LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第1話(32)

GM:
 さて、戦闘は決着しましたが、後始末が必要ですね。

アル(GM):
「ここにある交易品を運びたいところだが、そのためには馬車が要るな。とりあえず街道に放置しておいた野盗を回収して、それから街に戻るとするか」

アゼル:
「そうだな」
 でも、生きてるかな?

GM:
 放置してある野盗たちを回収して、いったん、街に戻るということで良いですね? そうであれば、先に40キロ移動する分の遭遇判定を済ませてしまいましょう。

アゼル:
(コロコロ)遭遇せず。

GM:
 では、まず西側の街道に放置した野盗のところまで行ってみたのですが、(コロコロ)ひとりは生存。もうひとりはお亡くなりになりました。そのあと、いったんイスタス跡地に戻って睡眠をとり、翌朝、東側の野盗を回収しつつイスパルタの街に帰りますが、(コロコロ)こちらもひとり生存。ひとり死亡です。亡くなったのは、きっとそれぞれ傷を負っていた者ですね。

アゼル:
 それがお前らに課せられた報いだ!

イーサ:
 なんだかアゼルのキャラクター変わってないか?

エルド:
 いつものことです(苦笑)。

GM:
 こうして、あなたたちは野盗2人を捕獲して、昼前にはイスパルタの街に帰り着くことができました。

アゼル:
 それじゃ、野盗たちを城塞騎士につきだしに行こう。

ナン(GM):
 ではその前に、市門をくぐったところでナンが「役目は果たしたぞ」と、短く言葉を放ちます。

アゼル:
「助太刀ありがとうございました!」

ナン(GM):
 ナンはこくりとうなずくと、「では、さらばだ」と一言残して、街中にその姿を消しました。

アゼル:
「いやぁ、心強い助っ人だったな(笑)!」

セルダル(GM):
「本当にな(苦笑)」

GM:
 そんな感じでナンと別れの挨拶を交わしているところで、《スカウト技能+知力ボーナス+2D》の判定をどうぞ。(コロコロ)目標値は12です。

一同:
(コロコロ)失敗。

GM:
 では、あなたたちの目に触れることはなかったので余談となりますが、市門を抜けてきたあなたたちの姿を確認すると静かにその場を立ち去った人物の影がありました。

エルド:
 いったいなんでしょう?

アゼル:
 気づけてないんだから気にしないでおこう。

GM:
 さて、あらためてあなたたちが野盗を引き渡すために城塞騎士団の詰め所へ向かうと、詰め所では城塞騎士のひとりが応対してくれます。

城塞騎士(GM):
「なんのようだ? 傭兵だったら、今のところ仕事はないぞ?」

アゼル:
「捕まえた野盗を引渡しにきた」

城塞騎士(GM):
「野盗? そういえば、商人ギルドから街道にそういった輩が出没してるとの訴えがあがってきていたな……」

アゼル:
「その連中だ。イスタスを根城にしていたんだ」

城塞騎士(GM):
「そうだったのか。よくやったな」そう言って、あなたが拘束している野盗に目を向けると、「2人だけか?」と問います。

アゼル:
「あとは戦いの最中に死んだのが数人と、残りは逃げていった」

城塞騎士(GM):
「なるほど。では、その2人は罪人として引き取るが……。こちらとしては、討伐依頼を出していたわけではないからな、礼金などはだせないぞ」

アゼル:
「礼金が目的だったわけじゃないから構わない。こいつらを引き取ってくれるならそれでいい」

城塞騎士(GM):
「そうか。ならば良かった。だが、商人ギルドからだったら、多少の礼金はだしてもらえるかもしれんな――」

エルド:
「アゼルさんは礼金はいらないようなので、報酬が入ったら残りの4人で分配ですね」

アゼル:
 うッ、うーん。
「それで構わん」

セルダル(GM):
「おいおい。そーは言っても、今回の野盗退治の言いだしっぺはアゼルなんだぜ? アゼルには報酬を貰う権利がある。ただし、今回、特に危険を冒す役割を担当したエルドとオレの分の報酬は割り増しにして欲しいもんだけどな」

イーサ:
「ああ、それでいいんじゃないか? 俺は旅費が確保できればそれで構わないし」

アル(GM):
「俺も異論はない」

エルド:
「皆さんがそう言うのでしたら」

アゼル:
「それじゃ、次は商人ギルドの寄り合い所に行くぞ」

GM:
 では、あなたたちが商人ギルドの寄り合い所に到着すると、そこには心配そうにあなたたちの帰りを待っていたシシュマンとサブリの姿がありました。

シシュマン(GM):
「おお! お前さんら、無事に戻ったか!」

エルド:
「ええ。何とか無事に野盗を退治してきました」

サブリ(GM):
「ほ、本当か!?」

アゼル:
「本当だ」

サブリ(GM):
「ありがとう! ありがとう!」

イーサ:
「それと、イスタスの中央砦の中には、野盗たちが強奪した交易品も残されていた。回収するなら早めにしたほうがいい」

シシュマン(GM):
「そうか。それじゃ、疲れているところで悪いんだが、イスタスまでの護衛も頼めるか? 少ないが、ギルドの組合費から報酬もだそう」

アゼル:
「了解した」

GM:
 では、さすがに交易品の回収経過は割愛しますが、馬車を使って全員でイスタスに向かい、無事に残された交易品を回収してきました。回収できた交易品は強奪された品のすべてではなかったようですが、商人ギルドからの礼金として銀貨2,000枚が支払われました。これは全員で分配してください。

シシュマン(GM):
「少なくてすまないんだが、何せ野盗に交易品を奪われて大きな損害を被った者たちが多いからな。そいつらへの補償やらなんやらで、ギルドの財政はかなり逼迫した状態なんだ」

アゼル:
「構わない。金が目的というわけではなかったからな」

シシュマン(GM):
「そのかわりと言ってはなんだが……」
 シシュマンはアゼルとセルダルに目を向けると、「お前さんらは少しでも早く王都に着けたほうが都合が良いんだろ?」と聞いてきます。

アゼル:
「そうですね」

シシュマン(GM):
「それならば、明日にでも出発できるように準備を進めるとしよう。何せ、お前さんらは20人からの野盗を蹴散らせるほどの実力の持ち主なんだからな。出発を延期して同行者の頭数を増やさなくても護衛の戦力としては十分だろう」

サブリ(GM):
「ああ。俺としても、そいつは助かる! なにせ、当初の予定よりも1週間近く出発が遅れちまってるからな」

アゼル:
「うむ。こちらとしてもそうしてもらえるとありがたい」

サブリ(GM):
「そうだ。俺も約束どおり、クゼ・リマナまで無事に荷物を運び終えたら、銀貨1万枚を支払うからな! だから、これからの道中もしっかり頼むぞ!」

イーサ:
「これに懲りたら、家族のためにも危ないことには手を出さないことだな」

サブリ(GM):
「そいつは……まぁ……。危ない橋を渡ってるのは家族のためでもあるからな。ははは……」

アゼル:
「銀貨1万枚で何とかしてやれ」

サブリ(GM):
「銀貨1万枚じゃ家族を養うにはスズメの涙だが、まぁ、あんたらの言うとおり、できる限り危険な橋は渡らずに済むようにしたいもんだな」

シシュマン(GM):
「じゃあ、異論なければ出発は明日ということで、今日はこれで解散しよう。明日の朝まではゆっくりと休んでおいてくれ。準備もあるだろうからな」

アゼル:
「うむ。では……」

アル(GM):
「お疲れだったな。明日からもまたよろしく頼む」そう言ってアルは親指を立ててみせます。

アゼル:
 こちらも親指を立てて返した。
「わかりました!」

セルダル(GM):
「んじゃ、帰っか。オヤジにも報告しとかねぇといけねぇしな」

アゼル:
「そうだな。凄腕のナンさんに助太刀してもらったことも報告しないとな!」

GM:
 こうして、羽陽曲折ありつつも、一行は無事に南アルダ街道に出没した、鼻曲がりのカダ率いる野盗を蹴散らし、旅立ちを翌日に控えてそれぞれがつかの間の休息をとるのでした。
 ――といったところで、宮国紀行の第1話を終了します。お疲れさまでした。

一同:
 お疲れさまでした。




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