LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第6話(01)

 唐突ではありますが、ここで宮国紀行の第6話に関する前置きをしておきます。

 この第6話は、アゼル、イーサ、エルドたちの話ではなく、デミルコルで彼らと別行動をとることとなった者たちが、その後どのような時間を過ごすことになったのかを、セルダルの視点で追っていく話となります。しかし、ただ単純に小説として書いていくというわけではありません。実は、第4話が終わった時点で、GMにはひとつのアイディアがありました。

GM:
 ――というわけで、宮国紀行のリプレイには一通り目をとおしてもらっていると思いますが、よかったら第4話が終わった直後からのセルダルをプレイしてみませんか? ただし、アゼルたちと再び合流するまでという限られた期間になる予定ですが……。

プレイヤーD:
 お、いいね! でも、セルダルをプレイしちゃっていいの? もう何話も登場してるキャラクターだから、色々と制限があるんじゃない?

GM:
 いやいや、これまでのリプレイを参考に、Dさんなりにセルダルという人物を解釈してもらって、あとは自由にプレイしてもらって構いませんよ。なんだったら、アゼルと対立するように持っていってもらってもいいですし――

プレイヤーD:
 それは、面白そうな展開だよな。

GM:
 それどころか、途中でセルダルが死んでしまってもオッケーです(笑)。

プレイヤーD:
 いや、さすがに好き好んで死にたくはない(笑)。

GM:
 んー、ですが、セルダルは特別なボーナスを与えずに作成したので、能力値も経験点もほかのPCと比べると低いんですよね……。なので、本編と比べると戦闘バランスは厳しくなると思われます。生存の保証はできませんが、そこはプレイヤーのがんばりでなんとかしてください(笑)。

プレイヤーD:
 了解。まあ、できる範囲でやってみよう。

 ――というわけで、新たにDさんをセルダルのプレイヤーとして迎え、サイドストーリーとしてのセッションを組むことにしました。

 ちなみに、Dさんとのセッションはチャットを用いたオンラインセッションとなります。本編とレギュレーションの差をつけたくなかったので、基本的には同じルールを用いることにしましたが、セッション環境の影響で一部処理方法などが異なる部分もあります。また、リプレイとして書き起こすにあたり、これまでの話と同様のフォーマットにするためにある程度手を加えました。オンラインセッションでは発生しえない描写があるのはそのためです。

プレイヤーD:
 ……それで、まずはどうすればいい?

GM:
 では、現時点でのセルダルのデータが記載されたキャラクターシートを配布しますので、それにPCとしての命を吹き込んでください。セルダルはこれまでNPCだったため、“可能性”がありませんでした。しかし、これからはPCとなるので、第6話開始時点で“可能性”を何点維持しているかを決定してもらいます。“可能性”の初期最大値は5点なんですが、戦闘レベルが上昇していくにしたがって減っていきます。セルダルは戦闘レベル3なので、《2D》を2回振ってもらって、そのどちらかでも7以下が出た場合には最大値が4点になってしまいます。

プレイヤーD:
(コロコロ)8と……(コロコロ)8で2回とも成功。幸先いいな。

GM:
 “可能性”5点残しとは、なかなか優秀ですね。まさに可能性を感じさせます。
 では、セルダルとしてのプレイをよろしくお願いします。

 こうして、これまでNPCに過ぎなかったセルダルに、PCとしての命が吹き込まれました。


セルダル(プレイヤーD)

第6話キャラクターシート:セルダル

 クルト氏族の管轄地に暮らす青年。幼い頃は、流れの傭兵であった父親のジャナンに連れられて、各地を転々としていた。ところが、カーティス王国3代目国王であるアゼル王の治世で戦いの場が失われると、それと同時にジャナンは仕事を失ってしまう。傭兵稼業以外の仕事をろくにしたことがなかったジャナンとまだ幼かったセルダルは、明日の食べ物にも事欠くほどの貧困生活を強いられたが、偶然訪れた辺境の土地の名主であるジャフェル・クルトの好意によって、その土地に腰を据えることとなった。それ以降、ジャフェルの甥であるアゼルとは十年来の付き合い。
 幼い頃からジャナンより剣の手ほどきを受けていたセルダルは、実戦経験こそ浅いものの下級騎士に並ぶほどの実力を備えている。しかし、その実力の開花は、あとから剣の修行を始めたアゼルの後塵を拝している。


 さて、そんなこんなではじまった、宮国紀行のもうひとつの物語。アゼルたちと離れ離れになったセルダルは、これからいったいどのような冒険を繰り広げていくのでしょうか?
 なお、この第6話からは処理の簡略化をはかるため、特別な場合を除いてNPCの成否判定ではダイスロールを行わず、固定値を用いるようにしました。威力ロールなどは引き続きダイスロールしますので、不慮の事故が発生する可能性があるのは相変わらずですが(苦笑)。




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