LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第2話(13)

 各キャラクターの初期ウェイト値を決定したところで戦闘が開始されました。

 そこまで長い戦闘ではなかったので、省略せずにすべての行動、および処理を掲載します。

GM:
 まずはチーターの行動。チーターは捕食対象となる群れの中でもっとも弱い個体を狙う傾向がありますので、“迎撃移動”しながらターゲットを選定します。2ウェイト。
 続いて……再びチーターの行動です。

一同:
 速えーッ!

GM:
 チーターはあなたたちから一定の距離を保ち、時計回りで回り込むように8マス“迎撃移動”します。2ウェイト。

アゼル:
 8マス? “迎撃移動”でそんなに動けるのかよ……。

エルド:
 次は僕の番ですね。僕は“エネルギー・ボルト”を撃つ予定で、2ウェイト“瞑想”します。

イーサ:
 オレは“迎撃移動”で5マス移動。2ウェイト。

セルダル(GM):
 セルダルは、「やっこさん、じりじりと間合いをつめてきてるな。どーする?」と言いつつ、“待機”2ウェイト。

GM:
 チーターはあなたたちとの距離を保ちつつ、“迎撃移動”でさらに3マス移動します。2ウェイト。

アゼル:
「迎え撃とう」
 “待機”3ウェイト。

アル(GM):
「そうだな」
 “待機”2ウェイト。

イーサ:
(チーターのデータを確認して)
 あれ? おい、チーターは“迎撃移動”で15マス移動できるぞ! 8マスどころじゃなかった……。

アゼル:
 ってことは、下手にバラけると危険だな。

イーサ:
 いや、そういう問題じゃない。それ以前に、このままだと回り込まれて、うしろにいる商人たちが襲われることになるぞ。

エルド:
 そうなる前に倒してしまえば良いんです! 僕の番、チーターに“エネルギー・ボルト”を撃ちます。2ウェイト。

GM:
 チーターの魔法抵抗値は、(コロコロ)12です。

エルド:
(コロコロ)こちらの魔法行使値は15。ダメージは、(コロコロ)物理ダメージで10点。

GM:
 チーターはその一撃を受けて、「キャンッ!」と苦悶の鳴き声をあげました。しかし、その程度ではまだ怯みません。

イーサ:
 さて、次のオレの番、どうしたもんか……。このまま右手から回り込まれると、チーターは次の行動でハージさんのところまで到達する。逆周りでも、ニルフェルに接敵されるのか。なんてこった……。
(しばらく悩んでから)
 なあ、どっちを守ったほうがいいと思う?

アゼル:
 それは自分で考えてくれ。だが、あまり悩むな。ちなみに、俺は自分の手番が来たら、このままチーターに向かって前進するつもりだ。

イーサ:
(行動順番を計算して)
 それじゃ、間に合わないぞ……。

エルド:
 あの、今のうちに断っておきますが、僕はチーターがほかの人に襲い掛かってきても、身代わりになるつもりはないですからね。

GM:
 まあ、鎧を装備していないエルドでは、一撃でやられてしまう可能性が高いですからね。もちろん、ほかの商人たちもチーターの攻撃を受けたら、一撃死する公算が高いです。

イーサ:
 うーん。
(長時間悩み続ける)

アゼル:
 あー、もう。悩むなよ。だったら俺がこう言おう。
「イーサ、セルダル、うしろを頼む!」

イーサ:
 ……いや、いま俺が後方を守りに行っても、セルダルがチーターの動く前に行動できなければ、ハージさんかニルフェルのどちらかを見捨てることになる。ならば、一か八か……。
「馬車の周辺を暗闇の魔法で包みこむ! 闇の中に入った者はそのまま動くなッ!」と警告してから、うしろに向けて生撃ちで“ダークネス”を唱える。3ウェイト。(コロコロ)魔法行使値7で発動。

セルダル(GM):
「お? お? お?」
 アゼルにうしろを頼むと言われたセルダルでしたが、うしろは闇になってしまいましたね(笑)。とりあえず、そのまま2ウェイト“待機”しておきます。

GM:
 続いてチーターですが、“ダークネス”のせいでターゲットを見失ってしまいました……。しかたないので防御力が低そうなイーサに向かっていきましょう。“迎撃移動”でイーサに接敵します。2ウェイト。

アル(GM):
 アルは“迎撃移動”でチーターの側面に接敵します。2ウェイト。
「さすがに速いな! だが、接敵してしまえばこっちのもんだ!」

エルド:
 僕はもう一度、2ウェイト“瞑想”しておきます。“エネルギー・ボルト”をもう一発お見舞いしてやりましょう。

アゼル:
 うーん、俺の番か。俺の移動力だといいポジションに移動できない。闇の中に入るわけにもいかないしな……。

イーサ:
 仲間の隣に移動して、“範囲ディフレクト”で守るって手もあるぞ。

アゼル:
 そうだな……。ここはそうするか。“迎撃移動”でイーサの隣に移動。2ウェイト。

セルダル(GM):
 セルダルは“通常移動”でチーターのうしろに回りこみます。3ウェイト。
「よし、逃がさねぇぞ!」

GM:
 チーターが正面のイーサに対して牙で攻撃します。5ウェイト。

アゼル:
 それは“範囲ディフレクト”で防ぐ。やっと“範囲ディフレクト”が使えるぞ!

イーサ:
 オレの方も方向転換してチーターに正面を向け、“全力回避”を宣言しておく。3ウェイト。

GM:
 チーターの命中値は、(コロコロ)11です。

アゼル:
 “範囲ディフレクト”は……(コロコロ)9。あら、失敗(苦笑)。

イーサ:
 まあ、オレ自身が回避すれば問題ない。(コロコロ……出目は1ゾロ)おいおい、嘘だろ!?

GM:
 ライト・ウォリアー技能の技能経験点を10点どうぞ。イーサへのダメージは、(コロコロ)物理で12点です。

イーサ:
 やばい、やばい。もう瀕死状態だ……。士気判定は、(コロコロ)成功。

アル(GM):
 アルがチーターの側面から剣で攻撃します。4ウェイト。(コロコロ)命中値15。

GM:
 それに対して、チーターの側面回避は、(コロコロ)回避値17!

一同:
 おおーッ!

アゼル:
 チーター、凄ぇ! 速い! 速い!

エルド:
 それでは、2発目の“エネルギー・ボルト”を撃ちます。

GM:
(コロコロ)チーターの魔法抵抗値は12です。

エルド:
(コロコロ)あ……9です。

GM:
 抵抗された“エネルギー・ボルト”はクリティカルせず、敵に与えるダメージはダメージ減少値を引いた値からさらに半減されます。

エルド:
(コロコロ)あー、抵抗されていなければ、クリティカルしてたのに。15点の物理ダメージです。2ウェイト。

アゼル:
 いや、それでもこのダメージは美味しいぞ。

GM:
 その攻撃でチーターの生命点が半分未満になったので、士気判定を行います。(コロコロ)まだ、怯んではいないようです。

アゼル:
 うーん、俺の番だが、皆がチーターの周りを囲んでるから、攻撃できないんだよな……。どうしようかな……。移動したほうがいいかな?

エルド:
 その場所で“範囲ディフレクト”を続けた方が良くないですか?

アゼル:
 そうは言っても、皆の回避力は俺のディフレクト力より高いんだよなぁ……。まあ、ほかに手もないし、仕方ないか。“待機”2ウェイト。

セルダル(GM):
 続いて、セルダルがチーターを背後から攻撃。4ウェイト。

GM:
 チーターはセルダルのほうを振り向こうとしますが――

アル(GM):
 ――アルが“範囲支配”でそれを阻止しようと試みます。1ウェイト(コロコロ)命中値は14。

GM:
(コロコロ)チーターの回避値は12なので、セルダルのほうは向けません。“範囲支配”してきた対象の方向を向くことはできるので、アルのほうに正面を向けておきます。1ウェイト。これでセルダルの攻撃も側面から受けることになります。

セルダル(GM):
 セルダルの攻撃は、(コロコロ)命中値13。

GM:
 チーターの回避値は、(コロコロ)12。攻撃命中!

セルダル(GM):
 ダメージは、(コロコロ)物理で9点です。

GM:
 士気判定は、(コロコロ)失敗。セルダルの一撃を受けると、チーターは明らかに怯えた様子で後ずさりしました。

エルド:
 さて、ここからどうしましょうか?

イーサ:
 もう静観してていいんじゃないか?

エルド:
 そうですね。でも、どうせなら、10ウェイト費やしてチーターの隙を見つけておきます。(コロコロ)15です。

GM:
 その値であれば、チーターの隙を見つけることに成功しました。

“隙を見つける”
 《対象の戦闘レベル+7》を目標値として、《知力ボーナス+修正値+2D》の能力判定に成功すると、次回の手番が回ってくるまでに1回だけ、誰かの対象への攻撃の命中値かダメージに+1のボーナスを与えられます。なお、「コマンダー技能レベル÷2(端数切捨て)」と「(費やしたウェイト数-4)÷2(端数切捨て、最大3まで)」を加算した値が修正値となります。

イーサ:
 俺も残り生命点2だからな……。この戦いでの役目はもう十分に果たしただろうし、ここは“小移動”で闇の中に一歩引いておく。2ウェイト。

アゼル:
 それじゃ、イーサが元いた場所に“小移動”して、チーターの側面から攻撃! 5ウェイト。

GM:
 チーターの回避値は、(コロコロ)13。

アゼル:
(コロコロ)10は命中せず。

GM:
 次はチーターの番ですが、士気判定に失敗しているので“通常移動”で逃走を試みます。

アゼル:
 それは“離脱阻止”しておこう。

GM:
 アゼルが“離脱阻止”を試みるのであれば、セルダルとアルもそれに加わりましょう。

 同対象に複数人数で“離脱阻止”、および“範囲支配”を行う場合は、一番高い値を出した者の判定値だけが有効となります。

GM:
(コロコロ)セルダルの命中値が14、アルが15です。

アゼル:
(コロコロ)11。

GM:
 では、目標値15に対してチーターの回避値は、(コロコロ)12。逃げられませんでした。

イーサ:
 “待機”2ウェイト。

アル(GM):
 続いてアルの攻撃です。4ウェイト。

エルド:
 “隙を見つける”の効果で、その攻撃の命中値に+1を加えます。

アル(GM):
 了解です。では、修正を加えて、(コロコロ)命中値は15です。

GM:
 チーターの回避値は(コロコロ)16! 回避成功!

セルダル(GM):
 アルに続いてセルダルがチーターの側面から攻撃。4ウェイト。

GM:
 チーターは方向転換を試みるものの――

アル(GM):
 ――またもやアルが“範囲支配”でそれを阻止。1ウェイト。(コロコロ)14。

GM:
 チーターの回避値は、(コロコロ)13で方向転換失敗。1ウェイト。

セルダル(GM):
 側面からの攻撃で、(コロコロ)命中値12。

GM:
 チーターの回避値は、(コロコロ)13なので回避成功。

エルド:
 さすが、陸上最速の動物だけあって、粘りますね。っていうか、ケチらずもう一発“エネルギー・ボルト”を撃っておくべきでした。

GM:
 そうですね。エルドは特に意識せず使っていたようですが、チーターのような回避力が高く防御力が低い敵に対して、“エネルギー・ボルト”はとても有効な攻撃なんですよ。

イーサ:
 “待機”2ウェイト。

アゼル:
 チーターの側面から攻撃。4ウェイト。

GM:
 チーターの回避値は(コロコロ)14です。

アゼル:
(コロコロ)命中値12。当らねぇー。

GM:
 チーターは引き続き“通常移動”で離脱を試みます。もしかすると、チーターはこのまま逃げ切れちゃいますかね?

アゼル:
 逃がさん! “離脱阻止”で(コロコロ)14。

GM:
 セルダルとアルも“離脱阻止”して……(コロコロ)アルは12。セルダルは1ゾロ(笑)。対するチーターの回避値は、(コロコロ)18! 離脱成功です! “通常移動”で24マス移動。戦闘圏から一気に離れて行きました。

アゼル:
 うわぁー。速すぎる!

エルド:
 あそこまで離れられたら、魔法も届きませんね……。

GM:
 追撃がないようであれば、ここで戦闘を終了させます。

イーサ:
 まあ、護衛としての役目は果たしたから、結果オーライだろ。

アゼル:
 そうだな……。それにしても、野生動物は怖いな。侮れない。

イーサ:
 まったくだ。俺なんか、危うく死にかけたしな。

GM:
 チーターの姿が見当たらなくなるのとほぼ同時に、イーサの唱えた“ダークネス”の効果も消失しました。

ハージ(GM):
 闇が晴れると、血を流すイーサに気づいたハージが走り寄ってきます。
「大丈夫ですか!? いま、傷を癒しますから」そう言って、“キュア・ウーンズ”の詠唱を始めます。(コロコロ)生命点を4点回復させてください。

アゼル:
 おっ、ハージさんは白魔法を使えたのか。

ハージ(GM):
 “キュア・ウーンズ”をもう1回。(コロコロ)今度は8点回復です。これで全快ですかね?

イーサ:
 あと1点足りないけど、十分だ。
「すまない。助かった」

ハージ(GM):
「いえ、こちらこそ。イーサさんが闇の魔法で守ってくれたので助かりました」

アゼル:
 チーターが1頭でよかったな。何頭も居たら全滅しかねん。

エルド:
 もし、チーターの群れに襲われたりしたら、僕は“ダークネス”を使って逃げさせてもらいます(笑)。

アゼル:
「逃げたチーターは、仲間を引き連れてまた襲ってくるだろうか?」

アル(GM):
「かなり怯えた様子だったから、大丈夫だとは思うんだが……。一応、馬車の修理が終わり次第、ここからは離れておいたほうがいいな」

アゼル:
「しかし、野生動物があんなにも脅威だとは思わなかった。とんでもない速さだった。それに、あの牙の威力。群れで襲ってきたらと考えると、恐ろしいな……」

 こうして、幸いにも大きな被害を出すことなく終わったチーター戦でしたが、短時間の戦闘ながら、一転二転する面白い戦闘でした。特にイーサの“ダークネス”による非戦闘員の安全確保は、チーターの習性を良く理解したうえでの的確な判断だったと言えるでしょう。

 結果的にはチーターの行動の前にセルダルが動けていたので、アゼルの提案した後方に移動して非戦闘員を守るという選択でも問題ありませんでしたが、最悪のケースまでを想定してベターな選択を選んだところも含めてイーサらしさが現れていたと思います。




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