LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第1話 ティータイム

 長かったです。宮国紀行の第1話。題して「来たれ勇士よ!」。セッション自体も長かったですが、リプレイに書き起こすのにも時間がかかってしまいました。

 初回はサクッと終わらそうと、野盗退治というオーソドックスなシナリオを用意したつもりだったのですが、数に勝る野盗に対してどう作戦を立てて切り崩していくのか?という部分がプレイヤーを大いに悩ませてしまったようです。特に奇策や妙策を必要としていたわけではないのですが、なかなか作戦案が出てこず、また、案が出されても上手くまとめられず、収拾がつかなくなることがたびたびありました。結果として今回はNPCが前面に出て舵を取ってしまったシーンが多くなってしまいましたが、今後はPCがイニシアチブをとっていくような流れにしていきたいところです。

 プレイヤーを悩ませ続けた野盗との戦闘ですが、今回わたしが思い描いていたのは、PCそれぞれが自分の特技を披露しつつ野盗を退治するという、勝敗よりも演出を重視したものだったため、戦闘難易度は比較的易しめに設定していました。さすがに20人の野盗全員と正面衝突していたら厳しい戦いとなったでしょうが、それでも戦力バランス的には五分五分でした。プレイヤー側には“可能性”もあることですし、真っ向勝負を挑んだとしても勝利を収めるだけであれば決して難しくはなかったことでしょう。ただし、毎回そうそう都合よく弱い敵が登場するわけではないので、戦いを挑む前に敵の戦力を正確に推し量ることが重要だということを、プレイヤーの方々には強く意識しておいて欲しいところです。有体に言えば、身の丈にあわない戦闘を行ったら容赦なくLOSTさせますよ……と(笑)。

 戦闘以外のことについても触れておきましょう。キャンペーン最初の舞台は、カーティス王国でも最も辺境に位置する城塞都市イスパルタでした。砂漠に程近い国防の最重要地点であり、オスマン・ペルシアをベースとした中東風の異国情緒あふれる特色の強い都市という位置づけだったのですが、思っていたほど都市の特徴、特に生活観を出すことができませんでした。

 実際のセッションではインターネット上で見つけた画像を用いて中東風のイメージを演出しているのですが、リプレイの文面だけではイメージが伝わりにくいかもしれません。リプレイで確実に伝わるのは、登場人物の名前が中東風だということくらいでしょうか。鼻曲がりのカダ率いる野盗などは、アリババと40人の盗賊を思い浮かべてもらえるとかなりイメージと近くなるはずです。

 今回のキャンペーンにおいて、基本的に各都市はPCたちが生活する場所ではなく立ち寄るだけの場所となるので、その限られた時間のなかで都市のイメージを掴んでもらうためには、もっとシティ・アドベンチャー的なシナリオを用意したほうが良いのかもしれません。一応、今回のセッションでも、情報収集や戦闘準備などを名目としてイスパルタ市内を歩き回る機会はあったのですが(その場合、可愛いらしいと評判の酒場の女将さんや、セルダルが入れ込んでいた給女なども登場したことでしょう)、キャンペーン初回ということで、プレイヤーたちも自分のPCのことで手一杯だったのでしょう。これらの点を踏まえて、次に街に寄った際にはもっと生活観を演出できるようにしたいところです。

 さて、今回のセッションの中には、今後話しを進めていくなかで、キーとなるであろう情報が多くでてきました。「ヤウズ王子の即位」「王直属部隊の設立」「后候補の募集」「ヤウズ王子と遺跡探索者との確執」「クルト氏族の窮地」「ジャナンの貧困生活」「アスラン商会と商人ギルドの対立」「アスラン商会とヤナダーグ・プラト総督府の癒着」などなど。こういったキーが組み合わさって話が膨らんでいくのはキャンペーンならではの楽しみですね。特に今回はリプレイとしてあとで読み返すことができるので、普段のセッションでは見落とされがちなさりげない伏線も仕込みがいがあります。リプレイを読まれてる方はそういったところも意識して読んでみるとさらに面白くなるかもしれません。また、今回登場したカダとダットという名前のあるNPCが2人とも生存・撤退できたため、機会があれば今後も登場させられそうです。

 そのようなわけで、次回以降、それぞれのPCがどのように成長して、どのような物語を描いていくのか、わたし自身とても楽しみです。はたして全員無事に王都までたどり着くことができるのでしょうか? 乞うご期待。




誤字・脱字などのご指摘、ご意見・ご感想などは メールアイコン まで。