LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第3話(04)

シシュマン(GM):
「ギズリたちが抜けてしまったのは予定外だったが、まあ、西アルダ街道を進む分には、ここにいる7人だけでも不足ないだろう。一応、明々後日の出発までに追加の護衛と同行者を募っておくことにするが、急なことだし、あまり期待はしないでおいてくれ」

エルド:
「よろしくお願いします。それと、お願いしていた宿屋の情報なんですが……」

シシュマン(GM):
「ああ。オススメの食事処とあわせて、これに書き出しておいた」そう言って、シシュマンは1枚の紙をエルドに手渡しました。
「そこに挙げたのは商人ギルド系列の店だから、遠慮せずに金を使ってくれよな!」

GM:
 そこには、お店の情報が次のように書かれています。

《宿屋》
市街区・竜のねぐら亭:当たり障りのない宿。1泊40銀貨。
富裕区・光の泉亭:ゆったりしたくつろぎのスペース。1泊80銀貨。
富裕区・黒薔薇亭:リッチなリゾート気分を満喫。1泊200銀貨。

《食事処》
市街区・インサンラール:安い早い美味いの大衆食堂。1食8銀貨~。
市街区・リゼット:燻製がオススメのこだわり店。1食10銀貨~。
富裕区・デミル:厳選素材を活かしたレストラン。1食20銀貨~。

エルド:
「どうせだったら、商人ギルド系列以外のお店も教えて欲しいんですが……。宿屋だけでいいので教えてもらえませんか? もちろん、実際に利用するのは商人ギルド系列のお店にしますから、心配しないでください」

シシュマン(GM):
「う、うーむ。なら少し待っててくれ」
 シシュマンは一度席を外すと、しばらくしてからカルカヴァンにある宿屋の名前が書き連ねられたリストを持って戻ってきます。

GM:
 シシュマンが持ってきた宿屋のリストには、十数軒の宿屋の情報が書かれています。そのうち商人ギルド系列の宿屋は3軒。アスラン商会系列が5軒。それ以外は完全な独立自営です。

シシュマン(GM):
「それじゃ、ワシらはここで寝泊りしてるから、ほかになにか用事があったら訪ねてきてくれ」

GM:
 こうして、15時ごろに隊商は一時解散となり、その後は自由時間ということになります。
 あなたたちが商人ギルド本部の建屋から外に出てみると風が少し強くなってきており、南西の上空には厚いどんよりとした雲が張り出しています。

エルド:
「雲行きが怪しいようですが、一雨きますかね?」

アゼル:
 よし、俺の出番だな。“天候予測”をしておこう。(コロコロ)11。

GM:
 では、アゼルは18時から24時のあいだは晴天になるだろうと思いました。

アゼル:
「この調子だと晴れだな。間違いない!」

エルド:
「えー? 僕には雨雲が近づいてきているように見えるんですが……」

アゼル:
「素人目にはそう見えるかもしれないが、絶対晴れる。俺の予測を信じろ! それとも、俺の言うことを信じられないとでも言うのか?」

エルド:
「いや、もちろん信じてますよ……」と言いつつも、僕は心の中で絶対雨が降るだろうと思ってます。

イーサ:
「そんなことよりも、まずは宿を確保しに行こう」

セルダル(GM):
「そーだな。やっぱり、紹介してもらったうちのどっかにすんのか?」

アゼル:
「それなら、俺は竜のねぐら亭がいいんじゃないかと思うんだが、エルドとイーサはどの宿に泊まりたい?」

エルド:
「予算の都合で、竜のねぐら亭以外の選択肢はありませんね」

イーサ:
「俺はベッドで寝られるならどこでもいい」

アゼル:
「それじゃ、全員一致ってことで竜のねぐら亭に行くとするか」

GM:
 では、あなたたちは雑踏溢れる街中を歩き、竜のねぐら亭へと向かいました。
 竜のねぐら亭は木造の2階建てで、2階が客室となっており、部屋は2人部屋、4人部屋、6人部屋の3種類あります。

アゼル:
「俺たち全員で5人か……。ニルフェルには2人部屋を使ってもらうことにして、それ以外は4人部屋ってことでいいか?」

ニルフェル(GM):
「え……。わたしはみんなと一緒の部屋でも構わないけれど……」

エルド:
「先日あんなことがあったばかりです。ニルフェルさんひとりだけというのも、なにかと不安でしょう。僕とイーサさんが2人部屋を使って、同郷の3人には4人部屋を使ってもらうということでいかがでしょうか?」

アゼル:
 なるほど。そうなると、俺とニルフェルとセルダルが同じ部屋か。しかし、セルダルをニルフェルと同じ部屋に入れておくのは心配だな……。それならいっそ俺とニルフェルが2人部屋に泊まって、ほかの3人で4人部屋を使ってもらったほうが――

エルド:
 なんて危険な組み合わせを考えているんですか……。

イーサ&エルド:
(アゼルに白い目を向ける)

アゼル:
 いやいや、俺とニルフェルは親族だし! 従兄妹というより兄妹として育ってきたから意識してないし!

GM:
 ふむ……。たしかに色々な意味で危険なので、セルダルも同じ部屋にいたほうがいいでしょう。ニルフェルの身の安全を考えてボディーガードをお願いするにしても、アゼルには前科がありますからね。

一同:
(爆笑)

GM:
 では、エルドの案を採用して、2人部屋と4人部屋をひとつずつ取ったということで良いですかね。そうすると、あなたたちの取った部屋は、2階奥の通路を挟んで向かいの部屋になります。ちなみに、この宿では食事はでないので、食事をとるときには外出する必要がありますからね。

アゼル:
「それじゃ、俺は夕食時まで休ませてもらう」そう言って部屋に上がって行こう。

エルド:
「あの、休む前に確認しておきますが、皆さん、夕食はどうします?」

イーサ:
「そうだな。まあ、メシ時になったら、全員で一番近い店に行くってことでいいんじゃないか?」

エルド:
「一番近い店となると、インサンラールですね」
 それだけ確認したら、部屋に向かいます。

GM:
 さて、皆が部屋に入ってしばらくまったりしていると、イーサとエルドが休んでいる部屋の扉が叩かれます。部屋を訪ねてきたのはセルダルでした。

セルダル(GM):
「なあ、イーサ。よかったらオレと剣の稽古しねぇか?」

イーサ:
「ほう、面白い。それじゃ、少しもんでやるとするか……」

セルダル(GM):
「ずいぶんと自信あり気じゃないか。まあ、アンタとは初手合わせだ。まずは実力の程を確認させてもらうとすっか」

エルド:
「イーサさん。旅の疲れがでているようですが、休んでおかなくていいんですか?」

イーサ:
「多少疲れはあるが、せっかくの誘いだ。それに、アルがいなくなったからには俺たちがしっかりしないといけないからな。ここを出発するまでのあいだに切磋琢磨しておくのも悪くない。なんだったらエルドも一緒にどうだ?」

エルド:
「いえ、遠慮しておきます」
 僕は夕食時まで部屋で書き物をしています。

GM:
 では、セルダルと剣の稽古を行ったイーサは、《12-20レーティング》分の疲労を貯めておいてください。ちなみに、実際に手合わせをしてみた感覚では、実力は拮抗しているものの、やはり総合能力値で勝るイーサのほうがわずかに上手のようでした。
 そして、しばらく時間が経って稽古に一段落ついたころ、急に雨が降りだしてきます。

イーサ:
 せっかくだから、雨で汗を洗い流してから宿に入るとするか。

エルド:
 それくらいの時刻になったのであれば、僕もイーサさんたちに声をかけるために1階に下りていきます。
「おや? まだ外にいるかと思ったんですが、もう稽古は終わっていたようですね……。それにしても、2人とも随分とすごい汗じゃないですか」

セルダル(GM):
 セルダルは濡れた髪を両手でかき上げながら、「いやぁ、こいつはほとんど雨で濡れたんだ」と言って笑います。

エルド:
「ああ、やっぱり降ってきてしまったんですか。残念でしたね」

イーサ:
「まあ、ちょうどきりのいい頃合だったから問題はない。むしろ、汗を洗い流せて助かったくらいだ」

セルダル(GM):
「じゃあ、そろそろアゼルの奴を起こしてメシに行くとするか」
 セルダルは部屋に戻ると、アゼルを無理やり起こします。
「おい、アゼル。いつまで寝てるつもりだ? そろそろ晩メシ食いに行くぞ」

アゼル:
「うーん。もう晩飯の時間なのか」

セルダル(GM):
「ああ。イーサとエルドの2人は、もう宿の1階に集まってる。あんまり待たせんなよ」
 アゼルに対しては粗野な態度のセルダルですが、ニルフェルに対してはにこやかに、「ニルフェルちゃんも、準備ができたら1階に下りてきて」と声をかけて、部屋から出ていきます。

ニルフェル(GM):
「わかりました。すぐに行きますね」
 ニルフェルは手に持っていた本をパタンと閉じると、「それじゃ、わたしも先に下りてるね」とアゼルに声をかけてから、セルダルのあとを追いかけていきました。

アゼル:
 俺も身支度を整えて1階に下りていく。鎧はつけずに、護身用の短剣だけ装備しておいた。ところで、この国では、雨はどうやって防ぐものなんだ?

GM:
 フード付きマントのようなレザー製品で雨を弾くのが一般的ですね。

アゼル:
 そうか。とりあえず、フード付きマントは持ってるから大丈夫だな。

エルド:
 アゼルさんが下りてきて、全員集まったようであれば、宿を出てインサンラールへと向かいます。

GM:
 了解です。では、あなたたちは雨のぱらつくカルカヴァンの街へとくりだしていったのでした。




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