レヴェント(GM):
体当たりを食らってよろめいたメフメトを前にしたレヴェントは、「おやおや、メフメトさん、詰め寄られてしまいましたが、このままでいいんですか? ワタシはいつでも手を貸しますよ?」と参戦をほのめかします。
メフメト(GM):
しかし、メフメトは「黙っておれッ!」と一喝して、それを拒みました。
魔法使いとしての実力ではメフメトに劣るエルドでしたが、接近戦に持ち込んだことによって、戦士系技能を持たないメフメトに対して優位に戦いを進められるようになりました。千載一遇のチャンスです。
メフメト(GM):
“全力移動”のあとで身動きのとれないエルドに対して、メフメトは“瞑想”してから“エネルギー・ボルト”を放ちます。
「これでも食らうがいいッ!」
(コロコロ)10点の物理ダメージをどうぞ。
エルド:
マジック・ローブで2点止めて、8点抜けました。
アゼル:
エルドはそれで士気判定か?
エルド:
なめないでください。僕の生命力は18です。まだ半分も減っていません。
アゼル:
おお! エルドって、そんなに生命力高かったのか。
第1話冒頭でも触れましたが、キャラクターを作成するにあたり、PCたちの年齢が若いほど能力値が高くなるようにボーナスを与えています。よって、PC中最年少であるエルドは最高の能力値を誇ります。
メフメト(GM):
「うぬぬ、まだ倒れんか……。じゃが、もう一撃食らっても立っていられるかのう?」
エルド:
「さあ、それはわかりません。ですが、それならば魔法を唱えさせなければいいだけのことです」
僕の手番、ダガーでメフメトに攻撃します。(コロコロ)命中して、ダメージは物理で10点です。
メフメト(GM):
その攻撃でメフメトの生命点は半分を切りました。士気判定は、(コロコロ)ギリギリ成功です。
「ぐはッ。こ、このままでは……。やむを得ん」
メフメトは自分の後方を起点として、生撃ちで“ダークネス”を唱えました。(コロコロ)闇がメフメトとエルドを包み込みます。
レヴェント(GM):
「おやおや、これはまた姑息な手を……。さすがにそろそろマズいんじゃありませんか?」
傍観を続けるレヴェントからは、淡々とした口調でそのような言葉が発せられます。
頑強な鎧を装備していない魔法使い同士の戦いは、互いに一撃を加えたところで、一気に佳境へと入りました。その一方で、“防御重視”をするアゼルと、もともと命中力の低い槍を装備しているサイは、どちらもなかなか相手に攻撃を命中させられずにいました。
アゼル:
くそッ、仕方ない。サイに対して攻撃する。“手加減”でクリティカルを抑止。(コロコロ)命中値は12。
サイ(GM):
サイの回避値は(コロコロ)12で、その攻撃を避けました。
対するサイからアゼルへの攻撃は(コロコロ)命中値10です。
アゼル:
盾で防御して、(コロコロ)ディフレクト値13でその攻撃を弾いた。
両者の攻撃は、しばらく空を切ります。その間、ハシムがサイを転倒させようと“体当たり”を2度試みましたが、残念ながらそのどちらも防がれてしまいました。
そして、こう着状態に陥っていたのはアゼルとサイの2人だけでなく――
重戦士(GM):
重戦士がイーサに攻撃します。(コロコロ)命中値は12です。
イーサ:
“全力回避”で、(コロコロ)回避値12。回避成功!
俺の番、重戦士に攻撃。(コロコロ)命中値15。
重戦士(GM):
重戦士は盾でそれを防ぎます。(コロコロ)ディフレクト値15でガッチリガード。
――イーサと重戦士の戦いもまた、一向に進展を見せようとしません。
メフメト(GM):
さて、メフメトの次なる手は……。“ダークネス”の効果があるうちに、補助魔法で強化しておきましょう。まずは、“ミラー・イメージ”を生撃ちします。(コロコロ)発動。メフメトの幻影が2体出現します。
GMの計算では、この後メフメトに“プロテクション”を唱えさせ、次に“ファイア・ボルト”を放つための“瞑想”を完了したところで、ちょうど“ダークネス”の効果時間が切れるはずでした。ところが――
イーサ:
ここでメフメトの好きなようにさせるわけにはいかないよな……。ってことで、俺はいったんエルドのアシストにまわるとする。1ウェイト“瞑想”してから“ライト”を唱えて、メフメトの張った“ダークネス”を相殺だ。(コロコロ)発動。
GM:
では、“ライト”と“ダークネス”の範囲が重なったので、互いの効果が消滅しました。
メフメト(GM):
「な、なんじゃとッ!」
掻き消えた闇の中から姿をみせたメフメトは、驚きの表情を浮かべています。
イーサ:
「エルド、あとは任せたぞ」
エルド:
「ありがとうございます。これでバッチリ捉えられます」
メフメトに攻撃します。(コロコロ)命中値は11です。
メフメト(GM):
(コロコロ)その攻撃は“ミラー・イメージ”による幻影が肩代わりしました。幻影が1体消滅して、残り1体です。これは、もう限界ですね……。
「レヴェント、もう構わんッ! こやつらを壊してしまえッ! 早くしろッ!」
ここで、ついにメフメトはレヴェントに協力を仰ぎました。
実のことを言うと、当初はメフメトが士気判定を行ったところでレヴェントを参戦させる予定でしたが、エルドが単身で特攻し、速攻でメフメトの生命点を半分以下にするといった予定外の展開となっていたため、ギリギリまで応援を頼むのを引き延ばしていました。しかし、この状態になってしまったからには、もはや仕方ありません。
レヴェント(GM):
「やれやれ、ようやく出番ですか……。では、やるとしましょう……」そう言うと、レヴェントは左右それぞれの手で、腰に提げた短剣を鞘から引き抜きます。その小さく反り返った短剣の刃には、ドロリとした液体が付着していました。
アゼル:
うわ……。あれを食らったら、ヤバそうだな……。
エルド:
レヴェントの攻撃が始まる前に、メフメトを倒します。僕の番、メフメトに攻撃して、(コロコロ)命中値は10です。
メフメト(GM):
(コロコロ)う……ッ。“ミラー・イメージ”は効果を発揮せず、その攻撃はメフメト本人に向かいました。メフメトの回避は(コロコロ)11で回避成功!
ギリギリのところで、ダイスの神様はメフメトにほほえみました。
メフメト(GM):
すかさず、メフメトは2ウェイトの“瞑想”に入ります。
「舐めるなよ、若造ッ!」
今一歩のところでメフメトを仕留めることができなかったエルド。そんなエルドの眼前では、メフメトがとどめとなる魔法を唱えようとしており、さらには背後からレヴェントが迫りつつありました。
そして、それに前後して、こう着状態にあったアゼルとサイの戦いにも変化が発生していました。
アゼル:
サイにクリティカルを抑止して攻撃。(コロコロ)おおッ! やっと命中だ。ダメージは物理で13点ッ!
サイ(GM):
むぅ……。その一撃でサイの生命点は半減しました。
イーサ:
おッ? 一撃で生命点が半減したのか……。もしかして、サイってもともとダメージを受けてたのか?
GM:
いえ。ただ単に、サイの装備しているリング・アーマーが、革鎧並のダメージ減少値しかないというだけのことです。リング・アーマーは軽装扱いの鎧ですからね。
イーサ:
なるほど。
アゼル:
それで、生命点が半減したなら、士気判定は?
サイ(GM):
士気判定はありません。サイはひるむことなく戦い続けます。
イーサ:
きっと、クスリの効果で精神状態が変化しないからだな。
徐々にダイス目が冴えて来たアゼルは、さらに次の攻撃でも――
アゼル:
サイに対してクリティカル抑止攻撃。(コロコロ)また命中! ダメージは物理で14点! さっきの攻撃で生命点が半減したってことは……。
サイ(GM):
はい、それでサイは倒れました。(コロコロ)昏倒です。
アゼル:
ふぅ……よかった。殺さずにすんだ。
こうして、エルドとメフメトの戦いの決着に先駆けて、アゼルがサイを倒すことに成功しました。リプレイでは省略してしまいましたが、交戦の途中でサイもアゼルに痛烈な一撃を加えており、一進一退の際どい戦いでした。しかし、エルドの戦いに比べると、展開が地味だったため、バッサリ割愛します(笑)。
そして、再びエルドとメフメトの戦いへ場面を戻すと、そちらでは、先ほどメフメトにほほえんだかのようにみえたダイスの神様が、さらなる展開をみせてくれていました。
セルピル(GM):
さて、次のセルピルの行動なんですが……。ここは、エルドのために、メフメトの“ミラー・イメージ”だけでも取り除いておきますか。未装填状態から“速射”を用いて、メフメトに対して矢を放ちます。(コロコロ)命中値は9。
メフメト(GM):
その射撃に対して、メフメトは回避を選択します。
アゼル:
あれ? メフメトはさっき“瞑想”を開始したと思ったが、それは中断するのか?
メフメト(GM):
ええ。ここで、ついうっかり本体に攻撃を受けてしまい倒れるという展開は避けたいですからね(笑)。当然、回避を選択しますよ!
さて、幻影による肩代わりは、(コロコロ)あら……。本体に命中しました。危ない、危ない。回避を選択しててよかった……(苦笑)。
では、あらためてメフメトの回避ですが……。(コロコロ)え……? 回避値は7で失敗……。
アゼル:
やった(笑)!
セルピル(GM):
ダメージは、(コロコロ)物理で8点……。
メフメト(GM):
……そのセルピルが放った矢を腹部に受けたメフメトは、「ま……さ……か……」と言葉を漏らしながら倒れました……。(コロコロ)昏倒です。
GM:
……なんかすみません。“ミラー・イメージ”だけ剥がそうと思ったんですが、勢い余って倒してしまいました(苦笑)。
エルド:
いえ、構いません。そのおかげで、レヴェントからも逃げられます。
僕の手番、接敵される前に“通常移動”でレヴェントから離れます。
ボス級の敵をNPCが倒してしまったことに一抹のうしろめたさを感じるGMでしたが、この一撃がなければ、エルドはまず間違いなく死んでいたことでしょう。ダイスの神様の意志を感じずにはいられません。しかし、実はメフメトが倒れたここからが、一行にとっての絶望の始まりだったのです。
レヴェント(GM):
レヴェントは、足元に倒れているメフメトへと目を向けると、「おやおや、メフメトさんがやられてしまいましたか……。では、ここからは、ワタシの好きに遊ばせてもらうとしましょう」と呟きました。
アゼル:
おっ? 味方が2人倒されるところを見ても逃げ帰らないなんて、レヴェントはずいぶんと自信があるんだな(笑)。
イーサ:
こいつは格上っぽいからな。ほら、ダットも言ってただろ。レヴェントはサーラールに迫るほどの実力の持ち主だって……。
レヴェント(GM):
レヴェントは、視線をあげてあたりを一望すると、その視線をセルピルに向けて止めます。
「そういえば、アナタは、あのとき仕留め損ねた脱走者じゃありませんか。ならば、まずは……」そう言うと、レヴェントは“通常移動”でセルピルの目の前に迫りました。
このレヴェントの動きに対して、サイが倒れた後に重戦士の背後へ回り込んでいたハシムがいち早く反応します。
ハシム(GM):
「オマエニ、セルピル、ヤラセナイ」
レヴェントの動きを察知したハシムは、“小移動”でそちらへと身体を向けると、そのままレヴェントの側面から“左右連続攻撃”をしかけます。(コロコロ)命中値は12と13。
レヴェント(GM):
レヴェントは“全力回避”でそれを回避します。(コロコロ)2発とも回避成功。
アゼル:
正面を向かずに、側面回避?
レヴェント(GM):
はい。レヴェントはセルピルに視線を向けたまま、ハシムの攻撃を避けてみせました。次の手番まで効果が継続する“全力回避”を使うのはまだしも、方向転換するのは時間の無駄ですからね。
アゼル:
ずいぶんと余裕じゃないか。
じゃあ、俺はハシムがいなくなって空いた重戦士の背後に移動しておこう。
イーサ:
なら、俺がレヴェントの背後につく。
ここで、重戦士とレヴェントのどちらを先に倒すべきかの確認をおこたったため、アゼルとイーサの足並みがずれてしまいます。イーサが重戦士から離れたことにより、アゼルがレヴェントに向かわずに重戦士の背後をとった意味がなくなってしまいました。
以後、互いに防御に特化したアゼルと重戦士の2人は、お互いに決定打とならない攻撃を延々と続けることとなります。アゼルには申し訳ありませんが、これまた地味な戦いなので、バッサリ割愛します(笑)。詳しく知りたい方は戦闘ログを参照してください。
セルピル(GM):
レヴェントに詰め寄られたセルピルは、気圧されるように後ずさります。
イーサ:
レヴェントの背後についたら、すかさず攻撃。(コロコロ)命中値は12。
レヴェント(GM):
セルピルに逃げられてしまいましたし、さすがにその攻撃に対してはレヴェントも振り返ります。回避値は(コロコロ)14で回避成功です。
ハシム(GM):
続けて、ハシムも側面からレヴェントに“左右連続攻撃”を叩き込みます。(コロコロ)両方とも命中せず。
イーサ:
もう一度、レヴェントに対して攻撃。(コロコロ)命中値は14。
レヴェント(GM):
(コロコロ)レヴェントは、回避値16でその攻撃も回避しました。
「アナタ、ちょっと邪魔ですね……。先に排除されたいのですか?」そう言って、レヴェントはイーサのことを睨み付けます。
レヴェントは、そのままイーサに対してアタック。(コロコロ)命中値は16です。
イーサ:
“全力回避”を選択する。(コロコロ)16でピッタリ回避成功!
レヴェント(GM):
そのイーサの動きに、レヴェントは少し驚いた顔をしてから、口角を持ち上げました。
エルド:
僕の番、“瞑想”を完成させて、“ファイア・ボルト”をレヴェントに向けて放ちます。(コロコロ)行使値は12です。
レヴェント(GM):
レヴェントは“移動回避”を選択します。“離脱阻止”を行うのであれば、判定をどうぞ。こちらの回避値は(コロコロ)17です。
イーサ:
17って、高いな……。(コロコロ)俺は“離脱阻止”に失敗。
ハシム(GM):
(コロコロ)ハシムも“離脱阻止”に失敗です。
レヴェント(GM):
では、レヴェントはエルドに背中を向けたまま、横に飛びのいて“ファイア・ボルト”をかわしました。
アゼル:
背面からの魔法に対する回避でもペナルティは付かないのか?
GM:
ルール上は特にありませんね。
少し複雑な部分なので、解説しておきます。
“移動回避”は“小移動”と併用されるものであり、敵の攻撃が命中する直前に“小移動”を実行することで、攻撃の有効範囲外に逃れるというものです。そして、“小移動”は移動中に自由に方向転換できることとなっています。そのため、背後からの攻撃に対しても、先に振り向いてから避けることとなるため、ペナルティは発生しません。敵から離脱するときの“回避”や“ディフレクト”に側面・背面のペナルティが発生しないのも同じ理屈です。
ここでは、GMがレヴェントの強さを強調するために「背中を向けたまま、横に飛びのいて」と描写したので、アゼルが確認しているのですが、この描写はあくまでもフレーバーです。まあ、達成値からすると、仮にペナルティが発生していたとしても、レヴェントは“ファイア・ボルト”をかわしていますが。
ハシム(GM):
ハシムはさらに距離をつめてレヴェントに攻撃します。“左右連続攻撃”でワン・ツー! (コロコロ)どちらも命中せず。
イーサ:
俺もレヴェントに接近して攻撃。(コロコロ)失敗。
「くそッ、こいつ強いぞ」
エルド:
そうですね……。まあ、展開的に考えると、ここはレヴェントではなく重戦士のほうを倒すべきだと思うんですけど……。しかし、個人的にはここでレヴェントを倒して、あの毒付きの武器を手に入れたい!
エルドの読みは当たっています。この戦闘の終了条件は複数あり、そのうちの1つがレヴェント以外の敵を戦闘不能にするというものでした。しかし、それでもなお、エルドたちはレヴェントとの戦闘を選択しました。もちろん、レヴェントのことも倒せなくはありません。ただし、そのためにはレベル差を覆す戦術、もしくは爆発的なダイス運が必要です。
イーサ:
ダメだ。全然攻撃が当たらない……。
レヴェント(GM):
では、今度はレヴェントの攻撃です。イーサに対して(コロコロ)命中値は17です。
イーサ:
くぅ……。さっきよりも命中値が高くなったな。“全力回避”(コロコロ)失敗……。
レヴェント(GM):
ダメージは(コロコロ)物理で9点です。そして、ダメージが1点でも通ったのであれば、“死神の鮮血”の毒に対する生命力判定を行ってください。目標値は11です。
イーサ:
ダメージは6点通った。生命力判定は、(コロコロ)失敗。
GM:
ならば、“死神の鮮血”の効果で、以後の威力ロールを除くすべての判定のダイス目に-2のペナルティが発生します。
レヴェント(GM):
レヴェントは自分の短剣の刃についたイーサの血を確認すると、「残念でしたね。これでアナタもおしまいです」と言ってイーサから顔をそらし、その視線を次のターゲットであるハシムへと向けました。
イーサ:
いまのダメージで生命点が半分以下になったから、士気判定もしておく。(コロコロ)うわー、失敗。
メフメトを倒して一息ついたのも束の間、レヴェントの参戦により戦況は一変。パーティーのリーダーであり回復役を務めるイーサが真っ先に戦線を退くことになってしまいました。はたして一行は、毒使いレヴェントに一矢報いることができるのでしょうか?