LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第2話(05)

GM:
 寺院で旅の無事を祈り終えた一行は、西門を抜けて南アルダ街道へと出て行きます。なお、ハージはシシュマンの馬車に、ニルフェルはサブリの馬車にそれぞれ乗ることになりました。ギズリとジェザは荷物をロバに乗せて徒歩で進むようです。

アル(GM):
「さて、いよいよ街道を進んでいくわけだが、ここからは適材適所で陣形を組んでいくぞ。まず、この中で乗馬戦闘ができる奴はいるか?」

一同:
「……」

アル(GM):
「それじゃ、馬を使っての周辺の索敵は俺が担当する。次は隊商の先導役だ。目の利く奴がいいが……」

エルド:
「それなら、セルダルさんが適役ですね」

セルダル(GM):
「わかった。オレが受け持とう」

アル(GM):
「よろしく頼む。あとは最後尾の担当だな。しんがりは負担が大きいから旅慣れてる方がいい。イーサ、頼めるか?」

イーサ:
「了解した」

アル(GM):
「残りの右翼と左翼は、それぞれアゼルとエルドが担当してくれ」

アゼル:
「わかった」

アル(GM):
「それと……今のうちにここら辺に出てくる野生動物について、知っている範囲で確認しておこう」

 南アルダ街道周辺の野生動物について全員で知識判定を行った結果、一行は以下の野生動物に関する生態から能力値までの情報を把握していました。

【南アルダ街道に見られる主な野生動物】(戦闘レベルが低い順)
イボイノシシ、インパラ、ガゼル、ヌー、サイ、ラーテル、ジャッカル、ジャイアント・ジャービル、ジャイアント・カタグリフィス、ジャイアント・シカリウス、ヨーウィー、アスプ、チーター、ピューマ、ライオン

アル(GM):
「さすがに地元だけあってよく知っているようだな。今あがった野生動物のなかで特に警戒すべき相手が2組ある。ひとつは、昼間の雄のチーターの群れだ。こいつらに目をつけられたら犠牲は免れられない」

アゼル:
「そんなに強いのか?」

アル(GM):
「まあ、正面切って戦えば倒せなくもない。だが、通常、肉食動物は狩りをするとき獲物集団の強い個体は相手にせず、もっとも弱い個体を狙って襲ってくる。チーターの動きは尋常じゃなく速いからな。同時に数頭のチーターが襲ってきた場合、商人たちはもちろん、馬まで守りきるのは困難だ」

アゼル:
「なるほど……」

エルド:
「チーターの雄と雌はどうやって見分けるんですか?」

アル(GM):
「基本的にチーターの雌は群れない。単純に群れてたら大概は雄だって話だ。まあ、ないとは思うが、雌でも複数で襲ってきたら危険なのは同じだからな。あと、もうひとつ気をつけて欲しいのが、夜間に活動する雌ライオンの群れだ。これに襲われたら犠牲者が出るどころか、まず間違いなく全滅すると思っていい」

一同:
「ははははは……(汗)」

アル(GM):
「20人を超える隊商で行動していれば、大きな群れか、あるいはよほど空腹な群れと出くわさない限りそうそう襲われることもないが、10人規模だと微妙だな……」

GM:
 ここでGMからのアナウンスです。今回のウィルダネス・アドベンチャーにおいて、PCのレベルにあわせた強さの敵を出現させる……などといった配慮は一切ありません。南アルダ街道を行軍するとなったら、パーティーの平均戦闘レベルに関わらず、あらかじめ定められた南アルダ街道の遭遇判定表にしたがってモンスターを出現させます。
 というわけで、実際に戦闘にまで至る確率はかなり低いですが、危険な相手に対して軽い気持ちでちょっと戦いを挑んでみようなどと思わないほうが身のためですよ。

アゼル:
 ライオンの群れに比べたら、20人の野盗なんか目じゃないな……。

GM:
 はい。アゼルは前回、サブリと2人で強行軍せずに済んで良かったですね。南アルダ街道周辺の肉食動物の中には、人と荷物を乗せた馬の脚で振り切れる相手なんてほとんどいませんよ。ライオンと言わず、ジャッカルの群れ程度でも、出くわしていたらそれでおしまいだったでしょうね。

イーサー&エルド:
(笑)

アル(GM):
「それと、もしこの中に天候を予測できる者がいるようなら、出発前にみておいて欲しい。天候によっては旅程計画を見直すことも考えなくちゃならないからな」

アゼル:
 それじゃ、“天気予測”はランド・ウォーカー技能のある俺がしておこう。アゼルの天気予報~♪ってな。

GM:
 便宜上、LOSTの天候は6時間毎に変化します。《ランド・ウォーカー技能レベル+知力ボーナス+2D》の判定を行い、達成値10以上を出すことができれば、6時間先までの天候を予測できます。さらに達成値が10を2上回る毎にそこから6時間先の天候まで予測できるのですが、予測した天候が必ずしも当るわけではありません。達成値が低ければ誤った予測をしてしまうこともあるので注意してください。
 ちなみに、今日のこれまでの天気は0時から6時までが晴天で、6時から12時までが曇りとなっています。

アゼル:
 了解。じゃあ、早速の天気予測判定。(コロコロ)達成値は10。

GM:
 その値であれば、アゼルは12時から18時までのあいだは曇りが続くと予測しました。

アゼル:
 この達成値だと怪しいかな? まあ、一応アルに結果を伝えておこう。
「俺の見立てだと、夕方までは曇りのままのようだ」

アル(GM):
「そうか。すぐに天気が崩れるというわけではないんだな。なら、今日は計画通り進めそうだ」

エルド:
 これで天気が崩れでもしたら、アゼルさんの評価が落ちるんでしょうね(苦笑)。

アゼル:
 ちなみに、“天候予測”は1日に何度でも行えるんだよな?

GM:
 はい。判定ごとに30分費やす必要がありますが、何度でもやり直せます。“天候予測”は日常行動と併用して構いませんので、朝の食事や出発の準備、休憩中などの時間で行うと良いですよ。
 さて、それではフィールドマップを使って行軍を進めていきましょう(そう言ってヤナダーグ・プラト地方の地図を広げ、イスパルタのマスであるQW地点に駒を配置する)。

ヤナダーグ・プラト地方地図

GM:
 イスパルタを出発するのは7時です。誰か代表者の方、進行予定の方向へと駒を1マス動かしてください。

エルド:
 それじゃ、駒は僕が動かしますね(と言って駒をQWからQVへと移動させる)。

GM:
 地形は街道沿い、天候は曇り、なので地形と天候によるペナルティはなしですね。行軍速度は移動ランク7です。各自、自分の装備重量や怪我などのペナルティを含めて移動ランク7以上を保てる移動手段を選択し、それに伴う疲労を決定してください。

 イーサとエルドは一般的な量(体重の1割~2割程度)の荷物を所持しています。一般的な荷物を持って移動すると、移動手段に関わらず疲労が1点溜まります。また、隊商の行軍速度である移動ランク7以上を保つために、彼ら2人は通常の徒歩で移動します。通常徒歩の疲労は1点であり、荷物の重さによってかかる疲労とあわせて、合計2点の疲労が蓄積することとなります。

 一方のアゼルは2人より荷物が少なく、荷物による疲労はかからないものの、金属鎧を装備している分の疲労が1点溜まります。移動手段は2人と同じく通常徒歩で移動ランク7を保てるので、疲労の合計は2点となり、全員が同じ疲労度合いで行軍することとなりました。

アゼル:
 荷物を少なめにしておいたおかげで皆に遅れずに済んだな。良かった、良かった。

GM:
 さて、移動手段の選択と疲労の計算が終わったところで、次に遭遇判定を行ってもらいます。代表者は2Dを振ってください。

エルド:
 了解しました。(コロコロ)8です。

GM:
 その値であれば、敵と遭遇することはありませんでした。10時にQVの地点に到達します。
 さて、敵との遭遇に関しては、このように移動したときに遭遇判定を行ってもらうんですが、それ以外に時間経過によって敵が出現することもあります。時間経過による遭遇判定はGM側で行い、結果はプレイヤーには知らされません。
 では、早速……(コロコロ)。この判定で敵と遭遇した場合には、GMが最も適当だと思うタイミングで敵を出現させますね。
 さて、この調子でどんどん行軍を進めていきましょう!

エルド:
 それでは、次はQU地点へ移動します。遭遇判定は、(コロコロ)7です。

GM:
 遭遇せず。13時にQU地点に到着です。12時以降の天気はアゼルの予測どおり曇りでした。

アゼル:
 よし、俺の天気予報が当ったぜ!

GM:
 このタイミングで全員に《スカウト技能レベル+知力ボーナス+2D》の判定を行ってもらいましょう。目標値は、(コロコロ)7です。

イーサ:
 一体なんだ?

エルド:
(コロコロ)15で成功!

GM:
 では、エルドはフードを深く被ったジェザがやけに後方を気にしていることに気がつきました。数分おきにチラチラと背後に目を向けています。

エルド:
 ふむ……。うしろに何かあるんですかね?

GM:
 そうこうしているうちに、前方にイスタス市街跡地の土壁が見えてきました。

シシュマン(GM):
「そろそろイスタスだ。跡地の中に入って休憩をとるぞ」

GM:
 シシュマンの声に従い、隊商はイスタス市街跡地へと進んでいきます。




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