GM:
では、野盗の偵察部隊襲撃作戦を開始します。まず西方面から解決していきましょう。こちらの参加者は、エルド、セルダル、ナンの3人です。泉を離れたのは16時ごろになります。
エルド:
日暮れまであまり時間がありませんからね。馬足を速めて、駆け足で移動しましょう。
馬を潰してしまわないように気をつけつつ、それでも急いで偵察部隊を索敵しながら20キロの距離を移動します。幸い、行軍途中で野生生物と遭遇することはありませんでした。
GM:
街道沿いを2時間ほど進んだところで……索敵距離判定を行います。“警戒探索”を行っていないので修正値はなしで、《2D》の値だけ教えてください。
エルド:
(コロコロ)10です。
GM:
敵の偵察部隊の方は……。(コロコロ)どうやらエルドたちの方が先に相手を発見したようです。遠くから街道沿いにこちらに向かってきている2つの馬の影が確認できました。場所はこんなところです(と言って戦闘マップを公開する)。
セルダル(GM):
「まだ気づかれちゃいねぇみてぇだな。隠れといて、奇襲でもかけてみるか?」
エルド:
「そうですね……」
(少し考えてから)
「僕はカメレオンの魔法で姿を消して、ここで野盗が通り過ぎるのを待ちます。ナンさんとセルダルさんには少し下がったところで待ち伏せしてもらって、挟撃のかたちをとりましょう」
セルダル(GM):
「魔法についてはよくわかんねぇから、オマエに任せるよ」
エルド:
では、馬から下り、街道の横に移動してから“カメレオン”を唱えます。(コロコロ)成功。
GM:
セルダルとナンは馬を連れてエルドが姿を消した場所から離れると、街道沿いにある小山の裏に身を潜めました。2人ともライダー技能を所有しておらず、騎乗したままでは上手く戦えないので、馬から下りておきます。あなたたちがひととおり準備を終えたところで、野盗の偵察部隊が近づいてきました。彼らは、魔法で姿を消しているエルドの存在にまったく気づいていないようです。
エルド:
あらかじめ瞑想しておいて、野盗たちが目の前を通り過ぎたら、背後から“エネルギー・ボルト”を撃ちこみます。行使値は、(コロコロ……出目は1ゾロ)あッ……。
一同:
(爆笑)
GM:
また1ゾロですか(笑)! ブラック・マジシャン技能の累積経験点に10点加えてください。
エルドの計画していた挟撃が不発に終わったことで、セルダルとナンはなし崩し的に偵察部隊の馬の前に飛び出し、真っ向勝負を仕掛けることにしました。エルドがもう一度魔法を唱えるのを待っていたら、偵察部隊の馬が通り過ぎてしまうからです。それでもセルダルとナンの腕前であれば野盗程度の相手に一対一で引けをとることはない……はずだったのですが。
ナン(GM):
軽戦士に対して攻撃を仕掛けます。(コロコロ)
軽戦士(GM):
対する軽戦士は、その攻撃を“ディフレクト”で防ごうとして(コロコロ)なんと、6ゾロ! そして、反撃とばかりにナンに対して攻撃します。(コロコロ)
ナン(GM):
それに対する、ナンの回避は(コロコロ)1ゾロ(笑)!
一同:
(爆笑)
シーン外のアゼル:
今日は1ゾロと6ゾロの嵐だな。いくらなんでも出過ぎだろ。どうなってるんだ(笑)?
軽戦士(GM):
ナンの装備は軟革鎧なので、軽戦士の攻撃はクリティカル! 13点ダメージ!
ナン(GM):
その一撃を受けたナンは「うッ!」と小さくうめき声を上げ、その場に崩れ落ちました。
一同:
え!?
(それまでの爆笑ムードの空気が凍りつく)
ナン(GM):
高齢で能力値が低下しているナンは、その一撃に耐えられませんでした……。生死判定は(コロコロ)成功して、昏倒状態です。
セルダル(GM):
「オヤジィィィッ!」
エルド:
これは、ちょっとまずいことになってしまいましたね……。
この後、エルドが気力を振り絞って“エネルギー・ボルト”を連発したことにより、まもなく野盗たちの戦意を喪失させることには成功しましたが、ナンの戦線離脱は完全に予想外の出来事でした。
おまけ:戦闘ログ、戦闘中の大まかな動き
ナン(GM):
さて、戦闘後のナンの様子ですが……なんとか呼吸はあるものの、左胸の刺し傷から出血している状態です。崩れ落ちたナンの顔に巻かれていた布がハラリとほどけて、隠されていた顔があらわになっています。その素顔はなんとジャナンのものでした!
一同:
ナンダッテー(失笑)!?
GM:
現時点でナンは生死判定には成功していますが、止血できないまま1時間経過してしまうと、傷が悪化して追加ダメージを受けたうえで再度生死判定を行うこととなってしまいます。
セルダル(GM):
セルダルはナンが瀕死の重傷を負わされたことに逆上しているようで、腰から引き抜いた短刀の刃を野盗の喉元に押し当てると、「もしオヤジに何かあってみろ! オマエも同じ目にあわせてやるからなッ!」と怒声を響かせています。
エルド:
とりあえず、降参してきた野盗をロープで縛ります。この野盗を引きつれてアゼルさん達に合流しようとしたら、どれくらい時間かかりますかね?
GM:
最低でも1時間はかかってしまいますね。当然、行軍途中で野生生物や野盗と出くわす可能性もあります。一応、専門技能を取得していなくても手当てを行うことはできますよ。成功確率は高くありませんし、10分消費してしまいますが……。ナンの受けたダメージは7点なので、《知力ボーナス+(2D-2)》で7以上出せば止血できます。
技能の専用行動でなければ、専門技能を取得していない者でもダイス目に-2のペナルティを負った状態で判定を試みることができます。ただし、ペナルティを加えたダイス目が2以下であれば自動失敗となってしまうので、今回のような緊急事態でもない限りは技能取得者が判定を試みるべきでしょう。
エルド:
うーん。ここは手当てを試みておきましょう。(コロコロ)なんとか8で成功です。これでひとまずは安心ですね。
セルダルさんに対して、「安心してください。ナンさんの状態は落ち着きましたから、命に関わることはないでしょう」と言葉をかけておきます。
セルダル(GM):
「本当か!? オヤジは大丈夫なんだな!?」
エルド:
「ええ。一命は取り留めました。とりあえずイーサさんたちと合流して治療を受けるまでは大丈夫でしょう」
セルダル(GM):
セルダルの視線が横たわるナンの顔に向けられました。
「畜生。もう若くねぇくせに、年甲斐もなく無茶しやがって……」
セルダルは取れかけた布を結びなおして再びナンの顔を隠すと、「イーサたちと合流しよう。癒しの魔法を使ってもらえば、こんな傷なんて綺麗さっぱりなくなっちまうはずだ。それまで頑張れよオヤジ……」と言って、ナンの身体を担ぎ上げ、馬の背に乗せました。
エルド:
野盗は縛ったままその場に放置して、合流地点に向かいます。
……しかし、思いがけずナンさんの正体が白日の下に晒されてしまいましたね(苦笑)。
GM:
まあ、ナンが顔を隠してるのは洒落みたいなものですけどね。アスラン商会が野盗のバックについているとすれば、アゼルとセルダルが野盗退治に乗り出した時点で、ジャナンやクルト氏族の面々がにらまれることは免れようがないですから。
シーン外のアゼル:
それなら俺たちも顔を隠しておくべきだったかな。
GM:
セルダル自身が野盗退治の話を王直属部隊へ志願するときの手土産にしようとしているくらいですから、焼け石に水でしょう。それとわかりつつも、ナンの覆面はその場のノリでやってしまいました。本当に申し訳ない(苦笑)。
一同:
(笑)
GM:
では、一段落ついたところで、場面をアゼル、イーサ、アルの3人の方に移しましょう。
同時刻。街道を東へ、イスパルタ方面に向かった偵察部隊を襲撃に向かったアゼルたちですが、こちらは索敵距離判定の出目が振るわず、野盗の偵察部隊に先に発見されてしまいました。奇襲を受けることとなってしまったアゼルたちですが、ナンを襲ったようなアクシデントがそうそう頻繁に発生することもなく、無難に野盗を倒すことに成功しました。
おまけ:戦闘マップ、戦闘ログ、戦闘中の大まかな動き
アル(GM):
(アゼルを見て)「泉での戦闘も大したものだったが、予想以上に腕が立つな。まさか、ここまでやれるとは思ってなかったぞ」
イーサ:
「まったくだ。俺が手を出す暇もなかったぜ」
アゼル:
褒められたことに対して、照れ笑いを浮かべた。
アル(GM):
「だが、慢心は禁物だぞ」
シーン外のエルド:
ええ。気を抜いていると、ナンさんみたいなことになりますからね。
アゼル&イーサ:
(爆笑)
アル(GM):
「さてと、それじゃ合流地点まで向かうとするか」
イーサ:
「了解だ」
野盗をロープで縛り上げて、こいつらもしばらくはここで放置だな。
こうして東西にわかれた一行は、互いに偵察部隊を倒すと、合流地点へと向かったのでした。