LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第6話(03)

 セルダルとメルトによる模擬戦は、イニシアチブロールで良い目を出したメルトの行動から始まりました。

メルト(GM):
 まず、メルトは“防御重視”します。
「そう簡単にやられはしませんよ!」

セルダル:
 なら、こっちは“攻撃重視”だ。
「んじゃ、お手並み拝見といこーか」

 メルトは優位な位置取りをしようと、盾を構えつつセルダルの左手方向へ回り込みました。まあ、この動きはフレーバーですけれど(笑)。対するセルダルは、あまり動かずにメルトを正面に捉えたまま機をうかがいます。そして、メルトが間合いを詰めてきた瞬間――

セルダル:
「いくぜ」
 “小移動”して“武器攻撃”。(コロコロ)命中してダメージは12点。

メルト(GM):
「くっ!」
 寸止めなので実際にダメージを負ったわけではありませんが、その剣筋を避けることができなかったメルトは悔しがりました。生命点が半分以下になったので、ここで士気判定が入ります。(コロコロ)成功。
 続いてメルトが、「これならどうだ!」と命中値9で反撃します。

セルダル:
 回避値(コロコロ)8で回避失敗……。

メルト(GM):
 メルトの片手剣によるダメージは(コロコロ)9点でした。
「よし、一本!」

セルダル:
「なかなかやるな……。だが!」
 オレの番。“武器攻撃”は(コロコロ)命中して11点ダメージ。

メルト(GM):
 ならば、その一撃を喉元に突き付けられたメルトは、「ま、参った!」と負けを認めました。

セルダル:
「んじゃ、ここまでだな」

 セルダルの貫録勝ちです。しかし、メルトもセルダルに一撃を加えることができ、敗れはしたものの、その実力を証明することができました。

GM:
 メルトとの模擬戦は28ウェイトで終了したため、30ウェイト以上の戦闘にかかる戦闘疲労は蓄積しません。

セルダル:
 よしよし。

メルト(GM):
「お見事。さすがはあのモノケロースを狩った方ですね」そう言って、メルトはセルダルの実力を手放しでたたえました。

セルダル:
「なぁに、お互いの力の差はさほどなかっただろ。こっちの運が良かっただけさ」

メルト(GM):
「いやあ、間合いの取り方など、とても参考になりました。ありがとうございました」

セルダル:
「こっちこそ、ありがとな。それより、よかったら明日の訓練にも参加させてもらえねぇか? オレ、あと5日間はここに滞在する予定なんだ」

メルト(GM):
 そのセルダルの言葉に、メルトは目を輝かせました。
「こちらとしても、そうしていただけると助かります! 明日も昼過ぎからまたここで訓練を行いますので、ぜひ!」

セルダル:
「サンキュー。んじゃ、明日もよろしくな」そー言って右手を差し出した。

メルト(GM):
 メルトも手を出して握手を交わします。
「手合せのお礼といってはなんですが、今晩あたり村唯一の飲み屋で一杯どうですか? ごちそうしますよ。ユセフ様のところでは、美味しいメシと酒はでてきても肩がこるでしょう?」

セルダル:
「おッ、そいつは嬉しいお誘いだな。ありがたく受けさせてもらうぜ」

メルト(GM):
「なら、これから日が沈むまでの間は畑仕事があるので、それが済んだらお屋敷まで迎えに伺います」

セルダル:
「わかった。んじゃ、またあとでな」
 そんな感じで、メルトと別れたらそのまま屋敷に戻るとする。

 デミルコルを旅立つまで、予定ではあと5日。自警団との交友を深めつつ、剣の訓練に励むことに決めたセルダルでした。1人で剣の訓練をするよりも、誰かと共に訓練したほうが倍以上多くの経験点を得られるようになるので、システム的に言っても、よい選択だと言えます。


GM:
 さて、自警団との訓練を終えて16時半過ぎに屋敷に戻ってきたセルダルですが、それからメルトがあなたを訪ねてくるまで2時間ちょっとの時間があります。その間どうしますか?

セルダル:
 ニルフェルは何してるかな? ギュリスと一緒なんだろーか? とりあえず、まずはそこらへんを確認してみよーとするが……。

GM:
 では、セルダルがニルフェルの姿を探して屋敷内を歩いていると、その途中で数冊の分厚い本を抱えて書庫に向かおうとしているギュリスの姿を見かけました。ギュリスは小柄なので、本が重たそうに見えますね。

セルダル:
 お、何やってんだ? ギュリスの後ろからそっと近づいていった。そんで、バレてなければ、そのまま重そうな本を何冊か持ってやる。

GM:
 まあ、ばれないでしょう。

セルダル:
 んじゃ、後ろからひょいっと本を一冊持ち上げて「何、重たそーな本持ってんだ?」って声を掛けた。

ギュリス(GM):
 突然のことにギュリスは少し驚いてから、ムスッとした顔であなたのことをにらみます。
「あなたには関係ないでしょ」

セルダル:
 手に取った本を眺めてみた。
「難しそーな本だな。ついでだから運ぶの手伝ってやるよ」

ギュリス(GM):
「別にいいってば。返してちょうだい」
 ギュリスはセルダルに取られた本を取り返そうとして、片手を伸ばします。

セルダル:
「まー、そんなに遠慮するなって」

GM:
 ふたりがそんなやり取りをしていると、ギュリスの腕の中に残っていた本のバランスが崩れ、床に落ちてしまいました。

ギュリス(GM):
「ああッ! もうッ! 余計なことするからッ!」

セルダル:
「あー、わりぃ……」

ギュリス(GM):
 落ちた本を拾いながら、ギュリスはふて腐れてこう言います。
「まったくさ。あなたは余計なことせずに、外で剣だけ振ってりゃいいんだよ」

セルダル:
「ああ、それはもー済ませてきた」

ギュリス(GM):
「知ってる。外に出たときに、馬鹿みたいに長い間素振りしてるところを見かけたからね」

セルダル:
「なんだ、見てたのかよ」

ギュリス(GM):
「まあね。一応、イスパルタを出発したばかりの頃と比べれば、両手剣の扱いも多少ましになってきたみたいだけど……」

セルダル:
「へー。戦盤名人のギュリス様にお褒めの言葉を頂けるとは、嬉しいねぇ」

ギュリス(GM):
「別に褒めてはないよ。いまのあなたの実力じゃ、戦局を変えられるほどの決定的な駒にはなりえないからね。まあ、いまのところは、せいぜい捨て駒としてなら使えなくもないってレベルかな」

セルダル:
「ぐッ……」
(少しの間、言葉につまってから)
「と……ところでさ、これから5日間ヒマだろ? 実はオレ、戦盤に興味がでてきたんだ。だからさ、捨て駒としてなら使えなくもないこのオレに、戦盤を教えてくれねぇか?」

ギュリス(GM):
「はぁ? あなたが戦盤?」
 ギュリスは信じられないといった顔をして、セルダルの顔をじろじろ見ます。
「てんで似合わないよ?」

セルダル:
「まったくもって失礼な奴だな……。まあ、たしかに似合わねぇかもしれねぇが、あーゆーのが分かってると、全体を把握して戦えるよーになれるんじゃねぇかって思ったんだよ」

ギュリス(GM):
「ふーん。ま、いいけどさ……。じゃあ、用事を済ませたらあなたの部屋に駒と盤を持って行くから、大人しく待ってなさい」

セルダル:
「お、本当か!? んじゃ、頼むぜ。……ついでに、今晩、自警団の連中とうまいもん食いに行く約束をしてんだが、一緒にどうだ?」

ギュリス(GM):
「それは遠慮しておく。好き好んで汗臭い連中と一緒にいたいとは思わないしね」とギュリスは即答しました。

セルダル:
「あ、そーね……。んじゃ、とにかく部屋で待ってっから、戦盤の指導のほーはよろしく頼むぜ」

ギュリス(GM):
 ギュリスはうなずいてみせたあと、本をまとめ直して書庫に向かって歩いていきました。

セルダル:
「……相変わらずっちゃあ、相変わらずだが……。まあ、言ってみるもんだな。へへ……」そー呟いて、機嫌よく部屋に戻った。


GM:
 セルダルが部屋に戻ると、そこでは時間を持て余したギズリがダラダラしていました。そして、部屋の中でしばらく待っていると、約束通り戦盤を持ったギュリスが部屋を訪れてきます。あなたとギュリスが戦盤を始めると、ギズリも起きだしてきて、3人で盤面を囲うこととなりました。

セルダル:
 戦盤を指しながら、ニルフェルの様子をギュリスに聞いてみる。

ギュリス(GM):
 ギュリスは盤上の駒を動かしながら、セルダルの疑問に答えます。
「ニルフェルだったら、部屋で休んでるよ……っと」

セルダル:
「大丈夫そーか? 落ち込んだりとかしてなかったか?」

ギュリス(GM):
「さあ、どうだかね……っと」
 ギュリスはさらに駒を進めます。

ギズリ(GM):
「なるほど、そこでそう指すのか……」
 ギュリスの指した一手に、ギズリが感心の声を漏らしました。

セルダル:
「その辺は、女としてなんか気づくことはねぇのかよ……っと、これでどうだ!」

ギュリス(GM):
「そんなに気になるなら、自分で確かめにいけばいいじゃない……。はい、これで詰みね」

セルダル:
「あ……」

ギュリス(GM):
「弱い。アゼルに負けるギズリよりもまだ弱い」

セルダル:
「……どこがまずかった?」

ギュリス(GM):
「まあ、いろいろあるけど……。まず我慢が足りない。勝負事ではさ、ときに待つことも重要なんだよね」

セルダル:
「我慢か……。たった一手のミスで詰みになっちまうんだよな……」

ギュリス(GM):
「戦盤はそういう遊戯だからね」

セルダル:
「俺は我慢が足りなかったかな……?」それは戦盤の事ではない何かに対してといった感じで、そー口にした。

ギュリス(GM):
「さあ、どうかな? いつだって、その答えがわかるのは、後になってからだからね……」

ギズリ(GM):
 そこでギズリが身を乗り出してきました。
「じゃあ、次はオレとセルダルの番だな。賭けるか? よし、いっちょ賭けよう!」

セルダル:
「冗談じゃねぇ。カモにされてたまるかよ!」

ギズリ(GM):
「いいじゃねぇか。痛い目を見るから、人は成長していくんだぞ。よーし、まずは肩慣らしってことで、10銀貨から――」

GM:
 そんなやり取りをしていたところで、部屋の扉がノックされます。そして、扉の外から女中が、夕食の準備が整ったので食堂に来るようにと告げました。

セルダル:
「お、メシだ! さ、いこーぜ、冷めねぇうちにな!」

ギズリ(GM):
「チェッ。ここからってときに、もうそんな時間かよ」
 やる気満々だったギズリは、少しふて腐れています。

ギュリス(GM):
「あれ? セルダル。あなた、自警団の連中と外に食べに出るんじゃなかったの?」

セルダル:
「ああ。それはそーなんだが、むこーであんまりがっつくワケにもいかねぇだろ?」

ギュリス(GM):
「……まったく……。いったいどんだけ食べるつもりなんだか……」
 ギュリスは呆れ顔でセルダルのことを見ました。


GM:
 では、3人は食堂へと移動します。食堂には、すでにユセフの姿がありました。しかし、ニルフェルの姿はありません。

セルダル:
「あれ? ニルフェルはまだ来てねぇのか……」

ギュリス(GM):
 ニルフェルの姿がないことを確認したギュリスは、「先に召し上がってください」とユセフに告げて、いったん食堂を後にしました。

セルダル:
 ここはひとまず、ギュリスに任せとこう。んで、食事は早めに終わらせて、それまでに戻ってこないよーなら、オレもニルフェルの部屋に向かう。

ギュリス(GM):
 では、セルダルが食事を終える前に、ギュリスは1人で戻ってきました。戻ってきたギュリスは、「ニルフェルは夕食はいらないそうです。あとで、簡単につまめるものだけでも部屋に持っていきたいのですが、お願いできますか?」とユセフに告げて、自分の席に座ります。

ユセフ(GM):
 それに対してユセフは、「わかりました。そのようにいたしましょう」とだけ返して、それ以上詮索せずにそのやり取りを終えました。

セルダル:
 そーゆーことか……。オレも自分なりに状況を理解した。んじゃ、食事を終えたら自分の部屋に戻る。で、メルトが来るまで部屋で待機してる。

GM:
 了解です。

 こうして、残された者たちのデミルコルでの時間が緩やかに過ぎいきました。




誤字・脱字などのご指摘、ご意見・ご感想などは メールアイコン まで。