LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第7話(08)

GM:
 中央門より徒歩で30分。メフメトたちと一戦交えた場所まで来たあなたたちでしたが、そこにはサブリやその荷馬車はもちろんのこと、バリス教団と戦ったときの形跡すらほとんど残されていません。地面にうっすらと、血痕や焦げ跡が残っているくらいです。それと、そこに向かっている途中で気がつくのですが、どうも貧民街の住人の数が少なくなっているようです。

エルド:
 まったく人がいないんですか?

GM:
 いえ、以前よりもあきらかに少なくなっているだけで、浮浪者らしい人の姿は多少ありますよ。

アゼル:
 じゃあ、近くにいる奴に声を掛けてみるか。
「以前と比べてずいぶんと人が少ないようだが、なにかあったのか?」

無精ひげの男(GM):
 すると、地べたに座り込んでいる無精ひげを生やした男は、自分の目の前に置かれたかご状のものをいじりながら、「はぁ?」と返します。

アゼル:
 施しの催促か? しゃあねぇな……。じゃあ、銀貨を1枚取り出して、そのかごの中に入れた。で、2枚目の銀貨を取り出して、目の前でチラつかせる。

無精ひげの男(GM):
「……」

アゼル:
 反応なしか……。じゃあ、さらに3枚目の銀貨を取り出す。

無精ひげの男(GM):
 では、3枚目の銀貨を見た男は、眉をピクリと動かしました。
「……一昨日の夜ごろから、ここを去っていく連中がちらほらいたような覚えがあるなぁ……」

アゼル:
 銀貨3枚でこの程度の情報しか得られないのかよ……。

 銀貨3枚って現実換算で300円なんですけどね(苦笑)。

エルド:
「一昨日から姿を消したということは、その消えた人たちというのはバリス教団の関係者なんじゃありませんか?」

アゼル:
「……あー、その可能性はあるな」

エルド:
「では、僕からもひとつ質問を……。一昨日の夜、ここらへんで荷馬車に乗った男の人を見かけませんでしたか?」とひげの男に対して言ってから、アゼルさんのことを肘で軽くつつきます。

アゼル:
 じゃあ、さらに銀貨3枚をかごの中に入れた。

無精ひげの男(GM):
 そうすると、ひげの男はニンマリと笑みを浮かべ、その口元から黄ばんだ歯をのぞかせます。
「……その夜に、ちょうどここらへんでどこぞやの組織同士の抗争があったみたいなんだが、その騒ぎが収まってからしばらくしたあと、南東のほうに向かって荷馬車を引きながらトボトボと歩いていった中年の男がいたのを見かけたなぁ……」

アゼル:
 ふむ。どうやら、その中年男というのがサブリさんで間違いなさそうだな。じゃあ、南東方面の宿屋をあたって、サブリさんの馬車が止まっていないかどうかを探していけばいいってことか……。情報の礼にさらに銀貨を1枚取り出してかごの中に入れた。って、この程度の情報に7銀貨は払い過ぎなのか?

エルド:
 これから20万金貨の借金を背負おうという人が、何をケチ臭いこと言ってるんですか。

アゼル:
 いや、まだ借金を肩代わりすると決まったわけじゃないぞ(笑)。

エルド:
 お、ずいぶんと心が揺らいできたみたいですね(笑)。

 こうして、一行はサブリの目撃情報を頼りに、南東に向かって宿屋を調べていくことにしました。

GM:
 では、宿屋の馬小屋にサブリの使っていた荷馬車が止まっていないかを調べていくということで、《スカウト、もしくはハンター技能+知力ボーナス+2D》で目標値11の判定を行ってください。なお、現在は9時少し前といったところですが、調査には最低でも30分かかり、判定の結果が目標値を1つ下回るごとに30分経過していくことにします。つまり、達成値がある程度高くないと、今日中に街の外にでることができなくなってしまうということです。

アゼル&イーサ:
(コロコロ)失敗。

エルド:
(コロコロ)僕は13で成功です。

GM:
 あいかわらず、エルドはこの手の判定の出目がいいですね。ならば、手分けしてサブリの馬車を探していくなか、探し始めてから30分ほど経過したところで、エルドは宿屋にとめてあるそれらしい馬車を発見しました。その馬車は御者台の片側にのみランタンが提げられています。

エルド:
 メフメトとの戦いのときに、僕が片方投げちゃいましたからね(笑)。
 では、アゼルさんとイーサさんを呼んできます。
「サブリさんの荷馬車を見つけましたよ」

イーサ:
「おお、さっそく見つけたのか。早かったな」

エルド:
「ええ、ついていました。ほら、見てください。あの荷馬車。僕がメフメトとの戦いのときに投げてしまったので、片側のランタンがないんですよ」

GM:
 そうやってエルドが指し示した荷馬車が止まっていたのは、2階建ての宿屋でした。外観を見る限り、いかにも安そうな店構えです。

エルド:
 じゃあ、宿屋の中に入ってみましょう。

宿屋の主人(GM):
 あなたたちが宿屋の中に入って行くと、恰幅のよい主人が「いらっしゃい。何名様だい? 長期利用だったら安くしとくよ」と声をかけてきます。

アゼル:
「いや、俺たちは泊り客じゃない。知り合いを訪ねて来たんだ。ここに泊まっているサブリという者に、アゼルが訪ねてきたと伝えて欲しい」

エルド:
 あ……(と漏らして頭をおさえる)。

宿屋の主人(GM):
 アゼルの言葉を聞いた宿屋の主人は、声のトーンを落として「サブリさんねぇ……。そんな名前のお客さん泊まってたかなぁ?」と呟くと、気のない様子で宿帳をペラペラとめくり始めました。

GM:
 えー、これまで何度か経験してきたのでもうおわかりかとは思いますが、基本的にあらかじめ宿泊者側から来訪者があることを伝えておかない限り、宿屋の主人が宿泊者の情報を簡単に外部に漏らすことはありません。ですので、何かしらの方法でうまく情報を引き出してくださいね。

アゼル:
 そうか、残念だ。どうやらここにサブリさんは泊まってないようだな。見つからないんじゃどうしようもない。よし、サブリさんを見つけるのは諦めよう! ってことだから、借金を肩代わりしてやることもできそうにないな(笑)。

イーサ&エルド:
(爆笑)

アゼル:
 まあ、それは冗談として……ここでも賄賂を渡す必要があるってことか?

エルド:
 おお! ようやくアゼルさんも、話の通し方というものを理解してきたようですね。

アゼル:
 じゃあ、銀貨を1枚取り出して――

エルド:
 はぁッ!? もし銀貨を1枚だけ取り出したのであれば、アゼルさんに蹴りをかましますッ!

アゼル:
 え? ダメだったか?

GM:
 さっきは貧民街の浮浪者だったので銀貨7枚でも情報を買えたわけですが、今度は宿屋を営む主人に対して、銀貨1枚払うから情報をよこせというわけですよね? もしそんなことしたら、逆にはっ倒されますよ(苦笑)。

アゼル:
 あ、そうか(笑)。じゃあ、金貨を1枚(銀貨25枚相当)だそう。

GM:
 金貨1枚ですか……。まあいいでしょう。

宿屋の主人(GM):
 ならば、宿帳を気のない様子でめくっていた宿屋の主人は、目の端に金貨を捉えると、途端に「おー、あったあった」と言って宿帳のとあるページを開きました。
「そういや、2階にあがって右手前の部屋に泊まってる客がサブリって名前だったな。そいつだったら一昨日から泊まってるよ。ずいぶんと面倒な客で、こっちも手を焼いていたところだったんだ」

アゼル:
「手を焼いていた? それはいったいどういうことだ?」

宿屋の主人(GM):
「いやなに、突然ヒステリックな声をあげて騒ぎ出したりするわ、酒をガバガバ飲んでは瓶や皿を割ったりするわで、いい加減迷惑料を請求してやろうと思ってたところなんだよ。まあ、今日はいまのところ静かだから、きっと昨晩の酒が回って酔いつぶれてるんだろうけどな……。で、なんだ? あいつは何かやらかした奴なのか? だったら、さっさと連れていっちまってくれ」

エルド:
「任せてください。今すぐ部屋から引きずり出して連行していきます」

宿屋の主人(GM):
「そうしてもらえると助かる。それと、一昨日からの宿代とメシ代を払ってもらってないんだ。連れてくときには、それもちゃんと支払わせてくれよ」

アゼル:
「いくら溜まってるんだ?」

宿屋の主人(GM):
「今日までの分をあわせると、全部で60銀貨だな」

アゼル:
「わかった。サブリさんにはそう伝えておこう」

エルド:
 アゼルさん。主人の心証を良くしておくためにも、ここは先に立て替えておくべきですよ。

アゼル:
 そうなのか? だが、もう手持ちが少なくてな……。

エルド:
 ……もしかして、アゼルさんって貧乏なんですか?

アゼル:
 ああ、そうだ。もう残りの手持ちは500銀貨を切ってる。

エルド:
 ……仕方ありませんね……。
「ここは僕が立て替えておきますよ」と言って、60銀貨を支払っておきます。

宿屋の主人(GM):
 エルドがサブリのためていた宿賃を代わりに支払うと、宿屋の主人は少し気まずそうに「もしかして、あんたらサブリって人のお仲間だったのか?」と口にします。

エルド:
「いえ、仲間ではありません。ある人からサブリさんを連れてくるように依頼されただけです。いま支払ったお金はそちらに請求すればいいだけのことなので」

宿屋の主人(GM):
「ああ、なるほど、そうだったのか。じゃあ、さっさとあの男を連れて行ってくれ。だが、連れてくときに乱暴なことして店の物を壊すのだけはやめてくれよ。もしそうなったら、そのときには弁償してもらうからな」

アゼル:
「それは大丈夫だ。手荒なことをするつもりはない。心配するな」そう言ってさっき主人が話してたサブリさんが泊まっている2階の部屋に向かう。で、部屋の扉をコンコンと。

エルド:
 御用改めであるッ!

アゼル&イーサ:
(笑)

GM:
 アゼルが扉をノックしても、部屋の中からはなんの反応もありません。

アゼル:
 ドンドンと少し強めに扉を叩く。
「サブリさん、いるか?」

GM:
 反応はありません。

アゼル:
 さらに強く扉を叩く。ドンッ、ドンッ、ドンッ!

エルド:
 やめてください、アゼルさん! それ以上強く叩いたら扉が壊れてしまいますよ(笑)!

アゼル:
 じゃあ、「サブリさん、勝手に中に入るぞ」と言ってドアノブを回した。

GM:
 どうやら内側から鍵がかかっているようで、ノブを回しても扉は開きません。
 では、ここで目標値9の聞き耳判定をどうぞ。

エルド:
(コロコロ)11で成功しました。

GM:
 ならばエルドは、部屋の中から「ガタンッ」という木製の何かが床に倒れた音と、続けて「ギィッ」と強い力がかけられて柱がきしんだ音がしたのを聞き取りました。

エルド:
 あ、これはまずいですね……。
「アゼルさん、今すぐこの扉を蹴破ってくださいッ!」

イーサ:
 いや、ちょっと待ってくれ……。これ、いっそのこと5分くらい待ってから部屋の中に入ったほうが、いろんなことに決着がついて都合がいいんじゃないか?

アゼル&エルド:
(爆笑)

アゼル:
 危ない。一瞬、イーサの意見に同意しそうになってしまった(笑)。だが、アゼルのキャラクターとしては、この事態を見過ごすわけにいなかいな。
 じゃあ、助走をつけて体当たりして扉をぶち破る。

GM:
 了解です。もともと立てつけの悪そうな扉でしたから、ここは判定不要で破壊できてしまって構わないでしょう。アゼルは、何度か体当たりすることで安宿の扉を壊すことに成功しました。

アゼル:
 部屋の中に飛び込んで、あたりを見渡してみる。

GM:
 そうすると、部屋の奥のほうに、床に転がる木製の椅子と、天井からぶら下がる巨大なミノムシ状のシルエットを見つけました。柱から垂らされたロープで首を吊って、ぷら~ん……と。

アゼル:
「サブリさんッ!」と叫びながら駆け寄って……抱き付いて……転ぶッ(笑)!
(抱きついて下に引っ張るジェスチャーをしながら)
 ギューッ! ギューッ! ギューッ!

イーサ&エルド:
(爆笑)

GM:
 ……であれば、サブリは絶命しました。

アゼル:
 いやいや、ウソ、冗談、冗談(笑)。ちゃんと持ち上げるよ!

サブリ(GM):
 ならば、アゼルが掴んだ身体を持ち上げると、掴まれたサブリはバタバタと暴れ始めます。
「クソッ! 放せッ! 死なせてくれッ!」

アゼル:
 まあ、そうしてやってもいいかなとは思うんだが、ここは一応な……。
「サブリさん、早まるんじゃない!」

エルド:
「イーサさん、そこに倒れている椅子を使って、早くサブリさんの首にかけられたロープを切ってください」

イーサ:
「……」(無言でためらいを見せる)

GM:
 あなたたち、そんなにサブリに死んで欲しいんですかッ(笑)!?

イーサ:
 いやぁ、これはなかなか難しい問題だからなぁ。正直、ここでサブリに死んでもらえるとずいぶんと楽になるんだが……(苦笑)。
 まあ、仕方ない。ここはロープを切っておくか。

GM:
 では、イーサがロープを切断するとサブリの身体が床に落ちました。

アゼル:
「大丈夫か? サブリさん」

サブリ(GM):
「クソッ!」そう叫ぶと、サブリは大きく口を開け、今度は舌を噛み切ろうとします。

アゼル:
「やぁ~めぇ~るぅ~ん~だぁ~、サァ~ブゥ~リィ~さぁ~ん~!」

GM:
 ……なんでスローモーションになってるんですか……?

アゼル:
 いや、アゼルはサブリさんを死なせまいと必死に頑張ったんだが、残念ながら間に合わないんじゃないかと思ってな(笑)。

GM:
 ……いい加減にしないと、本当にサブリのことを絶命させてしまいますよ?

アゼル:
 わかったよ。もうここらへんでやめておくって(苦笑)。
 手をサブリさんの口に突っ込んで、舌を噛み切ろうとするのを阻止する。

サブリ(GM):
 では、サブリは全力で歯に力を込めるのですが、グローブを付けたアゼルの手を噛みきれるわけもなく、やがて諦めたように脱力しました。そして、ぐったりしながら、「……お前ら、いったいここに何しに来やがった?」と言葉を漏らします。

エルド:
 そんなサブリさんを上から見下ろして、「サブリさん。いまからあなたのことを、ある場所まで連れていきます」と言い放ちます。

サブリ(GM):
「……ある場所って……いったいどこに連れて行く気だ……?」

エルド:
「あなたにそれを知る権利はありません」

サブリ(GM):
「はぁ? ふざけんなよッ! 偉そうにしやがって、何様のつもりだッ!」

エルド:
「アゼルさん。これ以上騒がれても困るので、猿ぐつわをさせてください」

アゼル:
 猿ぐつわって……。やってることが悪人めいてきたが大丈夫なのか?

エルド:
 僕はこれ以上面倒なことにしたくないのです。速やかに任務を遂行するためにも、はやく猿ぐつわを。

アゼル:
 いや、さすがに猿ぐつわはやめておこう。そんなことしたら会話できなくなるしな。
「サブリさん。いったいあなたは何をしようとしていたんだ! こんなところで死んでも、何の解決にもならないだろ?」

サブリ(GM):
「もう何もかも終わったんだ! 死なせてくれッ! いまさら20万金貨なんて返せっこねぇッ!」

エルド:
「アゼルさん、何を悠長に話してるんですか! はやくそのやかましい人を黙らせてください!」

サブリ(GM):
「クソッ! さてはお前ら、アスラン商会側につきやがったな? 俺のことを捕まえて、アスラン商会まで連れてくつもりなんだろ!?」

イーサ:
 察しがいいな。当たらずとも遠からずだ(苦笑)。

アゼル:
「サブリさん……。頼むから、俺のことを信じて黙ってついてきてくれ!」

サブリ(GM):
「信じてくれだぁ? ふざけるなッ! いまさら、お前らの言うことなんざ信じられるはずないだろうがッ! わかってんのか? 2度だぞ? お前らは俺のことを2度も見捨てたんだぞ!? よくもだましたアアアア!! だましてくれたなアアアアア!!」

一同:
(爆笑)

アゼル:
 ヤバイ。やはり根に持っていたか(苦笑)。

エルド:
 では、サブリさんの顔を両手でグッと掴んでこちらを向かせて睨み付けます。
(ドスの聞いた声で)「アンタの借金がどうにかなるかもしれないんだ。御託はいいから大人しくついてこい」

サブリ(GM):
「……は? 借金が……どうにかなる……? そ……それは、いったいどういう意味だ……?」

エルド:
(普段の声に戻って)「それはついて来ればわかりますよ」

サブリ(GM):
「い、嫌だッ! そんな言葉で納得できるか、馬鹿野郎ッ! 皆、そうやって俺を騙すんだーッ!」

一同:
(爆笑)

イーサ:
 完全に人間不信に陥ってるな(苦笑)。

エルド:
「あのですね……。いろいろと勘ぐっているみたいですが、アゼルさんがあなたの借金を肩代わりしてくれるかもしれないんですよ?」

サブリ(GM):
「は……? 肩代わりだと……?」そう言ってサブリはアゼルのほうへと顔を向けました。

アゼル:
 むぅ……。なんと言って説明すればいいんだ?
(しばらく考えてから)
「俺はアスラン商会に入るッ!」

イーサ&エルド:
「……」

サブリ(GM):
「……だからなんなんだよッ? 意味がわからねぇよッ! わかるように話せよッ!」

一同:
(爆笑)

アゼル:
 えっと……。
「俺がサブリさんの借金を全額肩代わりする。その支払いをするために、俺はアスラン商会で働くつもりでいる」

サブリ(GM):
「な、なんだと? 何を言ってやがる……?」

アゼル:
「信じてもらえないのか?」

イーサ:
 そりゃ、そうだろ。身内でもない人間が20万金貨もの借金を肩代わりしてくれるだなんて、普通に考えたらありえないだろうからな(苦笑)。

サブリ(GM):
「う、嘘だッ! 20万金貨の借金を肩代わりするだなんて、そんな話信じられるかッ!」

アゼル:
「嘘じゃない。今のあんたを救うためには、それしか方法がないだろ? 20万金貨がどうした。人の命は金では買えないんだ!」

エルド:
「たしかに、信じられないかもしれませんが、実際にタルカン様のところまで行ってみれば嫌でもわかりますよ」

GM:
 現在のサブリは、そう簡単にあなたたちの言葉を信じることができません。どうしてもここで信じさせたいのであれば、交渉判定を行ってください。ここまでのロールプレイの内容から考えて、目標値は11でどうぞ。もしくは、無理やりサブリをタルカンのもとに連れていくという手もありますが……。

アゼル:
 強制的に連れてってもいいのか。じゃあ、失敗してもいいかな……。1回目の判定は、(コロコロ)6で失敗。

イーサ:
 気持ちがダイス目にも反映されてるな(苦笑)。

アゼル:
 じゃあ、続けて2回目。(コロコロ)あああ……。12で成功だ。そして、3回目。(コロコロ)うわぁぁぁ! また成功しちまったッ!

GM:
 なぜ判定に成功して残念がってるんですかね……。

イーサ&エルド:
(苦笑)

エルド:
 では僕が交渉を引き継ぎます。(コロコロ)12で成功。

GM:
 はい。その成功で交渉は“快諾”となりました。あなたたちの必死の説得に、サブリも少しは聞く耳を持ったようです。

サブリ(GM):
「ほ、本当なのか?」そう言ってサブリはアゼルの顔を見ます。

エルド:
「ええ。すべての責任はアゼルさんが背負うと言っていました」
 ちなみに、僕とイーサさんは無関係です!

アゼル:
(苦笑)

サブリ(GM):
「なんで……なんでそんなことを?」

アゼル:
「言っただろ。人の命は金では買えないって」

エルド:
 PCの発言とプレイヤーの思考が剥離しすぎていて、その台詞もなんだか白々しいですね(笑)。

アゼル:
 もう、俺自身もどうしてアゼルがこんなことしてるのかわかってないからな(笑)。

イーサ&エルド:
(苦笑)

アゼル:
「これも運命だ。俺たちは一緒に旅をした仲間だろ?」

サブリ(GM):
「そうか……。本当に俺の借金を肩代わりしてくるっていうのか……」

アゼル:
「もちろん、本当だとも。そのかわり、家族を大切にしろよ?」

サブリ(GM):
「ああ……。よし、わかった。そういう話になってるなら、お前らと一緒にタルカンのところまで行くことにしよう」

GM:
 こうして、サブリはタルカンのところまで一緒について行くことを了承したのでした。

イーサ:
 ……しかし、本当にサブリの借金を肩代わりすることが、サブリにとっていいことだったんだろうか? サブリ自身がなにかしたわけじゃないのに借金だけがチャラになったら後悔どころか反省もしないし、ただラッキーだったと思うだけでまた同じ過ちを繰り返すことになるような気がするんだが……。正直、俺個人としては納得いかない。

アゼル:
 いいんだよ。サブリさんが改心するかしないかは本人次第だ。もし、今後同じ過ちを犯して命を失うことになったとしても、それはサブリさんの責任なんだから俺には関係ない。俺はこの場ではサブリさんを救った。目の前で困っている奴さえ救えれば、あとは俺の知ったことか。

GM:
 ……。

イーサ:
 なるほど……。なら、いいや。この件にはもう関わらないことにしよう。せめて借金の半分だけでもサブリに背負わせるべきだと思ったんだが、アゼル本人がそう言ってるんじゃ仕方ないな……。

 ここにきて、ついにイーサもさじを投げました(苦笑)。

GM:
 では、あなたたちはサブリのことを連れてタルカンのところまで向かおうとするわけですが、そうすんなりとはいかないんですよ? なぜなら、あなたたちが宿屋の1階に降りていくと――

アゼル:
 ぬはッ! 扉の修理代か(笑)!?

宿屋の主人(GM):
 宿屋の主人は怒髪天を衝く勢いで、「お前らッ! よくも部屋の扉をぶち壊してくれやがったなッ! 弁償しやがれッ!」と詰め寄ってきます。

アゼル:
 死体の処理をせずに済んだんだから扉くらいいいだろ……と言ってやりたいところだが、それは口にしないでおこう。
「扉の修理代はいくらだ?」

宿屋の主人(GM):
「そうだな……。だいたい200銀貨ってとこだ」

アゼル:
 たけぇ……。

GM:
 内鍵付きの木製扉としては安いほうですよ。全交換ではなく修理代ということで、少し安く設定しておきました。

アゼル:
 そうなのか……。じゃあ仕方ない、支払おう。大丈夫。なにせ、俺はこれからアスラン商会で働くんだからな。

エルド:
 さすが、20万金貨の男。言うことが違いますね(笑)。

 こうして、扉の修理費用の支払いを済ませた一行は、サブリを伴いタルカンの待つ東門へと向かったのでした。




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