LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第5話(27)

 螺旋階段を下りてきた一行は、サイとハシムの姿を求めてオズディル城の地下1階を捜索することにしました。

エルド:
 では、扉を開ける前に、“聞き耳”しておきます。(コロコロ)達成値は12です。あと、この扉に鍵はかかっていますか?

GM:
 特に変わった音は聞こえませんね。静まり返っているようです。扉には鍵はかかっていません。

エルド:
「扉の奥は無人のようです。鍵もかかっていません」

アゼル:
 じゃあ、エルドにかわって、俺が扉を開けよう。扉を開けた先はどうなってるんだ?

GM:
 扉を押し開けた先には、長い通路が続いていました。通路のすぐ右手には金属の扉が、そして通路を30メートルほど進んだところの突き当りに木製の扉が見えます。なお、右手の扉には鍵穴がついています。

エルド:
 右手の扉に対して“聞き耳”してみます。(コロコロ)6ゾロで成功しました。

GM:
 ならば、エルドは扉の奥に人の気配を感じました。ただし、扉を隔ててすぐに人がいるわけではなく、少し離れたところで動いている人がいるようです。聞こえる音は、扉を開け閉めする音であったり、引き出しが開け閉めされる音であったり、何かを引きずるような音であったりします。その雑多な音は、とても1人の人間によるものではありませんね。扉の先には、少なくとも3~4人の人間がいるものと思われます。

アゼル:
 スゲェー、そこまでわかるのかよ! さすが6ゾロだな(笑)。
 じゃあ、次は突き当りの扉のほうで“聞き耳”してもらうとするか。……あ、でも待てよ……。さっき螺旋階段で戦ったときの音は、扉の奥にも響いているはずだよな? そうすると、この扉を無視して突き当りの扉に向かった場合、前後から挟み撃ちされるってことも考えられるわけだ。

エルド:
 その可能性もなくはないでしょうけど、少なくともこの扉のすぐそばに人の気配はありませんでしたよ?

アゼル:
 いや、ここは念のため、俺がこの扉の前で待機していよう。扉が開きそうになったら、それを妨害する。

エルド:
 好きにしてください。では、僕は正面突き当りの扉のところまで歩いて行って、そこで“聞き耳”してみます。(コロコロ)達成値は10です。

GM:
 突き当りの扉の奥からは、特に物音は聞こえませんでした。それと、扉の前まで行ったので、その扉には鍵穴がないことに気がつきました。

アゼル:
 うーん、音は聞こえなかったか……。てっきり、この階に牢屋があるものと思ってたが、やっぱり牢屋は最下層にあるのか? それで、毒の研究室もその近くにあって、囚人を実験に使ってるとか?

イーサ:
 まあ、憶測だけで考えてもらちが明かないから、この階から下の階に向かって手あたり次第に調べていこう。まずは正面の鍵がかかってない扉の奥からだ。今度は全員で扉の前までいくぞ。ついたら、俺が扉を開ける。ガチャッ。

GM:
 イーサが扉を押し開くと、その先にも廊下が続いています。ただし、さほど長くはありません。正面の突き当りまでは15メートルほどで、突き当りの右手には鉄格子の扉があり、その手前には木製の扉があります。

エルド:
 手前の扉の前で“聞き耳”してみます。(コロコロ)達成値は11です。

GM:
 では、エルドには次のような男たちの声が聞こえました。

男A(GM):
「――わっはっはっ。それで、そのあと行った店はどうだったんだ?」

男B(GM):
「まあ、悪くはなかったが、所詮あの界隈にある店じゃたかが知れてる。たまにはもっといい店に行きたいもんだよな。わっはっはっ――」

GM:
 声の響き方からすると、どうやら扉の奥には部屋があり、そこで2人の男が会話しているようです。

エルド:
 なるほど……。では、次は“忍び足”で鉄格子の前まで進んで先を覗いてみます。(コロコロ)達成値は12です。

GM:
 ならば、エルドはなにごともなく鉄格子の前まで来ました。
 鉄格子の先を覗くと、その先には照明がありません。光が届く範囲を見た限りでは、北に向かって通路がのびており、途中で下り階段になっていることがわかります。

エルド:
 それだけ確認したら皆のところに戻って、確認したことを報告します。

アゼル:
(しばらく考えてから)
「なるほど……。つまり、その階段の先が監獄になってるわけだ。そうすると、鉄格子を開ける鍵は手前の部屋にあるな。おそらく手前の部屋が看守室なんだろう」

エルド:
「では、手前の部屋に突入しますか?」

アゼル:
「……いや、まてよ……。鍵を使わず、針金とかで鉄格子を開けることもできるんじゃないのか?」
 たしか、“鍵開け”って失敗しても連続判定できるんだよな?

GM:
 ええ。ただし、連続判定するごとに行動にかかる時間が長くなってしまいますけどね。それと、“鍵開け”で1ゾロを振ってしまった場合、鍵穴が壊れてしまい、正規の鍵でも開けられなくなってしまうので注意してください。

イーサ:
 まあ、エルドは1ゾロなんて出さないから大丈夫だろ。
「よし、エルド。それじゃ、鉄格子の鍵開けを試みてくれ」

エルド:
「わかりました」
 “鍵開け”の達成値は(コロコロ)13です。

GM:
 残念ながら、その値では鍵は開きません。

アゼル:
 うーん、やっぱり、鉄格子はそう簡単に開けられないか……。

イーサ:
「じゃあ、あらためて看守室に突入しよう」
 手前の部屋の扉の前に立って、ダガーを構えてから木の扉を開け放った。

GM:
 了解です。そうすると、看守室はこんな感じになっています(と言って戦闘マップを提示する)。

オズディル城・看守室

GM:
 部屋の中には、小さなテーブルを挟んで戦盤を指している2人の看守の姿がありました。突然扉が開いたことで、看守たちは驚いた表情をしています。
 では、戦闘を開始します。

エルド:
 また、僕が一番手ですね。では、“迎撃移動”で看守室の中に飛び込みます。

看守A(GM):
「あわわわ! な、なんだこいつらッ!?」
 看守Aは慌てふためいています。

エルド:
「どうも、侵入者です」
 問答無用で看守Aに攻撃します。(コロコロ)命中して、2回クリティカル。17点ダメージです。

イーサ:
 またクリティカルか。もう止まらないな(笑)。

看守A(GM):
「うッ!」
 看守Aはその一撃で倒れました。(コロコロ)絶命です。

アゼル:
 俺も看守室に入って看守Bに攻撃。(コロコロ)命中。ダメージは9点。

看守B(GM):
「ぎゃッ!」
 看守Bのほうは一撃では倒されませんでしたが、それでも生命点を半分削られてしまいましたので、士気判定に入ります。(コロコロ)失敗したので戦意を喪失しました。
 続いて、看守Bの行動なんですが、この状況ですからね……。
「や、やめてくれッ! 命だけは助けてくれーッ!」と両手をあげて、看守Bは命乞いをはじめました。

アゼル:
「だったら、抵抗せずに大人しくしてろッ!」と言って剣先を突きつける。
 これで戦闘終了か? だったら、看守を縛り上げる。猿ぐつわもしておこう。

GM:
 看守を縛り上げるのであれば、ロープなど縛る物を2メートル分消費しておいてください。

アゼル:
 む……。俺はロープを持ってないな……。

イーサ:
 じゃあ、俺の持ち物からロープを消費しておこう。
 看守の拘束が終わったら、部屋の中を見渡してみるが、鉄格子の鍵は見当たるだろうか?

GM:
 看守室の中を探してみると、壁に備え付けられている箱状の入れ物の中に、8つの鍵がつけられた鍵束が2セットと、バラの鍵が2本入っているのをみつけました。鍵束にはそれぞれ小さな布きれが縛り付けられており、片方には東側、もう片方には西側と書かれています。

エルド:
 では、鍵を持って部屋の外の鉄格子の扉まで向かいましょう。そして、手に入れた鍵で鉄格子の扉を開けます。

GM:
 ならば、バラの鍵のうちの1本で、鉄格子の扉を開けることができました。

エルド:
 そういえば、この先は照明がなくて暗いんでしたね……。あたりに持って行けそうな明かりはありますか?

GM:
 看守室にはランタンが置かれていましたよ。

エルド:
 じゃあ、看守室戻ってそれを取ってきてから、奥に進んでみることにします。

アゼル:
 この先に敵はいないだろうし、先の調査はエルドに任せて、俺はここで後ろから敵が来ないか見張ってることにする。できれば、回復できる奴も一緒に残って欲しいんだが……。

イーサ:
 じゃあ、俺がアゼルと一緒に残ろう。サイとハシムがいた時に確認してもらう必要があるから、セルピルには牢屋に行ってもらわないとな。

セルピル(GM):
 では、セルピルはエルドの後ろに続いて鉄格子の扉をくぐると、地下への階段を下って行きました。


GM:
 下り階段はゆうに1階層分続きます。下りていくに従い、周囲の空気が湿り気を帯びてきました。階段を下り切ったところの左手には、分厚い鉄製の扉が見えます。また、通路自体は真っ直ぐ続いており、その先には鉄格子の扉が見えました。

シーン外のアゼル:
 左手の扉の厚みが見えたってことは、その扉はスライド式なのか?

GM:
 ええ、そうです。その扉には無骨なフック型の鍵がつけられています。

エルド:
 ここでいったん“聞き耳”してみます。(コロコロ)達成値は14です。

GM:
 相変わらず出目がさえてますね。それならば、左手の扉の奥からは何も聞こえませんでしたが、正面に続く通路の先から「うをぉぉぉ……うをぉぉぉ……」といったうめき声が聞こえました。

シーン外のイーサ:
 それって人間の声なのか? グールとか、そういったたぐいの声に聞こえるが(笑)。

エルド:
 それでは、まず左手の鉄の扉の奥を調べてみましょう。鉄の扉を動かしてみますが、開きますか?

GM:
 フックを外してから扉に横方向の力を加えると、その扉は重厚な音を立てながらスライドして開きます。その奥に現れた空間は、看守室の2倍ほどの大きさがある部屋でした。
 部屋の中には数々の拷問器具が置かれており、床にはドス黒いシミがついています。また、部屋の南側には木製の扉が見えました。周囲に人の気配は感じられません。

セルピル(GM):
 拷問器具を目にしたセルピルは、顔をしかめます。

エルド:
「人の気配はありませんね……」と言って、鉄の扉を閉じます。そして、あらためて通路の先へと向かいます。鉄格子の扉は、手持ちの鍵で開きますか?

GM:
 はい。バラの鍵のうち、先ほど使ったのとは違うほうの鍵で開きました。
 鉄格子の先はT字路になっていて、通路が東と西に分れています。

エルド:
 うめき声というのは、どちらから聞こえてきているんでしょうか?

GM:
 どちらからも、それぞれ別の声が聞こえてきます。
「うをぉぉぉ……うをぉぉぉ……」

エルド:
 それでは、西側の通路から見ていくことにします。

GM:
 西側の通路の先はさらに右手に折れており、その通路の西側に牢屋が8つ並んでいることがわかります。ちなみに、東側の通路も同様の構造で、監獄はこのようになっています(と言って、監獄の見取り図を示す)。

監獄の見取り図

エルド:
 牢屋の中を1つずつのぞいていきますが、サイさんたちは見つかるでしょうか?

GM:
 エルドがランタンで牢屋の中を照らすと、人が入っている牢屋では、明かりに驚いた者が「うわぁぁぁ!」と悲鳴を上げて頭を抱えたり、あるいは逆に格子まで突進してきて格子を激しくゆすりながら「出してくれッ! ここから出してくれッ!」と懇願してきたりします。中には無人の牢屋もいくつかありました。

エルド:
 牢屋の中に捕えられているのは、すべて人間なんですか?

GM:
 ええ、人間ですよ。かなり薄汚れた格好をしており、身体の一部分が異様に腫れ上がったりしているため、ある意味ゾンビみたいな外見になっていますが、れっきとした人間です。

エルド:
「セルピルさん、この中にサイさんとハシムさんはいますか?」

セルピル(GM):
 セルピルは、さきほどから牢屋を端から1つずつ丁寧にのぞき込んでいっています。
「……こいつは違う。……こいつも違う」
 そうやって、西側の牢屋の一番奥まで見ていったところで、彼女は突然声を張り上げました。
「あッ! ハシムッ? ハシムだよねッ!? アタシの声が聞こえるッ?」

シーン外のアゼル:
 おお! 素手でも戦力になるほうがいたか!

ハシム(GM):
 牢屋の奥のほうで背中を向けて倒れていた黒い肌の男は、セルピルの呼びかけに反応し、ゆっくりと格子のほうに顔を向けました。
「……セルピル……? ……ナゼ……ココニ……?」

セルピル(GM):
「アンタとサイのことを助けに来たんだよ! やっぱり、アンタもバリス教団の連中につかまってたんだね!?」

ハシム(GM):
「……ン……スマナイ……。……オレ……一昨日、捕マッタ……。……サイ、助ケヨウトシタガ、力及バナカッタ……」

セルピル(GM):
「そうだ! サイは? サイはどこにいるの!?」

ハシム(GM):
「……3ツ隣リノ牢ノ中ニ居ナカッタカ……?」

GM:
 ちなみに、さっき確認した限りでは、3つ隣の牢屋は無人でした。

エルド:
「3つ隣の牢屋には誰もいませんでしたね……」

セルピル(GM):
 セルピルは一度視線を足元に落とすと、唇を噛みしめます。しかし、すぐに顔を上げて、「……エルド。とにかくハシムのことを牢屋から出してあげて」と言ってきました。

エルド:
「わかりました」
 鍵束を使って牢屋の鍵を開けます。

GM:
 では、8つある西側用の鍵束から、いくつかの鍵を試したところで、牢屋の扉を開けることができました。

セルピル(GM):
 牢屋の鍵が開いたところで、セルピルはハシムに駆け寄り、“リプレニッシュ・ヘルス”を唱えます。(コロコロ)ハシムの生命点が6点回復しました。

ハシム(GM):
 自分で起き上がれるまでに回復したハシムは、「助カッタ。感謝スル」とエルドとセルピルに感謝の意を示しました。
 立ち上がったハシムは腰巻のみを身につけた格好であり、隆々とした身体つきが見て取れます。そして、彼の左肩には、解放奴隷であることを示す焼印がつけられていました。

GM:
 ここで、奴隷の左肩につけられた焼印について、あらためて説明しておきますね。
 通常、カーティス王国に暮らす奴隷の左肩には、その持ち主を示す焼印がつけられています。そして、身柄を解放された元奴隷は、焼印の上に取り消し線を入れ、代わりにその左右に翼のタトゥーを入れるという習わしがあります。それによって、元は誰の奴隷であり、現在は自由の身であるということが確認できるようになっています。
 さて、説明を終えて、ハシムの肩の焼印が見えたところに戻りますが、エルドは取り消し線の入れられたハシムの焼印に見覚えがありました。それは、ファジルの使っていたテントなどにつけられていたカーティス王家の紋章と酷似しています。

エルド:
 なるほど……。

セルピル(GM):
 セルピルは、努めて明るい声で、「さてと、それじゃ、サイのことも探し出して助けてあげないとね。ハシム、アンタにも力を貸してもらうよ」と口にしました。

ハシム(GM):
 そう言われたハシムは、指を見せるように両手を大きく開きます。そして、「スマン。オレ、魔法ノ指輪、トラレタ……。ダカラ、コレデシカ協力デキナイ」と嘆くように呟くと、両拳を固く握ってファイティングポーズをとりました。

セルピル(GM):
 それを見たセルピルは、「大丈夫。アンタに期待してるのはそれだから」と言って苦笑いを浮かべます。そして、少し気を取り直したセルピルは、エルドに視線を向けました。
「念のため、東側の牢屋も確認しておこうか?」

エルド:
「そうですね」
 では、すべての牢屋を確認していきます。

GM:
 ならば、ほかのいくつかの牢屋の中にも捕えられている人がいることは確認できたのですが、残念ながらその中にサイの姿は見当たりませんでした。

エルド:
 じゃあ、イーサさんたちのところに戻るとしましょう。


エルド:
 戻ってきたら、イーサさんたちにハシムさんのことを紹介します。
「――というわけで、ハシムさんを無事に助け出すことができました。こちらの方がハシムさんです」

イーサ:
「よかった。生きていたんだな。それで、サイのほうは?」

エルド:
「サイさんはどこかに連れて行かれてしまったようです。ほんの数日前まで、ここの牢屋の中に入れられていたようなんですが……」

アゼル:
「監獄には牢屋のほかに何かなかったのか?」

エルド:
「拷問部屋らしきものはありましたが……」
(そこで何かに気がついて)
「……あ、そういえば、その部屋にまだ開けてない扉が1つあったんでしたっけ……。すっかり忘れていました。じゃあ、ちょっと見てきます。セルピルさん、ついて来てください」
 急いで拷問部屋に向かいます。


GM:
 では、エルドはセルピルを伴って拷問部屋に入りました。例の扉には鍵がかかっていましたが、看守室で入手した鍵はどれもあいませんでした。

エルド:
 “鍵開け”を試みます。(コロコロ)達成値は11です。

GM:
 それでは開錠できませんでした。

エルド:
 うーん、なんとしても中を確認したいので、“鍵開け”の再判定を試みます。

セルピル(GM):
 時間を費やして開錠に取り組むエルドのことを見ていたセルピルは、「エルド、そろそろ戻らないと、皆が心配するよ」と声をかけてきます。

エルド:
「もう少しだけ時間をください」
(コロコロ)今度は達成値14です。

GM:
 ん! 達成値14ですか。ならば、鍵を外すことに成功しました。

エルド:
 やった! 中を確認します。中はどうなってますか?

GM:
 覗き込んでみたところ、そこは物置部屋のようです。さまざまな拷問用具が置かれていました。

エルド:
 なにかめぼしいものは置かれていませんか?

GM:
 そうですね……。部屋の奥にある棚の上に、いくつもの小さな壺が並べられており、その中にドロリとした液体が入っていました。

エルド:
 うーん。鍵がかかっていたので、何か特別なものでもあるのかと思いましたが、たいしたものはなさそうですね。では、イーサさんたちのところまで戻ります。

GM:
 ……。


イーサ:
「何か見つかったか?」

エルド:
「いえ、拷問用具があっただけでした」

イーサ:
「そうか……。それじゃ、ほかのところを捜索するとするか」

 こうして、監獄での捜索を終えた一行は、いったん、螺旋階段近くにあった金属扉の前まで戻ってきました。ところが……。

イーサ:
「エルド、次はこの扉の鍵開けを頼めるか?」

エルド:
「ええ、それは構いませんが……。その前にちょっと思いついたことがあります。この扉や扉の先のことについて、先ほど縛り上げた看守から話を聞いてみるっていうのはどうでしょう? よければ僕がちょっと行って聞いてきますけど……」

イーサ:
「なるほど……。そうだな。じゃあ、頼む」

エルド:
 では、僕1人で看守のところへ向かいました。


エルド:
 看守の前についたら、こう話しかけます。
「殺されたくなければ、僕の質問に正直に答えてください」

看守(GM):
 看守は怯えた目をして首を縦に振りました。

エルド:
 それを確認したら、看守の猿ぐつわを外して質問します。
「この階の螺旋階段の近くに、金属の扉がありますよね? その扉には鍵がかかっているようですけど、鍵のありかに心当たりはありませんか? それと、あの扉の先がどうなっているのか知っているのであれば教えてください」

看守(GM):
 看守はふるえながら素直に答えます。
「あそこの扉を開けるための鍵を持っているのは、サーラール様をはじめとした幹部の方たちだけだ……。俺たち一介の信者は、あの扉の先に立ち入ることは許されてなかったから、先のことは何も知らねぇよ」

エルド:
「では、もう1つ伺います。螺旋階段はこの階よりさらに下へと続いているようですが、その先には何があるんですか?」

看守(GM):
「あの先にはバリス神をまつった礼拝堂があるだけだ」

エルド:
「ん? 研究施設があるんじゃないんですか? 僕たちは、この場所で毒を精製する研究がおこなわれていると聞いてきたのですが」

看守(GM):
「毒の実験だったら、拷問部屋でやってるのを見かけたことがあるが……」

エルド:
「なるほど……。そういえば、拷問部屋の奥には、鍵のかけられた小さな物置がありましたね。そこにあった壺の中に液体が入れられていましたが、あれが毒なんですか?」

看守(GM):
 看守は、不安げに視線を泳がせたあとで、「……きっとそうだ」と答えました。

エルド:
 ダガーで看守の手を貫きます。
「本当にそうなのですか?」

看守(GM):
「ギャッ! ……そんなこと言われたって、わからねぇよ。毒の実験やら管理やらをしてるのは、メフメト様とレヴェント様の2人だけで、詳しいことについちゃ俺たちは何も知らされてねぇんだ」

エルド:
 ダガーをグリグリ回して傷口を広げます。グリグリグリグリグリグリ……。

看守(GM):
「ギャーッ! ギャーッ! あぐぅッ……あうあうあう……」
 その痛みに耐えかねた看守は、泡を吹いて気絶してしまいました。

エルド:
「ふむ……。これ以上の情報は引き出せませんか……」
 じゃあ、看守の首を切って、その場をあとにしました。

シーン外のアゼル:
 うお……。殺すのかよ……。その場にいないから何も言えないが……。

GM:
 まあ、好きなように判断してもらって構いませんが、途中の看守の悲鳴は、離れたところにいるアゼルたちにも聞こえたと思いますよ。


エルド:
 では、僕は凄く晴れ晴れとした表情をして、皆のところに戻ってきました。
「いま看守から話を聞いてきたのですが、どうやら毒の実験は、先ほどの拷問部屋でおこなっていたようです。拷問部屋の奥にあった物置に置かれた壺の中身が毒だって話でした。それと、毒についての詳しい情報は、メフメトとレヴェントの2人しか知らないそうです」

アゼル:
「それで、この扉の向こうはどうなってるんだ?」

エルド:
「それが、看守は扉の奥がどうなっているかまでは知りませんでした。扉の鍵はサーラールをはじめとする幹部が持っているそうです。あと、螺旋階段の下にはバリス神の礼拝堂があるらしいですよ」

アゼル:
「そうか……。だとすると、サイはいったいどこに……? 礼拝堂に連れて行かれたというのは考えにくいし、この扉の奥にいるのか?」

エルド:
「どうします? この扉の鍵を開けてみますか? そう簡単には開かないような気がするんですが……」

イーサ:
「そうだな……。この扉の奥には幹部連中しか入れないってことなら、とりあえず先に下の階の礼拝堂を確認してくることにしよう」




誤字・脱字などのご指摘、ご意見・ご感想などは メールアイコン まで。