GM:
真夜中の3時頃、ダット率いるバリス教団穏健派の戦士たちは、サーラール一派のアジトとなっているオズディル城まであと少しのところに迫っていました。一団は徐々に馬の速度を落とし、密集していきます。
ダット(GM):
ダットは、あなたたちの近くまで馬を寄せると、「そろそろ別行動をとることにしよう。海岸線沿いにもう少し進めば、目的地であるオズディル城が見えてくる。俺たちはここでいったん陣形を整え、準備が整い次第攻撃を開始する予定だ。お前たちは先に行って城の裏手を目指してくれ」と言ってきました。
アゼル:
「わかった」
ダット(GM):
ダットは別れ際にこう言い残します。
「いいかよく聞け。いざというとき、命をかえりみるなよ。たとえ、1人2人の命を捨てることになろうとも、奴らのやろうとしていることは阻止せねばならん。なんとしても、サーラールを討てッ! 必ずだッ!」
アゼル:
「心得た!」
エルド:
……約束したのはアゼルさんだけです。僕は無関係ですから、巻き込まないでくださいね。
アゼル:
いや、心得たと答えはしたが、いざそのときになったらどうするかはまた別の話だ。実際にどう行動するかは、そのときになってみなくちゃわからない!
イーサ:
なんという口約束(笑)。
エルド:
つくづく最低な人ですね(笑)。
イーサ:
おかしいな……。俺のイメージだと、アゼルは、「そんなこと言われなくてもわかってる。あんな危険な奴らを生かしておけるかッ!」くらいのことを言う奴だったんだが……。
エルド:
それもまた、ずいぶんと殺気に満ちた台詞ですが(笑)。
GM:
意気込んでもらう分には構いませんけど、せめてもう少し言葉を選びましょうよ(苦笑)。「放っておけるか」とか……。
アゼル:
よっしゃー、ヤッてやるぜッ! 奴らまとめて皆殺しだーッ(笑)!
イーサ&エルド:
(爆笑)
ハメを外して話し始めると、途端に水を得た魚のごとく盛り上がる彼ら。やっぱり、シリアス路線のキャンペーンにするべきではなかったんじゃないかなと思うGMでした(汗)。
GM:
さて、そのようにしてダットたちと別行動をとることとなったあなたたちは、ダットたちに先駆けて、徒歩でオズディル城が目視できるところまで近づいてきました。あたりは真っ暗ですが、正面入り口付近に焚かれたかがり火の明かりが遠目に見えます。時間の経過と共に、徐々に海風が強くなってきており、かがり火の炎は大きく揺らいでいます。
崖のふちを西側から回り込んで城の裏手を目指すのであれば、城の周囲を巡回する2人1組の歩哨とニアミスするたびに潜伏判定を行ってください。歩哨側は、その値を目標値として捜索判定を行うことになります。相手の値以下だと発見されてしまうので気を付けてくださいね。
セルピル(GM):
このタイミングで、セルピルは“プレアー”を唱えました。(コロコロ)発動。
イーサ:
俺も“プレアー”を唱えておく。(コロコロ)発動。
「じゃあ、行くとするか」
エルド:
あの……。僕が先行して、安全を確保したうえで後続を手招きすることにしたら、後続の判定にボーナスをつけてもらえませんか?
GM:
いいですよ。安全を確保したあとで後続が付いて来るというのであれば、後続が歩哨とニアミスしたときの判定に+2のボーナスをつけることにします。しかし、現在は夜間なので、普通に手招きしたのでは後続との意思疎通ができません。連絡手段として、ほかの方法を考えてください。
エルド:
うーん……。たとえば、後方に石を投げつけるというのではどうでしょう?
GM:
それだと、石を投げた音が歩哨にも聞こえてしまう危険性がありますね。
エルド:
もちろん、歩哨が十分に離れたときを見計らって石を投げるつもりですけど……。
イーサ:
エルドにも俺たちのいる場所は見えないんだろ? そうすると、石を投げて合図するのは難しくないか? それなら、ロープの端を互いに持って、それを引っ張って合図を送ってもらったほうがいいと思うが。
GM:
そんなピアノ線じゃあるまいし、ロープを引きずって移動なんてしてたら、それこそ見つかってしまいますって(笑)。
イーサ:
だったら、俺が“インフラビジョン”を使っておくか。そうすれば、闇の中でもエルドの手招きが見えるようになる。(コロコロ)発動。これで問題ないよな。
こうして、一方通行ではあるものの意思疎通手段を確保すると、エルドが1人先行して城の裏手まで回り込むことになりました。エルドのほうでも“サウンド・キャリー”を使えば相互に合図することが可能ですが、精神点が残り少ないのでここでは温存です。
GM:
では、エルドが城の裏手まであと3分の1というところまで進んだところで、松明を手にした歩哨が巡回してきました。歩哨側は“索敵”してきますので、身を隠すのであれば潜伏判定を行ってください。歩哨側の達成値は(コロコロ)5です。
エルド:
潜伏判定は、(コロコロ)11で成功しました。しばらく“潜伏”を続けて、歩哨が十分に離れたところで、後ろを向いて手招きします。
イーサ:
「よし、進もう」
アゼルとセルピルを連れて、エルドのいるところまで向かう。
エルドの働きのおかげで、1回目の巡回はうまくやり過ごすことができました。そして、そのまま一気に城の裏手に回り込もうとする一行でしたが――
GM:
じゃあ、ここで全員、聞き耳判定を行ってください。(コロコロ)目標値は8です。
エルド:
(コロコロ)成功しました。
GM:
ならば、エルドは正面入り口側から足音が近づいてくることに気がつきました。そちらを確認すると、2人組みの歩哨が、あなたたちのほうに向かってきています。
エルド:
「見張りと思われる2人組みが近づいてきています」とほかの人にも知らせます。
先ほどやり過ごした歩哨が1周してきたわけじゃないですよね?
GM:
それにしては、さすがに速すぎますね。
エルド:
「警戒が強まっているせいで、歩哨の数が増えているんでしょうか?」
イーサ:
「ひとまず、隠れてやり過ごそう」
GM:
隠れてやり過ごすのであれば、潜伏判定をどうぞ。今回はエルドも安全な場所に留まっているわけですから、判定に+2のボーナスを加えて構いません。(コロコロ)歩哨側の達成値は6です。
一同:
(コロコロ)成功。
GM:
では、歩哨はあなたたちの存在には気づかず、そのまま通り過ぎていきました。
アゼル:
これは、もう少し待って次の歩哨がどれくらいのタイミングで回ってくるのか確認したほうがいいか?
イーサ:
そうだな。じゃあ、次の歩哨がくるまで、ここで隠れてるか。
GM:
そうすると、10分もたたないうちに、さらに2人組の歩哨が回ってきました。潜伏判定をどうぞ。(コロコロ)歩哨側の達成値は8です。
イーサ&エルド:
(コロコロ)成功。
アゼル:
(コロコロ)あッ!? 危ねぇ……。ギリギリ9で成功。
GM:
ならば、今度の歩哨も、あなたたちには気がつかずに城の周囲を巡回していきました。
イーサ:
結構短時間で回ってくるみたいだな。今のうちに城の裏手に向かおう。
こうして、なんとか歩哨に気づかれずに城の裏手に回ることができた一行は、ここで潜入の機会をうかがうことにしました。
アゼル:
俺はいまのうちにチェイン・メイルを着込んでおく。
GM:
了解です。では、アゼルは10分かけてチェイン・メイルを装備することになります。その間に、アゼル以外の人は聞き耳判定をどうぞ。目標値は12です。
エルド:
(コロコロ)成功しました。
GM:
ならば、エルドは城の正面側からかすかに剣を交える音が響いてくることに気がつきました。それと、10分未満の間隔で巡回していたはずの歩哨が、アゼルがチェイン・メイルを装備しはじめてからというもの、一向にやってきません。
エルド:
「イーサさん。どうやら、ダットさんたちの襲撃がはじまったようですよ」
イーサ:
「よし。それじゃ、俺たちも城内への潜入を開始するぞ」
貯蔵庫と城の間を抜けて、勝手口を目指す。
GM:
では、あなたたちは誰にも邪魔されることなく、調理場の勝手口の前までたどり着きました。外側から見たところ、勝手口の扉につがいが見当たらないことから、その扉は建物の内側向きに開くだろうことが推測できます。
エルド:
扉に近づいて、“聞き耳”をします。(コロコロ)達成値は9です。
GM:
(コロコロ)……扉の奥からは、ガタンという音が聞こえました。金属音ではありませんが、扉の奥で何かが動いているようです。
エルド:
「扉の奥に、何者かの気配を感じますが、どうしますか?」
イーサ:
たしか、“聞き耳”は連続判定可能だったよな……。
「もう少し、中の状況がわかる音が聞き取れないか試してくれないか? もしかすると、ダットたちの襲撃の影響で調理場が無人になるかもしれない」
エルド:
「わかりました」
では、再度“聞き耳”をします。(コロコロ)達成値は12です。
GM:
(コロコロ)……ならば、エルドは調理場に人の気配を4つ感じ取ることができました。
エルド:
「人の気配を4つ感じます……」
アゼル:
「どうする? 突入するか? どこかに行ってくれるような感じもないし」
エルド:
「いま中になだれ込めば、不意を打てるかもしれませんよ」
イーサ:
「そうだな。騒がれる前に羽交い絞めにできればいいんだが……」
エルド:
そういうことであれば、後ろに下がります。
イーサ:
「それじゃ、俺が扉を開けるから、アゼルはその瞬間に突入してくれ」
アゼル:
「了解だ」
GM:
そうすると、扉を開けた瞬間に相手にも気づかれてしまうので、ルール上の“不意打ち”扱いにはなりませんが構いませんか? まあ、いきなり突入するのであれば、前もって相手側に戦闘準備を整えられてしまうということはないでしょうが……。
イーサ:
ん、そうか……。まあ扉を開ける以外に選択肢がないから仕方ないな。予定どおり扉を開けて突入する。
GM:
では、扉を開けたところであなたたちの目に入ったのは、奥行き20メートルほどある大きな調理場です。その部屋の奥にあるテーブルでは、4人の男たちがカードをしていました。男たちは、扉が開けられたことに反応して、椅子から立ち上がります(そう言って戦闘マップを公開する)。
GM:
男たちのうちの1人はラメラー・メイルを、そのほかの3人はハードレザー・アーマーを装備しています。全員が腰から片手剣を提げていますが、まだ抜刀していません。
では、イーサが扉を開いた直後から戦闘処理を開始します。
イーサ:
金属鎧を装備してる奴がいるのか。厄介だな……。
班長(GM):
金属鎧を身につけた班長は、あなたたちを見るなり、「賊かッ!?」と声をあげました。
アゼル:
一気に攻めるぞ。警備兵Bに背後から接敵!
エルド:
あ、アゼルさん、そこに移動したのではセルピルさんの射線を塞いでしまいますよ。
アゼル:
そうか……。それじゃ、1つ隣に移って、警備兵Aに背後から接敵する。
セルピル(GM):
視界が通ったところで、セルピルがつがえていた矢を警備兵Bに向かって放ちました。(コロコロ)命中値は12。
警備兵B(GM):
警備兵Bはそれに反応し、後ろを振り向いて……(コロコロ)回避成功です。
エルド:
警備兵Bが回避したってことは、矢はその先にいる警備兵Cに当たるんでしょうか?
GM:
はい、誘導性のない射撃などはその可能性があります。その場合、射撃者が望む結果を宣言し、その後に《2D》の判定を行って、7以上が出たら射撃者の宣言した結果に、そうでないときは逆の結果になります。つまり、同一マスに複数対象存在したときの命中判定と同じ処理ですね。
セルピル(GM):
というわけで、セルピルとしては警備兵Cに矢が当たることを希望します。(コロコロ)矢は狙い通り警備兵Cに向かいました。
警備兵C(GM):
警備兵Cの回避は(コロコロ)失敗。
「ギャーッ!」
一同:
(爆笑)
アゼル:
ちょうど警備兵Bが目隠しになって、矢が飛んできたのが見えてなかったんだな(笑)。
シュールな光景でしたが、とても理解しやすい流れです(笑)。
この後、アゼルに続いてイーサとエルドも部屋の中に飛び込んでいきました。
イーサ:
部屋の中に入ったら、班長に側面を向けてアゼルと背中をあわせる形にしておく。班長は俺が足止めしておくから、その間にアゼルは警備兵を倒してくれ。
アゼル:
了解した。
警備兵A(GM):
では、そのアゼルに警備兵Aが斬りかかってきます。(コロコロ)命中して、ダメージは9点です。
アゼル:
「クッ!」
2点ダメージが通った。
こっちからもお返しだ。警備兵Aに斬りかえした。(コロコロ)う……届かない。ミスだ。
「こいつ、手練れだッ! 手ごわいぞッ!」
ただ単にアゼルの出目が悪かっただけで、警備兵たちの戦闘レベルは1に過ぎず、とても手練れとはいえません。とんだ勘違いです(笑)。そのため、次にアゼルが攻撃してみると――
アゼル:
警備兵Aに対して攻撃。(コロコロ)命中して、ダメージは1回クリティカルで21点!
警備兵A(GM):
その一撃を受けて、警備兵Aは倒れました。(コロコロ)昏倒です。
――警備兵Aは、たった一発で倒されてしまいました。
イーサ:
敵の数が減ったから、もう背後を空けておいても大丈夫だな。
じゃあ、俺は班長のほうを向いてメイル・ブレイカーで斬りつける。(コロコロ)ミス。
班長(GM):
イーサと向き合う形になった班長は、警備兵Aが一撃で倒されるのを目撃したことで、自分たちだけでは太刀打ちできないと悟り、「敵襲だッ! 敵襲ーッ!」と大声を張り上げます。
この後、班長の攻撃によってアゼルが士気判定を必要とするほどの深手を負いはしたものの、一行は優勢を維持したまま戦闘を進めていきました。そして、アゼルがほかの警備兵もなぎ倒すと、最後は全員で班長を取り囲む格好となります。
イーサ:
班長の背後から“急所狙い”をつけて攻撃。(コロコロ)命中して、2回クリティカル! ダメージは合計15点!
班長(GM):
では、イーサのメイル・ブレイカーによって背後から胸を貫かれた班長は、「こ……この賊め……」とうめいて崩れ落ちました。(コロコロ)絶命です。
こうして、調理場の警備兵たちを殲滅した一行は、人知れず潜入とまではいかなかったものの、何とかオズディル城への侵入を果たしたのでした。さあ、ダンジョン探索の始まりです。
おまけ:戦闘ログ、戦闘中の大まかな動き