GM:
さて、時間は進み、翌日の早朝になります。宿屋の前では、「フッ!」「ハッ!」「セイッ」「ヤッ!」「トウッ!」といった声が発せられています。
ここで、なにか自発的にやっておきたいことがある人はいますか?
アゼル:
じゃあ、水を貰うために1階まで下りて行くとしよう。
エルド:
二日酔いですか?
アゼル:
いや、アゼルは酒に酔いやすいが、翌日に残らないタイプだ。ついでに、管は巻くが、翌日になるとその記憶がなくなっている。
イーサ&エルド:
……。
イーサ:
今後、アゼルと飲むのはやめておこう……。
それはそうと、寺院は何時くらいからあいてるんだ?
GM:
寺院なら、朝7時から夜18時まで開放されていますよ。
アゼル:
イーサは敬けんな信者ではないんだろ? それなのに朝から寺院に行くつもりなのか?
イーサ:
信仰心とかじゃなくて、もう習慣なんだよ。育ての親である婆さんから厳しく教え込まれたからな。
それじゃ、7時になったら宿屋を出て寺院に向かう。それまでは1階でアゼルと一緒に水でも飲んでるとするか。
GM:
では、7時少し前になると、2階からニルフェルとハージが連れ添って下りてきます。2人とも外に出るための格好をしていて、特にハージは顔を隠すためにフードを深めに被っています。
ニルフェル(GM):
「おはよう、兄さん。おはようございます、イーサさん」
イーサ:
「おはよう。昨日の夜の食事はとても美味しかったよ。2人とも、ありがとう」
ニルフェル(GM):
「どういたしまして。少しでも喜んでもらえたのであれば、嬉しいです。今日も出発前に特別な料理をお出ししますから、楽しみにしていてくださいね!」
ハージ(GM):
その発言を聞いたハージは、ニルフェルの肩をトントンと叩くと、「あまりハードルを上げないで……」と苦笑いしました。
イーサ:
「そいつは……楽しみだな(笑)」
アゼル:
「これから買い出しに行くのか?」
ニルフェル(GM):
「うん、香辛料だけなんだけどね」
アゼル:
「だったら、俺もついていこう。この街はなにかと物騒なようだからな」
イーサ:
「俺もちょうど外に出かけるところだったから、途中まで一緒に行くとするか」
ニルフェル(GM):
「ボディーガードが2人もつくだなんて、なんだか仰々しい感じですね」そう言ってハージと顔を見合わせると、ニルフェルは顔をほころばせました。
アゼル:
「はははははは」と、乾いた笑いを浮かべる。
それじゃ、剣は2階に置いたまま出かけよう。いざとなったら素手でガチムチバトルだ。
GM:
そのような流れで、あなたたちは4人で繁華街へと出かけることにしました。ちなみに、宿屋の外に出たところで、剣の訓練に励むセルダルとアルの姿を見かけることになります。
さて、その後特にアクシデントに見舞われることもなく、あなたたちは街の中心部へとたどり着くわけですが、その先イーサはどうします? 予定どおり寺院へ向かいますか? それとも、このまま買い物に付き合いますか?
イーサ:
そうだな……。一応、買い物が終わるまでは付き合うか。それが終わってから寺院に向かう。
GM:
では、買い物自体は香辛料をひとつを購入するだけでしたので、すぐに終わりました。
イーサ:
「それじゃ、俺はここらへんで。またあとでな」
アゼル:
「おう! この街には突然殴りかかってくる奴がいるらしいから、気を付けろよ!」とでも言っておこう(笑)。
イーサ:
「そんな奴がいたら返り討ちにしてやるよ」そう返して、通りに消えていく。
GM:
では、寺院近くでイーサと別れた3人は、街中を宿屋へと向けて歩いています。ここでひとつ確認しておきますが、アゼルは女性陣の前を先導していますか? それともうしろについている感じですか?
アゼル:
うーん。おそらく周りを警戒しつつ、一番前を歩いているかな。
GM:
了解です。では、先を進むアゼルに対して、後方からハージが声をかけてきました。
ハージ(GM):
「アゼルさんは、カラーラの街に来たのは初めてですか?」
アゼル:
「ああ、そうだが、それがなにか?」
ハージ(GM):
「いえ、先ほどからアゼルさんは何度か遠回りになる道を進んでいたので、もしかすると道をよくご存知ないのかなと……」
アゼル:
「そうだったのか……。ハージさんはこの街のことに詳しいんだな。俺はイスパルタ以外の街のこととなると、ほとんどなにも知らないからな……。もし、なにか気づいたことがあったら教えてもらえるとありがたい」
ハージ(GM):
「だったら、早速ですが、その先の道を左に折れると宿屋への近道になりますよ」
アゼル:
「そうか」
じゃあ、左の道に入って行こう。
GM:
そうすると、左の道は大人が2人横並びになって歩けるかどうかといった程度の細い抜け道になっています。あなたたちがその狭い道を歩いていると、ちょうど通りの中ほどまで行ったところで――
ニルフェル(GM):
「きゃッ!」と、アゼルの背後からニルフェルの短い悲鳴が聞こえました。
アゼル:
「どうしたッ!?」
即座に振り返った。
GM:
アゼルが振り返ると、フードをかぶった人物がニルフェルの腕を後ろ手に捩じりあげている姿がその視界に飛び込んできます。
ニルフェル(GM):
捩じりあげられた腕が痛むのか、ニルフェルは苦悶の表情を浮かべています。
ハージ(GM):
ニルフェルの少し前にいたハージは、怯えるようにフードをかぶった人物から一歩退きました。
アゼル:
「貴様、何者だッ! 今すぐニルフェルを放せッ!」
フードをかぶった人物(GM):
アゼルのその言葉に、フードの人物は口元をにやけさせます。
「何者? おいおい、もう、オレのこと忘れちまったのか?」そう言って、その人物が被っていたフードをとってみせると、そこに鼻の曲がった男の顔が現れました。
アゼル:
お前か~ッ!
「貴様は……たしか、カク? いや、鼻長のカタだったか?」
アゼルは名前をうろ覚えしている。
カダ(GM):
「くだらねぇこと言ってると、この小娘の脇腹にこいつをブッ刺すぞ」そう言って、カダは手に持った短剣をちらつかせます。
アゼル:
「やめろーッ(焦)!」
GM:
さて、ここで聞き耳判定……をするまでもありませんか。アゼルは、背後からいくつかの足音が聞こえてきたことに気づきました。どうやら、カダの仲間たちが駆け付けてきたようです。
アゼル:
しまったな。いまは丸腰だ……。こいつはまずいぞ……。
「……とにかく、ニルフェルを放せ……」
カダ(GM):
「そう言われて素直に従うバカがどこにいる?」
アゼル:
「……人質が欲しいなら俺がかわろう」
カダ(GM):
「はぁ? テメェなんざ要らねぇんだよ。バーカ」
アゼル:
「頼む! 俺はどうなってもいい。だからニルフェルは助けてやってくれ!」
カダ(GM):
「どうなってもいい……ねぇ。ケッケッケ。んじゃ、まずはこのあいだのお礼をしておかねぇとな……」
カダはニタニタとした笑みを浮かべると、アゼルのうしろにいる4人の男たちに向かって、「おい、オマエら。死なない程度に可愛がってやれ」と言い放ちます。
アゼル:
くそー。やばい。やばいぞ。
GM:
そうすると、アゼルを囲んだ男のうちのひとりが、アゼルに対して声をかけてきました。
「おう、また会ったな。イスタスでは色々とありがとよ」
アゼル:
「えーと、お前は誰だったかな?」
GM:
その問いの答えがわりに膝蹴りが飛んできます。抵抗しますか?
アゼル:
よし、抵抗しよう!
カダ(GM):
「抵抗してんじゃねぇよッ! この小娘をぶっ殺されてぇのかッ!?」
アゼル:
うっ……。だめだ。やられるしかない。抵抗はやめておく……。
GM:
では、アゼルは男たちの手によって、地面に引きずり倒されてしまいます。
カダ(GM):
「おい、手の空いた奴。そっちの女も逃げられないように捕まえとけ」そう言って、カダは壁際で震えているハージのほうへと顎を向けました。
GM:
カダの命令にしたがって、男のひとりが手をワキワキさせながらハージとの距離を詰めて行きます。
アゼル:
「ハージさん、逃げろッ!」
GM:
さて、その言葉にハージは動くことができるでしょうか……。
ハージ(GM):
(コロコロ)ふむふむ。ハージはただガタガタと震えるだけで、その場から一歩も動けないでいます。
GM:
そんなハージを男はたやすく拘束してしまいました。
「へっへっへ。姉ちゃんも一緒に楽しもうや。よーく目を開けてみてろよ。これからイイもんが見れるぜ」男はそう言うと、無理やりハージの顔を地面に倒れるアゼルのほうへと向けさせます。そうして、アゼルを囲む男達が……キック! キック! キック! というわけで、アゼルは残り生命点を1点にしておいてください。
アゼル:
うおー、1点かよ。ボコボコにされたぜ。
カダ(GM):
「さぁてと……。運が良かったなぁ。テメェにはこれから伝言役を務めてもらわねぇと困るから、殺しはしねぇよ」
アゼル:
「なにぃ!?」
悔しいがなにもできん……。
カダ(GM):
「よーく耳の穴かっぽじって、その頭の中に叩き込むんだぞ。『娘たちを返して欲しけりゃ、今夜19時にアルひとりでサブリが運んでいるを荷物を東の丘までもって来い』。いいか? アルひとりでだぞ」
アゼル:
「むむむむむむ……。わ、わかった。そのかわり、2人には絶対に手を出すな」
カダ(GM):
「安心しろよ。こう見えても、オレ様は紳士だからな。ケッケッケ……」そう言うと、カダは卑下た笑みを浮かべます。
アゼル:
「ほんの少しでも手を出してみろッ! そのときには貴様の鼻を削ぎ落してや――」
カダ(GM):
「おい、やっちまえ」
GM:
「へい、お頭ッ!」
カダの命令で、ふたたび男達がアゼルに蹴りかかります。ゲシ! ゲシ! ゲシ!
ニルフェル(GM):
「やめてッ! やめてーッ!」
薄れゆく意識の中で、アゼルはニルフェルの悲痛な声を耳にしました。
GM:
そのようなところで、アゼルの記憶は途切れます。残り生命点を0点にしてください。
アゼル:
残り生命点0かよ……。生死判定は、(コロコロ)成功。
「ニ、ニルフェル……」
ばたり。
シーン外のイーサ:
危なかった。この場にいなくて正解だったな。
アゼル:
なんでだよ! いてくれたほうがよかっただろ!?
シーン外のイーサ:
いや、この展開だと、もし俺がその場にいたとしても、きっと同じ目にあってた。
GM:
たしかに、イーサがその場にいなかったのは不幸中の幸いだったかも知れません。なぜなら……。寺院での用事をすませたイーサが、その帰り道の途中で、路上に倒れているアゼルの姿を見かけることになるからです。
イーサ:
なるほどな。
「ん? あれは! アゼルじゃないか!?」そう言って、倒れているアゼルのところへ駆け寄って行く。
「おい、アゼル! アゼル!」
GM:
アゼルは明らかに暴行を加えられた様子で、完全に気を失っています。特に鼻の部分が徹底的にやられています。
イーサ:
「こいつはまずいな」
“瞑想”して“キュア・ウーンズ”を唱える。(コロコロ)3点回復。
「おい、アゼル。大丈夫か?」
アゼル:
じゃあ、意識を取り戻すなり大声で叫んだ。
「ニルフェルッ! ハージさんッ!」
イーサ:
「おい、いったい何があったんだ!?」
アゼル:
「カダだ。カダの奴が襲ってきやがった……。それで、ニルフェルとハージさんが連れ去られてしまった……」
イーサ:
「なんだってッ!?」
カダ、ふたたび。はたして、連れ去られてしまったニルフェルとハージの運命はいかに? そして、屈辱にまみれたアゼルの挽回はなるのでしょうか?