LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第7話(06)

イーサ:
 しかし、こうやってタルカンさんの話を聞いてみると、ベルカントとアゼルってやっぱり似たようなタイプなんじゃないか? 目の前のことを優先して、当初の目的を踏み外してしまうところが似てる。

GM:
 たしかに、ベルカントは数十人の村人の命を救うというミッションを遂行中に、新たに数百人の犠牲者を生むかもしれないミッションが発生したため後者を優先したわけですが、彼の場合は前者のミッションについてもタルカンに可能な限りの対処を託していますから、アゼルほど無責任なわけではないと思いますよ(苦笑)。

一同:
(爆笑)

イーサ:
 なるほど。言われてみればそうだな。アゼルは困っている人を助けたがりはするが、途中で放棄することも多いもんな。それは責任感が欠如してるからなのか(笑)。

アゼル:
(苦笑)

タルカン(GM):
「……ところで、アナタたちは十数年前のバリス教団の蜂起について、どれくらい知っているの?」

アゼル:
「そういう戦いがあったということは知っているが、詳しいことは……」

タルカン(GM):
「そうなの? だったら、昔話ついでに少し教えておいてあげる。……十数年前にバリス教団が蜂起したとき、その鎮圧にあたったのがヤウズ王子よ。ヤウズ王子はバリス教団鎮圧戦においてその手腕を存分に発揮し、数百人におよぶバリス教団の戦士たちをことごとく打ち倒していったわ。ちなみに、その戦いにおける鎮圧部隊側の被害はほとんどなし。あれがヤウズ王子の名が他国まで知れ渡る切っ掛けになった戦いだったわね。まるでメーメット王やアルダ王の再来だって騒がれたものよ」

アゼル:
「そうなんですか……」

タルカン(GM):
「聞いた話によれば、ヤウズ王子はそのときにバリス教団関係者を根絶やしにしようとしていたそうなのだけれど、中央からの命令でそれを完遂する前に王都に呼び戻されたらしいわ。そのおかげで、現在にいたってもなおバリス教団が存続し続けているってわけね」

 これまでにも何度か話題にでてきた、ヤウズ王子の指揮によるバリス教団暴徒鎮圧。いよいよ、バリス教団とヤウズ王子の対立関係が鮮明になってきました。そして、その対立は一行にとっても対岸の火事ではなくなりつつあります。

エルド:
「……ところで、ベルカントさんはタルカン様との別れ際に、『戦いを止めなければ』と言っていたんですよね? それなのに、いまでは自ら戦いを起こそうとしている。これはいったいどういうことなんでしょう?」

イーサ:
「サーラールとベルカントが同一人物であるとすれば、きっと何か理由があるんだろう……。俺の母さんは、息を引き取るそのときまでオヤジのことを信じていた。決して誰かを裏切るような人間ではないと……。これまで俺は、ただ単に母さんがそう思い込みたかっただけなんだろうと思っていた。だが、タルカンさんの話を聞いたいま、母さんの言っていたことは間違ってなかったんだと思う。だから……」

アゼル:
「ならば、イーサ。お前はオヤジさんのことを止めなければならないんじゃないか? お前のオヤジさんは、いままで弾圧され続けてきたバリス教団の積年の恨みを晴らすつもりなのかもしれないが、復讐は憎しみしか生まないぞ!」

イーサ:
「……は? バリス教団の企てを阻止するってことと、サーラールが俺のオヤジかどうかってことは関係ないだろ? それよりも、“死神の吐息”なんてものが使われたら大勢の人間が死ぬことになる。それだけは、何としても阻止しなくちゃならない。そのためにも、タルカンさんにはこの街の外に出るための協力をお願いしたい。いま頼れるのはタルカンさん以外にいないんだ」

 個人的に複雑な境遇におかれることとなったイーサですが、どうやら個人レベルの問題と国家レベルの問題は切り分けて考えているようです。焚きつけようとしたアゼルに対して、意外に冷静なイーサでした。

タルカン(GM):
「……わかったわ。それなら、今日一日、時間をもらえるかしら? アナタたちから聞いた情報を使って、総督府に掛け合ってみるわ」

イーサ:
「よろしくお願いします。では、明日またここにくればいいですか?」

タルカン(GM):
「ええ。朝一にいらっしゃい。待っているわ」

アゼル:
 話はまとまったな。それじゃ、宿屋に戻るとするか。

GM:
 あの……。宿屋に戻る前に一応確認しておきますが、サブリの件については話をしておかなくてもいいんですか?

アゼル:
 あ……そうだった……。

エルド:
 もういい加減サブリさんのことは放っておいていいんじゃないですか?

アゼル:
 うーん。いや、やはりなんとかしてやりたいところなんだが、サブリさんのことに関してはタルカンと交渉する材料もないしなぁ……。

GM:
 ……交渉材料なんていくらでもあると思いますけど……。たとえば、サブリの借金を返済するために自分が働きますとか持ちかければ、タルカンだって話くらい聞いてくれると思いますよ。

アゼル:
 え? 俺がサブリさんの代わりに借金を返済すんのかよ!? それは考えもしなかったな……。

GM:
 あくまでもたとえばの話ですよ。ですが、20万金貨をひとりで返済するのは難しくても、4人で分担すればひとり頭5万金貨で済みますよ。それなら、多少は現実味のある話だと思いますし、アスラン商会としても貸している金を焦げ付かせずに全額回収できる可能性が高まるので、損な話ではないはずです。

アゼル:
 4人って?

GM:
 ここにいるアゼル、イーサ、エルドの3人にサブリを加えて4人ってことですけど。

アゼル:
 いや、だって……イーサとエルドは協力してくれないだろ?

GM:
 そう思っているから相談すらしないと?

イーサ&エルド:
(苦笑)

 実際に借金返済に協力してもらえるか否かは別にしても、相談しようとすら考えないアゼル。彼らがいまだに仲間と呼べる間柄になっておらず、あくまでも同行者にすぎないということがうかがい知れます。何度も共に生死の境を乗り越えてきた間柄のはずなのに、寂しいものですね(苦笑)。

アゼル:
 うーん……。しかし、借金を肩代わりした場合、いったいどれくらい働かされることになるんだろう? 返済しなくちゃならない金額は5億円相当なんだろ?

GM:
 一般的なサラリーマンの生涯賃金の約2倍ですね。

アゼル:
 うん、無理だ。まともに考えれば、サブリさんを救うのは諦めるべきだろ。

イーサ:
 ちなみに、もしここでアゼルがサブリの借金を肩代わりしてアスラン商会で働くことになったら、そこでアゼルはキャンペーンから離脱することになるのか?

GM:
 その場合でも、プレイヤー側から離脱希望がない限り、何かしらの理由をつけて王都まで向かってもらうことになるでしょうね。たとえばタルカンから、「王都で大切な仕事があるから、そこまで行け」とか命じられることになるかもしれません。

アゼル:
 なるほど……そういうことなら……。
「ところで、タルカンさん。サブリさんの件なんだが……」

タルカン(GM):
「あら、サブリがどうかしたの? さっきアナタたちから聞いた話からすると、サブリは商売に失敗したのでしょう? アナタたちがそのことを教えてくれて助かったわ。まあ、ワタシが担当というわけではないのだけれど、こちらとしても彼に貸している20万金貨が焦げ付いてしまわないように、早めに手を打っておかないとね。もし回収しそこないでもしたら、担当者の首が飛ぶのは避けられない金額だもの」

イーサ:
 そうか、金を貸してる側としてもそれ相応のリスクがあるんだな……。

アゼル:
「危ない橋を渡って商売しようとしていたサブリさんは自業自得なのかもしれないが、その家族に罪はないと思うんだ。なんとか助けてやる手立てはないだろうか? 現実的に考えて、20万金貨なんて大金を返済するのは不可能だ」

タルカン(GM):
「そう? 抵当に入っているサブリのお店と、そのお店の運転資金を回収するとして……。あとは、サブリの妻と娘に身を粉にして働いてもらえば、返せないこともないんじゃない?」

アゼル:
 そうなのか? じゃあ、俺の取り越し苦労か(笑)。

GM:
 タルカンは暗にサブリの妻と娘に客を取らせると言っています(苦笑)。タルカンは別に善人ってわけではないですからね。犯罪行為でなければためらわずにやりますよ。

アゼル:
 残念ながら、アゼルはそんなことまでは思い至らない! だいたい、そんな巨額の借金を俺たちで返済することになったら、完済するまでに数十年かかるんじゃないか?

イーサ:
 ふむ。そうなったら、探索者になって遺産を入手して売り払うしかないな!

GM:
 遺跡探索ですか……。たしかにそれも方法のひとつではあるかもしれませんが、現在のカーティス王国では遺跡探索が禁止されていますし、ヤウズ王子に睨まれるのを承知で大枚はたいてまで遺産を買い取ろうという人は滅多にいませんよ……。ですが、そんな不確定な仕事をするよりも、もっと確実に高給を得られる求人をあなたたちは知っているじゃないですか。

アゼル:
 ……と言うと?

GM:
 ほら、支度金まで出してくれるっていうあれですよ。あれ。

アゼル:
 ……と言うと?

GM:
 ……え? まさかとは思いますが、本当はわかっているのにわざとはぐらかしてるんですよね?

アゼル:
 いや、全然思い当たる節がないんだが……。

GM:
 本当に覚えていないんですね……。なんてこったい……(と言って頭を抱える)。
(声色を変えて)金が欲しいんだろ? 大金を手に入れたいんだろ? 今日からは軍人が金になる商売だぜ? 戦争が始まるのさ。金は戦場に埋まってる。
 ――ということでGM側から言ってしまいますが、新王直属部隊への入隊ですよ。

イーサ:
 あッ! なるほど、その手があったか。

アゼル:
 うーん……。新王直属部隊への入隊か……。どうしようかな。そうはいっても、必ずしも入隊できる保証はないしなぁ……。
(しばらく考えてから)
 いいかげん、正義漢面するのも疲れてきたし、もうサブリのことは放置してもいいような気がしてきた。なんで俺が赤の他人のためにつらい目にあわなくちゃならないんだって話だよ。この世界だと正義を貫こうとすると、とんでもない代償を要求されて、あげくそれを支払ったとしても見返りがないまま終わっちゃいそうなんだもんなぁ。

エルド:
 ……いろいろとぶっちゃけましたね(笑)。

イーサ:
 一応、今回の話を聞いた感じだと、ベルカントなんかは正義感で行動してるように思えるんだが……。

アゼル:
 それは、ベルカントが権力とか財力を持ってるからできるんであって――

イーサ&エルド:
(爆笑)

エルド:
 金と力さえあれば……ですか(笑)。

イーサ:
 そんなこと言ってるようじゃ、どのみちダメだな(笑)。

GM:
 まあ、サブリの件をどうするかは自由に決めてもらっていいですよ。見捨てたからといってペナルティがあるわけではありません。ですが、サブリのことを見捨てるにしても、それを選択するに至ったキャラクターの心情の変化をしっかりと演じてくださいね。大切なのは物語をつくるということですから。

アゼル:
 うーん……。それはそれで難しそうだな。まあ、正義を貫くよりは楽そうだけど……。いやさ、これまでもイーサとエルドを見てて、気楽そうでいいなって思ってたんだよ。

エルド:
 正義なんてクソ食らえです!

イーサ:
 まあ、非の打ちどころのない正義なんていうのは、ご都合の上にしか成り立たないものなんじゃないか?

アゼル:
 ほら、そう言えるのがうらやましいんだよ……。でもさ、俺がこのパーティーで唯一の良心だからさ。

イーサ&エルド:
(失笑)

エルド:
 あーあ、ついにこのパーティーの唯一の良心が壊れるときが来てしまいましたね(棒)。

GM:
 成功が約束されていなければ履行しないだなんて、アゼルの掲げていた正義というものはずいぶんと打算的なものだったんですね(苦笑)。少なくとも、さきほどたとえにでたベルカントなんかは、見返りを求めて行動するような人物ではありませんよ。

アゼル:
 それは……。きっとアゼルにそこまでの強い思いはなかったんだよ。ただ単に正義漢面したかっただけで、本物の正義ではなかったんだ。なにせ、さっきアゼルはサブリさんの家族を助けたいだなんて言ってたけど、見たこともない相手に対して献身的になれる感覚なんてプレイヤーとして理解できないしな。

GM:
 ……了解です。プレイヤーとしてのアゼルの考えはよくわかりました。ですが、キャラクターとしてのアゼルはどうなんでしょうね? ニルフェルのことを王都に送り届けると言っていたアゼルであったり、たとえ自分ひとりだけになろうともサブリのことをクゼ・リマナまで護衛すると言っていたアゼルは。
 ここで少し休憩をいれますので、その間にアゼルとして今後どうするのかを決めておいてください。

 ――というわけで、アゼルのプレイヤーがやけになりつつあったので、場の空気をかえるためにいったん休憩を挟むことにしました。

 そして10分後。アゼル、決断のとき……。そこにはさらなる衝撃の展開がッ!

アゼル:
「タルカンさん! 俺は何としてもサブリさんとその家族を救いたいんだッ! 俺にできることだったら、何でもするッ! だから、何かいい方法があるなら教えてくれッ!」

 いったい休憩中に何があったというのか……(笑)。

タルカン(GM):
「何でもするですって?」そう言って、タルカンはいぶかしげなまなざしをアゼルへと向けました。

エルド:
 ええ、言ってました。何でもするって、ハッキリと口にしていましたよ(笑)。

タルカン(GM):
「アナタ、いったいサブリとどういう関係なの?」

アゼル:
「一緒に旅をした仲間だ!」

タルカン(GM):
「……ただそれだけの関係なのに、20万金貨もの借金を肩代わりするというの? 何でもするっていうことは、その覚悟があるということよね?」

イーサ:
(アゼルに対して)ここは、人を助けるのに理由なんて必要ないだろとかなんとか言ったらどうだ?

GM:
 相変わらず、イーサはほかの人のシーンになると饒舌ですね(笑)。

イーサ:
 俺はプレッシャーに弱いんだよ(苦笑)。

アゼル:
 よし、イーサの案を採用しよう。
「人を助けるのに理由なんてない! 俺はサブリさんだけでなく、その家族も守りたいんだッ!」

タルカン(GM):
 そのアゼルに勢いに、タルカンは呆れたような顔をしました。
「何もお金がなくて困っているのは、この世界でサブリの家族だけってわけじゃないのよ?」

アゼル:
「たしかに、すべての人を助けることはできないかもしれない。だが、だからといって、一度関わり合いになった人を見捨てるわけにはいかない。それは、俺の正義に反する!」
 まあ、舌の根も乾かないうちになにを言ってんだって感じだけどな(苦笑)。

GM:
 プレイヤーとしてはそうでも、PCとしてはオッケーです(笑)。

タルカン(GM):
「俺の正義……ねぇ……。アナタ、なにをもって正義だと言っているの?」

アゼル:
「それを見極める旅をしている!」

タルカン(GM):
「……まあ、呆れた……。そんな覚束ない正義なんて、アナタの自己満足以外のなにものでもないわ」

アゼル:
「そうかもしれない……。だが、その自己満足に過ぎない行為によって救われる人だっているはずだ」

タルカン(GM):
「……まあ、自己満足に救われる人もいるってこと自体はワタシも否定しないけれど……」
(少し考えてから)
「いいわ、アナタが自己満足だと理解しているなら、好きになさい。サブリの借金を肩代わりしたいというなら、その手続きはワタシがしてあげるわ。……それで、アナタはどうやって20万金貨を調達するつもりなの? もしかして、クルト氏族の管理している土地の管理権を売りに出そうとでもいうのかしら? たしかに、あそこの土地とお屋敷なら、20万金貨に見合うだけの価値があると思うけれど……」

アゼル:
「……土地の管理権を譲渡するなんてことは、氏族長じゃないと決められないんじゃ?」

タルカン(GM):
「それなら大丈夫。だって、アナタがいま腰から提げている片手剣って、持ち主がクルトの氏族長であることを証明するものでしょう? アナタが無断でその剣を持ってきたというのでなければ、サイン入りの契約書と共にその剣を預けてもらうだけで法的な効力は十分よ。あとは、ワタシのほうでそれをジャフェル・クルトのもとに持って行って、お墨付きをもらってくることにするわ」そう言ってタルカンはほくそ笑みます。

アゼル:
 うーん。クルト・ソードを預けることになるのか……。まあ、予備のバスタード・ソードがあるからなんとかなりはするが……。
(しばらく悩みはじめる)

タルカン(GM):
「もし、クルト氏族の土地の管理権と屋敷を担保にするというのであれば、ワタシの権限で返済期日を延ばしてあげてもいいわ。利息だって下げてあげる。そのうえで、返済のあてがないというなら、アナタにピッタリの仕事を与えてあげでもいいのよ。そのときは、アスラン商会で働いてもらうことになるけど……」

アゼル:
 ふむ……。アスラン商会に就職か……。たしか、ここってカーティス王国でも有数の一流企業なんだろ? 案外、悪い話でもないよな……。
「よし、わかっ――」

イーサ:
(アゼルの言葉をさえぎって)「アゼル! もういい加減にしろ!」

 途中まではアゼルの正義を貫こうとする姿勢を後押ししていたイーサでしたが、さすがに雲行きが怪しいと感じたのか、ここでブレーキをかけにきました。

イーサ:
「サブリが借金を背負ったのは自業自得だ。お前がそこまでする義理はない。お前にはほかにもっとやらなければならないことがあるだろ? そのためには、ときに諦めることも必要だ。少しは頭を冷やせ!」

アゼル:
 そう声をかけられたのなら、イーサのことを正面に見据えてこう返そう。
「……イーサ、お前だって以前こう言ってたよな? 『本当に自分が正しいと思ってやったことなら、たとえどんな結果になったとしても間違ったことをしたってわけじゃない』って……」

イーサ:
「いや……それは……」

アゼル:
「もう決めたことだ」そう言ってイーサから視線を逸らした。
(タルカンに対して)「だが、ひとつだけ条件がある」

タルカン(GM):
「条件?」

アゼル:
「ああ。サブリさんの借金は俺が全額肩代わりする。そのためにクルト氏族の土地の管理権と屋敷を担保にする。……ただ、そのかわり、ニルフェルのことを王都に送り届けることだけは最後までやり遂げさせて欲しい」

タルカン(GM):
「……そういえば、アナタたちは王都に向かう途中だったのよね……。そうね……それじゃ、契約を締結したあとだったら、そこから王都に行くまでのあいだは好きにしてもらって構わないわ。ただし、お目付け役くらいはつけさせてもらうけど……。それは構わなくって?」

アゼル:
「ああ。それくらいなら構わない」

タルカン(GM):
「それじゃ、ワタシは明日までに街の外にでるための許可を総督府から引き出しておくから、そのあと第1市壁外にでたら、アナタたちはサブリのことを見つけてワタシのところまで連れてきなさい。そうしたら、その場で契約書を作成するわ。それでいいわね?」

アゼル:
「ああ」

イーサ&エルド:
「……」

 こうして、アゼルはサブリが背負っていた20万金貨もの借金を肩代わりすることを決心したのでした。契約が締結してしまえば、もはや後戻りはできなくなりますが、はたして……。




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