GM:
さて、隊商がメーメット街道沿いにある宿場町シリンジェに入ったのは、もう19時になろうかというころのことです。シリンジェは、宿屋と雑貨屋、そして飲食店が数件並んでいるだけの小さな街で、人口も百名を数えるほどしかいません。
サイエ(GM):
シリンジェに入ると、サイエが「この街で隊商とはお別れです」と告げます。
アゼル:
「そうなのか?」
サイエ(GM):
「アゼルさんはイルヤソールに行くんですよね? だったら、このまま北上し、マーキ・アシャス地方の貿易都市ラカレットを経由して向かうのが最も安全なルートです。しかし、ほかの者たちはここを中心として東西の村々に物資を輸送する予定なんですよ」
アゼル:
「なるほど……」
サイエ(GM):
「そういうわけですから、私たちはこの宿場町で共に北上してくれる隊商なり旅人なりを探さなくてはなりません。場合によっては数日ここに滞在しなくてはならなくなりますが、持ちあわせのほうは大丈夫ですか? もし、手持ちに余裕がないのであれば、宿をとらずに野営したほうが良いかもしれませんね……。幸い、いまの時季であれば外でも暖かいですし、水や食料であれば十分な備えがあります」
アゼル:
「そうだなぁ……」
この先のことを考えると野営しておくべきか? なにせ、もう手持ちが100銀貨しかないからな。
GM:
それだと安宿でも5日程度しか宿泊できませんね。
アゼル:
ん? 安宿だったら5日も泊まれるのか? だったら、最初の1日だけでも宿に泊まっておくかな(笑)。
「よし、今日のところは宿をとるとしよう」
サイエ(GM):
では、サイエもアゼルに付き合って、今日のところは安宿に泊まることにしました。
アゼル:
気を使ってくれたのか? ……いや、それより目付け役としてひとりにしておくわけにいかないってところか。
サイエ(GM):
サイエ曰く、「野宿でないのであれば、ご一緒しますよ。私にも与えられた役割というものがありますから」ということらしいです。
アゼル:
まあ、逃げたりはしないがな(苦笑)。
GM:
ならば、安宿に部屋をとるということで、20銀貨減らしておいてください。あと、安宿の1階部分は食堂を兼ねおり、そこで食事をとることもできるようですが、どうしますか? 宿代とは別料金になりますけど。
アゼル:
だったら、さらに4銀貨消費して通常食とエールを頼むことにする。
GM:
わかりました。食堂には、あなたたちのほかにも数名の客の姿が見当たります。ただし、その場に居る者たちは皆薄汚れた服をまとっており、いかにも懐具合が寂しそうな風体です。
アゼル:
そういう奴らと比べれば、俺たちは金を持ってそうな格好なのか?
GM:
そうですね。少なくともサイエはしっかりした身なりをしています。アゼルは鎧を付けたままですか?
アゼル:
うーん。食事は部屋に荷物を置いてからとるだろうから、鎧は脱いでるだろうな。きっと、クロースに帯剣って格好だろう。食事のあとで剣の訓練をするつもりでいるし。
GM:
了解です。
サイエ(GM):
サイエは周囲の客層を確認すると、「アゼルさん、私に何かあったら、火の粉を払う役目はお願いしますよ」と小さな声で言いました。
アゼル:
「ああ。任せておけ」
GM:
ちなみに、サイエのことを助けるのと女の子を助けるのとでどちらがいいですか? せっかくなので、好きなほうを選んでいいですよ(笑)。
アゼル:
なんだそれ(苦笑)。……まあ、その2択なら女の子にしておくかな。あまりサイエのことを助けたいと思えないし(笑)。
GM:
わかりました。では、この食堂には給仕として働いている娘がいました。見たところ、そんなにパッとしない外見ではあるものの、妙齢ではあります。ちょうどニルフェルくらいの年齢ですね。そんな給仕の娘に向かって、声をかける3人のゴロツキたちの姿があります。
ゴロツキA(GM):
「おーい、ネーチャン。ちっとばっかりこっちきて、酒をついでくれよー」
GM:
最初のうちはそんな感じで声をかけるだけだったのですが、給仕の娘がやんわりと断りを入れていくごとに、その声が荒立ってきました。そして、しまいにゴロツキたちのうちのひとりが席を立って給仕の娘の腕をつかみ、無理やり自分たちのテーブルへと引きずって行こうとします。
給仕の娘(GM):
さすがに耐えられなくなった娘が悲鳴に似た声をあげます。
「嫌ですッ! お願いですからやめてくださいッ! 離してッ!」
アゼル:
じゃあ、席を立って――
サイエ(GM):
アゼルが席を立とうとするのであれば、サイエは「アゼルさん。厄介ごとに関わるのはやめておきましょう」と言ってその動きを制止しようとします。
アゼル:
サイエの言葉は無視してゴロツキの前まで歩いて行った。
「やめるんだ。嫌がってるじゃないか」
ゴロツキA(GM):
「ハァ? なんだテメェは?」そう言ってゴロツキはアゼルの顔を睨み付けました。
アゼル:
「その娘が嫌がっているのがわからないのか?」
ゴロツキA(GM):
アゼルの言葉に、男は娘の下あごをつかんでその手に力を込めると、「嫌がってるだって? わかっちゃいねぇな。嫌よ嫌よも好きのうちってなぁ」と言いながら、娘の顔を無理やり縦に振らせます。
アゼル:
じゃあ、ゴロツキのことを押しのけて、無理やり娘とのあいだに割って入ろう。
ゴロツキA(GM):
そうすると、よろめいたゴロツキは、「なにしやがんだッ!」と言って、逆にアゼルの腕をつかんでひねり上げようとします。ここは筋力判定で勝負してみましょう。(コロコロ)こちらは8です。
アゼル:
(コロコロ)10で勝った。ピクリともしない。
ゴロツキA(GM):
ゴロツキは額に青筋を立てると、「野郎ッ!」と声を張り上げ、もう一方の拳でアゼルに殴り掛かってきます。命中値は固定で10です。
アゼル:
その拳をつかみたいんだが、できるかな?
GM:
そうですね……。では、“ディフレクト”扱いで判定してください。
アゼル:
(コロコロ)11で止めた。
「やめておけ。無駄な争いをするつもりはない」
GM:
それで娘に絡んでいた男は身動きがとれなくなったのですが、それを目にした残りのゴロツキ2人が席を立って腰の剣に手を伸ばしました。
ゴロツキB(GM):
「仲間に恥をかかせられたんじゃ、オレたちとしても黙っちゃいられねぇなぁ」
ゴロツキC(GM):
「ああ。生意気なガキには、ちょいとばかり痛い目にあってもらおうぜ」
アゼル:
さて、こういう場合にはどう対処したもんかな……。凄みをきかせたくらいじゃ引き下がってくれないか。
GM:
まあ、3対1ですしね。
アゼル:
しまったな。拳を止めずに避けておけばよかった。このままだと両手がふさがった状態で襲われるぞ(汗)。
(少し考えてから)
いまつかんでる男を押しのけることはできるか?
GM:
ええ、それくらいなら構いませんよ。
アゼル:
じゃあ、押しのけて……。できる限り凄んだ顔をして、「抜いたら手加減できないぞ」と言って剣の柄に手を当てた。
ゴロツキA(GM):
では、押しのけられた男も獲物に手をかけます。
「この格好つけ野郎がッ。やるっていうなら望むところだッ!」
アゼル:
「引く気はないんだな? なら表に出ろ」
GM:
あ、一応確認しておきます。狭い店内で戦うなら背後に回り込まれる心配はないと思いますが、あえて広い場所にでて戦うつもりなんですね?
アゼル:
なるほど、そういうこともあるのか。3対1だとさすがに厳しそうだもんな……。だが、店に迷惑はかけられないしな……。
GM:
……判断に困っているようなので、ここでひとつアドバイスしておきます。LOSTには誰もが使える“技量推測”という行動オプションがあるので、敵対する者に対してはこれを積極的に使っていくといいですよ。相手の技量がわかれば、どう行動するべきかも決めやすくなりますからね。
アゼル:
おお、そうか。なるほど、だったら“技量推測”しておこう。
GM:
では、“技量推測”はシークレット判定なので、GMにだけダイス目がわかるようにマスタースクリーン内にダイスを振り入れてください。
アゼル:
了解。(コロコロ)
GM:
(出た目を確認して)
ふむふむ。では、アゼルにはゴロツキたち全員が格下であることがわかりました。格下というのは、あなたよりもレベルが2つ以上低いということです。
アゼル:
つまり、レベル1以下ってことか……。いや、しかし相手は3人だ。侮れん。
GM:
……慎重ですね(笑)。じゃあ、もうひとつ戦力を比べる方法を教えておきます。LOSTでは戦闘レベル+1の2乗が戦闘力の目安となります。アゼルの場合は(3+1)の2乗で16ですね。対して、ゴロツキたちが全員レベル1だとした場合、3人あわせて合計12というわけです。
アゼル:
なるほど、すると戦力比は16対12ってことか……。しかし、どうだろうなぁ。いまは盾を持ってないし、鎧もクロースだしなぁ。うーん……。
GM:
……。
アゼル:
(しばらく考えてから)
よし、ここはもう格好よく外にでて3対1で戦おう!
「さあ、早くついてこいッ!」
GM:
ようやく決心がつきましたか……。時間経過を知っているGMからすると、全然格好よくないですよ(苦笑)。
アゼル:
いや、だって、ここでやられたら馬鹿みたいだろ(苦笑)?
GM:
では、安宿の前で両者は対峙することになります。その周囲には野次馬たちが集まってきました(と言って戦闘マップを提示する)。
野次馬たち(GM):
「おい、なんか始まるみたいだぞ」
「どうやら、喧嘩みたいだな。それも3対1だってよ!」
「オイオイ、嘘だろ? 自殺志願者か?」
サイエ(GM):
「あー。まったく、言ったそばからこれですか……」
野次馬たちの中に混じって、サイエが頭を抑えています。
アゼル:
うわっ、ギャラリーつきかよ。これ、負けたら恥ずかしいな(笑)。
ゴロツキたち(GM):
「へっへっへ。後悔させてやる」
そのようなことを口にして、ゴロツキたちは片手剣を引き抜きました。
アゼル:
これ、剣を抜かずに柄で殴って気絶させることとかできるのか?
GM:
柄で殴るのであれば、必要筋力値0の打撃武器扱いでどうぞ。生命点を削り切れば昏倒します。
アゼル:
うーん。それだと厳しいか……。さすがに3対1だしな。じゃあ、こちらも剣を抜いておく。
GM:
では、ここから戦闘処理を開始します。
ゴロツキA(GM):
まず、ゴロツキAが距離をつめてきて、そのまま切りかかってきます。命中値は10です。
GM:
セッション開始時に説明したとおり、今回から特別な理由がないかぎり、敵の命中や回避などの値は固定値を用います。ダメージ判定は引き続き行いますけどね。そのようなわけですので、以後ゴロツキから攻撃された場合には同様の命中値を目標に回避判定をしてください。
アゼル:
了解。(コロコロ)うわっ、さっそく食らった(苦笑)。
ゴロツキA(GM):
ダメージは(コロコロ)1ゾロでなしです。どうやらゴロツキAは必要以上に力んでしまって、うまく剣を振るうことができなかったようです。
アゼル:
おお、危ねぇ……。クロースで攻撃受けたら痛いからな。それじゃ、反撃だ。ここは早々にひとりぶっ殺して、ほかの連中には退却してもらうとするか。
GM:
……さっきまでは気絶させるとか言ってたのに、やっぱり殺す気なんですか?
アゼル:
うッ。さすがに殺傷はヤバいかな(苦笑)?
(しばらく悩んでから)
うーん、でもゴロツキ風情だし、まあいいや。剣で切り捨てる。
ゴロツキA(GM):
では、こちらの回避値は固定で9です。
アゼル:
「食らえッ!」
(コロコロ)命中して、ダメージは11点。
ゴロツキA(GM):
「クッ!」
アゼルの振るった剣によって、ゴロツキAが鮮血を流します。しかし、まだ生命点は半減していません。
ゴロツキB(GM):
そのあいだに、ゴロツキBはアゼルの左側から背後に向かって回り込みます。
「それッ、囲んじまえッ!」
ゴロツキC(GM):
そして、ゴロツキCがアゼルの右側面から接敵してきました。
アゼル:
むぅ……。囲まれたか……。やっぱり、外で戦うのは無謀だったかなぁ……。
ゴロツキA(GM):
ゴロツキAは、切られた傷口に手を当てると、「よくもやりやがったなッ!」と言ってアゼルに切りかかります。
アゼル:
(コロコロ)15で回避成功!
こっちの反撃は(コロコロ)17で命中。ダメージは(コロコロ)1ゾロでなし(笑)。
ゴロツキA(GM):
「へっ、ビビらせやがって。さっきのはまぐれ当たりかよ!」
ゴロツキB(GM):
次はゴロツキBがアゼルの背面に移動して攻撃してきます。
アゼル:
うーむ……。さすがに背後からはまずいな。それは方向転換して側面から受けよう。ゴロツキCに正面を向けて、AとBに側面を向ける形にする。
ゴロツキA(GM):
ならば、ゴロツキAが“範囲支配”でそれを阻止しようとします。支配値は10です。
アゼル:
(コロコロ)12で支配から逃れた。で、横から来た攻撃をかわす。(コロコロ)回避成功! よしッ、今日の俺のダイス目は冴えてるぞ!
ゴロツキC(GM):
今度はゴロツキCが正面から切りかかってきます。
アゼル:
(コロコロ)回避成功。
ゴロツキC(GM):
連続してゴロツキCの攻撃。
アゼル:
うおッ、連続行動かよ……。(コロコロ)回避成功!
ゴロツキB(GM):
さらに、ゴロツキBがアゼルの側面から攻撃。
アゼル:
(コロコロ)それもかわした! ダイスの目がいいぜ! この調子ならヒーローになれるな!
ゴロツキA(GM):
さすがに側面からでも当てられませんか……。では、ゴロツキAはアゼルの背後に回ります。
アゼル:
また背後につかれたか。どうするかな……。
(少し考えてから)
正面にいるゴロツキCに攻撃。(コロコロ)命中。ダメージは8点。
ゴロツキA(GM):
続いて、ゴロツキAがアゼルの背後から攻撃します。
「背中ががら空きだぜッ!」
アゼル:
それは方向転換して側面で受ける。
ゴロツキC(GM):
ならば、ゴロツキCが“範囲支配”でそれを阻止しようとします。
アゼル:
(コロコロ)支配されず。方向転換してゴロツキAの攻撃を側面回避。(コロコロ)ピッタリ回避成功! こいつは熱いぜッ!
野次馬たち(GM):
「スゲェ! なんだあの動きはッ!」と、アゼルの卓越した動きに、野次馬たちから喝さいの声が聞こえてきます。
ゴロツキB(GM):
そして、ゴロツキBがアゼルの正面から攻撃。
アゼル:
(コロコロ)回避成功。
ゴロツキC(GM):
「クソッ! ちょこまかと動きやがってッ!」
ゴロツキCがアゼルの側面から攻撃します。
アゼル:
(コロコロ)それも回避。
しかし、これだけ連続で攻撃されてたら、いつかは食らうだろうからな……。そろそろひとり倒しておきたいところだ。ここはゴロツキAに対して側面攻撃しておこう。(コロコロ)ペナルティ入れても15で命中!
GM:
おお。本当に、いつになくダイスの目が冴えてますね。
アゼル:
もしかして、俺、ひとりでいるときのほうが出目がいいのかな(苦笑)? ダメージは(コロコロ)12点。
ゴロツキA(GM):
「ぐわぁ!」
その攻撃でゴロツキAの生命点はピッタリ0点になりました。(コロコロ)ゴロツキAは昏倒しました。
ゴロツキB(GM):
「よ、よくもやりやがったなッ!」
ゴロツキBがアゼルの正面から切りつけます。
アゼル:
(コロコロ)危ねぇーッ。11で回避成功。
ゴロツキC(GM):
今度はゴロツキCがアゼルの背後に回り込みます。
アゼル:
じゃあ、正面にいるゴロツキBにアタック! (コロコロ)命中して、11点ダメージ。
ゴロツキC(GM):
その直後に、ゴロツキCがアゼルの背後から攻撃。
アゼル:
ここは、方向転換してゴロツキBとゴロツキCに、それぞれ側面を向けておく。
ゴロツキB(GM):
ゴロツキBが“範囲支配”でその動きを邪魔してきます。
アゼル:
(コロコロ)支配されず。そして、ゴロツキCの攻撃に対する回避は……。(コロコロ)うおッ! ついにやっちまった。6で回避失敗。
ゴロツキC(GM):
(コロコロ)ダメージは5点です。
アゼル:
「くぅ……」
3点抜けた。
ゴロツキB(GM):
続けて、ゴロツキBが側面から攻撃。
アゼル:
(コロコロ)それは、11で回避成功。
ゴロツキC(GM):
さらに、ゴロツキCが側面から攻撃。
アゼル:
(コロコロ)13で回避成功。
今度はゴロツキBにサイドアタック。(コロコロ)12で命中。ダメージは7点。
ゴロツキB(GM):
そのダメージでゴロツキBの生命点が半減しました。士気判定を行います。(コロコロ)6で失敗。逃走に入ります。
「く……くそッ……」
ゴロツキBは額に汗を垂らしながらあとずさりしますが、どうしますか?
アゼル:
ゴロツキBはそのまま逃がして、ゴロツキCのほうに集中する。
ゴロツキB(GM):
では、ゴロツキBは野次馬たちをかきわけて逃走してしまいました。
アゼル:
ゴロツキCに剣を突き付けて、「まだやるつもりか?」と言うが……。
ゴロツキC(GM):
友軍人数が半数以下になったので、ここでゴロツキCも士気判定を行います。(コロコロ)失敗。ゴロツキCはアゼルを前にしてガタガタと震えだすと、手に握っていた剣を地面に落しました。
アゼル:
「フンッ。そこで倒れてる奴を連れて、さっさとこの場から失せろッ!」
ゴロツキC(GM):
ゴロツキCは言われたとおり、倒れていたゴロツキAを肩に背負ってすごすごとその場から立ち去っていきました。
GM:
――といったところで、ゴロツキたちとの戦闘は終了です。
おまけ:戦闘ログ、戦闘中の大まかな動き
アゼル:
危ねぇー。勝ててよかったぜ。
野次馬たち(GM):
ゴロツキたちがその場から姿を消すと、周囲に群がっていたギャラリーたちの中から指笛が鳴り響き、それを皮切りに拍手喝采が沸き起こりました。
アゼル:
剣を納めて、「さあ、もう終わりだ」と周りの連中に対して言っておく。
野次馬たち(GM):
そのアゼルの言葉にも周囲の興奮は冷めやらず、「よかったぞ兄ちゃんッ!」「スカッとしたぜ!」といった声が次々に聞こえてきます。
アゼル:
じゃあ、軽く手を振ってその声に応えながら、つまらなそうな顔をして宿屋の中に戻っていく。いまのアゼルには思うところがあって、人助けするにしても以前のような気持ちではできないでいるから、周りの声とは裏腹に冷めている。
給仕の娘(GM):
では、宿屋の入り口のところにはあなたが助けた給仕の娘が立っており、あなたが近づいてくると、「あ、ありがとうございましたッ!」と言ってその頭を深々と下げました。
「あ、あの……何かお礼をさせてくださいッ!」
アゼル:
「気にするな。ただの気まぐれだ……」と言って宿屋の中に入っていった。
GM:
了解です。では、ここで戦闘疲労判定を行ってください。
アゼル:
(コロコロ)ぬおッ……。疲労が11点もたまった(汗)。メシのあとで訓練するつもりだったが、これだと今日はもう訓練できないな(苦笑)。
久々に気持ちよく勝利を収めることができたアゼル。すでに騎士と同等の実力を持つアゼルは、これくらいの相手であれば軽く退けることができるのです。しかし、この何気ないゴロツキ退治が、次なるイベントの呼び水となるのでした……。