LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第6話 ティータイム

 そのようなわけで、第6話からセルダル視点での話も同時展開していくことになりました。グランド・キャンペーンとまではいきませんが、それぞれのPCの行動が相互にどのような影響をおよぼしてくるのか、GMとしてもこれからの展開がとても楽しみです。

 今回はソロプレイだったこともあり、リプレイとして書き起こしたシーン数が12ですみました。これくらいのボリュームだと、話の流れが把握しやすくていいですね。キャンペーンの場合、個々のシナリオはこれくらいのボリュームに抑えて、複雑な展開は複数のシナリオに跨らせたほうがよいような気がします。まあ、そうはいっても、話のディテールを作っているうちにどんどん容量が増えていってしまうものですけどね(苦笑)。実際、第1話、第2話、第4話あたりは、当初の構想では今回とさして変わらない程度のボリュームだったのですよ……。

 さて、第6話のタイトルは、ニルフェルに対するセルダルの台詞からとって、「誰も止めてくれなくて」としました。ニルフェルが自らの後宮入りをどのように考えているのかということは、第1話から掘り下げて欲しかったところでしたが、ここまで誰もニルフェルと積極的にかかわろうとしてこなかったことから、なかなか触れる機会がありませんでした。それを、今回ようやくセルダルが突っ込んでくれた形です。しかし、セルダルのニルフェルへの接し方が予想以上に武骨だったため、ニルフェルはますます誰かに頼るということができなくなってしまったのでした。これにはギュリスも苦笑い(笑)。

 ニルフェルは、普段の精神状態であれば快活で聡明だという設定となっていますが、氏族の命運を背負って後宮入りしなくてはならないという使命感と、それを前向きに支えてくれる人がいないという状況で、正常な状態ではいられなくなっています。まあ、まだ16歳の少女がひとりで抱えるには大きすぎる問題なので、いたしかたないところでしょう。彼女には、彼女を理解して支えになってくれるような人、あるいは手を引いて現状から別の場所へと導いてくれるような人が必要です。それを踏まえて、今後セルダルとニルフェルの関係がどのようになっていくのかというところが、こちらサイドの見どころのひとつとなることでしょう。

 ミッションとしてはムーンベアとの戦いがメインとなった第6話ですが、これは第4話の尻拭いであるともいえます。あのとき倒しきれなかったムーンベアが村の脅威になってしまったのですから、その当事者であるセルダルは責任をとらなくてはなりません。まあ、実際のところ、セルダルに直接の非があったわけではないのですが……。これは、今回の話におけるテーマのひとつです。つまり、自分たちがとった行動によって思いがけない問題が発生することもあり、それに対してどう責任を取るかということであったり、あるいは何か行動を起こすとき、その行動によって発生しうる問題を十分に考慮したうえで行動しているのかということです。その点で考えると、今回のセルダルは十分に責任を果たしたと言っていいのではないでしょうか?

 戦闘については、遭遇判定の出目のよさも手伝って、メルトとの模擬戦とムーンベアとの戦闘しか行われなかったわけですが、その数少ない戦闘の中でも、ムーンベアとの戦いは手に汗を握ってしまうほど際どいものとなりました。セッション開始時に、セルダルに死んでも構わないと話していたGMではありましたが、プレイ中は内心かなりドキドキしていました(笑)。ツキノワグマやヒグマに興味のある方はよくご存じだと思いますが、熊は恐ろしく強い猛獣であり、日本列島においては最強の陸上動物なのです。そのため、LOSTでもかなり強いモンスターとしてデザインされています。それに輪をかけて、今回はソロプレイであるため、まさかのときに取り返しがつかないという恐怖がありました。

 そのほかに、セルダルのロールプレイ部分についても触れておきましょう。今回から暫定的にPCとなったセルダルですが、もともとNPCだったセルダルをそれらしく演じてもらうため、プレイヤーにはかなりの負担をしいることになったかと思います。しかし、そのかいあってか、細かい部分でわたしの想定していたものと多少異なるところはあったものの、全体的にみると結構セルダルらしく行動できているなと感じました。時系列順に振り返ると、対ギズリ、対ギュリス、対メルト、対テジー、対ニルフェルと、それぞれのNPCとの絡みがなかなか面白いことになっています。いささか女性陣に対する反応のほうが気合いが入っているような気もしますが、そこがセルダルらしいといえばセルダルらしいところでしょう(笑)。彼は基本的に軟派な奴なのです。

 最後に次回予告ですが、次は再びアゼルたちの話に戻ります。実際にプレイした順番は異なるのですが、リプレイを読む方にもわかりやすいように、物語中の時系列順に並べて掲載していく予定です。ニルフェルが思い悩んでいた間、アゼルはいったい何をしていたのか? それは読んでのお楽しみ。男子三日会わざれば刮目して見よ!?




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