GM:
エルバート寺院は城塞都市イスパルタ第1市壁内のほぼ中央に位置しています。なお、第1市壁内は経済的に余裕のある上層民達の住居が並ぶ地区です。
シシュマン(GM):
寺院についたシシュマンは、早速エルバート神に旅の無事を祈りはじめました。
アゼル:
俺も聖印を持ってるくらいだから、一緒に祈りを捧げているな。
イーサ:
じゃあ、俺は皆とは離れて、端のほうに立ってそれを眺めている。
アゼル:
お? イーサは無神論者か?
イーサ:
公にするわけじゃないが、そもそも崇めている神が違う。
アゼル:
なるほど、エルバート神に頭は下げられないと……。
GM:
イーサ以外は皆祈りを捧げていますかね。セルダルなんかは信心深くはなさそうですが、皆の動きを見よう見真似で祈りを捧げています。
エルド:
僕も皆さんにならって祈りは捧げるポーズはしていますが、動作を真似ているだけで特に信仰があるわけじゃありません。
GM:
あなた達がそうやって旅の無事を祈っていると、年老いた導師が歩み寄ってきました。そして、シシュマンが祈りを捧げ終えたところを見計らって声を掛けてきます。
年老いた導師(GM):
「シシュマンさん。これからご出立ですか?」
シシュマン(GM):
「ええ。街道を騒がしていた野盗をようやく追い払えましたからね。今回はクゼ・リマナまで参ります」
年老いた導師(GM):
「そうですか。では、こちらを――」そう言うと、年老いた導師はふところから割符のようなものを取り出して、シシュマンに手渡しました。
GM:
これは、普段商人たちから得られるお布施の対価として寺院がくれるお守りです。この割符を持っていると、旅先で困ったときに寺院からの救済を受けることができます。あくまで困ったときの保険であって、際限なく利用したりすれば寺院から睨まれてしまいますけどね。
年老いた導師(GM):
「それと、シシュマンさん。クゼ・リマナ方面に向かわれるのでしたら、ひとつお願いがあるのですが……」
シシュマン(GM):
「なんでしょう? ワシたちでお役に立てることであればよいのですが」
年老いた導師(GM):
「私ども寺院の信者をひとり、旅に同行させてもらえませんか? ちょうどこれから王都まで巡礼の旅に出るとのことで、こちらに来ているのですよ」
シシュマン(GM):
シシュマンは即答せず、少し考え込みます。人数が増えることのメリット・デメリットを頭の中の算盤ではじき出しているようです。そして、計算の結果シシュマンは、「ワシら商人ギルドとしては、敬虔なエルバート信者への協力を惜しみなどしません。ただ……ワシらは王都へ向かうというわけではないので、同行できるのは途中の都市までとなります。それでよければご協力いたします」と可能な範囲での協力を申し出ました。
年老いた導師(GM):
「ええ。もちろん途中までで結構です。では、その者を呼んで参りますので、しばらくここでお待ちください」そう言うと、年老いた導師はいったん、奥の部屋へと姿を消し、しばらくしてからひとりの人物を伴って戻ってきました。
GM:
年老いた導師につれてこられた人物は、あでやかなくり色の長髪が特長的な小麦色の肌をした女性でした。彼女は旅人用の外套をまとっているのですが、腰を帯で緩く締めただけのその上からでも、女性らしい身体のシルエットが見て取れるほどのスタイルの持ち主です。いわゆる、出るべきところが出ていて、締まるべきところが締まっているというやつですね。
小麦色の肌の女性(GM):
女性は、「ハージと申します」と澄んだ声でその名を告げると、うやうやしく頭を下げてみせました。
アゼル:
年齢はいくつくらいだろう?
GM:
見た目から判断すると20代であるように思えますね。
シシュマン(GM):
「ワシは隊商長のシシュマンだ。隊商としてはクゼ・リマナまでしか足を運ばないのだが、それでよいかな?」
ハージ(GM):
シシュマンの言葉に、ハージは顔を上げました。幾本かの垂れた長い前髪を指ですくって耳にかける彼女の動きはとても洗練されて見えます。
「ええ、もちろん構いません。ご迷惑をおかけしてしまいますが、よろしくお願いいたします」そう言うと、ハージはかすかに首をかしげた状態でシシュマンにほほえみかけました。あらわになった耳には控えめなデザインの銀色のイアリングがつけられています。
ニルフェル(GM):
「綺麗な方ですね」と、アゼルの隣でニルフェルが小さく言葉を発しました。
アゼル:
「そうだな」と返しつつも、あまり気にかけていない。朴念仁アゼルとしては、興味を示さない。
エルド:
あの……アゼルさんはホモなんですか? 同じ性の相手しか愛せない人なんですか?
一同:
(爆笑)
GM:
……まあ、アゼルは興味がないのかもしれませんが、ニルフェルが言った通り、ハージの魅力値は高めですよ。ニルフェルより少し高いです。
アゼル:
そうなのか!?
GM:
とは言っても、ニルフェル自体の魅力値が15ですからね。
エルド:
僕の魅力値もニルフェルさんより高いですよ。
アゼル:
本当か? そうか、エルドは美形だったのか……。
GM:
えーと、ハージの魅力値についての補足ですが、彼女は突出した美形というわけではなく、その仕草とスタイルの良さが魅力値に反映されてると思ってください。
アゼル:
そういう意味で言うなら、俺も一部の人間には魅力的な肉体だぞ!
(ポージングを決めながら)ナイスポーズで~スッ!
エルド:
お巡りさん、こいつです。
イーサ:
……。
GM:
はい、それではハージを加えて総勢11人となった隊商は、まだ朝の早い時刻に城塞都市イスパルタから出発することとなりました。