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宮国紀行イメージ

宮国紀行 第6話(09)

 ついていないことに、セルダルとムーンベアが接触した地点は、木々が密集しているためテジーのいる位置から射線がとおらないばかりか、メルトも大きく回り込まなくては背後や側面をとれないような場所でした。この状況に、セルダルはなんとかしてムーンベアといったん距離をとり、自分たちの優位な場所に移動しようとします。

ムーンベアの巣2

セルダル:
 まずは、ここで香辛料の袋を使う。行使値は(コロコロ)11。

ムーンベア(GM):
 ムーンベアは精神抵抗値12でそれをこらえました!

 さっそく対ムーンベア用アイテムである香辛料の袋を使ってムーンベアをひるませようとしたセルダルでしたが、残念ながら狙いどおりの効果は発揮されませんでした。現実は非情です。そして、今度はムーンベアが、引くに引けないセルダルに向かってその鋭い爪を振り下ろしました。

ムーンベア(GM):
 続いて、ムーンベアの爪攻撃ですが、命中値は14です。

セルダル:
 回避は(コロコロ)13で足りない……。ここは、“可能性”を使って回避値を+2する。回避成功。
 で、次の自分の手番で蜃気楼の外套を使用。(コロコロ)“ミラー・イメージ”が発動。

メルト(GM):
 交戦に入ったセルダルに対し、周囲の木が邪魔して挟み打ちできないでいるメルトは「セルダルさん、どうすればッ!?」と判断を仰ぎました。

セルダル:
「木を避けて大きく回り込めッ!」

メルト(GM):
「わ、わかりましたッ。なんとか持たせてくださいッ!」そう言うと、メルトはランタンをその場に置くと、盾を構えて走り出します。

 セルダルの指示を受けて走り出したメルトでしたが、その迂回路には草の茂るところもあり、メルトがムーンベアの背後までたどり着くのには、しばらく時間がかかりそうでした。その間、セルダルはひとりでムーンベアと対峙することになります。

セルダル:
 ムーンベアに両手剣で攻撃。(コロコロ)命中値は10!

ムーンベア(GM):
 ムーンベアはその一撃を軽快な動きで回避しました。
 そして、ムーンベアの反撃です。今度は牙で噛みついてきました。命中値は13です。

セルダル:
 “ミラー・イメージ”の効果は……(コロコロ)くそッ、本体に攻撃された。回避は(コロコロ)10で失敗。

ムーンベア(GM):
 ムーンベアの牙攻撃によるダメージは(コロコロ)13点です!

セルダル:
 ……それをそのまま食らったら士気判定に突入しちまうな……。ここは“可能性”を使ってダメージを軽減しておく。(コロコロ)3点軽減。そこからダメージ減少分も差し引いて、最終的に5点食らった。

 さすがにムーンベアは強いです。戦闘レベルがセルダルより1つ高いということもありますが、それ以上に人間と熊との身体能力の差が大きな壁となって立ちはだかりました。セルダルひとりで正面から対峙して戦っていたのでは、まず勝ち目がありません。セルダルが勝機をつかむためには、何としてもメルトの援護を待たなければなりませんでした。

ギヴ(GM):
「こりゃあ、まずいッ!」テジーの背後で戦いの様子を見ていたギヴは思わずそう漏らすと、足を引きずりながらも、必死にセルダルがいるほうへと向います。どうやら、ギヴは“キュア・ウーンズ”でセルダルの傷を癒すつもりのようです。

メルト(GM):
 そのタイミングで、ようやくメルトがムーンベアの背後にたどり着きました。
「セルダルさんッ! 大丈夫ですかッ!?」

セルダル:
 オレはムーンベアに攻撃し続ける。(コロコロ)うおッ、こんなところで1ゾロが出るなんて、今日はついてねぇな……。

メルト(GM):
 続けて、ムーンベアの背後をとったメルトが片手剣でムーンベアに切りかかります。(コロコロ)しかし、命中値は7で命中せず。

ムーンベア(GM):
 ここで、背後からの攻撃にムーンベアが気をとられていないかを判定します。《2D》で7以上であればそのままセルダルに攻撃、6以下であれば振り向いてメルトに襲い掛かります。(コロコロ)5。ムーンベアは背後から切りかかってきたメルトに対して、振り向きざまに牙で攻撃します。

メルト(GM):
 メルトの回避は(コロコロ)失敗。12点ダメージのところを鎧で5点止めて、7点食らいました。
「ぐああああぁぁぁ!」
 一気に生命点が半分以上奪われてしまったので士気判定を行います。士気判定は……(コロコロ)12でジャスト成功!
「畜生ッ! だけど……」
 メルトは歯を食いしばると、ムーンベアの背後にいるセルダルへと視線を送りました。
「セルダルさんッ! いまですッ!」

セルダル:
 よし! ここで“渾身の一撃”を放つ!

ムーンベア(GM):
 さすがのムーンベアも、それをみすみす背後で受けるわけにはいきません。“小移動”で方向転換します。

メルト(GM):
 そうはさせじと、メルトが“範囲支配”による移動阻止を実行! (コロコロ)うーん、残念ながら失敗です(苦笑)。

セルダル:
 正面からになっちまったか……。命中値は(コロコロ)10で攻撃失敗……。

 流れ的にはパーフェクトだったのですが、そうそう都合よくことは運びませんでした。しかし、捨てる神あれば拾う神あり。このタイミングでギヴの“瞑想”が完成します。

ギヴ(GM):
 ここで“瞑想”を完了したギヴが、セルダルに対して“キュア・ウーンズ”を唱えます。(コロコロ)生命点を7点回復!

セルダル:
 それで全快した。

メルト(GM):
 今度はメルトがムーンベアの背後から片手剣で斬りかかります。ムーンベアはまだ手番が回ってきていないので“小移動”による方向転回ができません。(コロコロ)6ゾロで攻撃命中! ダメージは(コロコロ)6点。

セルダル:
 6点は通るのか……!?

GM:
 残念! メルトの一撃は、ムーンベアの分厚い毛皮に止められてしまいました。

 この攻撃に前後して、メルトの後方まで回り込んできていたテジーも加わり、総力挙げての戦いとなりました。当たり所が悪ければ一撃で人の首を吹き飛ばすほどのムーンベアの攻撃に、気の休まる暇がありません。

ムーンベア(GM):
 では、ムーンベアがセルダルに対して爪で攻撃します。

セルダル:
 その攻撃は……(コロコロ)“ミラー・イメージ”で肩代わりした。残りの幻影は1体。
 そんで、お返しに“渾身の一撃”。命中値は(コロコロ)13。

ムーンベア(GM):
 それは同値で回避成功ですね。

セルダル:
 なら、“可能性”を使って命中させる! ダメージは(コロコロ)14点!

ムーンベア(GM):
 うーん、さすがに痛い。その一撃でムーンベアの生命点が半分を切ってしまったので、士気判定を行います。(コロコロ)11で失敗。ここからムーンベアは逃走に移ります。

セルダル:
 逃がすかよッ! “離脱阻止”は(コロコロ)失敗……。

メルト(GM):
 メルトも“離脱阻止”します。(コロコロ)キターッ! 6ゾロで自動成功!

 メルト、会心の離脱阻止! ここまであまり見せ場のなかったメルトでしたが、ここで値千金の活躍をしてくれました。しかし、ムーンベアはその後も諦めずに連続して逃走を試みます。

ムーンベア(GM):
 次のムーンベアの行動は、再び逃走です。

メルト(GM):
 メルトの“離脱阻止”は(コロコロ)失敗。

セルダル:
 オレの“離脱阻止”は(コロコロ)10で失敗。だが、“可能性”を使って成功にする!

ムーンベア(GM):
 では、離脱を阻止されたムーンベアは、セルダルへと正面を向けました。

 先ほどから、“可能性”の大放出です。しかし、“可能性”を出し惜しみしていたら、おそらくはこの戦いに敗北していたことでしょう。それくらい、ムーンベアは強く、そしてそれ以上に……戦闘中のセルダルのダイス目は冴えていませんでした(苦笑)。

セルダル:
 ムーンベアに対して“渾身の一撃”! (コロコロ)命中して、ダメージは10点!

ムーンベア(GM):
「グワァァァ……ッ!」
 その一撃を受けたムーンベアは、一度ビクンッと身体を大きく痙攣させると、そのまま前のめりに崩れ落ちました。 (コロコロ)昏倒です。

セルダル:
「ふぅ……。ようやく終わったか……。メルト、大丈夫か?」

メルト(GM):
「ハァ……ハァ……。くッ……」
 ムーンベアから受けた傷の痛みに耐えかね、片膝を地面についたメルトでしたが、その表情はどこか晴れやかです。
「やりましたね!」

セルダル:
「よくムーンベアの逃走を阻止してくれたな。おかげで助かったぜ。あれがなかったら、危うく逃がしてるところだった」

メルト(GM):
「いえ。やるべきことをやっただけです。それより、セルダルさんこそ見事な一撃でした」

セルダル:
「まあ、なんとか面目躍如ってところだな……。老子もテジーもサンキューな。2人がいなけりゃ、ここに来ることすらできなかっただろーぜ」

ギヴ(GM):
「さすがにオヌシがムーンベアに噛みつかれたときには、冷や汗をかいたがのう」そう言って、ギヴは冗談めいた笑みを浮かべました。

セルダル:
「老子の支えのおかげで、何とか踏みとどまれたよ」

メルト(GM):
「しかし、どうやらこの熊は手傷を負っていたようですね。見てくださいよ」そう言って、メルトはムーンベアの背中へと視線を落としました。

GM:
 倒れているムーンベアの背中には、大きい斬撃の跡が残されています。しかし、それはこの戦いでついたものではないようです。

セルダル:
 ……それって、きっとオレにとっては見覚えのある傷なんだよな?

GM:
 はい。よく覚えています。

セルダル:
「……」

 なんとか、ムーンベアを倒すことに成功したセルダルたちでしたが、森の外にまで出てきて人を襲ったムーンベアの背中には、見覚えのある傷跡が残されていました。それを目にしたセルダルは、はたして何を思うのでしょうか?




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