LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第2話(18)

 巨大砂蟻との戦闘が激化する中、セルダルに続いて、エルドとアルもテントから出てきました。エルドは巨大砂蟻にギリギリ魔法が届く場所へと移動します。そして、戦力としてもっとも期待されていたアルがどう動いたかというと……。

アル(GM):
 アルは“迎撃移動”でたき火の横まで移動します。

アゼル:
 うおいッ、なにやってんだよッ! 早く救援に来てくれよッ!

GM:
 残念! 救援が駆けつける前に、巨大砂蟻Aがアゼルの側面から攻撃してきます。命中値は、(コロコロ)8です。

アゼル:
 回避値は……。(コロコロ)あーッ! やっちまった。1足りない。7で回避失敗だ。

GM:
 ならばダメージは物理で9点です。

アゼル:
 2点食らって、残り生命点は2点。くぅー、今回でアゼル死す……か?

GM:
 次は巨大砂蟻Cがイーサを側面から攻撃します。命中値は、(コロコロ)14!

イーサ:
 それは“全力回避”する! (コロコロ)うわッ! マジかよ……12で失敗。

GM:
 ダメージは物理で11点です。

イーサ:
 うおぉぉッ! 危ないッ! 残り生命点は1点。肝心の士気判定は、(コロコロ)おおッ! 6ゾロで成功! だが、もうボロボロだ。いまさらだが、一番最初の行動で叫び声を挙げておけば良かったな……。

GM:
 それもありますが、それとあわせて明るいほうへ一歩下がって暗所戦闘のペナルティをなくしていれば、避けられていた攻撃もいくつかありましたよ。

アゼル&イーサ:
 あー。なるほどね。

 こうして、アゼルとイーサが暗所戦闘ができる敵と暗がりで戦うことの危険性を理解したところで、アルが次の行動を取りました。

アル(GM):
 アルは足元のたき火から火のついた棒を拾いあげました。この棒は松明と同等のものとして扱いますので、アルの周囲3マスが照らし出されます。

アゼル:
 おお、その手があったか。って言うか、もともと暗がりのほうを調べるつもりでいたのに、なんで俺たちは明かりを持ってなかったんだろうな(笑)。

GM:
 一応、これまでにも用足しに行く人たちが明かりとして火のついた棒を持っていく描写はあったんですけどね(苦笑)。

 アゼルとイーサのプレイヤーが実際にこのようなシチュエーションに置かれたのであれば、まず間違いなく明かりを手にしていたはずです。しかし、今回はPCたちの置かれた状況をきちんとイメージできていなかったため、このような凡ミスが生まれてしまったのでしょう。

GM:
 さて、次は巨大砂蟻Bの行動です。ここは戦意喪失しているアゼルよりも白魔法を使えるイーサを先に倒しておきたいところなのですが……蟻にはその判断ができないため、正面のアゼルを攻撃してしまうんですよね……。命中値は、(コロコロ)13です。

アゼル:
(コロコロ)回避値7で攻撃を食らった……。

GM:
 ダメージは物理で9点です。

アゼル:
 うッ……。2点通しで生命点はぴったり0点。ついに生死判定だな……(と言ってダイスを手に持つ)。

エルド:
 まってください、アゼルさん。ここは“可能性”を使ってダメージを軽減しておきましょうよ!

アゼル:
 いや、“可能性”は温存して倒れておく。踏み止まっても戦意喪失してる状態だからな。あとはほかのメンバーに任せるよ……。

イーサ:
 完膚なきまでにやられたから、心まで折れてるな(苦笑)。

GM:
 あのー、“可能性”を使うチャンスが残っているあいだに一応忠告しておきますが、生命点が0以下になってその場に倒れたからといって、それで巨大砂蟻の攻撃対象外となるわけではありませんからね。先ほどイーサのことを優先して攻撃しなかったことでもわかるとおり、巨大砂蟻は戦局を考慮して行動しているわけではありません。蟻の行動としては、横槍が入らない限り目の前の獲物をそのまま捕食するのが妥当でしょうか……。ですので、倒れるのは結構ですが、事前に万が一の覚悟はしておいてくださいね。

アゼル:
 うわぁぁぁ……。

エルド:
 いま、アゼルさんが巨大砂蟻に捕食されるシーンを思いっきり想像してしまいました……。絵的に凄まじいものがありますね。

アゼル:
 いくらなんでも蟻に食われて終わるのは嫌だッ! やっぱり、“可能性”を使ってダメージを軽減しておく。(コロコロ)8点軽減してダメージなし。

 今回は相手が巨大砂蟻なのでこのような処理にしましたが、知能が高い敵の場合はさらにたいへんです。なぜなら、倒れた者を人質として利用してくる可能性があるからです。

 一般的に戦闘不能になったPCに攻撃を加えたり、あまつさえ人質にするといったマスタリングは批難の対象となるようですが、わたしはそういう選択もあって当然だと考えています。そして、そういった選択肢も考慮したうえで、戦闘バランスを調整しています。

 そんなGMの無慈悲な殺意を察したのか、いち早くイーサが行動を起こしました。

イーサ:
 じゃあ、俺の手番だな。“通常移動”する。

アゼル:
 え? なんで“通常移動”?

GM:
 そのイーサの移動に対して、巨大砂蟻Cが“離脱阻止”を試みますね。(コロコロ)あらら、1ゾロで離脱阻止失敗。

イーサ:
 それじゃ……。
(自分のユニットを巨大砂蟻から27メートル分離す)

アゼル:
 おい! おいおい! イーサの奴、戦意喪失してないくせに逃げやがったッ!

イーサ:
 倒れたらそこでおしまいだからな。戦略的後退ってやつだ。生きていることに意味がある(力説)!

アゼル:
 この裏切り者ーッ!

エルド:
(笑)

GM:
 せめて、アゼルに“キュア・ウーンズ”が届く位置で止まってあげればよかったのに(苦笑)。

イーサ:
 あれ? “キュア・ウーンズ”が届く距離だと思ったんだけどなー。ソード・ワールドRPGのルールと勘違いしたかなー(棒)。

GM:
 ソード・ワールドRPGの“キュア・ウーンズ”の射程距離もLOSTと同じく10メートルだったはずですが、明らかにそれ以上離れてますよね(笑)。

一同:
(爆笑)

 シビアな状況になるにしたがって、上辺だけの仲間意識もまた壊れやすくなるものですね(苦笑)。まあ逆に、このセッション環境で窮地に追い詰められても仲間意識を持ち続けられるようになったのであれば、その結束は本物だということです。願わくば、いずれそうならんことを。

アゼル:
 畜生ッ! こうなったら、なんとしても逃げきってやるッ! “通常移動”で離脱ッ!

GM:
 巨大砂蟻Aがそれを阻止しようとします。ここで逃げられないと、先ほどまでイーサと戦っていた巨大砂蟻Cもアゼルに襲い掛かってきますからね。“離脱阻止”の命中値は、(コロコロ)6。

アゼル:
 その値ならば……。(コロコロ)よしッ! 12で脱出成功! テントに向かってダーッシュ!
 しかし、こうなると、俺と入れ替わりで前線に残されることになったセルダルがお亡くなりになる可能性がでてきたぞ(笑)。

イーサ:
 お前、他人のことになると態度が一変するのな(呆)。まあしかし、アルが戦列に加わればなんとかなるんじゃないか?

アゼル:
 いや、きっと革鎧しか装備していないアルさんよりは、金属鎧を装備している俺のほうが強いはずだ。その俺が持ちこたえられないんだから、アルさんだって無理だろ。

 このアゼルの発言には、思わず噴き出してしまいそうになりました(苦笑)。確かに、アルのヘヴィ・ウォリアー技能はレベル3に過ぎず、それだけで考えれば、金属鎧を装備しているアゼルに遅れをとることもあるでしょう。しかし、アルの本業は遺跡探索なわけで……。

アル(GM):
「ふむ。さすがにこいつら3匹相手というのは、一筋縄ではいきそうにないな……」そう呟くと、アルはアイテムを使用します。聞きなれない言葉に続けて「鎧よッ!」と叫びました。(コロコロ)発動。

アゼル:
 え? なにか奥の手でもあるのか?

GM:
 さて、巨大砂蟻Aがアルに攻撃してきます。命中値は……。(コロコロ)12。

アル(GM):
 アルの回避値は……。(コロコロ)10で回避できず。

GM:
(コロコロ)物理ダメージ10点の牙攻撃がアルを襲いましたが、この程度のダメージではアルのことを傷つけられません。まるでアルが目に見えない頑強な鎧を身にまとっているかのように、その攻撃は弾かれました。

一同:
 えーッ!?

 ――というわけで、遺跡探索者であるアルはかなり価値の高い遺産をいくつか所有しているのでした。無制限に使える代物ではないので、できれば温存しておきたかったのですが、アゼルが戦線離脱してしまったからにはほかに盾役を務められる者がいないので仕方ありません。

 こうして、アルが盾役として敵の攻撃を受け持ってくれたことで、エルドは安全な場所から後方支援、そしてイーサとセルダルは自分の攻撃力を存分に発揮できる状況となりました。ちなみに、戦線離脱してしまったアゼルのプレイヤーには、その後セルダルの操作をお願いしています。

セルダル(アゼル):
 巨大砂蟻Bに“渾身の一撃”! 命中値は、(コロコロ)13でヒット! 物理ダメージは、(コロコロ)15点! やっぱり“渾身の一撃”は強力だな!

GM:
 それは耐えられないですね……。その一撃を食らった巨大砂蟻Bの足が力なく折れると、支えをなくした大きな胴体は地面に崩れ落ちました。(コロコロ)絶命です。

 力のセルダルがその破壊力で魅すれば――

イーサ:
 巨大砂蟻Cの背後からダガーで攻撃。(コロコロ)11で命中! ダメージ値は、(コロコロ)10でクリティカル! (コロコロ)おおッ! さらに11でクリティカル! (コロコロ)合計16点ダメージ!

GM:
 お見事ッ! 背後からその一撃を食らった巨大砂蟻Cは、数度痙攣するとその場に崩れました。(コロコロ)昏倒です。

 技のイーサも負けじとその妙技を披露し――

エルド:
 4ウェイトかけて巨大砂蟻Aの隙を見つけます。達成値は、(コロコロ)9でギリギリ成功です。

アル(GM):
 つづけて、アルが巨大砂蟻Aに攻撃。

エルド:
 ここで“隙を見つける”の効果を発動します。その攻撃のダメージに1点加えてください。

アル(GM):
 命中値は、(コロコロ)13で命中。ダメージは、(コロコロ)クリティカル発生! (コロコロ)さらにエルドの助言でダメージに1点を追加して、合計14点!

GM:
 その攻撃で巨大砂蟻Aの生命点はぴったりゼロです。(コロコロ)巨大砂蟻Aは昏倒しました。

 最後はエルドとアルの連携によって、この戦闘を締めくくったのでした。

 盾役が守り、後衛が支援し、矛役が全力で敵を叩く! 実に素晴らしい戦いざまでした。これぞ、まさにパーティーバトルの醍醐味です。……ただし、アゼルを除く(苦笑)。




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