LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第3話(25)

 イーサとエルドは、アゼルとの合流を果たすと、人通りの少ない裏路地に入ってギズリを取り囲みました。

イーサ:
「まったく……。あんたのおかげでだいぶひどい目にあったよ」

ギズリ(GM):
 ギズリは少し怯えた表情であなたたちのことを見ています。
「オマエら、いったいどこまで知ってるんだ……?」

イーサ:
「あんたがイスパルタ本家の娘を誘拐したってことは知っている。ジェザの正体はイスパルタ本家のギュリスって嬢ちゃんなんだろ?」

ギズリ(GM):
「おいおい、人聞きの悪いこと言うなよ。誘拐だなんてとんでもない。むしろオレは被害者なんだからな。たまたま仕事でイスパルタ本家に顔を出したときに、あの嬢ちゃんに捕まって、無理やり案内役にされちまっただけなんだ」

イーサ:
「なるほど。それじゃ、逃亡を企てたのはギュリス嬢本人だってわけだな。まあ、おおかた後宮入りを嫌がって計画したってところか……」

ギズリ(GM):
「それがわかってるなら見逃してくれないか?」

イーサ:
「事情はわかったが、こちらとしてはなんとしてもあんたたちをタルカンさんのところまで連れて行かないといけない」

ギズリ(GM):
「は? なんでそこでタルカンさんの名前が出てくるんだ……?」

イーサ:
「まあ、いろいろあってな。詳しい説明は省くが、とにかくタルカンさんのところにあんたたちを連れて行きさえすれば、俺たちはイスメトの拘束から解かれて自由になれるんだ。それに、タルカンさんはあんたたちのことを匿ってくれるとも言ってる。どうだ、互いに悪い話じゃないだろ?」

ギズリ(GM):
「ば、馬鹿言うな! もし、ギュリス嬢がタルカンさんの手に渡ったら、いったいどうなるのかわかってるのか? あの人は本物の商人だぞ。利益を得るためだったら悪魔とでも笑って取引できる人だ。間違っても善意で行動する類の人じゃないからな。これまでギルドの商人たちが、どれだけあの人に辛酸を舐めさせられてきたことか……」

イーサ:
「だとしても、俺たちはすでにタルカンさんと契約まで交わしちまったからな。四の五の言わず、まずはギュリス嬢の潜伏先まで案内してもらおうか」

ギズリ(GM):
「断る……と言ったら?」

イーサ:
「断れる状況でないことくらい、わかってるだろ?」とすごんでみせる。

ギズリ(GM):
 ギズリは周囲を固めるあなたたちをひとしきり見たあとで、唾をゴクリと飲み込みました。
「仕方ないな……。わかったよ。もともとオレも乗り気じゃなかったんだ……」そう言うと、観念したギズリは天使の揺り籠まであなたたちを導いていきます。
 天使の揺り籠の前まで来ると、ギズリはポケットの中から206という数字が書かれた木の札を取り出しました。
「ギュリス嬢はこの番号の部屋にいる。受付にこいつを渡せば宿の中に入れるが、さすがに全員で行ったら店の人間に不審に思われて止められるだろうな。本来なら、オレひとりだけが戻ってくるはずなんだからよ。だから、こいつはおまえらに渡しておく」

 一行はギズリから木の札を受け取ると、誰がどうやって宿の中に入るのかを相談しました。そしてその結果、アゼルとエルドの2人が宿の中へと入ることになりました。

イーサ:
「それじゃ、俺はギズリを見張って外で待機してることにする」

エルド:
「了解です。では、アゼルさんはギズリさんの羽織っていたローブを借りて、ギズリさんを装ってください。僕は黒魔法貯蔵の杖にチャージされている“インビジビリティ”を使って姿を透明にして、アゼルさんのすぐうしろをついていきます」

アゼル:
「わかった」
 それじゃ、準備が終わったところで、ギズリから受け取った木の板を手に持って連れ込み宿に向かって行く。


GM:
 では、天使の揺り籠の受付で木の板を出すと、入り口の扉を開けてもらえました。あわせて、木の板と引き換えに部屋の鍵も渡されました。

アゼル:
 206号室を目指す。

GM:
 はい。何事もなく、206号室の前までたどり着きました。

アゼル:
 それじゃ、鍵を使って扉を開けた。部屋の中の様子はどうなってる?

GM:
 アゼルが扉を押し開いて中を覗き込むと、部屋の中央にある小さなテーブルの上に火の灯された1本のローソクが置かれているのが見えました。それ以外に灯りはありません。そして、そのローソクの灯りの奥にはフード付きローブを羽織った2つの人影がありました。人影のうちひとつはテーブルの奥の席に座っており、もうひとつはその隣に佇んでいます。
 部屋の大きさは6平方メートルほどで、テーブルのほかにはベッドとソファーがそれぞれひとつずつ置かれています。また、外側の壁に窓が2つと、もう一方の壁に扉がひとつあるのが見えますが、いまのところすべて閉じられています。

アゼル:
 部屋の中に2人? ってことは、もうハイローさんと合流してたのか!?

GM:
 あなたたちが部屋の中を一通り見まわしたところで、座っていたほうの人影が声を発しました。顔は見えませんが、そのハスキーな声は若い女性のものです。

若い女性の声(GM):
「ほかの客の部屋に無断で入ってくるなんて、いったいどういうつもり? あなたたち、自分たちがやっていることが犯罪だってわかってる?」

アゼル:
「……あなたはギュリス・イスパルタだな? すでにギスリさんは捕えた。これ以上手を煩わせないでくれ」

若い女性の声(GM):
 しばらくの沈黙ののちに、ふたたび女性が口を開きました。
「……そう……。ギズリは捕まっちゃったんだ……。それじゃ、これ以上誤魔化しつづけるのはさすがに無理か……」そう言うと、観念したのか、ギュリスとおぼしき女性はフードを下して顔をあらわにしました。

GM:
 ギュリスはニルフェルと似たような年ごろの娘に見えます。肌や髪の色合いはイスメトとよく似ていますが、その髪には独特の癖がついており、肩くらいまでの長さがある髪を、後頭部の高い位置で束ねています。

ギュリス(GM):
「……もしかして、あたしが家を飛び出してきた理由も知ってるの?」

アゼル:
「ああ」
(ギュリスの顔をマジマジと見て)
 なんだか目つきの悪い小娘だな(笑)。

ギュリス(GM):
「だったら見逃してくれない?」

アゼル:
「こちらにも事情がある。見逃すわけにはいかない」

ギュリス(GM):
「事情って?」

アゼル:
(しばらく沈黙してから)
「……できれば、なにも言わずついて来て欲しいんだが……。俺たちもあまり手荒な行動はとりたくない」

ギュリス(GM):
「そう言われても、そんなに聞き分けよく従うわけにはいかないって……。だって、ここで捕まってしまったら、もう二度と自由にはなれないもの。あなたがあたしの質問に答えてくれないってことはそういうことでしょう?」

アゼル:
 ただ単に上手く説明できそうにないから無言だっただけなんだがな(笑)。

シーン外のイーサ&エルド:
(苦笑)

ギュリス(GM):
「別にあたしは後宮に入ることが嫌ってわけじゃないの……」

アゼル:
「それならなぜ逃げたんだ?」

ギュリス(GM):
「それは……あたしになんの相談もなく、勝手に宮女募集に応じることを決めてしまったお父様に対して、どうしようもないくらい腹が立ったから……。いつも家名のことばかりを考えて家族をないがしろにするお父様のことが、あたしは許せないの。あの人は一度痛い目を見たほうがいいんだよ」

アゼル:
「……だが、あなたがとった行動に巻き込まれて迷惑を被っている人間もいるんだ」

ギュリス(GM):
「それについては申し訳ないことをしたと思ってるし、あたしのできる範囲で償うつもりだよ。だから、あなたたちがどんな被害をうけたのか知りたいの。ことと次第によってはお互いにとっていい結末を向かれられるかもしれないでしょう?」

アゼル:
「ふむ……」
(しばらく悩んでから)
「俺たちはイスパルタ本家の家宝を盗んだギズリさんの仲間として嫌疑をかけられている」

ギュリス(GM):
「イスメトの奴……そんなくだらない嘘をついて……」

アゼル:
「ほかの面々もイスメトに拘留されている状態だ。あなたとギズリさんをイスメトに引き渡さないと、俺たちは自由になれない。俺たちにも目的があるから、このままいつまでもこの街で足止めを食らっているわけにはいかないんだ」

ギュリス(GM):
「そのためには、あたしみたいな小娘ひとりどうなっても構わない……ってことだよね。やっぱり……」

アゼル:
 うーん(悩)。

ギュリス(GM):
「それはそうだよね。あたしとあなたたち、ここまで一緒に旅はしてきたけど、言ってみれば赤の他人だものね。おまけに、あたしは旅のあいだずっと身分を偽っていたわけだし……」

アゼル:
 そう言われると、アゼルには思うところがあって苦い顔をする。
「たしかにあなたの気持ちをまったく理解できないわけではないが……」
 それ以上は口ごもってしまうな。どうしたらいいんだろうな……。

ギュリス(GM):
「あなたと一緒に旅をしているニルフェルって子はどうなの? あの子は後宮に入るために王都を目指しているんでしょう?」

アゼル:
「ああ。ニルフェルは自ら進んで後宮入りを目指している」

ギュリス(GM):
「……そうなんだ……。それじゃよかったね。自分で選べたんだったら……」

アゼル:
「そうだな……」

ギュリス(GM):
「ひとつ、あなたに質問してもいい?」

アゼル:
「なんだ?」

ギュリス(GM):
「あたしのお父様は、なにかといえば『これは家のためだ』とか『自分はこれまでそうやってイスパルタ家を守ってきたんだ』なんて口にするんだけれど、その守るべき家っていったいなんなんだと思う?」

アゼル:
「守るべき家……?」
 なんだ? ナチュラルにわからんぞ……?

シーン外のイーサ:
 別に謎かけじゃないだろ。アゼルが思う守るべき家とはなんなのかを答えればいいんじゃないか?

アゼル:
 そうか。そういうことなら……。
「家族……だな」

ギュリス(GM):
「そうだよね。あたしもそう思う。たとえどんなに貧しい生活を送っていたとしても、家族みんなが笑顔で暮らせるなら、それは幸せな家なんだよ……。逆にそうでなくちゃ、裕福であっても幸せな家とは言えないと思わない?」

アゼル:
「そうだな……」

ギュリス(GM):
「でも、お父様はそうは思ってなかった。うちでは土地や家名を守ることのほうが、家族の笑顔よりも優先されてきたの……。あたしはそのことに、これまでずっと耐えてきた……。でも……もう限界。もううんざり……。あたしはお父様の道具じゃない! イスパルタ本家の女として置物のような人生を送るだなんて絶対に嫌! 自分の思うがまま自由になりたい!」そう言うと、ギュリスは訴えかけるような目でアゼルの顔をじっと見つめます。
「ねえ、あなたにあたしのこの気持ち、わかる?」

アゼル:
「……理解はできるが……」
 うーん。なんとかして逃がしてやりたいところだが、俺たちのほうの都合もあるからな……。

ギュリス(GM):
 悩むアゼルの姿を見て、ギュリスの眉が一瞬だけわずかに持ち上がりました。
「もし……もし……ほんの少しでもあたしの気持ちを汲んでくれるなら、少しだけでもいいから力を貸して……。絶対に悪いようにはしないから……。あなたが困っているのは、あなたの仲間がイスメトに拘束されているからなんでしょう? だったら、それはあたしがなんとかしてあげる」

アゼル:
「そんなことができるのか?」
 ……って。ありゃ、ちょっと待てよ。仮にそれができたとしても、俺たちタルカンと契約結んじゃってるじゃないか(苦笑)。

GM:
 ギュリスはまだそのことを知らないので(笑)。

ギュリス(GM):
「さっきの話だと、イスメトの奴はギズリがイスパルタ本家の家宝を盗んで逃亡してるって建前で行動してるんだよね。だったら、あたしが一筆書けば、あなたたちのことを自由にしてあげられると思う。だからお願い、アゼル……」

アゼル:
 まずいな……。ギュリスに策があっても、もう時すでに遅しなんじゃ……。アゼルとしてはギュリスを助けたいんだが、現状を解決するためにはギュリスをタルカンに引き渡す以外に選択肢がない……。なんであのときタルカンと契約しちゃったんだ……(悔)。

シーン外のイーサ:
 そうは言っても、タルカンさんの協力なしじゃここまで来ることもできなかっただろ?

アゼル:
 そうなんだよなぁ……。くそー、いったいどうしたらいいんだ? こうなってしまったからには、もうアゼルは悪に染まっていくしかないのか……? エルド! 頼む、どうしたらいいのか教えてくれ!

エルド:
 うーん……。彼女をタルカンさんのところに連れて行くと面白いことになりそうですよね……。だから、そうしましょうよ。

アゼル:
 そりゃ、面白いことにはなるだろうが、アゼルとしてそれでいいのか?

エルド:
 ……人の意見を否定するくらいなら、はじめから助言なんか求めずに自分で決めてください(苦笑)。

ギュリス(GM):
 アゼルの答えを待つギュリスは、顔を下に向けて小さく身体を震わせています。

アゼル:
 く……。
「すまない……。俺には彼女をタルカンのところに連れて行くことはできない……」

GM:
 それはエルドに対する言葉なんでしょうけど、ギュリスにも聞こえるように言いましたか?

アゼル:
 うむ。

ギュリス(GM):
 では、アゼルの言葉にギュリスの身体がピクリと反応しました。
「タルカン? タルカンのところに連れて行くって、いったいどういうこと!?」そう口にして顔を上げたギュリスの身体からは震えが消えています。

アゼル:
 おっ、震えが止まった?
「あなたとギズリさんの行方を追うために、タルカンに協力を仰いだんだ。その見返りとして、あなたたちの身柄をタルカンに引き渡すことになっていて――」

ギュリス(GM):
「あなたたち、まさかイスメトのことを裏切ったの?」

アゼル:
「……まあ、そういうことになるな……」

ギュリス(GM):
 アゼルの返答を聞いたギュリスは、ふたたび顔を下に向けて肩を震わせます。
「だったら……タルカンのことも裏切っちゃえばいいじゃない……」

アゼル:
「いや、それはできない。タルカンとの契約を破れば、俺とイーサとエルドはタルカンの奴隷になる取り決めになっているんだ。契約書にサインしてしまった以上、もうどうしようもない……」
 本当になんであんな無茶な契約を結んじまったんだ……。あれさえなければ、すべてうまくいったかもしれないのに……。

エルド:
「まったく……。黙って話を聞いていれば、これなんですから……。本当に仕方ない人ですね……」そう言ってエルドは姿を現します。

ギュリス(GM):
 ギュリスは突然現れたエルドのほうへと目を向けて驚いています。

エルド:
「タルカンさんとの契約のことなんですが、別にギュリスさんを引き渡す必要はありませんよ」

アゼル:
「は? いったいなにを言ってるんだ?」

エルド:
「よく思い出してください。僕たちがタルカンさんと契約を結んだ段階では、ジェザさんの正体がギュリスさんであるだなんて話は一切でていなかったんです。そのため、契約書には『行商人ギズリとその同行者の身柄を引き渡す』としか書かれていないんですよ」

アゼル:
「いや、だからその同行者というのがギュリスのことなんだろ?」

シーン外のイーサ&エルド:
 ……。

GM:
 ……。

アゼル:
 え? なに? 素でわかんないんだけど?

エルド:
 えーと、もう少し噛み砕いて説明した方がいいですかね?

ギュリス(GM):
 ギュリスは蔑むような目で一度アゼルを見てから、エルドのほうへと視線を移しました。
「契約書にはあくまで同行者としか書かれていないのね?」

エルド:
「ええ。ですから、たとえその同行者がギュリスさん以外の何者であったとしても、ギズリさんとその同行者をタルカンさんのところまで連れて行きさえすれば、契約は果たされるんです。まあ、さすがに契約書に名前が書かれている僕たちがその同行者だと言い張るのは無理があるでしょうけどね……」

アゼル:
(エルドの言葉の意味をようやく理解して)
「な、なるほど……。だが、だったらいったい誰がその同行者役を務めるんだ?」

エルド:
「できれば、そちらにいるもうひとりの方にその役を頼めませんかね?」

アゼル:
 あ、そうだった。もうひとりいたんだった。話してるうちに忘れてた(笑)。

ギュリス(GM):
「そうだね。それじゃ、彼にギズリの同行者を務めてもらうことにしようか」そう言って、ギュリスは立ち上がり、たたずむ人影に歩み寄ると、そのローブをはぎ取りました。

GM:
 はぎ取られたローブの下には木偶人形の姿がありました。エルドは“クリエイト・ウッド・サーバント”の魔法を習得しているので、それがウッド・サーバントであることがわかります。

“クリエイト・ウッド・サーバント”
 あらかじめルーン文字を刻み込んでおいた木偶人形に命を吹き込むことができるレベル2の黒魔法です。ウッド・サーバントは命が吹き込まれたときに生成される核を所持する者の命令に従い、発動より1時間の間、核の周囲1キロ圏内で活動し続けます。

エルド:
「おや? てっきりハイローさんなんじゃないかと思って警戒していたんですが、ウッド・サーバントだったんですね。でも、なんでまた?」

ギュリス(GM):
「あたしひとりだけだとばれたら、すぐに取り押さえられちゃうかもしれないと思ったから、一応ね」

エルド:
「なるほど……。ということは、まさかギュリスさんがその魔法を使った術者なんですか?」

ギュリス(GM):
 エルドの問いに対して、ギュリスは軽くほほえんでみせました。

エルド:
 さすがは名門氏族のお嬢様。黒魔法まで習得していたんですね。

GM:
 あ、いえ。ごめんなさい。ギュリスの性格上そう反応してみせたんですが、彼女は黒魔法使いではありません。すぐわかることだと思うのでここで明らかにしてしまいますが、これはギュリスが家から持ち出した魔法のアイテムです。

エルド:
 ああ、そうでしたか。

ギュリス(GM):
「それじゃ、あたしに力を貸してくれるの?」
 あらためて、ギュリスはあなたたちに問いかけます。

エルド:
「僕としては、王都に向かえるようにしてもらえるなら協力は惜しみません」

アゼル:
「そうだな。手を貸そう」

ギュリス(GM):
「それは、あたしが目的地に着くまで?」

アゼル:
「ああ、手を貸すからには最後まで責任を持つ。だから、俺たちのことを信じてくれ!」

ギュリス(GM):
「わかった。それじゃ、あなたたちのこと信じるからね」そう言うとギュリスは指を弾きました。それに呼応して、ウッド・サーバントは木っ端になって崩れ去ります。
「あなたたちがここに来たことはタルカンにも伝わっているんでしょう? だったら、早くここから出て、ほかの場所に身を隠さなくちゃ」

アゼル:
「そうだな。まず宿の外に出て、イーサたちと合流しよう」

ギュリス(GM):
 ギュリスは手早く自分の荷物をまとめ終えると、それを担いでフードを目深にかぶり、「じゃあ、行こうか」と言って、あなたたちを促します。

GM:
 ちなみに、ギュリス曰く、ギズリの分の荷物はあなたたちが持って行くようにとのことです。

エルド:
「そうだ、ギュリスさん。いまのうちにこれをお返ししておきます」そう言って、ギュリスさんに百面相の仮面を返しておきます。

ギュリス(GM):
「あ……。ありがとう」
 ギュリスはそれを受け取ると、自分の顔にあててなにやら言葉を呟きます。すると、その顔はあなたたちが旅の途中で目にしていたジェザのものとなっていきました。

 こうして、アゼルとエルドはギュリスを伴って天使の揺り籠をあとにすると、イーサとギズリとの合流を果たしました。ちなみに、天使の揺り籠を出ていく際に3人で出ていくと怪しまれるため、エルドが“忍び足”を駆使して、あたかも2人で出ていくように装いました。




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