LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第3話(12)

GM:
 イスメトとの交渉により、なんとかギズリの捜索へ出ることを許された、アゼル、イーサ、エルドの3人は、その後、別室へと移されました。

イスメト(GM):
「さて、キミたちにギズリたちの捜索を許しはするが、ギズリたちを捕まえるまでは、シシュマンたちとの接触を禁じさせてもらうぞ。示し合わせて下手なことをされては困るからな」

アゼル:
「わかった。それは構わない」

イスメト(GM):
「ふむ。では、そろそろ16時を回るところではあるが、すぐにでも捜索をはじめるかね?」

イーサ:
「時間が惜しいからな。日没までにはまだ時間もあるし、早速街にでるとしよう」

イスメト(GM):
「了解だ。ならば、キミたちが所持していた荷物の中から捜索に必要となるものを挙げたまえ。必要最低限の装備と金であれば持っていくことを認めよう」

 イスメトの言葉に従い、3人は自分たちの所有品の中から、捜索に持っていく装備品といくらかの銀貨を選択しました。

GM:
 では、イスメトの部下が、別室から指定された装備とお金を持ってきます。

イスメト(GM):
「準備が終わったのであれば、早速捜索に向かってくれ。先ほども言ったが、昼12時と夜18時の2度、捜索状況の報告のためにここに戻ってくるように。まあ、これから出るのであれば、次の18時の報告は免除とする。全員で報告に来る必要はないが、戻ってくるのであれば食事を用意させよう」

イーサ:
 報告会は食事付きか。所持金にあまり余裕もないし、ありがたいな。

イスメト(GM):
「それと、イスパルタ家の家宝が盗まれたということについては公にしないで欲しい。賊の侵入を許し家宝を奪われたばかりか、いまだにそれを捕まえることができておらぬとの噂が広がれば、イスパルタの名を傷つけかねんからな。まあ、ギズリに警戒されずに捜索する手はずのキミたちが、そのようなことを公言することはないと思うが……。それから、こちらのほうが重要なことだが、ギズリとジェザは必ず無傷で捕らえてくれ。あくまでも彼らは容疑者であり、まだ犯人だと確定したわけではない。誤認で無実の者に傷を負わせたとあっては、それこそイスパルタ本家の面目に関わる。もしもの場合には、キミたち自身に責任を負ってもらうからそのつもりでいるように」

エルド:
「ギズリさんたちを無傷で捕らえろというのであれば、出発前に魔法を入換えておきたいんですが、魔法書を持ってきてもらっても構いませんか?」

イスメト(GM):
「ふむ。構わんだろう。ただし、魔法書の持ち出しは禁止だ。魔法の入換えはここでおこないたまえ」

 イスメトから許可を得たエルドは、スペルリングから“ライト”と“ディスペル・マジック”の魔法を消去し、対象を束縛する魔法“バインディング”を記録させました。これにあわせてイーサも、“ディスペル・マジック”に換えて“エネルギー・ボルト”を記録させました。

GM:
 こうして、準備を終えたあなたたちがイスパルタ別宅を出てきたのは16時過ぎのことでした。部屋に閉じ込められていた2日のうちに雨雲は去り、雲ひとつない空が夕焼けで真っ赤に染まっています。
 さて、ここからカルカヴァンの街を捜索してもらうわけですが、捜索するにあたってのルールを説明しておきます(と言って、カルカヴァンを17個のエリアで区切った地図を提示する)。

カルカヴァン市街地図エリア分け

 カルカヴァンの街を捜索するにあたって提示されたルールは以下のものです。

  • 線で結ばれたエリアへの移動にかかる時間は15分
  • 1つのエリアを見てまわるのに必要な時間は最低15分
  • 特別なイベントが発生した場合は別途時間が経過する

イーサ:
(地図を眺めて)ふむ。まずはロバの件を確かめるために、バスカン一座のところまで行ってみるか。たしか見世物小屋のあるエリアだったな。

GM:
 了解です。では、あなたたちが見世物小屋の近くまで足を運んでみると、数百人は入れそうな巨大なテントが見えてきます。さらに近づいていくと、その周囲に大小いくつものテントが設置されていることがわかります。巨大なテントの前には長い行列ができていました。

道化師(GM):
 行列の最後尾では道化師の格好をした男が、「さあ、次が本日の最終公演。ご覧になりたい方は入場チケットをご購入のうえで、こちらの列にお並びくださーい! こちらが列の最後尾だよー! 入場チケットもここで購入できるよー!」と、大声を張り上げています。
 道化師が首から提げているプラカードには、「入場チケット、一般席50銀貨。指定席100銀貨」と書かれていました。

エルド:
 旅芸人一座のロバがどこにいるかって、周りから見る限りではわかりませんかね?

GM:
 周りから眺めるだけではわかりませんね。公演中ですし、もしかすると巨大なテントの中にいるのかもしれません。

アゼル:
 そうだなぁ、俺たちみたいなのがいきなり押しかけて話を聞かせてもらえるかも疑問だし、とりあえず公演を観てから話を聞いてみることにしよう。

エルド:
 そうはいっても、僕はあまりお金に余裕がないんですが……。

アゼル:
 むぅ……。仕方ない。ここは言いだしっぺの俺が払ってやろう。
 道化師のところまで歩いていって、「一般席のチケットを3枚くれ」と言って、150銀貨を支払った。

道化師(GM):
 道化師はアゼルから銀貨を受け取ると、それを手のひらや甲の上で自由自在に転がしてみせます。手の中にあったはずの銀貨がなくなっていたり、かと思えば道化師の口の中から銀貨がでてきたり。そのよどみない動きはまるで魔法のようです。そして、すべての硬貨を消失させると、最後になにも持っていなかったはずの手のひらの中から、3枚の一般チケットを出現させました。
「はい。一般席チケット3枚、まいどあり~♪」

アゼル:
「おおーッ!」(拍手)
 捜査の名目で来ていたアゼルだが、内心、催し物をかなり楽しみにしている。
「さて、それじゃチケットも買ったし、列に並んで開演するのを待つとするか。いくぞ皆の者!」

エルド:
 皆の者って……(失笑)。僕はそんなアゼルさんを呆れた顔でみています。

GM:
 行列に並んで15分ほど待つと、入場が始まりました。
 テントの中に入ってみると、その中心に円形の舞台があり、その周りには観客用の長椅子が幾重にも並べられています。
 客席の中でも、舞台を真正面に捉えることができる一角には一段高くなった場所があり、そこには肘掛のあるしっかりとした椅子が備え付けられていました。おそらく、そこが指定席としてチケットが売られていたところなのでしょう。
 指定席の中央部には、さらにほかの席とは仕切られた特別席が用意されており、そこには仕立ての良い煌びやかな衣装を身にまとっている上層階級の人々の姿が見えます。その中にはあなたたちの見知った顔もありました。

エルド:
 それは、イーサさんのことを気に入ってたあの人ですね?

GM:
 はい。あなたたちが特別席に見つけたのはタルカンの姿でした。いつものように、黒肌の護衛2人を従えるタルカンは、隣の席に座る年配の男と談笑しているようです。

エルド:
 声をかけてみますか?

イーサ:
 いや、要人と会話しているようだし、迷惑をかけるとなんだからやめておこう。

GM:
 観客たちの移動が落ち着いたところで、1時間にわたる公演が開始されます。その内容は、綱渡り、空中ブランコ、力自慢のバランス芸、巨大なゾウの玉乗り、ロバのタップダンス、美女の脱出マジックなどなど、バラエティに富んだエキサイティングなものでした。すべての出し物が終わると、客席からは万雷の拍手が沸き起こります。

アゼル:
 俺も満足して、「いやぁ、堪能した!」と言いながら拍手を送ろう。ちなみに、ロバのタップダンスがあったってことは、やはり1頭だけ下手なロバがいたんだろうか?

GM:
 いえ。6頭のロバによるタップダンスは一糸乱れぬ見応えのあるものでした。

エルド:
「あの……アゼルさん。ロバのタップダンスは全頭揃っていたようですが……?」

アゼル:
「そうだな。この短期間で芸を極めるとは……。きっと、調教師が一生懸命頑張ったんだろうな。実に素晴らしいッ! よし、せっかくだから座長に挨拶に行こうッ! この感動を直接伝えなくてはッ!」
 テントから出たら、そのまま裏方に回ってみよう。

エルド:
 特別席に来てたタルカンさんに声をかけておけば、座長さんにも話が通しやすくなるんじゃないですか?

アゼル:
(とぼけたフリをして)ん~? タルカン? いったい何のことだ? さて、座長のところへ行こう!

GM:
 座長に会おうとするアゼルですが、座長がどこにいるのかわからないため、周囲をウロウロ歩くこととなります。そうやって歩いていると、旅芸人一座の座員であろう筋肉質な男が声を掛けてきました。

筋肉質な座員(GM):
「ちょっと、キミたち。そこで何をしているんだ?」その声の主は、公演では女性4人を肩に担ぎつつ、ポールの上に立ってバランスを取るといった技を披露していた男でした。

アゼル:
「あっ! あなたは、先ほど女性を担いでバランスを取っていた……! いやぁ、あれは凄い技でした! 感動しましたよ!」

筋肉質な座員(GM):
「そいつはどうも。嬉しい感想をいただいたところで申し訳ないんだが、ここは関係者以外立ち入り禁止なんだ」

アゼル:
「そうなんですか……。いやぁ、素晴らしい演技を観させていただき、感動を禁じえなかったので、ぜひ座長に挨拶させてもらいたいと思ったのですが……」

筋肉質な座員(GM):
「その想いは、自分から座長へと伝えさせていただこう。では、片付けがあるのでこれで。公演はあと5日間続くので、もしよければまた観に来てくれたまえ」

アゼル:
 あら? 座長にあわせてはもらえないのか!?

エルド:
 そりゃそうですよ。だからタルカンさんに声をかけておきましょうって言ったのに……。

アゼル:
 むう。しかし、これで引き下がるわけにはいかない。
「あの、もう少しだけ話が……。以前、ロバの芸を観たときには、1頭だけ動きをあわせられていないロバがいたようですが、先ほどの公演ではすべて揃っていましたね」

筋肉質な座員(GM):
「ん? そうだったのか? それはまた恥ずかしいところをお見せしてしまったようだ……。なににでも失敗はつきものだが、特に動物は人と違って予測不能な部分が多いものなんだ。まあ、ロバ程度ならば、なにかアクシデントが起こったとしても大事には至らないがね……」

アゼル:
「たしか以前見たとき、ロバは7頭いたと思うのですが、今日は6頭でしたね。芸のできない1頭を外したというわけですか?」

筋肉質な座員(GM):
「いやぁ、特別に1頭だけ外すことになったなんて話は聞いていないが……。それに、うちではロバを10頭連れている。別に7頭しかいないわけではないし、公演内容によって出演させるロバの頭数が変わるのは当然のことなんだ」

アゼル:
「なるほど……。では、最近どこかでロバを買い足したってことはありませんか? あのときに見た芸のできないロバは他のロバとは毛色が違って見えましたが……」

筋肉質な座員(GM):
「さあ? むろん、動物を途中で買い足すこともあるが……。それがなにか?」
 あれこれと詮索を続けるアゼルに対して、男は怪訝そうな目を向けています。

アゼル:
 うっ。不味いな。これはもうハッキリと聞いてしまったほうがいいのか?

GM:
 では、ここで聞き耳判定を行ってもらいましょう。目標値は9です。

アゼル&エルド:
(コロコロ)成功。

GM:
 ならば、アゼルとエルドの耳には、次のような会話が聞こえてきました。一方の声は聞き覚えのあるタルカンのものであり、もう一方の声は落ち着いた中年男性の声です。

中年男性の声(GM):
「タルカン様。このたびはたいへんお世話になりました」

タルカンの声(GM):
「どういたしまして。こちらこそ随分良いものを観させてもらったわ。ありがとうね、座長さん」

バスカン座長の声(GM):
「いえいえ。タルカン様のご支援があればこそです。なにせ、前回の件がありましたからねぇ……。もう二度とここでの興行は催せないのではないかと、私は気が気でありませんでしたよ」

タルカンの声(GM):
「そうねぇ……。でも、失敗だって次なる成功のための大切な経験よ。今回の興行のおかげで、街にもいっそうの活気が出たわ。今後も近くまで来た際にはお願いしたいものね。なんだったら、この街に腰をすえるという選択肢もあるんじゃなくて? もしその気があるのならば、面倒を見てあげてもよくってよ」

バスカン座長の声(GM):
「たいへんありがたいお話ですが、私どもの興行を心待ちにしてくれている方々がほかの地域にもたくさんおるのです。その方々の笑顔見たさに、この稼業をやってることろもありまして……」

タルカンの声(GM):
「その心意気、見上げたものね! わかったわ。これからも心行くまで頑張りなさい!」

GM:
 その内容から察するに、どうやらタルカンと会話しているのはバスカン一座の座長のようです。少しすると、バスカン座長との会話を終えたタルカンがあなたたちのいるほうへと歩いてきました。まだ姿は見えませんが、足音が近づいてきます。

アゼル:
 やばいッ! タルカンが来る前に撤収するべきか!?

エルド:
 アゼルさん、本当にタルカンさんのことを嫌っているんですか?

アゼル:
 嫌ってるというか、とにかく苦手だ。タルカンを扱いこなせる自信がない。

エルド:
 扱いこなす……って(苦笑)。しかたないですね。それじゃ、僕からタルカンさんに声を掛けてみましょう。
「あっ! タルカンさんじゃありませんか」

タルカン(GM):
 エルドの呼びかけに、タルカンがあなたたちのほうへと顔を向けました。
「あら、アナタたちは……。こんなところであうなんて奇遇ね。アナタたちも公演を観にきていたの?」

エルド:
「はい。そうなんですよ。それで、公演内容のあまりの素晴らしさに、アゼルさんがここの座長さんにぜひ挨拶したいと言い出しまして……。いま先ほど、タルカンさんと座長さんの話し声が聞こえたのですが、もしかして座長さんとはお知り合いなんですか? そうであれば、アゼルさんに座長さんとお話する機会をあげて欲しいんですが……」

タルカン(GM):
「アナタたちのことを座長に紹介すればいいの? それくらいならお安い御用だけれど……」そう言うと、タルカンは自分の背後を振り返りました。その視線の先には、タルカンのことを見送るバスカン座長の姿があります。
 タルカンはバスカン座長と目をあわせると、「ちょっと」と言って手招きします。

バスカン座長(GM):
 タルカンによばれたバスカン座長は、小走りに近づいてきました。
「どうかいたしましたか? タルカン様」

タルカン(GM):
「いえね。このコたちはワタシのお友達なのだけれど、彼らが今回の素晴らしい公演に対する感想を座長さんに直接伝えたいって言うのよ。もし良かったら聞いてあげてもらえる?」

バスカン座長(GM):
「ええ。タルカン様のご友人の方ということであれば、もちろん構いませんが……」

アゼル:
 とっさに座長の手をガシッと握ろう。
「いやぁ、素晴らしかった! あの綱渡りなど、とても良かった! なかなか観られるものではありませんよ!」

バスカン座長(GM):
「は……はぁ……」そのアゼルの勢いに、バスカン座長は少し引き気味です。しかし、タルカンの手前、嫌な顔はしません。
「楽しんでいただけたのであれば良かった。気に入っていただけたのであれば、また観にきてください」

アゼル:
「そうですね。いやいや、本当に素晴らしかった!」

タルカン(GM):
「よかったわね。直接感想を伝えられて」

アゼル:
「ええ。本当に」

バスカン座長(GM):
「それでは、私は後片付けがありますので、そろそろ……」

アゼル:
 うっ。このままでは本当に感想だけ伝えて終わってしまう。タルカンの前だが仕方ない。本題に触れておこう。
「ところで、つかぬ事をお伺いしますが、最近ロバを買い足しませんでしたか?」

バスカン座長(GM):
 バスカン座長はアゼルから突然投げかけられた質問に首を傾げます。そして、自分自身では心当たりがなかったのか、筋肉質な座員に目を向け、「なあ、クロード。お前、なにか知ってるか?」と問いかけました。

クロード(GM):
「うーん。最後にロバを買い足したのは2ヶ月くらい前だったはずですが、それは座長もご存知ですよね……」
 どうやら、クロードにも思い当たる節はないようです。

アゼル:
「一昨日の昼間に見かけた宣伝行進の中に、知り合いのロバによく似たロバが居たものですから、もしかするとこちらで買い取ったのではないかと思いまして……」

バスカン座長(GM):
「その知人の方は、2ヶ月くらい前にクゼ・リマナでロバを売却したのですか?」

アゼル:
「いえいえ。つい最近、この街で売ったんだと思いますが……」

バスカン座長(GM):
「ならば気のせいでしょう。一座の金銭管理はすべて私が執り行っていますから、もしロバを購入したのであれば私の耳に届いていないはずはありません」そう言って、バスカン座長は少し困惑した表情を浮かべました。
「仮に、その知人の方のロバがうちにいたとして、それがどうかしましたか?」

アゼル:
「いやぁ、実はその知り合いが行商を生業としていまして、荷物を運ぶためにロバを連れていたのですが、それが売られていたとすれば、もしかすると商売をやめてしまったのかなと思いまして……。それがちょっと気になっただけですよ」

タルカン(GM):
「ねえ、それって、もしかしてギズリのこと?」と、唐突にタルカンが話に入ってきました。

アゼル:
「え……ええ……」って、なんでバレたッ!?

GM:
 あなたたちの知り合いで、ロバを連れて行商をしている人物をタルカンはひとりしか知りませんよ(笑)。

タルカン(GM):
「たしかにアナタたちと歩いていたとき、ギズリはロバを連れていたけれど、あのロバのことなの? だとしたら、ロバを売ったのだとしてもここ3日の話じゃない。さすがに3日前に購入したロバのことを忘れたりはしないと思うけれど。ねぇ、座長さん?」そう言って、タルカンはバスカン座長の同意を仰ぎます。

アゼル:
「そ……そうですね……(汗)。勘違いだったみたいです……。じゃ、じゃあ、これで――」

タルカン(GM):
「ねぇ、ギズリがどうかしたの?」

アゼル:
「い……いや、大したことじゃないんですが、ちょっとギズリさんに用があって……」

タルカン(GM):
「なんの用なの?」

アゼル:
「……えーと、ギズリさんに戦盤の相手でもしてもらおうかと……」

タルカン(GM):
「なぁんだ。そんなことだったの? いいわ。それならばウチにいらっしゃい。戦盤の腕前だったら、ワタシも捨てたものじゃないのよ。ちょうど夕食の時間にもなるし、ご馳走するわ」そう口にしたタルカンは、ニヤニヤと笑みを浮かべています。

アゼル:
 うわーッ! しまったーッ! やばいことになってしまったッ!

エルド:
 ものの見事に地雷を踏みましたね(苦笑)。僕はイーサさんのすぐ隣までいって、袖を引っ張ります。
(小声で)「イーサさん、どうします? 僕たちもついていったほうがいいんでしょうか? それとも、ここは二手に別れて、少しでも情報を集めておいたほうがいいんですかね?」

イーサ:
(小声で)「ふむ。どうしたもんかな……」

アゼル:
 ここは別れておいたほうが正解だろ。
「あッ! そういえば、イーサ。たしか、お前はシシュマンさんのところに行かなくちゃならないって言ってたよな。ここは残念だが俺とエルドだけでお邪魔させてもらうということにするしかないな!」

エルド:
 げッ……。ひとりで行けばいいものを、僕のことも道ずれにする気ですか……。

イーサ:
「あ……ああ。そうだったな。シシュマンのところに行かなければならなかったんだ……」

タルカン(GM):
「あら、そうなの? アナタには個人的に聞きたいこともあったのに……。でも先約があるのでは仕方ないわね。それじゃ、今日の晩餐はアナタ抜きで楽しむことにするわ」
 タルカンはイーサのことを見て少し残念そうな顔をしたあとで、アゼルとエルドに目を向けると、「さあ、あまり暗くならないうちに行きましょう」と2人を促しつつ、総督府のあるほうへと歩きはじめました。

アゼル:
 仕方ないからついていこう。しかし、まさかこんなことになるとは……。

エルド:
 きっと、アゼルさんが挙動不審にしていたから、完全に目を付けられてしまったんですよ。特に戦盤の相手としてギズリさんを探しているというのは言い訳としては最悪でしたね(苦笑)。




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