GM:
さて、2日目の野営です。シシュマンとアルは2人で今後の行軍計画を再確認しているようです。ジェザとハージは早々にテントの中に入ってしまいました。ニルフェルは皆が休むまでのあいだサズを演奏して、退屈な時間にわずかな余興を提供しています。
エルド:
僕は即行休んでます。
アゼル:
とりあえず、ニルフェルの演奏が一段落するまで待っていよう。
GM:
では、ニルフェルが演奏を終えると、聞き入っていた面々が拍手を送ります。
セルダル(GM):
「いやぁ、ニルフェルちゃんの演奏を聴いてると、なんてゆーか、眠たくなってくるよなぁ……。見張り番だから眠るわけにはいかねぇけどよ」
アゼル:
完全にクラシックを理解できない奴の反応だな(笑)。
俺はニルフェルに話しかけよう。
「どうだ? イスパルタを離れて2日たったが、疲れてないか?」
ニルフェル(GM):
(大きく首を横に振りつつ)「全然」
アゼル:
「そうか。旅慣れていないから疲れているんじゃないかと思ったんだが、大丈夫そうだな。この先は荒れた道が続くようだから、もし疲れたときにはすぐに言うんだぞ」
ニルフェル(GM):
「わたしは馬車に乗ってるだけなんだから大丈夫だって。それよりも、周りの景色を眺めているのが楽しくて」
アゼル:
「そうか。それは良かった」そう言って、アゼルは珍しく緊張でしかめていた表情を緩めた。
ニルフェル(GM):
「今日も、お昼休憩のとき、イーサさんとエルドさんにミツオシエの蜂蜜のとり方を教えてもらったの」
アゼル:
「ミツオシエ?」
ニルフェル(GM):
「うん。ミツオシエに連れてこられたラーテルが蜂の巣を壊すところも見たんだ。ラーテルって可愛いんだよ。蜂に鼻を刺されたときには、こんな感じで……」そう言うと、ニルフェルは自分の鼻を両手で押さえるようにして、身体をよじってみせます。
アゼル:
「ラーテル? んー、そうか」
シーン外のエルド:
アゼルさん。あなたは生返事を返すことしかできないのですか(苦笑)? せっかくニルフェルさんが話題を振ってくれてるというのに、まったく会話を弾ませられていないじゃないですか。
GM:
まあ、そんな感じでアゼルとニルフェルはたわいない話をしているようです。
一方で、ギズリは自分の懐から手のひらに収まる程度の木片を取り出すと、ナイフでそれを彫っています。
ニルフェル(GM):
ギズリが彫り物をしていることに気がついたニルフェルが、「ギズリさん。それは何を作っているんですか?」とギズリに声を掛けました。
ギズリ(GM):
「さ~て、なんだと思う?」
アゼル:
髪飾りか?
シーン外のイーサ:
仏像?
GM:
ギズリの手の中にある作りかけの彫り物は馬の頭のように見えます。
ニルフェル(GM):
「馬……のように見えますが」
ギズリ(GM):
ギズリは彫り物を地面に立ててみせます。
「こいつは戦盤(カーティス王国におけるチェスのような遊戯)用の駒さ」
アゼル:
おお、なるほど。
「ギズリさんは戦盤をたしなむのか?」
ギズリ(GM):
「ああ。まあ、下手の横好きなんだけどな。お前、指せるのか? もし指せるなら、時間つぶしにちょっと勝負しよう。こいつでどうだ?」そう言って、ギズリは5本の指を広げてみせます。
アゼル:
「なるほど、賭けか。面白そうだ。そこまで自信はないんだが、受けて立とう。負けたほうが50銀貨払うんだな?」
ギズリ(GM):
「そういうことだ。こういうのは何か賭けて勝負したほうが面白いからな」
アゼル:
「そういえば、昔セルダルともよくやったっけなぁ」って、セルダルは戦盤指せないのか?
GM:
セルダルは……イメージからすると、指せなさそうなんですけど、《2D》で10以上だったら指せることにしましょうか。(コロコロ)あ、指せるみたいですね。
シーン外のイーサ:
アゼルにいいように嵌められて金を巻き上げられていたセルダルの図が想像できるな(笑)。
GM:
ちなみに、戦盤の勝負は知力ボーナスを基準とする能力判定であり、技能判定ではありませんがスカラー技能かコマンダー技能のレベルを修正値として加えられます。《知力ボーナス+修正値+2D》の対抗ロールを行って、その勝数が相手を3つ上回ったほうの勝利となります。
ギズリ(GM):
「じゃあ、やるとするか」そう言って、ギズリは荷物の中から手作りの駒を取り出して、地面に描いたマス目の上に並べ始めます。
GM:
では判定していきましょう。(コロコロ)7。
アゼル:
(コロコロ)キタッ! 14! 1ポイント先取!
GM:
(コロコロ)7。
アゼル:
(コロコロ)12! 2ポイント! 王手!
GM:
アゼルの怒涛の攻めで、盤面はあっという間に一手すきの状態まで持ち込まれます。このまま一方的に終わってしまうのか? (コロコロ)7。
アゼル:
(コロコロ)よし、よし! 13!
「やったぜッ!」
GM:
ギズリはあっという間に指揮官の駒をとられてしまいました。
ギズリ(GM):
「くそーっ! しかたねぇな……。ほら、賭け金の50銀貨だ。だが、負けたままじゃ納得いかねぇ。もうひと勝負だ!」
アゼル:
「いいだろう。なぜかセルダルにはあまり勝てなかったが、実は昔から得意だったんだ」
きっとセルダルはイカサマしてたに違いない!
セルダルのことを親友と称するわりには、こうやって彼をおとしめるような設定を考えるアゼルでした(苦笑)。しかし、セルダルはスカウト技能を持っていませんし、特に器用だということもないので、きっとイカサマはしていなかったことでしょう。
GM:
ちなみに、ニルフェルも戦盤を指せます。
アゼル:
お、そうなのか?
GM:
さて、ではもう一度ギズリと勝負してみましょう。(コロコロ)7。(コロコロ)8。(コロコロ)10。(コロコロ)9。
アゼル:
(コロコロ)10。(コロコロ)10。(コロコロ)10。(コロコロ)11。
ギズリ(GM):
「ま、参った!」
アゼル:
よしよし、思わぬところで金が入った(笑)。
「今日は調子がいいようだ」
ギズリ(GM):
「最初は自信ないって言ってたくせに。とんだペテン師め。あ~あ。オレも結構指せるようになってきたと思ってたんだがなぁ……」
アゼル:
意外なところで知的なことをアピールできたぞ(笑)。
シーン外のエルド:
こうやって持ち上げられてから、次にニルフェルさんが参戦してきてコテンパンにされるんですね(苦笑)?
アゼル:
それだけは勘弁。そんなことになったら兄の威厳が……。そうなるくらいならセルダルにイカサマされて負けたい。
ギズリ(GM):
「金をドブに捨てるようなことはしたくないんでこれ以上賭けはしないが、時間があったらまた暇つぶしとして付き合ってくれ。旅の最中、寝るまでのあいだはやることがあまりないからな」
アゼル:
「そうだな。俺も久々に楽しめたよ」
ギズリ(GM):
ギズリは戦盤の駒を片付けると、「それじゃ、オレも先に休ませてもらう。また明日な」そう言ってテントの中に入っていきました。
GM:
勝負を遠巻きに観戦していたサブリも、そのタイミングでテントへと入っていきます。
ニルフェル(GM):
「それじゃ、わたしもそろそろ休みます。みなさん、おやすみなさい」
アゼル:
「おやすみ」
GM:
特に何もなければそれから3時間が経過します。それくらいの時刻になると、アルがテントから出てきました。次の見張りはアルとセルダルですね。
アル(GM):
「そろそろ時間だ。代わろう」
アゼル:
「ああ。あとは頼んだ」
GM:
アルとセルダル以外が全員寝たところで聞き耳判定を目標値8で行ってください。
シーン外のアゼル&エルド:
(コロコロ)失敗。
シーン外のイーサ:
(コロコロ)1ゾロ(苦笑)。
GM:
では、あなたたちが熟睡したまま3時間が経過し、見張り番の交代の時間になるとセルダルに起こされることになります。最後の見張り番はアゼルとイーサですね。
イーサ:
睡眠による精神点の回復判定をしておく。(コロコロ)1点回復。まだ半分以下だな……。
アゼル&シーン外のエルド:
はっ!?
イーサ:
いや、だから精神点が半分以下。
エルド:
僕以上に休まなくちゃダメじゃないですか!
アゼル:
まったく気がつかなかった……。イーサの方がエルドよりも青い顔をしてたんだな……。
イーサ:
まあ、オレは軽戦士としても戦えるからな。エルドはそうもいかないじゃないか。
イーサはこのように言っていましたが、パーティ唯一の白魔法使いであるイーサの精神点が尽きてしまうと、犠牲者が出る確率が激増してしまいます。回復役は特に精神点の残量に注意しておたほうがいいでしょう。
GM:
気を取り直して、最後の見張り番を解決していきましょう。
アゼル:
俺は見張り中に剣の手入れをしておこう。
イーサ:
それじゃ、オレは白魔法書を読んでる。
GM:
では、あなたたちが見張り番をしているあいだに、フード付きローブをまとったジェザが出てきて、たき火から火のついた棒を1本取り出すと、馬のほうへと歩いていきました。
イーサ:
「この時間に一体どうしたんだ?」
GM:
いやいや、この時間に一体どうしたとかじゃなくて……。1日目にも説明しましたけど、用を足しに行ったみたいですよ。再度説明しておきますが、特別描写がなくても、夜間、皆それぞれ用足しはしてますからね。
イーサ:
あ、そうだった……。じゃあ、さっきの発言は取消す。
アゼル:
前回描写があったのはハージさんだっけ?
GM:
描写があったのはギズリですね。ハージは早朝に起きだして朝食を作った描写があっただけです。ですが、もちろんハージも用足しのために夜中に起きだしていますよ。
イーサ:
しかし、ジェザはあからさまに怪しいからな。ついていくわけには行かないか?
アゼル:
連れションを装ってついて行くとか? まあ、俺は気にせず剣の手入れを続けてるけど。
イーサ:
うーむ。なら仕方ないか。ここはスルーで。
GM:
では、しばらくするとジェザが戻ってきて、手に持っていた燃え尽きそうな棒をたき火の中に投げ込みます。そして、あなたたちと言葉を交わすこともなく、テントの中へと戻っていきました。特に行動がなければ、そのまま朝になります。
一同:
……。
GM:
翌朝、空が紫色に染まりつつある時間帯、一番先に起きだしてきたのはハージでした。ハージは2日連続で一番早起きですね。今日も身支度は完璧に整えられています。
アゼル:
「おはようございます」
ハージ(GM):
「おはようございます、アゼルさん。おはようございます、イーサさん」
イーサ:
「ん……。おはよう」
ハージ(GM):
挨拶を済ませたハージは、あなたたちに戸惑い混じりの視線を投げかけています。
アゼル:
「何か?」
ハージ(GM):
「あの……。昨日シシュマンさんにたしなめられてしまいましたので……。お水を使うのは控えたほうが良いですよね?」
アゼル:
「ああ。そうですね……」
これは、ご飯の準備をしようとしてるってことかな? それとも個人的に使いたいってことかな?
GM:
さて、どうでしょうね。
アゼル:
「もし、個人的に水を使いたいのであれば、これを使ってくれ」と、自分の水袋を差し出す。
ハージ(GM):
「そういうわけにはいきません」
アゼル:
「俺だったら大丈夫だ。問題ない」
ハージ(GM):
アゼルの申し出にハージは困惑しているようです。
GM:
ちなみに、水は最低限の量しか分配されないので、それを渡してしまうと給水できずアゼルの疲労が余計に蓄積することになりますが……。
アゼル:
む、そうなのか……。じゃあ、「すまない。かえって困らせてしまったようだな。どうも気の回らない男で悪い」と言って水袋を元に戻そう。
イーサ&シーン外のエルド:
(失笑)
ハージ(GM):
「そのお心遣いだけ、ありがたくいただいておきます。朝食の準備以外にも何かできることがないかと思いましたが、何もないようなので、散歩でもしてきますね」
アゼル:
「ああ。危険だから、あまり遠くまで行かないように」
ハージ(GM):
「ええ。声が届くくらいのところには居ますので、ご心配なく。気分転換に少し周りを歩いてくるだけですから」
アゼル:
「ああ……」って行かせちゃって良いのか?
シーン外のエルド:
そしてハージさんはミツオシエのようにラーテルを連れてくるんですね?
アゼル:
ハージさんが散歩に行くのに、イーサは何も行動しないのか?
イーサ:
なんだか、今日は……(ごにょごにょ)。
アゼル:
なにごにょごにょ言ってるんだよ(笑)。
GM:
ハージが散歩のためにその場を離れると、入れ違いにギズリが起きだしてきました。そしてそのあとは、ニルフェル、アル、シシュマン、サブリ、セルダル、ジェザの順に起床します。
アルは起きてきた直後にまたスープ系の食事が作られていないかを気にしてあたりを見回すのですが、その気配がないことで満足気にうなずいていました。
アゼル:
余計なことをしなくて、よかった(安堵)。
GM:
そして、散歩に出ていたハージは、ジェザが起きてきたころになって戻ってきました。
エルド:
それじゃ、僕も起きます。精神点の回復判定をして(コロコロ)1点回復。
アゼル:
俺は今のうちに天候予測。(コロコロ)12。
GM:
それだと、6時から18時までは晴天が続くと予測できます。
アゼル:
「今日も一日いい天気のようだ」
イーサ:
今回は自信満々だな。
エルド:
僕は寝起き一番でそんな意気揚々としたアゼルさんの顔を見てしまったので、夜中に何か良いことでもあったのかなと思っています。
こうして、2日目の見張り番も表向き何事もなく終了しました。しかし、南アルダ街道は道が荒れ始めてきたここからが本番。上空に広がる青空とは裏腹に、隊商の周囲には暗雲が漂い始めていました。