LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第5話(13)

 一足早く街に入ったイーサとエルドが第1市壁内で情報収集を行っていた一方で、アゼルとセルピルは16時頃にクゼ・リマナへと到着しました。

セルピル(GM):
「さてと……。それじゃあ、まずはババク亭に行ってみる?」そう言って、セルピルは覆面の下の視線をアゼルへと向けました。

アゼル:
「うむ」

セルピル(GM):
 セルピルは、クゼ・リマナ第1市壁外の街並みを歩きながら、「そこのお店がヤルダー酒場ね」「向こうの角に見えるのがミルザ亭だから」などと、これまで名前が出てきた施設の場所を教えてくれます。

GM:
 そうやって30分ほど街中を歩くと、アゼルたちはババク亭の前へとたどり着きました。

セルピル(GM):
 セルピルは覆面の上から口元を押さえながら、「ここがババク亭なんだけど……。アタシが表にでるわけにはいかないから、街の人との会話はアンタがしてね」と口にします。

アゼル:
「わかった。それで、部屋はどうする?」

セルピル(GM):
「どうするって?」

アゼル:
「同じ部屋でいいのか? 一応、男と女の2人きりだからな……」

セルピル(GM):
「ぷッ!」
 男と女というフレーズを聞いて、セルピルは軽く失笑しました。
「アンタ、結構気づかいするタイプなんだね。だけど、その気づかいは無用だよ。これまでも、アタシは“狐の尻尾”としてサイやハシムと同じ部屋で泊まることが多かったからね。まあ、変なことしようとしたら、ただじゃ済まさないけどさ」

アゼル:
「う……うむ……」

セルピル(GM):
「それと、もしものときには、アタシたちは連れだってことにしてもらっても構わないから」

アゼル:
「なるほど……。わかった。なら、入るか」
 それじゃ、セルピルを連れて宿屋の中に入って行った。

ババク亭の主人(GM):
 ババク亭の扉をくぐると、宿屋の主人が「いらっしゃい」とあなたたちを迎えます。

アゼル:
「2人部屋を1つ借りたい」

ババク亭の主人(GM):
「2人部屋1つだね。それじゃ80銀貨だよ」

アゼル:
 連れだってことをアピールするために、割り勘にせずに全額俺が払うとしよう。

GM:
 このシチュエーションで割り勘にしたら、それはそれで面白いですけどね(笑)。まあ、セルピルもあとで自分の分の宿代は払ってくれますから、キャラクターシートからは40銀貨減らしておいてください。

ババク亭の主人(GM):
「じゃあ、これが部屋の鍵だから。部屋は2階ね。ごゆっくり」

アゼル:
「う、うむ……。わかった……」
 部屋の鍵を受け取って2階の部屋に向かった。それで、部屋の中に入ってから、セルピルと相談を始める。
「さてと……。ハシムがどの部屋を使っていたかはわかっているのか?」

セルピル(GM):
「いや、さすがにそこまでは聞いてないなぁ……」

アゼル:
「そうか……。じゃあ、ここの主人にそれとなく聞いてみるとするか」

セルピル(GM):
「そうだね。……ところで、アタシは夕食までここにいてもいいかな? もし街の案内が必要っていうなら、一緒についてくけど……」

アゼル:
「ああ、お前はここにいてくれ。……それより、これから宿屋の主人に、ハシムがこの宿屋に泊っているなら、俺たちがハシムのことを訪ねてきたってことを伝えてくれと頼むつもりなんだが、ハシムに対して俺たちが味方であると伝えるのに、何かいい方法はないか?」

セルピル(GM):
「うーん……」
 セルピルはしばらく悩んだあとで、「それじゃ、ミマールの知人だって言えばいいよ。それでハシムには通じると思う」と答えました。

アゼル:
「ミマールの知人だな。わかった。では行ってくる」

GM:
 ……なんとなく予想はついていましたが、やっぱりミマールの名前には無反応なんですね……。

アゼル:
 あれ? ミマールって出てきたことある人だっけ? 覚えてないな……。よし、“記憶術”で思い出そう!

GM:
 本来、“記憶術”で思い出すのはPCの記憶であって、プレイヤーの記憶ではないんですけど(苦笑)。

アゼル:
 そうか、じゃあ思い出さなくていいか……。覚えてなくても支障はないだろうしな。

GM:
 たしかに支障はないかもしれませんが、アゼルはミマールの名前をメモ書きしてるはずなんですけどね……。

アゼル:
 ん? そうだっけ?(そう言って、メモを確認し始める)

シーン外のイーサ:
 ミマールってのは、カルカヴァン地下水道の案内役だな。貧民街にいた爺さんだ。

アゼル:
 あー。なるほど、なるほど(笑)。
 じゃあ、「ん? ミマールってカルカヴァンに住んでるあの爺さんのことか?」とセルピルに聞き返す。

セルピル(GM):
「アンタ、ミマール爺さんのことも知ってるんだ?」

アゼル:
「ああ。ちょっと世話になったことがある」

セルピル(GM):
「へぇ……。ミマール爺さんはカルカヴァン氏族の者にしか協力しないと思ってたけど、アンタもしかして、カルカヴァン氏族の誰かと知り合いだったりする? そういえば、少し前にも知り合いからサイ・カルカヴァンの名前を聞いたことがあるとか言ってたよね?」

アゼル:
「ま、まあ、いろいろあってな……。じゃあ、行ってくる」って答えを濁して部屋を出るが、余計なことを言ってしまったような気がしなくもない(苦笑)。
 しかし、どこでどんな縁がつながっているかわからないもんだな……。

 広い交友関係を有効に活用するというのも、PCの力のひとつだと思いますが、そもそも覚えていないのであれば仕方ありませんね(苦笑)。それがあるからこそ、個人の力量以上に活躍できるはずなんですけど……。

GM:
 それでは、アゼルは2階から降りて行き、ババク亭の主人のところへと向かいました。

ババク亭の主人(GM):
 アゼルの姿を確認した宿屋の主人は、「おや、お客さん。どうかしたかい?」と声をかけてきます。

アゼル:
 なら主人に対して、「俺の友人のハシムという男がここに泊まっているはずなんだが、いま部屋にいるようなら、ミマールの知人を名乗る者が訪ねてきたと伝えて、ここに呼んできてくれないか?」と頼んでみるが……。

ババク亭の主人(GM):
 そうすると、主人は、「たしかに、ハシムって名前のお客さんが部屋をとってるけど、あいにくとここ数日は部屋に戻ってきてないよ。まあ、もし戻ってくるようなら、いまのことは伝えておくけど」と答えました。

アゼル:
「ああ。頼む」
 それだけ聞いたらいったん部屋に戻って、セルピルにもそのことを伝えておく。

セルピル(GM):
「――そうか、ハシムの奴戻ってきてないのか……」そう言ったセルピルの顔に、うっすらと影が落ちます。
「サイが捕まってアタシたちのことを話したか、ハシムが深入りしすぎたか……。どちらにしても、いい方向には運んでないみたいだね……。そうすると、これからはアタシたちの名前とかもむやみに口にしないほうがいいかもね。アタシもできる限り表にでないようにするよ」

アゼル:
「うむ。そうだな。……とりあえず、俺は街を見てくる。サブリさんがこの街に来てるかもしれないしな」

セルピル(GM):
「そのサブリって人、たしかバリス教団と取引してるかもしれないっていう商人だったっけ? ……たしかに、ハシムと連絡が取れないんじゃ、バリス教団内部に潜入する手段を見つけるためにも、その人と接触しておいたほうが良さそうか……」

アゼル:
 とは言っても、俺は人探しとか情報収集が得意じゃないからなぁ……。技能がないのはもちろんだが、プレイヤーが苦手だから(苦笑)。

 イーサに続き、アゼルもこの発言。そして、積極的に動こうとはしないエルド……。このパーティー、シティ・アドベンチャーを進めていくうえで、いろいろと問題があるのでは……(汗)。

セルピル(GM):
「あとは、エルバート信者でないことを公言したうえで腕っぷしが強いことをみせつけていれば、バリス教団の連中が接触をとってくるかもしれないから、それに賭けてみるって方法もあるけど……」

アゼル:
「そういうのはあまり得意じゃないんだが……」

セルピル(GM):
「うーん、そっか……。じゃあ、そういったことは、あっちの2人にお願いしたほうがいいのかなぁ?」そう言ってセルピルは頭をかきました。

アゼル:
 とりあえず、俺は宿屋から出て行く。それで……雑貨屋の辺りをぶらついてみるかな。昼飯も食い損ねてるから、途中で店に入って飯を食おう。


GM:
 では、雑貨屋を訪れたアゼルは、目標値9の知力判定を行ってください。

アゼル:
(コロコロ)8で失敗。

GM:
 ならば、特に気づいたことはありませんでした。20時までは情報収集タイムとなりますが、アゼルはその間どんなことをしますか?

アゼル:
 うーん……。下手に動くとまずいことになりそうだから、20時までブラブラして時間をつぶすことにする。

GM:
 了解です(苦笑)。


GM:
 それでは、20時近くになり、アゼルはセルピルの待機するババク亭へと戻ってきました。

アゼル:
「ただいま」

セルピル(GM):
「おかえり。街での情報集めはどうだった?」

アゼル:
「いや、とりあえずそこら辺をぶらぶらしてきただけだ」

セルピル(GM):
「はぁ? 遊んでたの!?」

アゼル:
「まあ、なんというか……。下手に動くとあれだからな……」

セルピル(GM):
 セルピルは軽くため息をつきました。
「……まあ、なんとなく、そんなことだろうとは思ってたけど……」

アゼル:
「ところで、お前はあまり出歩かないほうがいいと言っていたが、イーサたちとの情報交換にはついてこないのか?」

セルピル(GM):
「アタシは行くつもりでいたんだけど、どっちがいい? 必要がなければ、ここで待機してるけど……」

アゼル:
「なら、ついて来てくれ。十分に警戒してな」
 ――というわけで、セルピルを連れてヤルダー酒場に向かう。

セルピル(GM):
 では、セルピルは部屋を出るときからアゼルの腕をとって寄り添い、いかにも夫婦といった感じを装います。

アゼル:
 ちょっと驚くが、納得してそれに応じた。そうだった、連れを装うんだよな。

GM:
 こうして、アゼルとセルピルもヤルダー酒場へと入り、4人は合流を果たしたのでした。




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