LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第1話(23)

騎手A(GM):
 物音に気がついた弓を装備していないほうの騎手が、南門方向に進んでいた馬足を止めてゆっくりと辺りを見渡し始めました。
「いま、何か変な音が聞こえなかったか?」そう言いながら、あなたたちが身を隠しているほうへと、ゆっくりと馬を進めます。

エルド:
 しかたありませんね。セルダルさんのほうに目を向けて、自分のことは自分で何とかしてくださいと合図を送ります。

GM:
 えーッ!? ここまでついてこさせておいて、見捨てるんですかッ!?

シーン外のアゼル:
 なんとか魔法とかでこの窮地を回避できないのか?

エルド:
 できません。“カメレオン”を他人にかけられたのであれば、そうしてあげたかったのですけれどね……。それができない以上、やはり自分で何とかしてもらわないと。

セルダル(GM):
 自分で何とかしろと言われても……。セルダルにできることと言えば、再度“カモフラージュ”するか、それとも走って逃げるか……。

シーン外のアゼル:
 馬を相手に走って逃げるとか(笑)。

セルダル(GM):
 あるいは……。セルダルは背負っていた両手剣の柄の部分を握って、エルドの方に、やるか?と合図を返しました。

エルド:
 転んだのはその両手剣が原因なんじゃありませんか(笑)?

シーン外のアゼル:
 たしかに隠密行動中に持ち歩くべき武器ではないよな(笑)。

エルド:
 うーん、しかし困りましたね。もう一度隠れた場合、判定はどのようになるんですか?

GM:
 先ほどの判定では、特に潜伏者を見つけるつもりではなかった相手側にペナルティが入っていたのですが、今度は通常値で対抗判定を行うことになります。もちろん、これで失敗したら発見されます。

エルド:
 隠れた状態から不意打ちは仕掛けられますか?

GM:
 可能ですが、その場合は見つかる前にこちらから動くということなので、隠れたままやり過ごすことはできませんよ。

エルド:
 これから情報集めをすることを考えると、戦闘は避けてやり過ごしたいところなんですよね。あと、敵の強さがわからないのも悩みどころです。万が一、弓を装備してるのがカダだったりしたら危険ですし……。
(熟考してから)
 やはり、ここは“カモフラージュ”で切り抜けてもらいましょう。命を捨てる覚悟があれば大丈夫です!

セルダル(GM):
 では、セルダルは命を捨てる覚悟で“カモフラージュ”します(笑)。(コロコロ)達成値は9。

エルド:
(コロコロ)僕の方の達成値は10です。

騎手A(GM):
 対する相手の“捜索”は……。(コロコロ)達成値8です。

騎手B(GM):
「おい、何かあったか?」

騎手A(GM):
「んー。いや、気のせいだったみたいだ……」そう言うと、騎手はゆっくりと馬を旋回させて離れていきます。

シーン外のアゼル:
 ふぅ。危なかったな。

エルド:
 声から相手の年代は判断できますか?

GM:
 声だけで年代を特定するのは難しいですね。少年や老人などの特徴的な声でないということくらいはわかりますけど……。そうですね……少なくとも、鼻がかった声ではありませんでした。

エルド:
 了解です。

GM:
 しばらくの間、息を潜めていると、2頭の馬は南門からイスタス跡地内へと姿を消していきました。

エルド:
 さてと、さすがに同じ失敗を繰り返すわけにはいきませんね。
「ここからは僕ひとりで行きますので、セルダルさんはここで身を隠していてください」

セルダル(GM):
「ああ、そうだな。そうさせてもらう」

エルド:
 今度は単独で市壁まで進みます。(コロコロ)達成値は8です。

GM:
 ならば、エルドは無事に市壁まで到達しました。南門から逆時計周りで100メートルほど離れた地点です。門を通らなくても、市壁には乗り越えられそうな箇所が結構ありますけどね。あと30分もたてば夜になります。

エルド:
 では、このまま暗くなるのを待ちます。

GM:
 了解です。そうしてエルドがその場で30分ほど待機していると、完全に夜のとばりが落ちました。

エルド:
 市壁内で明かりがつけられた様子は確認できますか?

GM:
 大勢の人が暮らしているような街ではありませんからね。光を直接視野に入れない限り、闇夜の中で街明かりが目に付くようなことはありません。

エルド:
 では、警戒しつつ外壁の崩れたところを上って市壁内に入っていきましょう。

GM:
 警戒して進むのであれば、警戒度を選択して警戒探索判定を行ってください。

 ここで“潜伏”と“警戒探索”の使い分けについて説明しておきます。“潜伏”は身を隠すものであり、逆に“警戒探索”は、潜伏者や罠、隠し扉などを探りながら進むものです。ここでは、エルドが「警戒しつつ入る」と宣言したことをうけて警戒探索判定を行ってもらうことにしましたが、あらかじめ敵の存在を想定して進むのであれば潜伏判定を用いても良かったかもしれません。

エルド:
 警戒度は高で。(コロコロ……出目はシークレット)

GM:
 市壁の上に登ったところで、街の中心部にゆれる3つの明かりが確認できました。明かりの方角からは、小さな馬のいななき声も聞こえてきます。

エルド:
 松明の灯りですかね。人も馬も、街の中心部にいるのでしょうか。今のところ周囲に人の気配は感じられないんですよね?

GM:
 そうですね。あなたが警戒できる範囲で気になる存在はみあたりません。

エルド:
 では、いったん、セルダルさんのところまで引き返します。“潜伏”で身を隠して。(コロコロ)達成値は7です。

GM:
 では、問題なくセルダルが身を隠す岩陰まで戻ってくることができました。

エルド:
 そっとセルダルさんに近づくと、その首根っこをつかみます。
「戻りました」

セルダル(GM):
 唐突に首根っこをつかまれたセルダルは、「うわッ!」と驚きの声を上げます。

エルド:
「とりあえず、中を覗いて見た感じでは――」と、先ほど確認した内容を伝えます。
「これ以上の情報を得るためには、街の中に潜入する必要があります」

セルダル(GM):
「オマエが潜入するっていうなら、オレはその間、もう少し離れたところで身を隠して、イスタスへの人の出入りだけでも監視することにする」

エルド:
「そうしてください。どのあたりに身を隠すつもりですか?」

セルダル(GM):
「丘の裾らへんに大きな岩場があっただろ? オレはそこに身を隠しておく。オレを呼びたいときは、そこまで来て金属音を鳴らしてくれ。それと、潜入するのはいつまでだ? その時間を過ぎてもオマエが戻ってこない場合は、潜入に失敗したと判断して、オレはひとりでイスパルタに戻る」

エルド:
 うーん、3日以内に商人ギルドに戻る約束でしたからね……。
(いろいろと時間を計算したうえで)
「とりあえず、明後日の午前3時までに戻ってきます」

セルダル(GM):
「わかった。街の中はオマエ、街の外はオレ。これで、お互い得意分野の仕事ができるな」

エルド:
「そのかわり、お互いに助けも期待できませんけどね」

セルダル(GM):
「遠くから監視するオレはまだしも、潜入するオマエのほーはかなり危険な仕事になるからな。くれぐれも気を抜くなよ」

シーン外のアゼル:
 また1ゾロ振って敵に見つかるセルダルの未来が見える(笑)。

GM:
 さすがにそれはないでしょう(苦笑)。セルダルには無理をする必要もありませんから、判定の必要がない距離まで離れておきますよ。




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