GM:
では、全員がイスタスから3キロほど南に離れた合流予定地点に到着します。時刻は20時半をまわり、日は完全に落ちています。アゼルたちは無傷でしたが、一方のエルドたちは重傷を負ったナンをつれています。
セルダル(GM):
セルダルはイーサの姿を確認すると馬を飛ばしてきました。
「治療を! 癒しの魔法を頼むッ! ナンさんがやられた。命は取り留めたが、やばい状態なんだ」
アゼル:
「なにッ!? 師……じゃなかった……ナンさんがッ!?」
イーサ:
「わかった。任せておけ」
ナンさんに近づいて“キュア・ウーンズ”を唱える。(コロコロ)7点回復。
ナン(GM):
それでナンは息を吹き返しました。ちょうど全快です。
ナンは目を開けると周りをぐるりと見渡して、「ここは?」とたずねてきます。
エルド:
しゃべった(笑)!
アゼル:
「ここは合流予定だった場所です。それよりも大丈夫ですか?」
ナン(GM):
ナンは自分の胸元に手を当て、傷が癒えているのを確認してから、「大丈夫だ。迷惑をかけた。すまない……」と頭を下げました。
アゼル:
「良かった!」
(安堵の息を漏らしてから)
「……しかし、ナンさんほどの使い手がどうして?」
セルダル(GM):
「野盗が苦し紛れに放った不意の一撃が胸元近くに刺さりこんでな……。運が悪かった」
エルド:
「まあ、無事が確認できてなによりです。……それで、早速ですが、お互いの首尾について確認しましょう。こちらは偵察部隊の2人を倒してきました」
アゼル:
「うむ。こっちも偵察部隊を撃破してきた」
イーサ:
「さて……それじゃ、これからどうするかだな。野盗たちはたいして腕が立つというわけでもないようだが」
アゼル:
「そうか?」
イーサ:
「はぁ? お前だって野盗を一撃でのしてただろうが」
アゼル:
「いや……ナンさんを倒すほどの使い手もいるようだし……」
セルダル(GM):
「それは、さっきも言ったとーり、まったくの偶然だった。間近でそんときの様子を見てたんだが、野盗が明らかに格下だったんで、ナンさんも完全に油断してた。ありえねぇくらい気がぬけてた」
具体的に1ゾロを出すくらい。
一同:
(爆笑)
アゼル:
「な……なるほど。それじゃ、野盗たちの実力は大したことはないと」
イーサ:
「野盗たちの残り戦力は14人。大して強くないとはいえ、まだ数は多い。このままイスタスに攻め込むか、あるいは偵察を出して向こうの出方をうかがうか……。すでに水汲み部隊が戻ってこないことで警戒はされてるだろうな」
エルド:
「イスタスに攻め込んでも良いんですけど、できれば少し休憩をとってからにしてもらえますか?」
さっきの戦闘で瞑想せずに魔法を連発したので精神点に余裕がありません。戦えと言われれば戦えますけど、せめて疲労だけでも回復させておきたいところです。
アゼル:
俺も強行軍で疲労がかなり溜まってるな。
イーサ:
「それじゃ、一度休憩を取ってから、野盗の動きを偵察することにするか。休憩している間に水の補給を済まされちまうかもしれないが……」
アゼル:
「そこは仕方ないだろ。偵察を出すにしても、その偵察要員が最も休む必要があるからな。そうと決まれば、早速休めそうな場所を探して休憩しよう」
GM:
では、あなたたちは大きめの岩影を見つけると、そこで休憩することにしました。
こうして荒野で野営をすることになった一行は、食事を済ませると見張りを買って出たアルとセルダルを残して休憩をとることにしました。野営道具を持ち合わせていなかったため、劣悪な環境での休憩となりましたが、エルドは精神点の自然回復判定でまたもや6ゾロを出し、精神点を2点回復させます。イスタスに潜入したときの自然回復でも6ゾロを出していましたし、どうやらエルドの精神はかなり図太いようです(笑)。
GM:
6時間の休憩をとっても、まだ午前3時ですけれど、もう行動を開始しますか?
アゼル:
日が昇る前にイスタス市街跡地内に偵察を出そう。暗いうちに行動したほうが偵察はやり易いだろうからな。できれば、野盗たちが今後どう動くつもりなのかを知りたい。まだ少数で動くようなら、そいつらを各個撃破したいからな。
エルド:
了解です。それでは、今回は僕ひとりで行ってきます。市街跡地への潜入だったらそっちの方がよさそうですからね。徒歩だとイスタスまでどれくらいですか?
GM:
3キロちょっとしか離れていませんからね。歩いて行くのであれば1時間かからないくらい。駆け足ならば15分程度です。
エルド:
では、駆け足で向かいます。
こうして、ほかの面々を野営地に残し、エルドが単独で再びイスタスに潜入することになりました。
まだ日が昇りはじめる前、空がわずかに色を帯び始めようとするころ、エルドはイスタス市壁へと到着します。
エルド:
市街跡地内に松明の光や、人が動いている気配とかは感じられませんか?
GM:
松明の光は見えません。薄っすらと空が明けてきているので火は消してしまったのかもしれません。また、市壁周辺では人の気配も感じられません。もし、街中へ入っていくのであれば、100メートル進むごとに潜伏判定をどうぞ。
エルド:
では、まず100メートル。(コロコロ)13です。人の気配が感じられないようであれば、さらに100メートル。(コロコロ)9。
GM:
そこで一度、聞き耳判定を行ってください。
エルド:
(コロコロ)8です。
GM:
……特に人の気配は感じられませんね。
エルド:
あと100メートル進みます。(コロコロ)10です。
GM:
市街跡地の中心まであと200メートルの地点まで来ました。相変わらず人の気配は感じられません。
エルド:
うーん、ここまで来ても見張りの姿すら見えないとは、なんだか嫌な予感がしますね……。いま来たルートを引き返します。
GM:
では、エルドがきびすを返して来た道を戻ろうとしたとき、その背後から唐突に声をかけられました。かすかに聞き覚えのある声です。
謎の声(GM):
「ここまで来といて、いまさらどこに行こうっていうんだ? 挨拶もなしに帰ろうなんて、つれねぇじゃねぇか。ケッケッケ……」
シーン外のアゼル&イーサ:
うわぁ……。
エルド:
声のしたほうを振り返ってみます。
カダ(GM):
その声の主は、くり色の短髪にあごひげを少し蓄えた、日に焼けた肌の男であり、その鼻は大きく右に曲がっているます。どうやら、彼が鼻曲がりのカダのようです。
「お前ら、もう出てきていいぞ!」
GM:
その呼びかけに応じて、物陰に潜んでいた野盗たちがゆっくりとその姿を現しました。四方の通路は完全に抑えられてしまっています。深入りしすぎて、まんまと敵の網にかかってしまいましたね。
カダ(GM):
「飛んで火にいるなんとやらだなぁ。ケッケッケ……」
カダはその鼻の曲がった顔に勝ち誇った笑みを浮かべています。
シーン外のアゼル:
ひぃー。こいつは、やばいぞ。