LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第3話(30)

GM:
 さて、無事にアリゲーターを撃退できましたが、ここで問題になるのはアリゲーターがどちらに逃げるかです。もし正面方向に逃げた場合、あなたたちの進行方向と重なるため、また戦うことになるかもしれません。《1D》で1・2なら左通路、3・4なら正面通路、5・6なら右通路に逃げたことにします。(コロコロ)3。

イーサ:
 なんてこった……。

GM:
 まあ、正面通路の突き当りはさらに左右に分岐していますので、そこでアリゲーターが左手に曲がらなければ、接触せずに抜けられますよ。突き当りまで行ったアリゲーターは、《1D》で奇数なら左通路へ、偶数なら右通路へ逃げて行ったことにしましょう。(コロコロ)偶数。

一同:
 よしッ(笑)!

イーサ:
 これで、なんとか無事に地上へのルートが確保できたな。それじゃ、倒れてるアゼルに“キュア・ウーンズ”をかけて起こそう。(コロコロ)8点回復。(コロコロ)6点回復。さらに(コロコロ)うッ……。1ゾロだ……。

アゼル:
 またかよ(笑)。

イーサ:
 もう一度、アゼルに“キュア・ウーンズ”。(コロコロ)9点回復。

アゼル:
 それで全快。

イーサ:
 自分にも“キュア・ウーンズ”。(コロコロ……出目は1ゾロ)って、嘘だろッ!? 癒えなかった。

アゼル:
 なんなの? それ、なんなの? イーサは今回の戦闘だけで経験点をかなり稼いでるよな(笑)。

ギュリス(GM):
 少し落ち着いたところで、ギュリスが声をかけてきます。
「あなたたち、大丈夫?」

イーサ:
「ああ。アリゲーターもなんとか撃退出来たし、ここを抜ける分には問題ないだろう」

ギュリス(GM):
「あのアリゲーターを撃退できるだなんて、思ってたより腕は立つみたいじゃないの」

アゼル:
「まあ、危うく三途の川を渡りかけたけどな」

ギュリス(GM):
「あなたの詰めが甘いのは、南アルダ街道のころから相変わらずだよね」

アゼル:
 それに対してはなにも言い返せないな(苦笑)。
 それじゃ、一通り治療が終わったらふたたび通路を進み始める。とりあえず突き当りまで進んでみよう。

GM:
 突き当りまでは特に問題なく進めました。
 ここで一応、聞き耳判定をしておきましょう。

エルド:
(コロコロ)13です。

GM:
 では、エルドには水の跳ねる音が右通路奥に遠ざかっていくのがわかりました。どうやら、あなたたちが向かう方向とは逆の通路にアリゲーターは逃げて行ったようです。追いかけて行って倒しますか?

アゼル:
 もう精神点が底をつきそうだからやめておこう。それに、今日のイーサの回復魔法はあまり信用できないからな(笑)。

GM:
 そうですか。ならば、あなたたちは左側の通路を進んで行ったということで……。通路を道なりに進んで行くと、正面から風が吹いてきました。そのまま進むと、やがて井戸の中ほどに出ます。
 井戸に身を乗り出して下を見ると水面が、上を見ると星空が見えます。地上までの高さは10メートル、井戸の底までは5メートルといったところですね。

ギズリ(GM):
 井戸の作りを確認したギズリが、荷物の中からロープと鉤爪とクサビを取り出しました。
「こいつを使って上まで登ろう」

GM:
 最初に登る人は目標値7の“登攀”を成功させる必要があります。その後、上から垂らしたロープを使って登るのであれば、金属鎧を着ているなど“登攀”にペナルティが発生する状態でない限り判定は不要です。

エルド:
 ならば、ここは僕が先に行きましょう。

アゼル:
 なんだか今日はストーリー進行でも、戦闘でも、エルドには頭が上がらないな。

エルド:
(コロコロ)10で2メートル上昇。(コロコロ)9で2メートル上昇。(コロコロ)10で2メートル上昇。(コロコロ)12で3メートル上昇。

GM:
 登り切るまで、あと1メートルです。

エルド:
(コロコロ)あ……6で失敗しました。

GM:
 あらら。では、落下表にしたがって《2D》で落下判定を行ってください。3以下を出すと一番下まで真っ逆さまです。

エルド:
(コロコロ)6で1メートル下がりました。気を取り直して、(コロコロ)10で2メートル上昇。これで登り切りましたね。
 ロープを適当な場所に縛り付けて、下に垂らします。

GM:
 では、そのロープを使って、全員が井戸の上まで登りました。

アゼル:
 あ。俺はイスメトに手紙を届けるために地下水道を引き返すから、井戸は登らないでおく。金属鎧をつけたまま登るのもたいへんそうだしな。

GM:
 了解です。では、アゼル以外の面々が地上に出てみると、南のほうに月明かりに照らされたカルカヴァンの市壁が見えました。

イーサ:
「ふぅ。なんとか街の外に出られたな」

ギュリス(GM):
「じゃあ、約束通り、イスメトに見せる手紙を書くね」そう言うと、ギュリスは荷物の中から筆記具一式を取り出して、その場で手紙を書き始めます。
 しばらくして書き上げた手紙に封をすると、ギュリスはそれをロープの先につけて井戸の中へと降ろしました。

アゼル:
 下でその手紙を受け取った。

ギュリス(GM):
「それじゃ、あたしたちは北門から少し北上したところで、あなたが来るのを待ってるから。イスメトによろしくね!」

ギズリ(GM):
 ギュリスに続いて、ギズリも声をかけてきます。
「そうだ、アゼル。街に戻ったら、外に出てくる前に旅芸人一座によってオレのロバも連れてきてくれよ! この先、あいつが居るのと居ないのとでは大違いだからな!」

アゼル:
「了解した。それじゃ行ってくる」
 ……って、あれ?
(冷静に考え直して)
 もしかして、地下水道を戻るときに、またあのアリゲーターと出くわす可能性もあるんじゃないのか? それって、やばくない?

GM:
 ……そうですね。再度接触することになるかはランダムで決めますが、全員いるうちにきっちり倒しておいたほうが良かったかもしれません。

イーサ:
 まあ、そうそう出くわすこともないだろうし、かなりダメージを与えておいたから、あとはアゼルひとりでもなんとかなるだろ。

アゼル:
 おいおい! そんなこと言って、一撃で死んだらどうすんだよ!

エルド:
 それじゃ、上からアゼルさんに声をかけておきましょう。
「アゼルさん、アリゲーターに気を付けてくださいね」

アゼル:
 なんか嫌なフラグを立てようとしてないか?

イーサ&エルド:
(爆笑)

ギュリス(GM):
「アゼル。ちょっと待って」とギュリスも声をかけてきました。

アゼル:
「どうした?」

ギュリス(GM):
 ギュリスは羽織っていたマントを脱ぐと、それをロープの先に結わいつけて井戸の中へと降ろしました。
「もしものために、それを羽織っていきなさい」

アゼル:
 マントを手に取った。
「なんだこれは?」

ギュリス(GM):
「それを羽織って遺失語の合言葉を唱えると、あなたの身代わりになってくれる幻影が現れるから。もしアリゲーターと出くわすようなことがあったら、迷わず使いなさいね!」
 ギュリスはそう言って、あなたに合言葉を教えてくれました。

GM:
 ギュリスが貸してくれたのは、“蜃気楼の外套(ミラージュ・マント)”です。道具として使用して《2D》で6以上を出せれば、“ミラー・イメージ”と同様の効果を発揮します。ギュリスが自分の身を守るための切り札となるアイテムなのですが、ひとりで危険な場所に戻るアゼルに免じて今回だけ特別に貸してあげましょう。

アゼル:
 それはありがたいんだけどさ……俺、また壊しちまうんじゃないか(笑)?

イーサ&エルド:
(苦笑)

GM:
 さて、それではこれからアゼルはひとりで地下水道を進んで行くわけですが、アゼルに《1D》を振ってもらい、それでもし1の目が出てしまった場合、アリゲーターと出くわしてしまうということで良いでしょうか?

アゼル:
 オッケー。やってやるぜ。えいやッ!(コロコロ……出目は1)

シーン外のイーサ&エルド:
(爆笑)

アゼル:
 嘘だろ……? やっちまったよ……。うわぁ……。やっべー。

シーン外のイーサ:
 今回は“プロテクション”も“エンチャント・ウェポン”も“バインディング”もないな……。

シーン外のエルド:
 大丈夫ですって! アリゲーターだってすでに生命力を半分以上失っているんです。1点でもダメージを与えれば士気判定が入るんですからいけますよ! まあ、アゼルさんが一撃で死ぬ可能性も大ですけど(笑)。

アゼル:
 ははははは……。これ、本当に死ぬかもしれないな……。

GM:
 では、アゼルはミマールたちのもとを目指して地下水道を戻る途中で、前方から水の跳ねる音と、低い唸り声を聞きました。場所は、先ほどアリゲーターとあなたたちの進行方向が分かれた分岐点を挟んだところとします。

シーン外のイーサ:
 おっ! 分岐路があるなら、全力で逃げるって手もあるんじゃないか?

アゼル:
 でも、アリゲーターの移動速度って人間よりも速いんだろ?

GM:
 まあ、もしもアリゲーターが全力で追いかけてきた場合、こと直線移動では人間程度の移動速度じゃ太刀打ちできませんね……。
 まだ互いに目視できる距離まで近づいたわけではありませんので、戦闘に入る前に蜃気楼の外套を使用しておいても構いませんよ。

アゼル:
 了解。蜃気楼の外套を使用。(コロコロ)よし、発動! こうなったからには覚悟を決めて、ここでアリゲーターを倒す!

GM:
 では、ちょうどアゼルが蜃気楼の外套を使用して、2体の分身が現れたタイミングで、前方にアリゲーターの影が薄ぼんやりと見えてきました。ここから戦闘処理を開始します。

アゼル:
 “迎撃移動”で通路の分かれ目まで前進する。
「さあ、来いッ!」

アリゲーター(GM):
 手負いのアリゲーターが“迎撃移動”で前進し、アゼルに隣接します。

アゼル:
 やられる前にやってやるッ! アリゲーターに対して攻撃。命中値は(コロコロ)9。

アリゲーター(GM):
 アリゲーターの回避値は(コロコロ)10で回避成功です。

アゼル:
 うわぁ……。初手外した……。やばい……。これはやばい……。

アリゲーター(GM):
 続いて、アリゲーターの反撃。命中値は(コロコロ)11です。

アゼル:
(コロコロ)うはッ! ディフレクト失敗ッ!

GM:
 ここで《2D》の判定を行い、7以上を出せば蜃気楼の外套の分身が攻撃を肩代わりしてくれます。判定をどうぞ。

アゼル:
(コロコロ)セーフ! 分身のおかげでダメージを受けずに済んだ。分身は残り1体。

シーン外のエルド:
 アゼルさん、なかなか善戦してるじゃないですか。

 ここでの処理の手順は誤りです。正しくは、分身が攻撃を肩代わりしたかどうかを先に判定し、もし本人が攻撃を受けた場合にのみ本人の回避行動を解決するのが正しい手順です。逆にしてしまうと、“ミラー・イメージ”が強力になりすぎてしまいます。

アゼル:
 それじゃ、こっちの攻撃。命中値は(コロコロ)9。どうも出目が悪いなぁ……。

アリゲーター(GM):
 アリゲーターの回避値は(コロコロ)10で回避成功。そして、アリゲーターの反撃は(コロコロ)命中値8です。

アゼル:
(コロコロ)それは、ディフレクト値15で防いだ。そろそろいい目出てくれよ。こちらの攻撃、命中値は(コロコロ)12。

アリゲーター(GM):
(コロコロ)同値で回避成功。

アゼル:
 くぅ……。残念。やっぱり無謀だったかな……。

GM:
 次、連続でアゼルの番ですよ。

アゼル:
 アリゲーターにアタック。(コロコロ)命中値10。

アリゲーター(GM):
 アリゲーターの回避値は(コロコロ)……あらら、ここで1ゾロです。

アゼル:
 お、やったッ! さー、ここでいい目来いよー。(コロコロ)おっしゃッ! 10でクリティカル! やったー! さらに(コロコロ)おーッ! またもや10でクリティカル! もういっちょ来いッ! (コロコロ)あ、残念……。それでも、合計32点ダメージッ!

アリゲーター(GM):
 さしものアリゲーターも、その大ダメージには耐えられませんね。生死判定は(コロコロ)失敗して絶命。
 アリゲーターはアゼルの一撃を受けて激しくのた打ち回ると、やがて力尽きて動かなくなりました。

アゼル:
 ブハッ(笑)! うはははははははッ! やったッ! やったッ! やってやったぞッ! イエーイッ! 正義はなされた!
(しばらくのあいだ、ひとしきり喜んで)
 なんで最初からこれができなかったんだろう? そう考えると、勝ったのになぜか虚しいな(笑)。

 こうして、文字通り生死を賭けた戦いに勝利し、ようやくこれまでのうっ憤を晴らすことができたアゼルだったのでした。

GM:
 さて、見事アリゲーターを倒したアゼルは、その後ミマールたちと合流し、無事にカルカヴァンの街中へと戻ることができました。




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