので、磨いて綺麗にしておきました」そう言って聖印を返します。

シーン外のイーサ:
 完全に愉快犯だな……。

アゼル:
「なんていい人なんだ! いやぁ、助かった! 礼代わりと言っちゃなんだが、昼飯でもおごらせてくれよ!」

エルド:
「いえいえ。礼にはおよびません。困ったときはお互い様ですから」

アゼル:
「そうか。それじゃ、何か困ったことがあったときには何でも言ってくれ!」

エルド:
「わかりました。もし困りごとができたときには相談させてもらいます」

セルダル(GM):
「いやぁ、ホント。嘘みてぇな話もあるんだなぁ」

エルド:
「拾った僕がこう言うのもなんですが、本当によく見つかったと思いますよ」

セルダル(GM):
「さすがに銀貨までは見つかんなかったみてぇだけどな」

エルド:
「僕がみつけたときには聖印が転がっていただけでしたからね」

アゼル:
「これだけでも戻ってくれば十分だ。次は失くさないように首に掛けておこう」

エルド:
「もしかして、今日はそれだけのために街に来たんですか?」

アゼル:
「いや、ほかにも所用があったんだ。それと、このあとにも買い物の予定が少しな」

セルダル(GM):
「ああ、そーだな。これで気兼ねなく買出しに行けるってわけだ」

エルド:
「それでは、あまり長くお引止めするのも申し訳ないですね……。これからは落し物に気をつけてください」

アゼル:
「本当に、本当にありがとう!」
 心からの感謝の笑顔を浮かべて礼を述べてから宿屋をあとにする。

セルダル(GM):
 セルダルもアゼルに続いて宿屋を出て行きます。

エルド:
 2人が去っていくのを見送って、そのうしろ姿を見ながらほくそ笑みます。
「まったく、馬鹿ばっかりだ……」

アゼル:
 それにはまったく気づかない。
「いやぁ、やっぱりいい人はいるもんだ」

セルダル(GM):
「ホント、奇跡みてぇな話だよなぁ……」と言いつつも、セルダルは小首を傾げます。
「でもよぉ、昨日あんだけ探したんだぜ? なんか、おかしかねぇか?」

アゼル:
「何がだ?」

セルダル(GM):
「何が……って言われっとハッキリとはわからねぇんだが……」

アゼル:
「とにかく聖印は見つかったんだ。それでいいじゃないか」

セルダル(GM):
「ああ……。そーだな。その話についてはもー忘れるとすっか。それよりも旅の準備のほーだが、カルカヴァンまでは何もなけりゃ、1週間くらいだ。念のため食料は日程の倍くらいはあったほーがいいだろうなぁ。それに、水袋も多めに買っといたほーがいいぞ。イスパルタを離れたら、カルカヴァンまで人里ひとつねぇし、途中で補充できねぇつもりでいねぇとな。あと、フード付きマントな。それに、下着も――」

アゼル:
「いったいどんだけ持っていけばいいんだ?」
 素でプレイヤーもわかってない。

セルダル(GM):
「まあ、オレも実際に旅すんのは初めてだからなぁ……。あの寄り合い所にいたアルって奴に、必要なもんを聞いといたほーがいいかもな」

アゼル:
「そうだな。それじゃ、一度寄り合い所に戻ってみるか?」

セルダル(GM):
「聖印の件も片付いたしな。今度はゆっくり話を聞きに行ってみっか」

GM:
 こうして、2人がアルのところへ行って、旅に必要なものをたずねると、彼は最低限必要なものをリストアップしてくれます。それを参考にして買い物を済ませば、あとは隊商の出発日程の連絡待ちという状態になります。とりあえず、買い物は終えたということにしておいて、実際の買い物の処理はあとで行いますね。




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