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宮国紀行イメージ

宮国紀行 第5話(05)

 朝早くにファジルたち測量団の野営地を出発した一行は、馬を使った行軍によって、何事もなくあっさりQT地点に到着します。

ビューク・リマナ地方北東部地図03

GM:
 あなたたちがQT地点に入り、ニメット川の対岸に小屋らしきものが見えてきたのは7時半頃のことです。その小屋は川に面しており、川側には桟橋が併設されているのが見えました。

イーサ:
「どうやら、あれが船着場のようだな」

GM:
 船着場近くの南北両方の岸にはそれぞれ大きな杭が打ち込まれており、その間に丈夫そうなロープが張られています。デミルコル自警団の面々は馬から降りると、あなたたちを馬の背に乗せたまま、ロープを頼りに川を渡り始めました。その地点での水深は自警団の男たちの胸元まであり、見たところ水の流れも速そうではありましたが、自警団は難なく川を渡り終えました。

自警団団長(GM):
 対岸に渡った自警団の団長は、船着場の入り口の扉をノックします。

船着場の男(GM):
 すると、小屋の中から30代後半くらいの男が顔を出しました。
 男は自警団の面々を確認すると、「誰かと思えば、トルガ団長じゃないですか。久しぶりですね。今日は何の用ですか?」と問いかけてきます。

自警団団長トルガ(GM):
 トルガとその名を呼ばれた自警団の団長は、「彼らをここまで護衛するよう、ユセフ様から仰せつかってな」と言って、これまでの事情を含めてあなたたちのことを紹介してくれました。
「――というわけで、彼らは一刻も早くクゼ・リマナへ向かわんとしているのだが、船はあるだろうな?」

船着場の男(GM):
「ええ、もちろん。出す準備もすぐに整えられますよ。それで、小型船使用許可証は?」

イーサ:
「許可証ならこれだ」と言って、男に小型船の使用許可証を渡す。

船着場の男(GM):
 男は許可証にざっと目を通すと、「たしかに。それじゃあ、さっそく準備しますから、その間小屋の中で休んでいてください」と言って、船を出す準備に取り掛かります。

イーサ:
 小屋の中に入る前に、自警団に挨拶をしておこう。
「ここまでの護衛、ありがとう。おかげで助かった」

自警団団長トルガ(GM):
 それには団長のトルガが代表して、「いや、ここまで何事もなくたどり着けてよかった。それよりも、ここから先のほうがたいへんだろう。十分に気を引き締めて頑張ってくれ」と返します。

イーサ:
「ああ、わかった。それと、ユセフさんにもよろしく伝えておいてくれ」

自警団団長トルガ(GM):
「うむ、心得た。だが、我々はこれからカルカヴァンへ向かうことになっている。ユセフ様へその言葉をお伝えするのはしばらく先のことになるだろう」

アゼル:
 あ、そうか。バリス教団のことをヤナダーグ・プラト地方の総督府まで伝えに行くんだな。
「では、そちらも道中お気をつけて」

GM:
 そうやって挨拶を済ますと、自警団の面々は再び川を渡り、南へと馬を走らせました。
 さて、船着場に残されたあなたたちなんですが、小屋の中には4人の男たちの姿がありました。男たちはせわしく動き、桟橋があるほうの扉を出たり入ったりしています。そして、30分ほどしてからあなたたちに声がかかりました。

イーサ:
「よし、それじゃ行くとするか」

GM:
 桟橋のあるほうの扉を開けて外に出て行くと、そこには幅2メートル、長さ11メートルほどの小型船が浮かんでいます。

アゼル:
「これが船か……」と言って、俺は恐る恐る船に乗り込む。

GM:
 あー、もしかして、アゼルは現時点でチェイン・メイルを装備したままですか?

アゼル:
 ん? そのつもりだったが……。

船着場の男(GM):
 では、小型船に乗り込もうとしたアゼルに対して船着場の男が、「その格好で船に乗るつもりですか?」と心配そうに声をかけてきました。

アゼル:
「何か問題でも?」

船着場の男(GM):
「その格好じゃ、万が一川に落ちでもしたら助かりませんよ」

アゼル:
「川に落ちることがあるのか?」

船着場の男(GM):
「ここからしばらくは急流ですから、極々稀ではあるものの、場合によっては転覆することもあります。なので、その格好での乗船はあまりおすすめできませんね……」

アゼル:
「なるほど……。では、鎧は脱いでおくことにしよう」
 ここは素直にしたがっておく。鎧は荷物として運ぶことにしよう。

GM:
 では、鎧を脱いだアゼルが再び小型船に乗り込むと、その重みで船体が大きく揺れます。

アゼル:
「ぬおッ、ものすごく揺れるな……」
 海や大きな川に縁がないところで暮らしていた俺にとって、船に乗るのは初体験だからな。恐る恐る船べりにつかまっておこう。

イーサ:
 じゃあ、揺れが落ち着いたところで、俺も船に乗り込む。

エルド:
 僕もイーサさんに続いて乗り込みます。

 こうして小型船に乗り込んだ一行は、相談の結果、次のような配置で座ることにしました。

小型船座席表01

セルピル(GM):
 全員が小型船に乗り腰を下ろしたところで、セルピルが「アンタたち、船に乗るのは初めて?」と聞いてきます。

アゼル:
「ああ、生まれて初めてだ」

エルド:
「僕もです」

イーサ:
「俺もだ」

アゼル:
「お前たちもなのか?」
 そのわりには落ち着いてるな。

エルド:
 アゼルさんが慌て過ぎなんですよ(笑)。

セルピル(GM):
「アタシは、前回クゼ・リマナに向かったときにもこの船を使わせてもらったんだけど、結構揺れるから気をつけなよ。あと、特に船べりに身を乗り出さないようにね。川に生息している動物に、水の中に引きずり込まれるとたいへんだから」

アゼル:
「引きずり込まれる!?」

エルド:
 きっと、ニメット川にはマーマンが生息しているんですよ!

GM:
 基本的に聖域内でなければ、その手のデミ・ヒューマンは存在していませんけどね(笑)。

セルピル(GM):
「この川にはアーヴァンクっていう肉食動物が生息してるんだ」

GM:
 では、ここでアーヴァンクに対する動植物知識判定を行ってください。目標値は10・12・14です。

アゼル&イーサ:
(コロコロ)失敗。

エルド:
(コロコロ)12で成功です。

GM:
 ならば、エルドはアーヴァンクが大型のビーバーに似た動物であることがわかります。

アーヴァンク
 1メートル50センチほどの青黒いビーバーの姿をした肉食動物であり、川や沼などの淡水域に木や泥などを素材とした巣を作り、そこに一夫一婦とその子供たちによる2~6頭の1家族で暮らしています。非常に攻撃的な性格をしており、水辺に近づく動物を水中に引きずり込んでは、その鋭い爪と牙で捕食してしまいます。戦闘レベルは2とさほど高くありませんが、陸生動物は水中での戦闘に多大なペナルティを負ってしまうため、一度水中に引きずり込まれてしまうと、並の騎士程度の実力では太刀打ちできません。

エルド:
「アーヴァンクといえば――といった生き物ですね」と、アーヴァンクについてみんなに説明しておきます。

アゼル:
「そうか。なら、気を付けておこう」

セルピル(GM):
「それと、船そのものに襲い掛かってくるような動物と出くわしたときも危険だから、念のため気に留めておいてね。そのときには船を捨ててでも陸に逃げないと冗談抜きで死ぬから」

アゼル:
「船に襲い掛かってくる動物なんているのか?」

セルピル(GM):
「これくらいの小型船だと、超巨大なワニとかカバなんかが襲ってきたらヤバイかな。まあ、そんなのと出くわすことなんて滅多にないだろうけど……」

アゼル:
「うむ……。そんなのが襲ってきたら、船ごと沈みそうだもんな……。そもそも、この程度の大きさの船にこんなに人が乗っても大丈夫なものなのか?」

セルピル(GM):
「そりゃあ、本来は鉱石とか木材とかを乗せて運ぶための船なんだから、人の10人や20人くらいだったら大丈夫でしょ。少人数が乗っただけでも結構揺れるから、不安になるのもわからなくはないけどね」

エルド:
「まったく揺れないよりは、多少揺れたほうが面白いですよ」
 それで、激流ポイントを通過するときには、みんなで諸手をあげて歓声を上げればいいんですよね(笑)?

アゼル&イーサ:
(笑)

GM:
 やらなくていいです(笑)。
 では、川下りを始めますね。とはいっても、船の前方と後方にそれぞれ1人ずつ付いた船頭が、操船作業の一切をおこなってくれます。前方の船頭は、川底を突くための水竿と呼ばれる長い棒を持っており、後方の船頭は舵つかを握っています。

後方の船頭(GM):
 後方にいた船頭は、「では、出発します」と言うと、係船柱に結わいてあったロープを外し、桟橋を蹴って船を川の中央へと押し出しました。

GM:
 水の流れに乗った船は徐々に速度を増し、あれよあれよという間に船着場から離れて行きます。岸の景色が流れる速度は、馬を走らせるよりは遅く、徒歩よりは速いくらいになりました。このあたりの川の速度だと、10キロをだいたい1時間くらいで移動できます。

 小型船で川を下っている間は、遭遇判定で1ゾロを出さないかぎり敵との遭遇が発生しません。そして、疲労もたまりません。そのため、一行は船の上でのんびりとした時間を過ごすことができました。ただし、アゼルだけは船旅に怯えるロールプレイを続けていましたが(笑)。

ビューク・リマナ地方北東部地図04

前方の船頭(GM):
 船出から2時間後、小型船がRS地点に入ったところで前方の船頭が、「もう少しで、ヤナダーグ・プラト地方とビューク・リマナ地方の境にある船着場につきます」と声を発しました。

アゼル:
 俺は無言のまま、船にしがみついている。

GM:
 しばらくすると、前方に船着場が見えてきました。そのつくりは小型船に乗ったときの船着場とよく似ています。船頭は川底を水竿で突き、船着場の桟橋へと船を寄せて行きました。

前方の船頭(GM):
 船頭は船を桟橋に着けると、「では皆さん、一度船から降りて、ここで昼食をとってしまってください。出発は1時間後の予定です。その間に、我々は船の点検などを済ませてしまいますので」と説明しました。

アゼル:
 じゃあ、とっとと船から降りて小屋の中に入ってく。

GM:
 小屋の中には、この船着場に常駐している船頭が4人休んでいます。

アゼル:
 俺は慣れない船旅で、ちょっとぐったりしてる。小屋の中に椅子があるなら、そこにドカッと座って一息つくとしよう。

イーサ:
 そんなアゼルに近づいて行って、「だいぶ疲れてるみたいだな」と声を掛けよう。

アゼル:
「慣れない移動で緊張したせいだ。地に足がつかないのは苦手だ」

イーサ:
 見た目はゴツイくせに、意外と繊細なんだな。俺はそのままアゼルの近くに腰を下ろして、荷物の中から保存食を取り出し、それを食べ始める。

GM:
 では、そんなところで、何者かが小屋の岸側の扉をノックしました。

若い男の声(GM):
 ノックの音に続けて、「すみません。どなたかいらっしゃいませんか?」と若い男性の声が響きます。

GM:
 小屋で休んでいた船頭の1人が、その呼びかけに応じて扉を開けると、そこには学者風の格好をした誠実そうな青年の姿がありました。格好こそ学者風ではあるものの、彼はずいぶんと恵まれた体格をしており、栗毛色の長い髪を後ろでまとめています。年齢はアゼルと同じくらいでしょうか。

船着場の船頭(GM):
 船頭は青年の身なりを確認すると、「なにかご用ですか?」と声を掛けます。

学者風の青年(GM):
 すると青年は、「私はファルザードという旅の者です。実は、船に乗せて欲しいのですが……」と答えました。

船着場の船頭(GM):
 続けて船頭が、「ニメット川の小型船を使うには許可証が必要になりますが、許可証はお持ちですか?」と問うと――

ファルザード(GM):
 ファルザードと名乗った青年は、「いえ、許可証は持ち合わせていません。ですが、その代わり、それ相応の乗船賃をお支払いしますので、何とかお願いできませんかね?」とすがるように言ってきました。

船着場の船頭(GM):
 しかし、船頭は、「許可証がないんじゃダメですね。お金ではどうにもなりません」と、キッパリとそれを断ります。

GM:
 その2人の会話は、小屋の中にいる人たちにもハッキリと聞き取れました。

イーサ:
 この船着場に船は何艇くらいあるんだ?

GM:
 あなたたちが乗ってきた小型船を含めると3艇あります。

イーサ:
 そのどの船に乗るのにも許可証が必要で、お金を払っただけじゃ乗せてもらえないってことなのか?

GM:
 捉え方に誤解があるようなので、あらためて解説しておきます。
 あなたたちが乗っている小型船の所有権は、あくまでもデミルコルの氏族長であるユセフが持っています。他の小型船にもそれぞれ所有者がいます。その所有者の許可を得ずに船頭が勝手に乗船賃をとって使おうものなら、船頭は罰せられてしまうことでしょう。
 そして、小型船使用許可証は乗船を許可するものではなく船を使用することを認めるものです。あくまでも、“乗船”許可証ではなく、“使用”許可証ですからね。そのため、小型船に何を乗せるのかは使用者に委ねられます。

アゼル:
 ああ、なるほど、そういうことか……。

ファルザード(GM):
 ファルザードは一度断られてもすぐには引き下がらず、交渉を続けています。
「いまさっき、上流から船が入ってきましたよね? あれって、下流まで行くんじゃありません? さほど荷物を積んでなかったようですし、相乗りさせてもらうわけにはいきませんか? お願いしますよ。端のほうで構いませんので……」

アゼル:
 俺たちが乗ってきた船の定員数に、余裕はあるのか?

GM:
 本来であれば、鉱石などの重い物資を運ぶために使用されている船ですから、重量的にはあと50人は乗れますよ。まあ、スペース的にあと15人くらいが限界でしょうけどね。

アゼル:
 そうか。そんなに余裕があるんだな。

ファルザード(GM):
 ファルザードは、自分の後ろに控えている同行者の姿が船頭に見えるように、扉を大きく開きました。
「ほら。体力のない女性や幼い子も一緒なんですよ。彼女たちに歩いて川下まで行けと言うのは、少し酷な話ではありませんか? 陸路は何かと危険ですし……」

アゼル:
 じゃあ、立ち上がって、そのやり取りをしているところまで歩いて行って、船頭に声を掛ける。
「どうしたんだ?」

船着場の船頭(GM):
「いやぁ、彼らが船に乗りたいと言ってるんですが、許可証を持っていないようなので……」

アゼル:
「そうか」

GM:
 では、扉近くまで歩いてきたアゼルには、ファルザード以外に小屋の外にいる3人の人物の姿が確認できました。まず、目に入ったのは、腰まで伸びた長い黒髪を風になびかせる美しい女性の姿です。年の頃はアゼルと同じか少し上といったところでしょうか。そして、その女性の後方に、少し疲れた風体の30代前半の薄幸そうな女性と、その隣に立って手をつないでいる、まだ10歳に満たないであろう小さな娘の姿がありました。それぞれが、身の丈に合ったサイズの背負い袋を背負っています。

アゼル:
 ファルザードのほうを見て、「なにか困りごとでも?」と声を掛ける。

ファルザード(GM):
「それが、これからグネ・リマナへ向かうところなのですが、移動手段が確保できずに困っていたのですよ。陸路は何かと危険ですからね。旅慣れない者もいるので、船に乗せてもらえればと思ったのですが……」そう言って、ファルザードは母娘のほうへと目を向けました。

アゼル:
 たしかに船で移動したほうが安全だよな……。それじゃ、小屋の中を振り返ってイーサの名を呼んだ。
「イーサ、ちょっといいか?」

イーサ:
「ん? なんだ?」

アゼル:
「彼らが船に乗りたいそうなんだが、俺たちの乗ってきた船に乗せてやるというのはどうだ? 小さな子供もいるようだし……」

イーサ:
「……うーん。どうしたもんかな……」

セルピル(GM):
 そのやり取りを聞いていたセルピルは、覆面越しにエルドに視線を送ると、首を小刻みに横に振りました。同行させたくないというジェスチャーのようです。

エルド:
 では、僕はそれと同じ合図をアゼルさんに送ります。

アゼル:
 じゃあ、エルドの動きを視界の端に捉えてその意味を察し、ファルザードに対して「すまないが、少し待っていてくれ。仲間と相談してくる」と言って小屋の奥へと歩いて行った。そして、セルピルたちの近くまで来たら小声で、「川を下り終えるまでだ。相手は女子供連れだし、乗せてやらないか?」と言う。

セルピル(GM):
 アゼルの言葉に、セルピルは眉をひそめます。
「アタシは止しておいたほうがいいと思う。いまはできるかぎり、よそ者と一緒に行動するのは避けたほうがいいよ……。ただ、こうやってクゼ・リマナに向かえるのはアンタたちのおかげだし、最終的な決定はアンタたちに委ねるけどね」

アゼル:
「イーサとエルドはどう思う? できれば助けてやりたいんだが……」そう言って2人のことを見た。

イーサ:
「俺もセルピルと同じで、乗り気ではないな」
 目的をもって行動しているときには、それ以外のことには関わり合いにならないほうがいい。だいたい、こういった人助けは大抵ろくなことにならないって、これまでの経験で学んだからな。

アゼル&エルド:
(笑)

エルド:
「僕はどちらでも。皆さんに任せます」

アゼル:
 ちなみに、今回は皆に相談を持ち掛けたように、俺も自分の意見を押し切ろうとは思ってないぞ。俺だってちゃんと成長してるんだ。

イーサ:
 うーん。
(しばらく考えてから)
「……乗り気ではないが……ここはアゼルの判断に任せる……」

アゼル:
「そうか。わかった」
 じゃあ、ファルザードのところに戻って、「俺たちの乗ってきた船でよければ、一緒に乗っていくといい。あと、金は不要だ」と言う。

ファルザード(GM):
「それは助かります! いやあ、捨てる神あれば拾う神ありですね」そう言うと、ファルザードはアゼルに握手を求めてきました。

アゼル:
 握手を求められたなら、握り返そう。

ファルザード(GM):
「ありがとうございます。あらためて、私はファルザードと言います」そう言って、ファルザードは空いているほうの手もあなたの手に重ねると、深々と頭を下げました。

アゼル:
「俺はアゼルだ」

ファルザード(GM):
 その名前を聞くと、ファルザードはおやっという顔をしました。
「アゼロウルやアゼルザードではなく、ただのアゼルですか?」

アゼル:
「ああ。ただのアゼルだ」
 まあ、そのうちアザゼルとかになりそうだけどな(笑)。

エルド:
 アザゼルって……堕天でもするつもりですか(笑)?

ファルザード(GM):
 ファルザードは軽くほほえむと、「では、アゼルさん。しばらくの間よろしくお願いします」と言います。そして、自分の背後にたたずむ2人の女性と1人の少女のほうを振り向きました。
「私の同行者を紹介しておきます。こちらの長い黒髪の女性はシーラ」

シーラ(GM):
 名前を呼ばれた若い女性は、あなたたちに対して軽く会釈をします。その女性はとても整った容姿をしているのですが、表情は硬く、まるで人形のようです。

ファルザード(GM):
「そして、そちらの女性がブルジュさんです」そうファルザードが言うと――

ブルジュ(GM):
 シーラの少し後方にいた女性が、「ブルジュと申します」と名乗って会釈しました。ブルジュは継ぎはぎの目立つ貧層な格好をしており、どことなく疲れた雰囲気を醸し出してはいるものの、シーラとは対照的に柔らかい笑顔を浮かべています。
 自己紹介に続けて、ブルジュは隣にいる少女の頭に手を当てると、「娘のベステです」と言いました。

ベステ(GM):
 ベステと呼ばれた少女は、ちらりとアゼルのことを見ると、おびえた様子でブルジュのスカートの後ろに隠れてしまいます。

ブルジュ(GM):
 そんなベステに対して、ブルジュが「こら、ベステ。ご挨拶しなさい」とたしなめました。

ベステ(GM):
 しかし、ベステはあなたたちのことをあからさまに警戒しており、挨拶しようとはしません。

ブルジュ(GM):
「すみません。この子は人見知りなもので……」そう言って、ブルジュは申し訳なさそうに頭を下げました。

アゼル:
「いや、構わない。まあ、こんなところで立ち話もなんだ。小屋の中へ入ってくれ」と言って、笑顔で彼らのことを迎え入れよう。

 こうして、ファルザードをはじめとする4人が、一行の川下りに加わることとなったのでした。イスパルタを出発したとき以来の、大所帯での移動となります。




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