LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第8話(15)

イーサ:
 さてと……。結局、ダウ船に乗りこめたのは、俺とエルドとNPCがひとりの合計3人だけなのか?

GM:
 一応、船首側にもうひとりNPCが乗り込んでいますよ。ちなみに、この友軍NPCの数は、さっきの戦闘結果が反映されています。

エルド:
 つまり、さっきの戦闘で僕がなかなかダウ船に乗り込まなかった影響で、NPCはほとんどこちらに渡ってこられなかったというわけですね(苦笑)。

GM:
 まあ、ありていに言えばそういうことです(苦笑)。
 そして、先ほどの戦闘で経過した時間が、次の戦闘のタイムリミットにも影響してきます。先ほどの戦闘では、小数点以下の端数切り上げで54ウェイトの時間がかかっていました。それに加えて、戦闘終了後から現在の状況に至るまでに、30ウェイトの時間が経過しています。つまり、残り66ウェイト内にダウ船の制圧が完了しなければ、アッバス海賊団の旗艦に追いつかれてしまうというわけです。

イーサ:
 うーむ。次の戦闘がボス戦だっていうのに、それだけの時間で終わらせることができるんだろうか……。

エルド:
 まあ、ほかにできることがない以上、やってみるしかありませんね。

メルテム(GM):
 さて、あなたたちが覚悟を決めたその一方で、ダウ船の船首側ではキャプテンコートに身を包んだ船長メルテムが、怒りの表情であなたたちをにらみつけています。
「キサマら……。生きて陸に戻れると思うなよッ! はらわたを引きずり出してサメの餌にしてやるッ!」

GM:
 メルテムの言葉にあわせて、アッバス海賊団の重戦士2人と軽戦士2人が、それぞれカトラスを構えました。

ダウ船1

 こうして、イーサとエルドを含むバッツ海賊団の4人と、メルテム率いるアッバス海賊団5人との戦いの火蓋が切られました。

イーサ:
 さてと……。戦闘には入ったものの、さっきの戦闘で受けたダメージがまだ残ったままなんだが……。

エルド:
 ……ならば、まずはこちらの準備が整うまでの時間稼ぎとして、アッバス海賊団の連中に向けて“ダークネス”を唱えておきましょう。(コロコロ)発動。この範囲に闇を展開させます(と言って、その範囲を示す)。

ダウ船2

バッツの手下E(GM):
 では、船首側にいたバッツの手下Eも闇の範囲に巻き込まれてしまいましたが、暗所ペナルティを負った状態でも正面にいる対象への攻撃は可能なので、そのまま重戦士Bに側面から斬りかかります。攻撃は(コロコロ)命中して、重戦士Bに8点のダメージです。

重戦士B(GM):
「ぐわぁ!」
 暗闇の中から重戦士Bの苦悶の声が響きました。

軽戦士B(GM):
 敵の軽戦士Bも正面にバッツの手下Eをとらえているので、その側面からカトラスで攻撃してきます。(コロコロ)命中してクリティカル! ダメージは9点です。

 エルドの唱えた“ダークネス”の影響もあり、船首側で孤立する形となってしまったバッツの手下Eでしたが、船尾側から増援が駆けつけてくれることに期待し、闇の中で孤軍奮闘を続けます。

バッツの手下E(GM):
 続いてバッツの手下Eの行動です。彼は闇の中で、ひたすら正面の重戦士Bを攻撃し続けます。
「うらぁッ!」
(コロコロ)命中! そしてクリティカル! 重戦士Bに15点のダメージ!

イーサ&エルド:
 おおッ!

重戦士B(GM):
 なんと、重戦士Bは一度も行動機会を得ることなく、バッツの手下Eに斬り倒されてしまいました(苦笑)。(コロコロ)重戦士Bは昏倒しました。

エルド:
 闇の中だというのに、なかなか頑張りますねぇ。

 LOSTのルール上、闇の中での命中判定には-4のペナルティが発生しますが、それと同時に回避判定にも-2のペナルティが発生します。さらに、闇の中では攻撃に反応して“小移動”で方向転換することができないため、今回のケースでは重戦士Bに側面回避による-2のペナルティが加算されて、結局互いのペナルティが相殺された状態での判定となったのでした。
 まあ、せめて一度攻撃を受けたあとであれば、“小移動”による方向転換を行えることにしてもよかったかもしれませんが……。

軽戦士B(GM):
「クッ! こいつ、闇の中でもお構いなしかよッ!」
 手下Eの猛攻に、アッバス海賊団の面々に戦慄が走ります。

メルテム(GM):
 そのタイミングで、メルテムが大声を張り上げました。
「オマエら、ビビってんじゃねぇぞッ! オレたちは旗艦が追いつくまで耐えればいいんだ。闇の外まで下がって、守りに徹しろッ!」そう言って、浮足立つ部下たちを落ち着かせると、メルテムは“小移動”で闇の手前まで前進します。

重戦士A(GM):
「アイ、アイ、船長!」
 メルテムの指示を受けた重戦士Aは“小移動”で闇の外まで下がりました。

イーサ:
 む……。こいつら、結構統制が取れてるのか……。こういうのは厄介なんだよな……。
 俺はいまのうちに自分に“プロテクション”を掛けておく。(コロコロ……出目は1ゾロ)お、おう……。発動せず。

エルド:
 この急を要する状況で1ゾロとか(苦笑)。

GM:
 重戦士Bがあっさりと倒されてしまったので、この先どうなることかと思いましたが、どうやらまだメルテム側にも勝機は残されていそうですね(笑)。

メルテム(GM):
「よしッ! この調子でアッバスの旦那が到着するまで、なんとしても持ちこたえるぞッ!」

 少しでも早く制圧を完了しなければならない状況下で、この1ゾロは痛恨の足踏みです。結局、交戦中のバッツの手下Eと軽戦士B、そしてイーサを除く者たちは、闇が晴れるまでのあいだ、“待機”を続けることとなりました。

イーサ:
 さて、“瞑想”しなおしたはいいが、もう残り精神点も少ないからな。ここ予定変更して“キュア・ウーンズ”を自分に。(コロコロ)生命点を6点回復。

GM:
 この状況で自分の回復ですか……。たしかに、生命点を回復させておきたい気持ちはわからなくもありませんが、このままだと孤立しているバッツの手下Eが倒されてしまいますよ?

イーサ:
 まあ、ひとりであんな場所にいるんだから、もうどうしようもないだろ(苦笑)。

 このイーサの反応に、わたしは強い既視感を覚えずにはいられませんでした。これ、完全にアゼルと同じ反応です(笑)。ここで、これまでのセッション中にうっすらと感じていたことが確信にかわりました。2人が一緒にいるときには気がつきませんでしたが、アゼルとイーサの性格は根本的なところでとてもよく似ているようです。

バッツの手下E(GM):
「クソッ! 誰も助けに来やしねぇッ! だがなッ、たとえオレひとりだろうとやってやるぞーッ!」
 バッツの手下Eは闇の中でそう叫ぶと、今度は軽戦士Bに対して攻撃します。(コロコロ)命中。クリティカルしてダメージは12点!

イーサ:
 手下Eの奴、さっきからクリティカルを連発してるな。もしかして、ひとりで敵を倒しきっちゃうんじゃないか(笑)?

エルド:
 きっと、生への執着がそうさせるんでしょうね(笑)。

軽戦士B(GM):
 手下Eの攻撃により、軽戦士Bの生命点は半減しました。士気判定は(コロコロ)失敗。
「メルテム船長、このままじゃ持ちこたえられそうにありませんッ!」と軽戦士Bは泣き言めいたことを口にはするのですが、船上では逃走のしようがないので、ここは精神点を6点消費して戦い続けることにします。
 そして、軽戦士Bは手下Eに反撃します。(コロコロ)命中して……こっちもクリティカル! バッツの手下Eに10点のダメージです。

バッツの手下E(GM):
 それで、手下Eも士気判定に入りました。(コロコロ)士気判定は失敗。こちらも敵と同様に逃げ場がないので、精神点を6点消費して戦い続けます。

 バッツ海賊団とアッバス海賊団の雑兵の戦闘レベルは同じであるため、どちらかにダイスの目が偏らなければ、当然同じペースで損害が累積していきます。ここまでややダイス運に恵まれて善戦していた手下Eでしたが、そろそろその奮闘にも陰りが見えてきました。

GM:
 そして、ここで“ダークネス”の効果時間が終了し、ダウ船の甲板を包み込んでいた闇が晴れました。

バッツの手下D(GM):
 バッツの手下Dは、あなたたちのことをチラリと見ると、「くそッ! 新参者が働かねぇなら、オレたちだけでなんとかしてみせらぁッ!」と吐き捨てるように言って、重戦士Aの目の前まで前進していきます。

イーサ:
 そう言われても、まだ戦闘準備が整ってないしなぁ(苦笑)。

重戦士A(GM):
 前進してきた手下Dに対して、重戦士Aが迎え撃ちます。(コロコロ)攻撃は命中して、ダメージは9点でした。

イーサ:
 次は俺の番か……。そうだなぁ。ここは、エルドの生命点を回復させておこう。少し下がって“瞑想”を開始する。

GM:
 あ……。

 このときイーサは、“キュア・ウーンズ”の射程距離ギリギリにいる手傷を負った手下Dを眼前にして、あえて1マス下がって“瞑想”しました。いろいろな意味で、非常に深い一手です(笑)。

エルド:
 では、僕はイーサさんに“プロテクション”を唱えておきます。(コロコロ)発動。

GM:
 なんといいますか……。2人とも、完全にバッツ海賊団の手下は捨て駒として使うつもりなんですね(苦笑)。

 バッツ海賊団の手下に対するこの扱いが薄情かどうかは別としても、彼らが各個撃破されてしまえば、その後、おのずと数的に不利な状況でメルテムたちと交戦しなくてはならなくなってしまいます。少なくとも友軍に3人の戦力が残っていれば、側面や背後を取られることなく戦うことも可能なのですが、このときのイーサとエルドがそこまで考慮して行動していたかというと……(汗)。

メルテム(GM):
 闇が晴れ、あらためて戦況を確認したメルテムは、“小移動”してダガーでバッツの手下Eに斬りかかります。(コロコロ)命中。ダメージは5点。

軽戦士B(GM):
 さらに、軽戦士Bがバッツの手下Eに攻撃。(コロコロ)命中して、同じく5点のダメージです。

バッツの手下E(GM):
 それで、バッツの手下Eの生命点はピッタリ0となりました。(コロコロ)生死判定には成功して昏倒します。手下Eは、「オマエら……あとは頼む……」と口にして、前のめりに崩れ落ちました。

GM:
 いやぁ、手下Eは予想を超えて頑張ってくれましたね。敵をひとり倒し、もうひとりの生命点を半減させ、そのうえ、ここまでデコイ役を務めてみせました。彼は助っ人NPCとして十分にその役目をはたしたと言っていいでしょう。しかし、前線に立っていた彼が倒れてしまったことで、ここからは一気に戦局が動きますよ!

軽戦士A(GM):
「あのローブを羽織った奴が黒魔法使いだなッ!」そう叫ぶと、軽戦士Aは一気にエルドとの間合いを詰め、隣接してきます。

エルド:
 うーん。ついに来られてしまいましたか。

 数で優位に立ったアッバス海賊団は、それまでの時間稼ぎから方針を転換し、一気に攻勢にでてきました。

イーサ:
 くッ……。攻撃される前に、エルドに“キュア・ウーンズ”。(コロコロ)生命点を4点回復。これで、俺は精神点を使い切ったからな。

エルド:
 僕も、もう3点しか精神点が残っていません。おまけに、この状況では長時間“瞑想”することもできませんねぇ……。しかたないので、ここは1ウェイト“瞑想”しておきます。

メルテム(GM):
 では、メルテムの番です。彼は「ここは任せたぞ!」と部下に言うと、イーサの隣まで移動してきます。

重戦士A(GM):
「アイ、アイ、船長!」
 重戦士Aはメルテムの指示に従い、バッツの手下Dを正面にとらえて斬りかかります。(コロコロ)命中して7点のダメージ。

バッツの手下D(GM):
 そのダメージで、バッツの手下Dも士気判定に入りました。(コロコロ)判定は失敗。一応、精神点を6点消費して、踏み止まっておきます。
「アイツがブッ倒れるまで頑張ったっていうのに、ここでオレが逃げるわけにいくかよッ!」

軽戦士B(GM):
 ですが、最後の気力を振り絞ったバッツの手下Dの背後に、無情にも軽戦士Bが回り込んできました。

イーサ:
 うわぁ。こりゃ、もう手下Dは助からないか……。

エルド:
 次は僕の番ですね。もう一度“ダークネス”を唱えます。(コロコロ)発動。この範囲に闇を展開します(と言って、発動範囲を示す)。

ダウ船3

 こうして、戦闘も終盤に差し掛かったところで、ふたたび“ダークネス”がダウ船の甲板を覆いました。しかし、イーサの精神点が底をついてしまったいまとなっては、それももはや姑息な一手に過ぎませんでした。




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