LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第1話(22)

GM:
 一方、野盗の情報集めを開始したエルドとセルダルですが……。

セルダル(GM):
「さてと……。馬は使わねぇよな? とりあえず、食い物と水だけ用意すればいっか」

エルド:
「そうですね」
 この街に望遠鏡とか売ってますか?

GM:
 読書用の拡大鏡とかはあるんですが、望遠鏡はまだありませんね。

シーン外のアゼル:
 拡大鏡があるってことは、それを筒の両端につける発想が出てくれば、望遠鏡も作れるな。

GM:
 もしかすると、天体の研究をしている者の中には、個人的に望遠鏡のようなものを作り出して使っている人がいるかもしれません。あと、神々の遺産の中にはそういったものが眠っているかもしれません。しかし、もう少し時代が進まないと一般市場には出回らないことでしょう。
 さて、そういったわけで、雑貨屋に足を運んだエルドとセルダルは、保存食と水の調達を済ませました。

エルド:
「時間もあまりないことですし、買い物が終わったら早速出かけましょう」

GM:
 では、ここで《スカウト技能レベル+知力ボーナス+2D》の判定をどうぞ。

エルド:
 おや? なんでしょうね。(コロコロ)1ゾロ(苦笑)。

GM:
 スカウト技能判定で1ゾロがでましたので、スカウト技能の累積経験点に10点を加えてください。

 LOSTでは判定で1ゾロによる自動失敗が発生した場合にはそのとき用いた技能の累積経験点に10点、同様に6ゾロによる自動成功が発生した場合には50点の経験点が入手できます。失敗は成功の母であると共に、成功体験は更なる技術向上に繋がるというわけです。

セルダル(GM):
 エルドが失敗したのであれば、代わりにセルダルが頑張るしかないですね。(コロコロ)1ゾロッ!(笑)。

一同:
(爆笑)

シーン外のアゼル:
 こいつらダメすぎる。先行き不安だ(笑)。

エルド:
 逆に考えるんです。このあとはきっと6ゾロがでますって。

シーン外のイーサ:
 まあ、そうだな。これでしばらく1ゾロは出ないだろうから、そういう意味ではかえってよかったかもな(笑)。

GM:
 では、2人は何事にも気づくことなく、イスタス跡地を目指してイスパルタ第2市壁の西門へと向かいました。時間は、正午を過ぎたころですので……午後1時としておきましょう。天候は晴天です。目的地であるイスタス跡地までは20キロ程の距離があります。移動単位は10キロですので、移動手段の選択とモンスターとの遭遇判定を2度行ってください。

 LOSTでは国産TRPGでは下火となってしまった野外での冒険(ウィルダネス・アドベンチャー)用のルールをサポートしています。特にこのキャンペーンでは旅がテーマのひとつとなっていますので、今後とても重要な部分になります。屋外を移動するための手段として徒歩では以下の選択肢が用意されています。

【鈍足】
のんびりと風景を楽しめるくらいの速度で歩きます。多少疲れが和らぎます。
【通常】
標準速度で歩きます。この速度であれば重い荷物などを持たない限りは疲れが溜まりません。
【早足】
少し急いで歩きます。多少疲れが溜まります。
【駆足】
長時間維持できる限界の速度で走ります。かなり疲れが溜まります。
【疾走】
可能な限り全力で走りますが、長続きしません。疲労も一番多く溜まります。

エルド:
 疾走のデメリットはなんですか?

GM:
 整地された場所を疾走で移動すると、疲労が4点溜まります。疲労が6点以上溜まると行軍速度が低下し、12点以上になったところですべての判定のダイス目に-1のペナルティが発生します。その後、累積していくごとに行軍速度と判定のダイス目が低下していき、30点を超えると最悪の場合死亡してしまいます。あと、24時間以内に3時間以上の睡眠、および十分な食事と水分補給を行わなかった場合にも疲労が溜まりますので注意してください。疲労は30分以上の休憩を取ることで1点づつ回復していきます。

エルド:
 それでは、疾走で。

GM:
 ならば、エルドとセルダルはどちらも軽装なので、疾走で10キロ移動した場合の経過時間は30分になります。

エルド:
 凄い速いですね!

GM:
 それはもちろん疾走してるわけですからね。時速20キロといったら、フルマラソンのトップランナー級ですよ。さっきも説明しましたが、走り続けて疲労が溜まっていくと生死判定が必要になりますから注意してくださいね。

シーン外のアゼル:
 まるで走れメロスだな。

セルダル(GM):
 セルダルは疾走するエルドを後から追いかけて、「おいおい、エルド。そんなに焦らなくてもいいだろッ?」と声をかけてきます。

エルド:
「野盗が居そうもない場所はできるだけ急ぎましょう。ある程度まで行ったら、あとはセルダルさんのペースにお任せしますから」

GM:
 続いてモンスターとの遭遇判定を行います。3Dを振ってください。出目次第ではこの地域に住むモンスターと遭遇します。

エルド:
(コロコロ)1と3と4です。

GM:
(イスパルタ周辺の遭遇表を確認してから)
 モンスターとの遭遇はありませんでした。日中の街道を進んでいますから、そう簡単には遭遇しませんね。これでイスパルタから10キロ進んで、時間は午後1時30分ごろです。

セルダル(GM):
 春先とは言えども、容赦なく照りつける太陽の下を走らされたことで、さすがにセルダルも肩で息をしています。
「ハァ……ハァ……ハァ……ッ。ど……どこまで走り続けるつもりだよ……」

エルド:
「そうですね。街からも離れましたし、ここからは慎重に進みましょうか」

セルダル(GM):
「お、おう……。そんじゃ、とりあえず、最近、どんくらい往来があったか調べてみっか……」そう言って、セルダルはハンター技能による“足跡追跡”を行います。(コロコロ)達成値は8。
「馬の足跡が残ってるが……数頭分しかねぇな」

エルド:
「街を行き来してる一般人のものでしょうか?」

セルダル(GM):
「そうかもな。……で、このまま街道沿いをイスタスに向かうか? 街道を進むと、野盗側に気取られる可能性も高くなると思うが」

エルド:
「そこはセルダルさんにお任せしますよ」
 屋外活動はスカウト技能の守備範囲外ですからね。

GM:
 ちなみに、ハンター技能を用いて“警戒探索”を行いながら進むのであれば、敵を先に発見しやすくなります。そのかわり、10キロ移動するのに5時間30分掛かってしまいますが……。

シーン外のイーサ:
 それくらいなら、イスタスに到着するころにはちょうどいい時刻になるんじゃないか? 日が暮れれば、闇に紛れて潜入しやすくなる。

セルダル(GM):
「そんじゃ、街道を外れて進もう。オレが先行するからあとについてきてくれ」
 では、警戒度は低で“警戒探索”を行います。(コロコロ……出目はシークレット)。

エルド:
 モンスター遭遇判定は(コロコロ)特になしです。

GM:
 それでは、午後7時。日がかなり傾き、空一面がオレンジ色に染まったころ、エルドとセルダルの視界に、小高くなった丘と、その丘の上にあるイスタス跡地の周辺に巡らされた市壁の影が入ってきました。

セルダル(GM):
 セルダルは、ここでもう一度“足跡追跡”を試みます。(コロコロ)達成値は11。
「ここら辺は馬の足跡が多いな。街道沿いに伸びてるのと……。ビンゴだッ! イスタスのほうにも馬の足跡が続いてる。エルド。こっからはオマエの出番だ。気を引き締めてかかれよ!」

エルド:
 イスタスの跡地には明かりがもれてる建物とかあるんですか?

GM:
 今居る地点からイスタスの市壁跡までは500メートルくらい離れています。空もまだ明るいので明かりが灯されている建物があったとしてもわかりませんね。

エルド:
 いまの段階で、どこら辺に野盗がいるか見当はつきませんか?

GM:
 そうですね……。では、イメージを掴んでもらうためにも、イスタス跡地の概要図を描いてみましょう。(イスタス跡地の概要図を描いてみせる)。
 イスタスは、なだらかな丘の上に位置しています。丘の頂点から裾までの半径は平均しておよそ1キロ。そのちょうど中間くらいのところに市壁があり、市壁内半径500メートルの土地に建物がひしめいています。イスパルタと異なり、衛星都市のひとつに過ぎないイスタスの市壁は一重です。市壁の北側と南側にはそれぞれ市門がありますが、風化した市壁はところどころ崩れていて、低いところでは1メートルほどの高さしかないため、市門を通らなくても市内に入ることができそうです。

シーン外のイーサ:
 思ってたより大きいんだな。

エルド:
 イスタス跡地の周囲に林や茂みなどはありますか? イスタス跡地に向かって進んだときに、身を隠せるような場所があるといいんですけど。

GM:
 林や茂みなどはなく、木がまばらに生えているだけで、他には岩が転々としているのが目につくくらいの荒野です。現在はその岩のひとつに身を隠している状態です。岩陰に身を隠しながらイスタス跡地まで進むことはできそうですね。ここから先の隠密行動はスカウト技能の“潜伏”が必要になります。あと、移動しないのであれば、ハンター技能の“カモフラージュ”でも身を隠せるものとします。

エルド:
「セルダルさん。イスタスに入ってみましょうか?」

セルダル(GM):
「え? オレも行くのか?」

エルド:
「僕が先行して、身を隠せそうな場所を見つけたら誘導しますので、ついてきてください」

GM:
 エルドが誘導するのであれば、セルダルの判定にもボーナスをあげましょう。まだ空は薄ぼんやりと明るいですが、完全に日が暮れるまで待たなくてもいいですか?

エルド:
 真っ暗になる前に、市壁に取り付くところまでは行ってみようと思います。

GM:
 では、100メートル進む毎に《スカウト技能レベル+実質敏捷度ボーナス+2D》で潜伏判定を行ってください。目標値はシークレットです。

エルド:
(コロコロ)達成値は10です。

GM:
 100メートル移動した段階では、誰かに見られている気配は感じられません。

エルド:
 手招きして、セルダルさんのことを呼びます。

セルダル(GM):
 エルドの通ったルートをセルダルがトレースしていきます。(コロコロ)達成値は7。

エルド:
 周りに市壁内の様子を覗けるくらいの高い木はありませんか?

GM:
 イスタス跡地は丘の頂上にありますからね。木に登った程度で市壁内は見えないでしょう。仮にレビテーションなどで10メートル上空から見たのであれば、何かしら見えるかもしれませんが……。

エルド:
 仕方ありませんね。それでは、さらに100メートル進みます。(コロコロ)達成値は11です。

GM:
 特に変わったことはありません。

エルド:
 セルダルさんを呼びます。

セルダル(GM):
(コロコロ)達成値は8。無難にエルドの後を追いかけていきます。

シーン外のイーサ:
 このままだと、セルダルが小枝を踏んで、その音で気づかれるパターンだな。

シーン外のアゼル:
 セルダルは離れたところで“カモフラージュ”して隠れてもらっておいたほうがいいんじゃないか?

エルド:
 いえ、このまま市壁までは進みます。さらに前身。(コロコロ)達成値は9です。

GM:
 異常はありません。市壁までは残り200メートルです。

セルダル(GM):
(コロコロ)達成値は10。セルダルもスカウト的な動きに慣れてきたようです。
(小声で)「オレも斥候になれっかな?」

エルド:
(小声で)「命を捨てる覚悟があればなれますよ」
 さらに市壁から100メートル地点まで進んで、セルダルさんを呼びます。(コロコロ)達成値は12です。

セルダル(GM):
(コロコロ)達成値は7。

GM:
 そのタイミングで聞き耳判定を《スカウトかハンター技能レベル+知力ボーナス+2D》でどうぞ。目標値は10です。

エルド:
(コロコロ)達成値は12で成功です。

GM:
 では、馬の蹄の音が街道のほうから近づいてくるのがわかりました。馬は2頭で、それぞれの馬上に人影があります。片方の人影の肩には弓のシルエットが確認できました。向かう先はイスタス跡地の南門のようです。あなたたちが居る地点から200メートルの距離まで近づいてきましたが、まだ、その存在には気がついていないようです。
 その場所で身を隠してやり過ごそうとするのであれば、あらためて潜伏判定を行ってください。目標値は7です。

エルド:
(コロコロ)達成値は12です。

セルダル(GM):
 セルダルはマントで身を包んで“カモフラージュ”を試みます。(コロコロ……出目は1ゾロ)あーッ! あわてて身を隠そうとしたところ、思い切り転倒してしまいました!

一同:
(爆笑)

シーン外のアゼル:
 さよなら、セルダル(笑)。




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