LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第4話(11)

 ファジルから借りた馬車で一路デミルコルを目指すことにした一行でしたが、馬車1台に全員乗り切ることができなかったため、御者はセルダルが務め、ニルフェルとギュリスが幌の中で女性の看病を担当、PC3人とギズリは交替で馬車の外に出て周囲に警戒しつつ、徒歩で追従することになりました。

GM:
 では、デミルコルのあるLX地点へ向かっての行軍を進めていきます。ファジルたちの野営地があったQU地点を出発するのは早朝4時。その時点での天候は曇りです。

イーサ:
 今回は馬車を使ってるから、移動速度が多少速くても赤毛の女性の容体に悪影響を及ぼすことはないよな。それじゃ、デミルコルまでは徒歩の速足で向かうことにしよう。目的地までは50キロあるから、途中で何もなければ食事休憩を含めて11時間の行軍だ。

GM:
 了解です。では、まずPV地点への移動処理を。遭遇判定を行ってください。

アゼル:
(コロコロ)よかった。遭遇せず。

GM:
 ならば、PV地点には予定通り6時に到着しました。

ヤナダーグ・プラト地方北部地図06

GM:
 その頃になると上空を覆う雲はさらに厚みを増していき、あたりは真っ暗になってきます。雲が厚くなるとともに、雨粒も落ちてきました。降り始めた雨は一気にその勢いを増していき、6時過ぎからの天候は豪雨となります。まるで滝のような雨が馬車の幌に打ち付けられ、大きな騒音が鳴り響きます。

エルド:
 これはまずいですね。フード付きマントでしのげますかね?

アゼル:
 さすがにその程度じゃ気休めにしかならないだろ。俺たちもいったん馬車の中に入って雨宿りしたほうがいいんじゃないか?

イーサ:
 うーん。そうすると、到着予定時刻が大幅に遅れることになるな……。

エルド:
「アゼルさん、このあとの天気がどうなるかわかりますか?」

アゼル:
 おう、任せておけ! 俺のランド・ウォーカー技能をとくと見ろ。(コロコロ)ありゃ、10。
「残念ながら、わからないな……」

エルド:
 相変わらず頼りになりませんね。
「ギズリさんはどうです? この雨はしばらく続きそうですか?」

ギズリ(GM):
(コロコロ)ギズリの天候予測判定結果は15です。
「そうだな。これは一時的なもんだと思うぞ。昼頃になれば雨脚も収まるとは思うんだが……」

イーサ:
「昼までか……。6時間も足止めされるのはつらいところだが、さすがにこの土砂降りの中で進むわけにはいかないか……」

アゼル:
 じゃあ、昼までの間、全員で馬車の中に入って凌ぐことにするか。でも、馬車の中に全員入れるのか?

GM:
 馬車をとめた状態であれば、全員で中に入っても大丈夫です。馬車の中であれば、休憩することもできます。ただし、全員馬車の中に入った場合、周囲への警戒は行えなくなりますので注意してください。

イーサ:
 なら、いきなり襲われることがないように、交代で馬車の外の警戒をすることにしよう。6時間もあれば、交代で見張り番をしても疲労の回復は十分にできるからな。

GM:
 了解です。では、PV地点で馬車を止めたということで、6時間経過させます。

 一行はイーサの指示のもと、2人1組の3交代制で見張り番を務めていきます。

GM:
 雨宿り中の時間経過による遭遇判定は……。(コロコロ)ふむ。そうすると、雨宿りを開始してから2時間が経過したところで――

ギズリ(GM):
 周囲の警戒に当たっていたギズリが何かに気がついて、馬車の中にいる面々に警戒を促しました。
「まずいな……。森のほうから何か獣が近づいてきてるぞ……」

イーサ:
「獣?」
 馬車の中から身体を乗り出して森を見てみるが……。

GM:
 視認したいのであれば、索敵判定をどうぞ。

イーサ:
(コロコロ)10。

GM:
 では、森の木々と豪雨に視界を遮られてしまい、パッと目につくものはありません。そんな状況下であっても、ギズリは森の中のわずかな枝の揺れなどから獣の接近を感知しているようです。

エルド:
 さすが、ギズリさんのランド・ウォーカー技能は伊達じゃありませんね。

ギズリ(GM):
「1、2、3、4、5、6、7、8……。さして大きい獣ではなさそうだが、数が多いな……。狼のたぐいか?」

イーサ:
「狼か……。もしかすると、襲ってくるかもしれない。襲われる前に戦いの準備をしておこう」

アゼル:
「わかった」
 馬車から降りて、片手剣の柄に手をかけておこう。それと、今回は左手にスモール・シールドを装備しておくぞ。

エルド:
 ギュリスさんの言葉に従うんですか(笑)?

アゼル:
 また怒鳴られるのは勘弁願いたいからな(笑)。

セルダル(GM):
 セルダルも両手剣を構えて馬車の外へとでました。

エルド:
 敵の数も多いようですし、戦闘開幕と同時に魔法を撃てるようにしておいたほうがいいですかね?

アゼル:
 おう。魔法で片っ端から撃ち落としてくれ。

イーサ:
 たしかに、“瞑想”しておくのはいいかもな。だが、長期戦に備えて補助魔法を先に唱えておいたほうがいいんじゃないか?

エルド:
 なるほど。それなら、エクステンションの補助石がはめられた杖を装備しておきます。

イーサ:
 俺は戦闘前に“プレアー”を唱えておく。(コロコロ)発動。そのうえで、戦闘開始まで“瞑想”しておこう。

ギズリ(GM):
 ギズリは戦いの準備をしているあなたたちに対して、「馬をやられないように気を付けてくれよ。馬を失いでもしたら、移動の足がなくなるだけじゃなくて罪人になっちまうからな」と忠告しました。

アゼル:
 たしかに、馬がやられるのはまずいな。とすると、今回の戦闘勝利条件は、「敵を殲滅せよ!」と「馬を守れ!」の2つってことか。

イーサ:
 敵はこっちよりも頭数多いみたいだし、馬を守るのはかなり難しいぞ。前に出て前線を形成するより、馬車の周りに集まって守りを固めたほうがいいかもな。

GM:
 それでは、戦闘マップにあなたたちのユニットを配置してください(と言いつつ戦闘マップを開示する)。南に広がる森の中から近づいてきているであろう獣の姿は、まだ見えません。

 戦闘マップを確認し、イーサの提案にしたがって各人が馬車の周囲にユニットを配置したところで戦闘開始となりました。

ウルム樹海周辺

エルド:
 まずセルダルさんに“プロテクション”を唱えます。(コロコロ)発動。エクステンションの補助石がはまった杖を装備しているので、持続時間は2倍です。

イーサ:
 なら、俺はアゼルに“エンチャント・ウェポン”を。(コロコロ)発動。

アゼル:
 それじゃ、俺は敵が出てくるまで“待機”だ。とりあえず、5ウェイト“待機”しておこう。

GM:
 では、あなたたちが補助魔法を発動し終えたタイミングで、森の中から敵がその姿を現しました。森から姿を見せたのはジャッカルです。ジャッカルはあなたたちのモンスター知識に記録されている敵なので、あらたに知識判定を行う必要はありません。

イーサ:
 ジャッカルか……。ジャッカルは“微光暗視”できるから、“ダークネス”を使って馬車を守る作戦は使えないな……。

GM:
 ジャッカルが行動する前に補足しておきますが、ジャッカルは小型であるため、馬車の荷台の上にいる者に攻撃するためには、自分も荷台に上がる必要があります。通常、敵同士のユニットは同じマスに存在できないことになっていますが、今回は荷台の上だけ例外的に同一マスに存在できることにします。また、幌を破って馬車の横から荷台に上がることはありません。

一同:
 了解。

ジャッカルA(GM):
 といったところで、ジャッカルAが一気にあなたたちとの距離を詰めてきます。“通常移動”で9マス移動です。

アゼル:
 うおッ! ジャッカルは1回の移動でそんなに近づけるのか……。しまったなぁ……。てっきりしばらくは来ないもんだと思って、5ウェイトも“待機”しちまったよ。

イーサ&エルド:
(苦笑)

 このジャッカルAの登場を皮切りに、ジャッカルたちが続々と森から姿を現してきました。最終的に現れたジャッカルは総勢10匹。単体の戦闘力は大したことのないジャッカルですが、10匹集まった状態でのパーティーとの戦力比を考えると、これまでのアリゲーターやリカオンよりも手強い相手だと言えます。

ギズリ(GM):
「クソッ! わんさか来やがる。オマエら、本当に大丈夫なのか!?」と、ギズリは悲鳴にも似た声をあげました。

アゼル:
「なんとか……するッ!」――とは言ったものの、“可能性”もないからな……。いまさらだが、“エントラスト”とか“ボウ”を使っておいたほうが良かったんじゃないか?

イーサ:
 いや、“ボウ”はもっと死を覚悟して挑むような困難にぶつかったときに使うもんだろ。

アゼル:
 ここで死ぬかもしれないのに(苦笑)。

イーサ:
 ここで死んだら、俺たちはその程度だったってだけだ(笑)。

 こうして、一気に距離を詰めてきたジャッカルではありましたが、一行を包囲してもすぐには襲い掛からず、獲物を品定めするようにその周囲をうろつき始めました。そんなジャッカルの動きにしびれを切らしたセルダルが、前がかりになります。

セルダル(GM):
「チッ、迎え撃つなんて性にあわねぇ。こんな雑魚、オレが蹴散らしてやるぜッ!」そう言って、セルダルは前進しようとします。

イーサ:
 うーん、それは不味いだろ……。
「待てッ、セルダルッ! 持ち場を離れるんじゃないッ! 馬車を守るのが最優先だッ!」

セルダル(GM):
 ならば、イーサが指示を出したことにより、セルダルは寸でのところで踏みとどまりました。
「くッ! しゃあねぇな……」

 セルダルが戦列を崩してしまおうとするのは、セルダルの性格を踏まえたうえでのGMの意図によるものでしたが、ここはイーサがリーダーらしく仕切ったことで未然に防がれました。徐々にではあるものの、イーサがリーダーシップを発揮しつつあります。そして、アゼルも――

ギュリス(GM):
 続いてギュリスが、ジャッカルDに対して“隙をみつける”を実行。(コロコロ)成功!
「アゼル! 正面のジャッカルを薙ぎ払ってッ!」

アゼル:
「了解だ!」
 ギュリス嬢の指示を受けて、ジャッカルDに対して攻撃。(コロコロ)あら……。失敗(汗)。やばーい。またギュリス嬢に怒られる(笑)。

イーサ&エルド:
(爆笑)

 やろうとしていること自体にはそれなりに成長が感じられるのですが、それが実らないところがアゼルらしさでしょうか(笑)。

イーサ:
 さて、正面の奴はアゼルに任せて、俺は回り込もうとしているジャッカルCに“エネルギー・ボルト”を撃ちこんでおこう。(コロコロ)発動。抵抗されたが威力ロールは6ゾロで、物理ダメージ15点!

ジャッカルC(GM):
 それだと、ジャッカルの生命点は一撃で半減してしまいますね。士気判定は(コロコロ)失敗。ジャッカルCは戦意喪失して退却します。
「キャンキャンッ!」

アゼル:
 おおッ! 一撃で戦意喪失させるとは! よし、この調子でどんどん落としてってくれ。

イーサ:
 そうは言われても、この数が相手じゃ全部を止めるのは難しいぞ……。

 イーサの言葉通り、数にものを言わせて襲い掛かってくるジャッカルすべてを抑えることはできず、アゼルたちを避けて回り込んだ2匹のジャッカルが馬に襲い掛かりました。さらに、他の2匹も荷台に飛び乗ろうとしてきます。

イーサ:
「まずいッ!」と言いつつ、背後の荷台に乗り込もうとしているジャッカルJに攻撃。(コロコロ)命中したが、物理ダメージは5点どまり。ダメだ。これじゃ、生命点半減までは至らないか……。

エルド:
 僕は馬に襲い掛かってきたジャッカルのほうを何とかします。ジャッカルBに“ファイア・ボルト”を撃ちます。(コロコロ)完全に発動して、物理ダメージ12点と魔法ダメージ3点です。

ジャッカルB(GM):
 魔法の矢に貫かれ、炎に包まれたジャッカルBは、「ギャオンッ!」と叫んでその場に崩れます。(コロコロ)絶命しました。

イーサ:
 あと3匹だ。あと3匹倒せば、戦力半減による士気判定に持ち込めるぞ。なんとか、犠牲が出る前にジャッカルを半壊させるんだ!

GM:
 ふっふっふっ。はたして間に合うでしょうかね? ジャッカルたちが馬車に繋がれていて逃げることができない馬に容赦なく襲い掛かります。

ジャッカルF(GM):
 ジャッカルFが馬に攻撃します。(コロコロ)クリティカルして、物理ダメージ15点!

アゼル:
 ここでクリティカルかよッ! やばい、やばいッ!

 ここからは馬がジャッカルの攻撃に倒れるか、その前にジャッカルを撃退できるかの勝負となりました。

イーサ:
 ジャッカルJに攻撃。(コロコロ)命中! ダメージは7点でどうだ!?

ジャッカルJ(GM):
 うーん、それは耐えられません。(コロコロ)ジャッカルJは昏倒しました。

 イーサがまず1匹。

セルダル(GM):
 セルダルがジャッカルAに攻撃します。(コロコロ)ギュリスの助言によってダメージが1点追加されて、10点ダメージです。

ジャッカルA(GM):
(コロコロ)ジャッカルJは絶命しました。

 続いてセルダルが1匹。

アゼル:
 むぅ。セルダルに負けれられないな。ジャッカルDに攻撃。(コロコロ)命中! クリティカルして22点ダメージッ!

ジャッカルD(GM):
 それは6ゾロしか生きている可能性がないんですが……。(コロコロ)ジャッカルDはその一撃で絶命しました。

 最後にアゼルが1匹。

 こうして3人がそれぞれ1匹ずつジャッカルを倒したところで、残されたジャッカルたちは形勢の不利を悟り、戦意を喪失しました。

GM:
 というところで戦闘終了として構いませんか?

エルド:
 あの……。また前回の戦闘と同じで、“瞑想”で得たマナが余っている状態なんですけど……(苦笑)。

アゼル:
 俺は逃げる敵には攻撃しないが、エルドが魔法を撃ちたいならそれを止めることもしない。

イーサ:
 そこはエルドにお任せで。

エルド:
 ならば、たまったマナを使って、ジャッカルGに“ファイア・ボルト”を打ち込みます。(コロコロ)完全成功で物理ダメージは9点。魔法ダメージは(コロコロ)2回クリティカルして14点(笑)。

ジャッカルG(GM):
 そんなダメージ耐えられません(苦笑)。(コロコロ)ジャッカルGは絶命しました。

アゼル:
 ジャッカルの丸焼きの出来上がりだな(笑)。

エルド:
 ふぅ……。満足です。最高の出来でした。エルドは満面の笑みを浮かべてます。

アゼル:
 完全に悪の魔法使いって感じだ(苦笑)。

GM:
 では、残りのジャッカルたちは森の中に逃げて行きました。

アゼル:
 じゃあ、ジャッカルの姿が見えなくなったところで一声。
「ニルフェル! ギズリさん! 大丈夫か!?」

ギズリ(GM):
 そのアゼルの言葉に、馬車から降りてきたギズリが、「ああ、こっちは大丈夫だ。イーサが頑張ってくれたからな」と答えます。

アゼル:
「そうか。よかった……」

イーサ:
「馬のほうはどうだ? ジャッカルの攻撃を受けていたようだが……」そう言って、馬の様子を見に行く。

GM:
 馬は激しく暴れていますが、馬車に繋がれているため、逃げ出すことができずにいました。ジャッカルに噛まれた腹部からは流血が見られます。

イーサ:
「どーどー」
 “キュア・ウーンズ”で馬の傷を完全に癒しておく。

GM:
 了解しました。
 ちなみに、今回の戦闘は25ウェイトで終了しました。戦闘時間が30ウェイトを切ったため、戦闘疲労は免除されます。

一同:
 おおッ!

 こうして、嵐の中でのジャッカルとの戦いは、一行の圧勝という形で幕を閉じました。

 ちなみに、戦闘の途中でイーサがジャッカルEとHに接敵されているにも関わらず、他のジャッカルの離脱を阻止しているのは処理ミスです。接敵されている場合、“離脱阻止”は行えません。正しく処理できていれば、ギズリとニルフェルの2人でジャッカルの2回の攻撃を耐える必要がありました。その場合でも、クリティカルが発生しなければ大きな問題にはならなかったでしょうが、圧勝とは言えなかったはずです。




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