LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第2話(07)

GM:
 それでは、シシュマンたちが水汲みから戻ってきて、昼休憩が終わったところまで時間を進めます。エルドは水汲みに行っていたので疲労を2点回復、それ以外の人は疲労を4点回復させてください。

エルド:
 昼休憩が終わる前に、ギズリさんと話をしておきたいんですが。

GM:
 構いませんよ。であれば、昼食時、ギズリはジェザと固まって食事をとっています。

エルド:
 自分の分の食事を手に持って、2人のほうへと歩いていきます。
「どうもお疲れさまです。ちょっと良いですか?」

ギズリ(GM):
「ん? どうした?」

エルド:
「ここに着くまでのあいだ、ジェザさんがうしろをしきりに気にしていたようですが、何かあったんですか?」

ギズリ(GM):
「あ、あ〜。それか。それはなぁ……」
(少し間を空けてから)
「あれだ。街を離れるのが恋しかったんだよな? な、ジェザ」

ジェザ(GM):
 ジェザはギズリの言葉に同意するようにコクリとうなずきました。

エルド:
 少し引っかかりを感じつつも笑顔を作って、「そうですか。何か困りごととかでなければ良いんです」と言ってその場を離れます。

ジェザ(GM):
 エルドがその場を離れていくあいだ、ジェザはあなたのことを鋭い目つきでずっとにらみつけていました。

エルド:
 その視線ははっきりと感じるんですか?

GM:
 はい。判定するまでもなく、強い警戒や敵意に近い眼差しが向けられていることは判りました。

エルド:
 うーん。あからさまに怪しいですね……。

GM:
 では、食事が終わって15時にイスタス市街跡地を出発することとなります。

シシュマン(GM):
「さあ出発だ! 今日は1日目でまだ疲れも溜まってないだろうから、少し遅くまで進むぞ。予定分はきっちりと稼いでおかないとな」

アゼル:
 出発前に天候予測をしておく。(コロコロ)9……はわからないか。それじゃ、適当に(苦笑)。
「ちょっとわかりにくいが……おそらく、曇りが続くと思うぞ……(汗)」

エルド:
 では、QT地点へ移動します。遭遇判定は、(コロコロ)12です。

GM:
 敵との遭遇はありませんでした。疲労を2点追加してください。時刻は18時、天候は曇りのままです。

アゼル:
 おおッ! 適当に言った天気が当った(笑)!

エルド:
 今日の野営地点(PT)に向けてもう1回移動します。遭遇判定は、(コロコロ)11。

GM:
 移動による遭遇はなしで疲労を2点追加です。21時に野営地点へとたどり着きました。

 21時とは、また随分遅くまで行軍していたものです。実はここ、最初に立てた計画では、行軍速度を速めて20時には移動を終えているはずでしたが、つい失念してしまいました。それでも、日没後1時間以上行軍している計算となりますが……。
 夜間の行軍は、野生動物との遭遇確率が上がりますし、夜目が利かない人間にはさまざまなペナルティが課せられるので、たいへん危険です。

GM:
 時間経過による遭遇のほうは、(コロコロ)ふむふむ。

イーサ:
 プレイヤー側には遭遇したのかどうかわからないってのが怖いな。

GM:
 そのほうが緊張感があって楽しめるでしょう? もし遭遇したら、もっとも効果的な演出を考えて登場させますから期待しててください(にんまり)。

シシュマン(GM):
「それじゃ、今日はここで野営だ。これから設営作業と食事の準備を2班に分かれて行う。野郎どもは設営だ。今回は初めての者も居ることだし、設営方法について軽く説明しておこう」

 設営に関するシシュマンの説明はおおよそ次のような内容です。

  1. 立ち木や岩など馬を繋げておけそうな場所を探す、または杭を打つなどして作る
  2. そこから20メートル程度風上をたき火場とする
  3. さらに10メートルほど風上にテントを2つ、少し間隔をあけて張る
  4. テントのあいだに馬を外した荷台を置く
  5. たき火場から両側横手20メートルほど離れた場所に周囲警戒用の明かりを配置する
  6. なお、用足しは馬を止めている場所からさらに風下の地点に小さな穴を掘り、そこで行う

シシュマン(GM):
「だいたいわかったか? わかったら早速取り掛かってくれ」

GM:
 シシュマンの指示にしたがって男たちが忙しく動きまわる一方で、ニルフェルとハージが食事の準備をしてくれています。

ニルフェル(GM):
「お昼もそうでしたけど、材料がこれだけじゃ、たいしたものは作れませんね」

ハージ(GM):
「そうね……。でも、できる範囲で何とかしてみましょう?」

GM:
 ――などと言った会話が聞こえてきたりします。
 ほどなくして、設営作業は完了しました。出来上がりはこんな感じです(と言って野営地見取り図をテーブルに広げる)。

野営地見取り図

アル(GM):
「さて、もうすぐ晩飯だが、その前に見張りの順番を決めておくぞ。これから晩飯だから、就寝は22時、明日は6時起床予定……となると、見張りが必要になる時間は8時間。護衛は5人だから3時間ごとの3交代制にする。最後の見張り番だけは2時間だな。それと、誰かひとりだけには見張り番を2回担当してもらうことになる。各自、希望はあるか?」

アゼル:
「では、俺が22時から1時と4時から6時の2回見張りにつこう。エルドは疲れてるようだから明け方4時まで休んでいてくれ」

アル(GM):
「なら、俺は真夜中(1時から4時)を担当しよう」

イーサ:
「俺はどこでもいいんだが……まあ、22時から1時にしておくか」

セルダル(GM):
「そうなると、オレは残った1時から4時担当だな。アルと一緒か……」

GM:
 では、見張り番も決まったところで先に進めます。
 1日目は遅くまで行軍していたこともあり、夕食後にニルフェルの奏でる曲を聴くと、皆すぐに睡魔に襲われてしまい、早々とテントに入ってしまいました。ちなみに、2つのテントはシシュマン、サブリ、ニルフェル、ハージによる既婚者と女性で構成された組とそれ以外の独身男性組みに分かれて使うことになりました。
 さて、最初の見張り番はアゼルとイーサですが、2人のあいだで何かやりとりなどありませんか? 交流を深めるいい機会ですよ。

アゼル&イーサ:
(しばらく考え込む)

アゼル:
 よし、それじゃ俺のほうから話を振ってみよう。
「イーサは以前から旅をしてるんだよな? 俺はイスパルタを出たことがほとんどない。だからイスパルタ以外の街のことをよく知らないんだ。よかったらよその街の話でも聞かせてくれないか?」

イーサ:
「ふむ。実のところ、俺も旅をはじめてからまだ日が浅いんだがな」

アゼル:
「そうだったのか。てっきり、アルと一緒に長く旅を続けているものだと思ってたよ」

イーサ:
「アルのほうは判らないが、俺は旅をはじめてまだ3ヶ月だ。まあ、少しは旅慣れてきた気もするが、いまだにどこに行っても初めて目にするものばかりさ。なにせ、それまではマーキ・アシャスの小さな村から出たことがなかったからな」

アゼル:
「そうなのか……。俺もつい最近まで、自分がイスパルタを離れることになるだなんて思ってもいなかった。それだけじゃない。自分が将来どうなってるかなんてことすら一度も想像したことがなかったんだ。成り行きで出ることとなった旅とはいえ、この旅の中で何か自分がやりたいことを見つけられたら……と思ってるんだが……」

イーサ:
「自分がやりたいこと……ねぇ……」
(一呼吸おいてから)
「ところで、お前が成り行きで同行することになったって言う旅そのものには、どんな目的があるんだ? 人には言えないようなことか?」

アゼル:
「いや、別に隠しているわけじゃないんだが……。俺の従妹のニルフェルは、ヤウズ王子の后候補としての教育を受けるために王都に向かうんだ」

イーサ:
「ほう。ってことは、お前、結構いいところの出なんだな」

アゼル:
「いや……。一応、叔父が氏族長なんだが、今は貧しい暮らしをしてる。それに、俺の父親はどこの馬の骨ともわからない傭兵だったらしいから……」

イーサ:
「なるほど……」

GM:
 2人が話をしていると、テントのほうからワサワサと音が聞こえ、人がのそりと起き出てきました。眼を擦りながら近づいてきたのは行商人ギズリのようです。

ギズリ(GM):
「おー。2人で仲良くお話し中か?」そう言いながら、ギズリはたき火のそばまで歩み寄ってくるとしゃがみ込みます。

アゼル:
「どうしたんです、ギズリさん?」

ギズリ(GM):
「ん? 便所だよ、便所。1本もらってくぞ」
 ギズリはたき火の中から火のついた手ごろな枝を1本拾い上げると、それを持って風下のほうへヨロヨロと歩いていきました。

GM:
 幸いなことに、馬のいななきのおかげでギズリの発する音は耳にせずに済みます。

一同:
(爆笑)

アゼル:
 用を足しに行くのって危険じゃないのか?

GM:
 もちろん危険をともないますよ。だから周囲を確認するために明かりを持って行きますし、いざとなったら叫び声を上げて見張り番に助けを求めます。あと、馬が休んでいる場所の近くを用足し場としているのは、音や匂いを誤魔化すためだけでなく、危険な野生動物の存在に馬がいち早く気づいてくれるだろうといった保険的な意味合いもあります。

アゼル:
 なるほど、そんなところまでちゃんと考えられてるんだな。

GM:
 まあ、それでも離れて用を足すのは危険なので、全員が了承してくれるならたき火のすぐ近くで用を足すんですけど……男性陣はまだしも女性陣は嫌がるでしょうね。

一同:
(爆笑)

ギズリ(GM):
 しばらくするとギズリが戻ってきます。
「ふー、スッキリした!」

アゼル:
「それはよかった(苦笑)」

ギズリ(GM):
「そうだ、お前ら酒とか持ってきてないか?」

アゼル:
「酒は持ってないな」

イーサ:
「生憎だが」

ギズリ(GM):
「そっか、残念だな。オレも急いで出てきちまったから持ってきてねぇんだ……。ところで、さっきは何の話をしてたんだ? 女か? 女の話だろ?」

アゼル:
「そんな色気のある話はしてないですよ。まあ、たわいない世間話といったところで……」

ギズリ(GM):
「そうかー」
(アゼルとイーサの顔を順番に見てから)
「まー、見たとこそんな感じだよな」

アゼル:
「ははは……」と乾いた笑い声を出す。

ギズリ(GM):
「んじゃ、オレは寝るわ。引き続き、見張り番よろしくな!」そう言うと、ギズリはテントの中へと姿を消していきました。

GM:
 ちなみに、今回一例としてギズリが用足しに起きたシーンを描写しましたが、ほかの面々もそれぞればらばらに起きだして用を足しているので、そのつもりでいてください。全部やってるときりがないですからね。
 さて、ギズリが乱入したことでアゼルとイーサの話が中断されてしまいましたが、話を再開しますか?

イーサ:
 いや、今日のところはこの程度でいいだろ。

GM:
 ならば、2組目の見張り番へと場面を移します。時間が経過したのでここで遭遇判定を振りなおします(コロコロ)。さて、2組目はアルとセルダルですね。この2人の組ということは……。全員、聞き耳判定を目標値8で行ってください。

アゼル&イーサ:
(コロコロ)成功。

エルド:
(コロコロ)6ゾロで成功です。

GM:
 では、全員成功ということで、テントの外から得物を振り回す音や「やッ!」「とうッ!」などの声が聞こえてきました。睡眠をやめて起きれば、外の様子をうかがうことができますが、どうしますか?

アゼル:
 気にはなるが、少ない睡眠時間を削りたくない。そのまま寝ておこう。

イーサ&エルド:
(力を込めて)爆睡中!

GM:
 了解です(笑)。




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