GM:
では、19時半を過ぎた頃。セルダルは屋敷を訪れたメルトに案内され、村で唯一の酒場へとやってきました。
飲み屋にはあなたが来ることを聞きつけた村の独身女が集まっており、積極的にもてなしてくれます。モノケロースを狩った英雄のひとりであるセルダルの名は一昼夜のうちにデミルコルの村に広がっており、いまやこの村にその名前を知らない者はいません。
セルダル:
「おおッ!」
すごい接待だな……(笑)。
メルト(GM):
「さあ、ここでは堅苦しいことはなしです。今晩はハメを外して楽しみましょう!」そう言って、メルトは村娘たちの待つ席へとセルダルを座らせました。
セルダル:
オレは下半身のハメは外さねぇけどな……。
GM:
そうですね。ここで火遊びしてしまうと、村の若い男の幾人からは非難の目を向けられることになるでしょうし、賢明な判断です。
そのようにしてセルダルとメルトの周りを村娘たちが囲むことになりますが、どうやらメルト自身には決まった相手がいるらしく、彼は自分の隣にその女性を座らせると楽しそうに酒を飲みはじめました。
セルダル:
んじゃ、メルトの隣の女性に聞こえるよーに、さりげなくメルトの腕前がいかにすばらしーかって話をしといてやるか。
メルト(GM):
すると、メルトは顔をほころばせながら、「あははは。嫌だなぁ、それほどのことはありません。セルダルさんに比べたらまだまだです。見たところ、セルダルさんは自分よりもお若いのに、大したものですよね」と、逆にセルダルのことを立てはじめました。
セルダル:
「模擬戦のときはたまたまオレに運があっただけさ」
そんな話をしながら、途中で自警団の人数や、どんな戦闘技能を持った連中がいるのを聞いておきたいんだが。
メルト(GM):
では、メルトはほろ酔い状態で、セルダルの質問に答えていきます。
「うちの面子は全員あわせて12人ですね。基本的に武器の使い方は団長のトルガさんから教わってるので、みんな片手剣と小盾を使いますよ」
GM:
彼らの訓練内容からすると、全員ヘヴィ・ウォリアーのようです。
セルダル:
了解した。
んじゃ、メルトを持ち上げつつ、気持ちよく酒を飲んだら、軽いおつまみを銀貨1~2枚程度購入して屋敷に戻るとする。あと、酒も瓶で買えっかな?
GM:
それくらいのものであれば売ってくれますが、瓶入りだとそこそこ値が張りますよ? 中くらいのサイズのガラス瓶に入ったワインであれば、22銀貨になります。
セルダル:
たっけーな!
GM:
ガラス瓶は貴重ですからね。あとで瓶を返してくれるのであれば、20銀貨は返ってくるということにしてもいいですけど……。
セルダル:
まあ、それくらいならなんとか。
GM:
では、セルダルはワインとつまみを買うと、酒場を後にしました。
メルト(GM):
「明日もよろしくお願いしますねー!」と、いい感じに酔っぱらったメルトがあなたをお見送りしてくれます。
セルダル:
「こっちこそ宜しくな! 今日はごちそーさん!」
んで、屋敷に帰るわけだが、帰ってきたときに外からニルフェルの部屋の明かりは見えるか?
GM:
メルトとの飲みは結構遅くまで続くはずなので、意図的に早めに切り上げたのでなければ部屋の灯りは消えていますね。
セルダル:
そーか。いや、部屋の明かりが消えてんならそれでいいんだ。ちゃんと眠れてるのかを気にしただけだからな。もちろん、メルトとの酒盛りはめーいっぱい遅くまで楽しんだぞ。
GM:
了解しました。ほかに何もなければ、翌日のお昼まで時間を進めてしまいます。
GM:
では、翌日の昼食の場面となります。ニルフェルは、この日も食堂に姿を見せませんでした。食堂で顔をあわせたギュリスとユセフは、互いに目をあわせて小さくうなずいています。そして、ニルフェルを欠いたまま昼食が始まりました。
セルダル:
小声でギュリスに、「ニルフェルはどーした?」って聞いてみる。
ギュリス(GM):
「まだ調子が悪いんだってさ」と、ギュリスも小声でセルダルに返します。
セルダル:
「そーか……」
ギズリ(GM):
ギズリはそんな2人のやり取りをチラリと目の端に入れると、「まーた、ニルフェルはメシを抜く気かよ。気持ちが乗らないからってメシを抜いたりしてると、しまいには身体のほうまでおかしくなっちまうぞ。せっかく、こんなに美味いメシだってのにな」と言いつつ、肉汁の滴るローストビーフを乱暴に口の中に放り込みました。
セルダル:
「ごちそーさん」
ちょっと様子が気になるから、手早く飯を済ませてニルフェルの部屋に行ってみることにする。
GM:
了解です。
GM:
食堂をあとにしたセルダルは、そのままニルフェルの部屋の前までやってきました。
セルダル:
扉をノックして、「ニルフェル、大丈夫か?」って声を掛けてみる。
GM:
そうすると、すぐには反応が返ってきませんでしたが、しばらくして部屋の中からニルフェルの声が聞こえてきます。
ニルフェルの声(GM):
「ごめんなさい。いまは気分がすぐれなくて……」
それは耳をそばだててやっと聞き取れるくらいの小さな声でした。
セルダル:
「風邪か? 熱でもあんのか?」
ニルフェルの声(GM):
「少し休んでいれば大丈夫ですから、あまり心配しないでください……」
セルダル:
「いや、心配すんなっつっても、ろくに飯も食ってねぇんだろ? そーだ、何か食いたいもんでもあるか?」
ニルフェルの声(GM):
「本当に大丈夫ですから。気を遣ってくれてありがとう……」
セルダル:
「そーか……。わかった。んじゃ、夕飯は一緒に食おーぜ」
ニルフェルの声(GM):
「……」
そのセルダルの言葉に、ニルフェルは返答しませんでした。
セルダル:
しばらく返事がねぇのを確認したら、「んじゃな、ゆっくり休めよ」って言って、オレは自室へ戻る。
こうして、ニルフェルのことを心配しつつも、セルダルは一度部屋へと戻りました。そして、しばらく部屋で時間をつぶすと、メルトたち自警団の訓練に参加するため再び部屋を後にしました。
セルダル:
この村にいる間に身体がなまっちまわないように、訓練は欠かさずしておかねぇとな。
GM:
では、セルダルは屋敷の東にある開けた場所で行われている自警団の訓練に合流し、昨日と同様、自警団の面々と共に素振りと型の練習に励むことになります。一通りのノルマをこなすと、メルトはセルダルに対して、自分以外の自警団員とも模擬戦をして経験を積ませてやって欲しいと願い出てきました。
セルダル:
「オレなんかでいーなら、喜んで相手するぞ」と、その申し出を快く引き受けた。
GM:
ならば、そうやってみっちり訓練した分、戦闘疲労を累積させておいてください。
セルダル:
了解。(コロコロ……出目は1ゾロ)……なんだと……? 疲労が一気に12点溜まっちまった。
「これで……最後の……1人……だな……。ハァ……ハァ……」
メルト(GM):
メルトのほうの疲労は……(コロコロ)9点たまりました。
「よーし! 今日の訓練はここらで終わりにしよう!」
セルダル:
「お疲れ……。さすがに全員相手にすんのはしんどかったぜ……」
メルト(GM):
「お疲れさまでした!」
メルトは全身汗まみれになりながらも、充実の笑みを浮かべています。
GM:
そうやって、一通りの訓練を終えた自警団の面々が汗をぬぐっていると、東のほうから馬が1頭走ってきました。疾走する馬の背には必死の形相を浮かべた中年男性の姿があり、その早馬は自警団員たちのそばを通り抜けて一路屋敷へと向かっていこうとしています。
セルダル:
「ん? なんだありゃ?」
メルト(GM):
「あれは……どうやら東の鉱山で働いている鉱夫のようですね」そうセルダルに説明すると、メルトは通り過ぎていこうとする馬上の男に対して大声で、「おーい! どうかしたのかー!?」と声をかけました。
鉱夫(GM):
すると鉱夫は、「く、熊じゃーッ! 熊が出おったーッ! 山から鉱物運んどった連中が熊に襲われよったーッ!」と叫びながら屋敷のほうへと遠ざかっていきます。
メルト(GM):
「熊だってッ!?」
セルダル:
「熊!?」
詳しい話を聞きたいから、急いで屋敷に戻る。
メルト(GM):
メルトも、他の自警団の面々に対して「俺もユセフ様のところへ行ってくる! お前たちはいつでも出動できるように準備をしておいてくれ!」と言い残すと、セルダルの後を追って駆け出しました。
GM:
では、場面を屋敷の客室へと移します。その場には、あなたとメルトの他に、ユセフとギュリス、そして火急の知らせを告げにきた鉱夫の姿があります。
鉱夫は自分の前に用意されたカップの中の水を一気に飲み干すと、ことの次第を順を追って報告していきました。鉱夫の話をまとめると、だいたい次のような内容になります。
今日の昼過ぎ、鉱物などを積み込んだ荷馬車をデミルコルまで運ぶため、10人からなる輸送隊が鉱山を出発。ところが、その途中10キロちょっと進んだところで森の中から突然姿をあらわした熊の襲撃にあい、その際に馬が暴れ、2頭いたうちの1頭は足を痛めて動けなくなってしまった。
逃げ遅れた輸送隊の面子3人と馬1頭が襲われている間にほかの者は荷馬車を捨てて逃げ出し、なんとか熊の襲撃を逃れることができたのは7人と馬1頭。
そして、この事態をユセフに報告すべく、自分1人が馬に乗ってここまでやってきた。残りの6人は、今も熊の襲撃に警戒しながら徒歩でデミルコルを目指しているはずである。
GM:
ここで、熊に対する“動植物知識”判定を行っておきましょう。目標値は7・9・11です。
セルダル:
(コロコロ)13で完全成功だ。
GM:
では、ムーンベアについての情報を公開します。
第4話の時点ですでにムーンベアの情報は公開していましたが、セルダルとしての判定はしていなかったので、あらためて判定と情報公開を行いました。概要だけでも再度確認したい方は第4話シーン20をご覧ください。
GM:
さらに、ハンターであるセルダルには、ムーンベアの細かい習性についても教えておきましょう。
ムーンベアは普通の状態であれば人間を警戒しており、まず襲い掛かってきません。ただし、いくつか例外があります。まず、ムーンベアは腐肉食動物なので、死んでいると思われる身動きできない人間であれば普通に食べます。そして、一度人間の味を覚えたムーンベアは以後人間を獲物とみなして襲ってきます。また、小さな子供を連れたムーンベアの母親は、巣穴に近づいてくる者を追い払うために強襲することがあります。最後に、人間によって一度手負いとなったムーンベアは以後見境なく人間を襲ってきます。
鉱夫(GM):
「ワシら10人もおったというのに、あの熊はこれっぽっちも怯えることなく襲い掛かってきおった……。ありゃ、仕留めんかぎり、また人のことさ襲うぞ……。どうすんべ……。どうすんべ……」
自分の知り得る情報をユセフたちに伝え終えると、鉱夫は恐怖に身をこわばらせました。
セルダル:
「警戒心の強いムーンベアが人を襲ってきからには、なんかしらの理由があるはずだ。ほかになんか気づいたことはねぇのか?」
鉱夫(GM):
「うーん、うーん……。そういやぁ、見間違いかもしれねぇんだが……」
鉱夫は何かを言いかけたのですが、自信がなさそうに口ごもります。
セルダル:
「何でもいい。気づいたことがあったんなら話してくれ」
鉱夫(GM):
「あの熊さ、背中のほうの毛が変な感じでなくなっとるような気がしたんだけども……。いんや、きっと見間違いだな」
セルダル:
「背中の毛? ……それが誰か人の手によって傷つけられたもんだとすれば、人間を襲う理由になるかもしれねぇな……」
(そう言ってしばらく考え込む)
ユセフ(GM):
鉱夫の話を一通り聞いたユセフは、メルトに自警団員を集めるように命じます。そして、「たしか、テジーは今日は狩りにでずに家で休んでいるはずだったな……」と呟いてから、使用人に対してテジーを呼んでくるように言いつけました。
突然の知らせに暗雲立ち込めるデミルコル。そして、セルダルの戦いが始まります。