LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第4話(24)

 やがて昼になり、一行はユセフと共に昼食をとることとなります。そして、それを済ませた後で、馬車を返すためにファジルのもとを目指し、そのままイルヤソールへ向かおうとしていました。

ユセフ(GM):
 食事が終わろうとする頃、ユセフはイーサたちに対して、「では、これから馬車を返しに出発するのだな?」と確認してきます。

イーサ:
「ああ。当初の予定からすると、随分と寄り道をしてしまった。ここからは急がないとな」

ユセフ(GM):
「そうか……」と小さく呟いたユセフは、何やら複雑な表情をしています。

アゼル:
 食事を終えたら、「それでは、ユセフ様、お元気で」と言って席を立とう。

ギュリス(GM):
 アゼルが席を立ったタイミングで、ギュリスも「それじゃ、これで」と言って、片方の手のひらを軽く持ち上げます。

イーサ:
「そうだな。それじゃ、行くとするか」
 出発を促すように皆のことを見た。

ギズリ(GM):
 すると、イーサと視線をあわせたギズリが、「いやぁ、違う、違う。勘違いすんなよ。ギュリス嬢が『それじゃ、これで』って言ったのは、オマエたちに対する挨拶さ。オレたちは、ここでオマエらとは別れることにしたんだ」と説明しました。

イーサ:
「え……?」

ギュリス(GM):
 ギュリスがギズリの言葉を引き継ぎます。
「ユセフ様が、イルヤソールまでデミルコルの自警団を護衛につけてくださるって約束してくれたんだ。そういうことだから、あなたたちはここでお役御免ってわけ」
 これまで、ユセフの前では猫を被っていたギュリスの口調が、普段のものになっています。
「それで、ニルフェルも、あたしたちと一緒にイルヤソールまでついてくるってさ。そこから王都まではイルヤソール私兵を護衛につけてあげられるしね」

アゼル:
(唖然として)「えッ? そうなのか……?」

ニルフェル(GM):
 ニルフェルはアゼルと目をあわせようとせず、下を向いています。

ギュリス(GM):
 そんなニルフェルに対し、「ニルフェル。あなた自身の口から、はっきりと伝えたほうがいいんじゃない?」とギュリスが声をかけました。

ニルフェル(GM):
 発言を促されたニルフェルは、うつむいたまま、ゆっくりと口を開きます。
「自警団の方々が護衛についてくださるそうだし、いい機会だと思うの……」

一同:
「……」

ニルフェル(GM):
「……そのほうが、安全に旅ができると思うし……」

アゼル:
「……そうか……」

イーサ&エルド:
「……」

ニルフェル(GM):
「あのね……兄さん……」
 ニルフェルは少し間を空けて、言葉を選ぶようにして話します。
「兄さんは、自分自身が本当にやりたいと思えることをみつけて」

アゼル:
(声を詰まらせて)「……やりたい……こと……?」

ニルフェル(GM):
 ニルフェルはギュリスやギズリ、そしてセルダルへと目を向けたあとで、「皆、自分なりの夢や目的を持って、それをかなえるために頑張ってるんだよ。他の誰かを理由になんかしないで……自分のためにね……」と口にします。

アゼル:
「……いや……だが……。俺は、お前のことを王都まで――」

ニルフェル(GM):
「わたしは、そんなこと一度だって頼んでないッ!」と、ニルフェルは大きな声を張り上げました。そして、今度は消え入りそうな声で、「……だから、わたしのこと、理由にしないで……」と続けます。

一同:
「……」(長い沈黙が続く)

ギュリス(GM):
「まあ、そういうことだから」とギュリスが沈黙を破ります。
「ファジル様に馬車を借りたのは、アゼルでしょ? たしか、自分でそう言ってたよね。だったら、さっさと借りた馬車を返しに行って、その足で故郷に戻ればいいんじゃない?」

一同:
「……」

エルド:
「あの……。セルダルさんは、これからどうするんですか?」

セルダル(GM):
「オレは、もともと王直属兵に志願するつもりで王都を目指してたんだ。当然、ニルフェルと共に王都へ行く。それが、いまオレが一番やりてぇことだからな……」そう言って、セルダルはニルフェルの顔をうかがうように見ました。

ニルフェル(GM):
 ニルフェルはセルダルの目を見てから、その言葉を受け入れるかのようにゆっくりとうなずきました。

エルド:
「なるほど……。それじゃ、馬車を返しに行くのは3人だけになるわけですか……。道中のことを考えると、少し心許ないですね」

アゼル:
 ……そこで俺が重くなっていた口を開けよう。
「お前たちの言いたいことはわかった。いままで色々とすまなかった」

ニルフェル(GM):
 アゼルのその言葉に、ニルフェルは何かを口にしようとするのですが、その衝動をぐっと堪えました。

アゼル:
 ギュリス嬢のほうへと顔を向けた。
「それじゃ、ニルフェルのことをよろしく頼む」

イーサ:
「待て……。ちょっと待てよ……。アゼル、お前がやりたいことっていったいなんなんだ? お前がここまで旅してきたのは、ニルフェルのことを無事に王都まで送り届けるためじゃなかったのか? 違うのか!?」

アゼル:
「……」

ギュリス(GM):
「……そのことだったらさ、アゼルはちゃんと目的を果たしたんだよ。ニルフェルは、ここからたくさんの護衛に守られて、王都まで安全に旅することができるようになった。それを可能にしたのは、ひとえにこれまでアゼルが人助けを続けてきてくれたおかげじゃない。あなたたちの献身があったからこそ、ユセフ様も護衛をつけてくれるって約束してくれたんだから。ね? アゼル。あなたはもう立派に目的を果たしたんだよ」そう口にするギュリスの顔には、皮肉交じりの笑みが浮かんでいます。

イーサ:
「そんな……。違うだろ? ニルフェルを誰かの手に委ねて王都に向かわせるつもりなら、最初からこんなところまで来るはずないだろ? 自分の手で送り届けたいからこそ、旅に出たんじゃないのか!?」

セルダル(GM):
 イーサの言葉を聞いて、セルダルがアゼルのことを睨みつけます。
「アゼル……。イーサはこー言ってるが、本当にそーなのかよ? これまでその目的を先送りにして、目先のことにばかりかまけてきたのはオマエ自身だろ? いまさらどの口で『ニルフェルを王都へ送り届けることが何にも勝る目的だった』なんてことが言えるんだ?」

イーサ:
「いや、それは――」

アゼル:
「いいんだ、イーサ。もう、いいんだ……」そう言ってイーサのことを止める。
「セルダル。お前の言うとおりだ……。いまさら俺が何と言おうが、これまでやってきたことが変わるわけじゃない」

イーサ&エルド:
「……」

アゼル:
 ユセフ様のほうへと目を向ける。
「ユセフ様。自分たちは借りた馬車を返すためにいったんこの村を離れます。そして、馬車を返し終えたら再びここに戻ってきますので、そのときにセルピルの話を聞かせてもらうわけにはいきませんか? 王都へ旅する必要がなくなれば、彼女に協力することに何の支障もありません」

ユセフ(GM):
 ユセフは少し驚いた様子で、「君はそれで良いのか?」と言うとともに、ちらりとギュリスのほうを見ました。

ギュリス(GM):
 ユセフの視線に、ギュリスは小さくうなずきます。

アゼル:
「ええ。ぜひそうさせてください」ユセフ様にそう答えてから、イーサとエルドのことを見た。
「さっき、ギュリス嬢が言ったとおり、馬車を借りたのは俺だ。イーサもエルドも、ギュリス嬢たちと一緒に行きたいならそうしてくれ。馬車は俺が責任を持って返しておく。そして、その後のことも、俺1人が決めたことだ。無理についてくる必要はない……」

イーサ:
「……そうか……。お前は、一度こうと決めたら、なかなかそれを曲げないからな……。わかった。俺もお前について行こう……」
 ――とは言ったものの、俺はアゼルについて行って、いったい何がしたいんだ? ……わからない。俺はいったい何をしようとしてるんだ!?
(しばらく悶絶する)

GM:
 キャンペーンの第4話が終わろうとしてる段階で、自分の目的が明確になってないのは問題ですよ(苦笑)。イーサとアゼルは、次のセッションまでにこれまでの行動などを見返して、キャラクターの土台を固め直しておいてくださいね。
 さて、エルドの回答がまだのようですが、エルドは今後どうしますか?

エルド:
「うーん……。申し訳ありませんが、僕はギュリスさんたちとイルヤソールに向かって、そこから王都を目指すことにします……」

アゼル:
 エルドならそう言うと思ったよ(苦笑)。

ギュリス(GM):
 エルドの決断を確認すると、ギュリスは「それじゃ、話はまとまったようだし、あたしたちはこれで自分たちの部屋に戻るね」と言って、席を立ちました。

ギズリ(GM):
 ギズリもギュリスに続いて席を立ち、部屋から出ていきます。

セルダル(GM):
 セルダルは、席を立ってアゼルとイーサのことをチラリと見ると、ボソリと声を発しました。
「それじゃぁな」

アゼル:
「ああ。お前にも迷惑をかけたな。ニルフェルのことをよろしく頼む」そう言って、アゼルは生まれて初めてセルダルに頭を下げた。

セルダル(GM):
 そんなアゼルに背を向けると、セルダルは「迷惑だなんて……一度だって思ったことねぇのによ……ッ」と吐き捨てるように言って、部屋から出て行きます。

アゼル:
 セルダルの言葉にパッと顔をあげ、去っていくセルダルの背中を見つめたまま立ち尽くす。

ニルフェル(GM):
 ニルフェルは最後までアゼルと目をあわせようとはせず、そのままセルダルの後を追って出て行きました。

エルド:
 それじゃ、僕も出ていきます。

GM:
 こうして、部屋にはイーサ、アゼル、ユセフの3人だけが残されました。

アゼル:
「では、ユセフ様。自分たちはさっそく馬車を返してきます。戻り次第、話を聞かせていただくので、それまでセルピルのことを待たせておいてください」

ユセフ(GM):
 ユセフはその決意のほどを確かめるかのように、アゼルの目を見つめます。
「うむ……。どうやら決意は固いようだな。……そういうことであれば、馬車を返しに行くのは少し待ちたまえ。その前に、これからセルピルのいる部屋へ行って、彼女を交えて話をするとしよう。君たちが彼女に協力するというのであれば、先に話を聞いておいたほうが無駄足にならずに済む……」そう言うと、ユセフは席を立ち、あなたたちを連れてセルピルの部屋へと向かいました。


GM:
 さてと……。エルド。あなたは、ユセフとアゼルとイーサの3人がセルピルの部屋に移動していくのを見かけることになります。もし、彼らの会話を聞いておきたいのであれば、セルピルの部屋の隣で“聞き耳”をすれば聞こえないこともありませんが、どうしますか?

エルド:
 それは、ぜひ聞いておきたいですね。

GM:
 では、ユセフたちも声を潜めて会話をするわけではないので、宣言だけで“聞き耳”に成功したということにします。話だけ聞いていてください。


セルピル(GM):
「アンタたち、本気なの?」
 イーサとアゼルが協力を申し出ると、それを聞いたセルピルは驚きの言葉を漏らします。

アゼル:
「ああ。だから詳しい話を聞かせてくれ」

ユセフ(GM):
 そうすると、「ならば、まず私のほうから話すとしよう……」と言って、ユセフが語り始めます。
「事の発端は今から3ヶ月ほど前。港湾都市クゼ・リマナに本部を構えるサディック商会所属のメフメトという名の年老いた商人がこの村を訪れた。メフメトは私に、この近くの鉱山で鉱石を採掘するときにでる石くれを高額で買い取りたいという奇妙な商談を持ちかけてきた」そう言うと、ユセフは懐の中から小さな石ころを取り出し、テーブルの上に置きました。

イーサ:
 その石ころに怪訝そうな目を向けた。
「それが、その商人が高額で買い取りたいと言ってきたという石なのか? ただの石ころにしか見えないが……」

ユセフ(GM):
「そうだな。魔法を使えない者にとっては、ただの石にしか見えん代物だ。だが、魔法を使える者が、しかるべき目で見れば……」

セルピル(GM):
 セルピルがユセフの言葉を引き継ぎます。
「アタシのような白魔法使いが“センス・マジック”の目で見ると、この何の変哲もない石がうっすらと光を放っているのがわかるんだよ。そういった反応を示す石は、妖精石って呼ばれるものなんだ」

アゼル:
「妖精石?」

セルピル(GM):
「そう。魔法を永続的に付与できる魔鉱石と呼ばれる鉱物とは違って、わずかなマナを一時的に宿すことができるだけの石で、普通は使い道なんてない代物なんだ」

ユセフ(GM):
「そんなガラクタ同然の石に、高い金を払おうと言うんだ。こちらにとっては旨味ばかりの取引ではあったが、うまい話には裏があるものだ。警戒心を抱いた私は商談成立を先延ばしにし、期間をおいてから再び訪ねてくれるように話して、メフメトには一度お引き取り願った。そして、すぐさま、セルピルたち“狐の尻尾”に、メフメトの調査を依頼したというわけだ」

セルピル(GM):
「で、仕事を請け負ったアタシたちは、メフメトを追跡してクゼ・リマナに向かったんだけど、そいつが所属してるサディック商会ってのが、厄介な組織でね……。表向きには商会ってことになってるけど、その実態は……」

アゼル&イーサ:
「バリス教団?」

セルピル(GM):
「そういうこと」

イーサ:
「まさか、バリス教団は妖精石を使って、何かやらかそうとしてるのか?」
 ――とは言っても、妖精石を使って何ができるのか、いまいちわかってないけどな……。

セルピル(GM):
「バリス教団が妖精石を使ってやってたこと……。それは、無色透明で無味無臭な、これまでに知られていない毒液の精製だったんだ。連中は、その毒液のことを“死神の鮮血”って呼んでた」

アゼル:
「それじゃ、お前のことを苦しめていた毒も……?」

セルピル(GM):
 セルピルはこくりとうなづきました。
「でも、“死神の鮮血”は、あくまでも研究の過程でできた産物でね。連中が本当に作り出そうとしてたのは、鮮血なんかじゃなくて吐息なんだ……」

イーサ:
「吐息?」

セルピル(GM):
「無色透明で無味無臭の毒ガス。それが“死神の吐息”」

アゼル:
 毒ガスかぁ……。それって、かなりやばい代物じゃないのか?

GM:
 もちろんです。もし、そんなものが人の密集する場所で使用されでもしたら、大惨事になりますよ。
 ……さて、ここまで情報を公開した段階で察した人はいないようなので、目標値9の記憶術判定を行ってもらいましょう。

アゼル&イーサ:
 ……?

アゼル:
(コロコロ)とりあえず10で成功したが、いったいなんのことだ?

GM:
 では、アゼルの脳裏には、これまでに見聞きしてきたいくつかのシーンが断片的にフラッシュバックします。


シシュマン(GM):
「サブリ……お前さん、アスラン商会からいくら借りたんだ?」

サブリ(GM):
「20万……金貨だ……。だが、すぐに返せるはずなんだ! 荷物をクゼ・リマナまで運べば!」


ニルフェル(GM):
「積荷の中身は何なんですか?」

サブリ(GM):
「そいつは……」サブリは口元に人差し指を当てると、「企業秘密さ。他の商人たちに真似されちゃ困るからな」と言って「はっはっはっ」とわざとらしく笑います。

ニルフェル(GM):
 ニルフェルは、後ろを振り向いて荷台に載せられた木箱に目を向けると、「鉱石ですか?」とさも当然のように尋ねました。


案内役の男の声(GM):
「お頭! 木箱の中には石が詰まってます!」

カダの声(GM):
「そうか。どうやらちゃんと持ってきたようだな。それじゃぁ、取引を始めよう」


アゼル:
 あー、なるほどー。そのことに気がつくと、はっとした顔でイーサに顔を向けた。
「サブリさんがクゼ・リマナに運ぶと言っていた積荷……。まさか、あれは……」

イーサ:
「鉱石を運んでいるらしかったが、中身は妖精石だったのか」

アゼル:
 ……とは言ったものの、だからなんだって感じなんだが(笑)。

GM:
(ガックリして)……せめて、あなたたちがサブリの商売を妨害しようとしていたカダやダットを退けるなどしてきたことで、間接的にではあるものの、妖精石を入手しようとするバリス教団の手助けをしてしまっていた事実だけでも、認識しておいてくださいね(苦笑)。

アゼル:
 なるほど(笑)。良かれと思ってやってたことが、実は……ってことなのか。それじゃ、一応セルピルにも、サブリの積荷のことを伝えておこう。
「実は、ここに来るまでの間に護衛を務めていた隊商の商人も、妖精石らしき荷物を運んでいた……」

セルピル(GM):
「そっか……。たしかに、バリス教団の連中は、妖精石が不足しているようなことを言ってたっけ……。おそらく、この村やその商人からだけでなく、いろんなとこから妖精石をかき集めようとしてるんだと思う。それで、材料となる妖精石が豊富に用意できたとなれば、吐息が完成するのも時間の問題だろうね……。もし、あのバリス教団がそんなものを手にしたら、いったいどうなると思う?」

イーサ:
「王国に対する過激な活動で有名なバリス教団だ。何に使うかは想像に難くないな……」

セルピル(GM):
「だよね……。アタシは、仲間のサイと共にバリス教団に潜入してそこまでの情報をつかむと、ユセフ様に報告するためにクゼ・リマナを後にしたんだ。だけど、途中で連中に気づかれちゃって、サイはアタシを逃がすためにおとりとなってその場に残った。それでもまだ追跡者全員を振り切ることができずに、アタシも毒の刃を掠められて、逃げている途中で意識を失っちゃったんだ」

イーサ:
「もう1人の、ハシムとかいう奴は?」

セルピル(GM):
「ハシムはバリス教団内には直接潜入せず、街での情報集めに専念してたから、アタシたちが街をでてからも、引き続き遠巻きにバリス教団の動きを見張ってもらう手はずになってたんだ。でも、サイがもし教団の手に落ちたとしたら、そこからハシムの存在も明るみにでちゃうかもしれない……」

イーサ:
「そうか……。だが、そこまでわかっているなら、それを官憲に訴え出ればいいんじゃないか?」

ユセフ(GM):
「いや、官憲に訴えようにも、セルピルの証言を裏付ける証拠がない……。表向き、サディック商会は公に認められた商会であり、メフメトはそこに所属する正規の商人だ。もし官憲が動いても証拠を押さえられなかったとしたら、大きな問題になってしまう。そのような状況では官憲もすぐに動きはしない。せめて、妖精石をもとに精製した毒か、その製造方法を記したものでもあれば、官憲も動かしやすいのだが……」

イーサ:
「なるほど……」

セルピル(GM):
「……とにかく、バリス教団の企てを阻止するとか、そういったことはユセフ様に任せるよ。それよりも、とにかくアタシはクゼ・リマナに残ったサイとハシムのことを救い出したいんだ。もし、2人がバリス教団の手に落ちていたとしたら、少数精鋭で相手に気取られないように行動しないと。官憲が大っぴらに動くようなことになれば、それこそ2人が無事でいられる保障はなくなっちゃうからね」

アゼル:
「……ならば、俺たちの行動は決まったな」

イーサ:
「ああ。俺たちがその少数精鋭ってわけだ」

セルピル(GM):
「それじゃ、本当に力を貸してくれるんだね? モノケロースを倒したアンタたちが協力してくれるなら、これほど心強いことはないよ」セルピルはそう言ってあなたたちに感謝の意を表したあとで、ユセフに対して「アタシ1人じゃなければ、もう止めたりはしないよね?」と確認します。

ユセフ(GM):
 ユセフはイーサとアゼルの顔を見た後で、セルピルに対して「ああ」と言って、力強くうなずいてみせました。
「私のほうでも、ヤナダーグ・プラト総督のハイダール様にこのことをお伝えし、そちらから何か手を打っていただけないか進言しておこう。うまくすれば、表向きはビューク・リマナ地方総督府への特使団ということで、鎮撫隊を差し向けてもらえるかもしれない」

セルピル(GM):
「うん。そっちはユセフ様に任せるよ。それじゃ、アタシたちはすぐにでも……」そう言うと、セルピルはイーサたちのほうを見て、「準備はできてる?」と確認してきます。

イーサ:
「どのみち、これから馬車を返すために出発する予定だったからな。サイとハシムを無事に救出するためにも、一刻も早くクゼ・リマナへ向かおう」

ユセフ(GM):
「ならば、クゼ・リマナへ向かう途中の移動には、ニメット川を下る小型船を使うといい。あれならば、街道を進むよりもずっと早く河口まで下ることができる。さっそく小型船の利用許可証を発行しよう。それと、小型船の船着場までは、護衛として自警団の者を同行させる。これで、少しは君たちの負担を軽減させることができるはずだ」

アゼル:
 おお。ありがたいな。

ユセフ(GM):
「では、これからすぐにそれらの手配を進める。その間、君たちはこの部屋で待機していてくれ」そう言うと、ユセフは部屋を出ていきました。


GM:
 さて、エルド。あなたは、そのような話を隣りの部屋で聞いていたわけですが……。

エルド:
 ふむ。なるほど。
「バリス教団……。それに、“死神の鮮血”と“死神の吐息”ですか……。面白いですね」そう呟いて、笑みを浮かべます。

GM:
 ――といったところで、宮国紀行の第4話を終了します。お疲れさまでした。

一同:
 お疲れさまでした。




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