LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第9話(04)

GM:
 それでは、21時から24時までの見張り番はセルダルとメルトの2人で務めることになります。ここまで、時間経過による遭遇判定はGM側でシークレット判定として行っていたのですが、せっかくですから野営中の遭遇判定はプレイヤーに振ってもらいましょうか。

セルダル:
 了解。(コロコロ)5……。うん、相変わらず絶好調(苦笑)。

GM:
 では、夜間の遭遇対象テーブルを使って、対象を決定します。ちなみに、夜間は昼間よりも危険な敵と遭遇する可能性が高くなっています。あまりにも低い値を出してしまうと全滅しかねない敵が登場しますので気をつけてください。

セルダル:
(コロコロ)9!

GM:
 遭遇対象の反応を決定するので、さらに《2D》を2回振ってください。

セルダル:
(コロコロ)6と7。

GM:
 了解しました。では、状況はこのような感じですね(と言って、戦闘マップを提示し、そこにユニットを配置していく)。

セルダル:
 さあ、なにがきた!?

アシャス平原南東部

セルダル:
 なんか、コウモリっぽい奴らがいるな……。

GM:
 戦闘マップ上の全てが見えてしまっていますが、実際にはたき火の周辺の明るい部分だけが目視できている状態です。それ以外の部分は見えていないものとして行動してください。なお、もしたき火の中から火のついた木の枝などを拾うのであれば、松明の代用品として使えます。ただし、セルダルは両手剣装備なので、木の枝を拾うと剣を振るえなくなってしまいますが(苦笑)。
 さて、戦闘に入る前に、まずは聞き耳判定を行ってください。目標値は8です。

セルダル:
(コロコロ)5……。まったく、今日のダイスの目は、涙が出ちまうほどいー感じだぜ(苦笑)!

メルト(GM):
 メルトのほうの“聞き耳”は、(コロコロ)9で成功。そうすると、見張りをしている途中でメルトが「セルダルさん、なにか北の方角から音がしませんか?」と声を掛けてきました。

セルダル:
 あわてて言われたほーに目を向けた。

GM:
 視線を向けた先には完全な暗闇が広がっていたため、その姿を確認することはできませんでしたが、しばらく耳をすませていると、たしかになにかが羽ばたく音が徐々に近づいてきていることに気がつきました。これで敵の“不意打ち”は免れることができました。
 さて、ここからは戦闘処理として解決していきますので、イニシアチブ判定を行ってください。

 このイニシアチブ判定で良い値を出したセルダルは、真っ先に行動を開始します。

セルダル:
 “迎撃移動”で北側に移動する。で、それと同時に「皆、起きろッ! なんかきやがったぞッ! 急いで火の周りに集まれッ!」って叫んだ。

GM:
 了解です。ならば、セルダルが大声で叫んだことにより、寝ていた者たちもテントから起き出してくることになります。しかし、それまでにはおおよそ1分を要します。なので、彼らが行動を開始するのは、ここから30ウェイト経過したあとでということになりますね。

空を羽ばたく生物A(GM):
 続いて、空を羽ばたく生物Aが“通常移動”で近づいてきます。

セルダル:
 よしよし。そのまま真っ直ぐいらっしゃい、ってな。

空を羽ばたく生物B(GM):
 それと共に、空を羽ばたく生物Bも“通常移動”で近づいてきて、こちらはセルダルに隣接してきました。
 たき火の明かりの範囲内に入ってきたことで、セルダルはようやくその生き物の姿を視認することができました。闇の中から現れたのは体長1メートルくらいの黒い生き物です。

セルダル:
 体長1メートル!? そいつはデカイな(汗)。

GM:
 ではここで、動植物知識判定を行ってください。目標値は7・9・11です。

セルダル:
(コロコロ)よし。10で2段階まで成功。

GM:
 ならば、セルダルには視界に飛び込んできたのがジャイアント・バットであることがわかりました。ジャイアント・バットについてセルダルが知っているのは次のような内容です。

ジャイアント・バット
 クレアーレ島全域の未開地に生息する夜行性の動物です。病原菌を保菌しており、噛まれた者の多くが高熱を出し、稀に死ぬこともあるため、正しい知識を持たない未開地の人々からは呪いの力を持つ生き物として恐れられています。
 飛行時は移動手段に関わらず攻撃を併用することができるうえ、命中判定の結果が対象の防御判定値の3以上だった場合、対象にとりつくことができます。以後、とりつきが解除されるまで対象への攻撃は自動命中となります。
 なお、翼に対して命中力を-2したうえでの攻撃を命中させられ翼の耐久点をゼロ以下にされた場合、生死判定失敗で地面に墜落、成功で不時着することになります。

 日本人にとって体長1メートル級のコウモリというとちょっと想像しにくいかもしれませんが、海外にはメガバットという体長1.5メートルを超えるコウモリも存在します。ところが、このメガバット、草食で薄明薄暮性、コウモリ最大の特長ともいえる反響定位を用いることもできません。ですので、今回登場したこのコウモリは小型の吸血コウモリが巨大化したものだととらえてください。

ジャイアント・バットB(GM):
 さて、ジャイアント・バットは飛行状態であれば移動と攻撃を併用することができるという特殊能力を持っていますので、ジャイアント・バットBはそのまま爪でセルダルに攻撃してきます。命中値は9です。

セルダル:
 さっそくきたか。“回避”を選択。(コロコロ)14で回避成功。

メルト(GM):
 続いてメルトの番ですが、彼は“通常移動”でセルダルの隣に並びました。

ジャイアント・バットC(GM):
 そして、今度はセルダルの側面まで飛んできたジャイアント・バットCが、爪で攻撃してきます。

セルダル:
 側面からの攻撃だと回避力に-2のペナルティか……。今日のダイスの目からすると出目6以上は期待できねぇな……。方向転換して正面を向けたうえで“回避”を選択。(コロコロ)16で回避成功。

GM:
 なかなか慎重ですね(笑)。

 ここにいたるまでのダイス目が悪かったことで安全策を取ったセルダルでしたが、この直後、そんな心配をよそに大数の法則による揺り戻しが発動します。

セルダル:
 それじゃ、ジャイアント・バットCに両手剣で攻撃。(コロコロ)命中値13で成功! ダメージは……(コロコロ)クリティカル! クリティカル! クリティカル!

GM:
 ブハッ(失笑)!

セルダル:
 合計39点(笑)!

GM:
 えっと……。これ、生死判定は必要ないんじゃないかなぁ(苦笑)。

ジャイアント・バットC(GM):
 生死判定の目標値は38で、もちろん6ゾロ以外絶命です。(コロコロ)ジャイアント・バットCはその一撃で真っ二つになり、地面に落ちました。

セルダル:
 まあ、しゃーないな(笑)。

メルト(GM):
「さすがはセルダルさんッ!」そう言いつつ、メルトもジャイアント・バットAに斬りかかります。

セルダル:
 よし、メルト。オマエも魅せてくれッ!

メルト(GM):
(コロコロ)残念。身軽なジャイアント・バットに向けて放たれたメルトの攻撃はヒラリと回避されてしまいました。

セルダル:
 ドンマイ(苦笑)。

 ジャイアント・バットの戦闘レベルは1に過ぎませんが、小型(体長1メートル以下)の飛行生物であるため、そこそこ高い回避力を誇ります。そのため、メルトの実力ではそう簡単に攻撃を命中させることができません。

ジャイアント・バットE(GM):
 それでは、ジャイアント・バットEの行動です。ジャイアント・バットEはメルトの側面から“爪攻撃”を仕掛けてきました。

メルト(GM):
 メルトは方向転換して正面を向けると、“回避”を選択します。(コロコロ……出目は3)くはッ! 回避値7でその攻撃を食らってしまいました。

ジャイアント・バットE(GM):
 ダメージは……。(コロコロ)クリティカルが発生して10点です。

メルト(GM):
「くッ!」
 メルトは5点のダメージを負いました。ダメージが通ったため、病にかかったかどうかの判定を行います。

セルダル:
 うおッ、厄介なのがきたな。

 ジャイアント・バットから感染する恐れのある“バット・フィーバー”という病は、3時間の潜伏期間を経て発症すると高熱とめまいに襲われてあらゆる成否判定のダイス目が-1されるほか、時間の経過とともに深度が増していき、最悪の場合はそのまま死に至る病です。
 病を治す効果がある“キュア・ディージズ”の魔法を唱えることができる白魔法使いが同行していればさしたる脅威でもないのですが、今回のように癒し手が存在しない一団にとっては、極めて厄介な状態異常となります。

メルト(GM):
 目標値は8で……。(コロコロ)抵抗値も8なので、同値で抵抗には成功しました。

セルダル:
 よかった。

メルト(GM):
 しかし、メルトはいまのダメージで生命点が半減してしまったため、士気判定も行わなければなりません。(コロコロ)11は失敗ですね……。ここは精神点を6点消費してその場に留まることにしますが、以降はすべての成否判定のダイス目に-1のペナルティが科されることになります。

ジャイアント・バットF(GM):
 さらに、ジャイアント・バットFがセルダルの背後に回り込み、爪で攻撃してきます。

セルダル:
 ジャイアント・バットは小型なんだから、1マスに2匹まで入れるんだろ? だったら、最短距離を直線状に移動して正面から攻撃してきてくれよぉ……。

GM:
 ルール的にはそれでもいいのですが、込み合ってごちゃごちゃしているところに飛び込んでくるよりは、空いてるところを狙って攻撃してくるほうがそれらしいので、今回のケースではその意見は不採用とします(苦笑)。
 では、回避判定をどうぞ。

セルダル:
 ちぇッ。(コロコロ)7は回避失敗。

ジャイアント・バットF(GM):
 ジャイアント・バットFによるダメージは……。(コロコロ)3点です。

セルダル:
 ふぅ……。それなら革鎧で止まった。革鎧も結構優秀だよな。

ジャイアント・バットB(GM):
 ならば、今度はジャイアント・バットBが“牙攻撃”をしてきます。命中値は爪のときと変わらず9です。

セルダル:
(コロコロ)それは11でかわした。

ジャイアント・バットD(GM):
 さらに、ジャイアント・バットDがセルダルの側面から“牙攻撃”です。

セルダル:
 まだ手番が回ってきてねぇから、再度の方向転換はできねぇか……。しゃーない。側面回避だ。(コロコロ)8で回避失敗。

ジャイアント・バットD(GM):
(コロコロ)ダメージは5点です。

セルダル:
 それも、革鎧で止まった。革鎧さまさまだ。

 この後、ジャイアント・バットたちはセルダルとメルトを取り囲み、攻撃を爪から牙に切り替えて一斉に襲い掛かってきました。それまで攻撃をかわしつづけていたセルダルもさすがにいくつか被弾するようになり、徐々にジャイアント・バット側が勢いを盛り返してきます。しかし、そんなジャイアント・バットに対して、セルダルが両手剣を一振りすると――

セルダル:
 ジャイアント・バットBに攻撃。(コロコロ)命中はしたが、威力ロールの出目がわりぃな……。ダメージは11点だ。

ジャイアント・バットB(GM):
 うーん、11点でも耐えられません。(コロコロ)ジャイアント・バットBは昏倒して、そのまま地面に落下しました。

セルダル:
 なるほど。ジャイアント・バットは思ってた以上にもろいんだな。

 実際のところ、セルダルが両手剣での攻撃を命中させると、威力ロールで1ゾロを振らない限り一撃でジャイアント・バットを沈められるのでした。地力で相手を上回るセルダルは、ここから着実にジャイアント・バットをなぎ倒していきます。しかし、その一方でメルトは必死でした。

ジャイアント・バットA(GM):
 ジャイアント・バットAがメルトの正面から牙で攻撃してきます。

メルト(GM):
(コロコロ)12で回避成功。

ジャイアント・バットE(GM):
 さらに、ジャイアント・バットEがメルトの側面から牙で攻撃してきます。

メルト(GM):
(コロコロ)10で回避成功。

セルダル:
 おー。頑張る、頑張る。

GM:
 次はメルトの番です。

セルダル:
 よーし! そろそろメルトも1匹仕留めとこーか。

GM:
 え……? ここで攻撃に行かせますか? もし、セルダルがそう希望するのであれば、そうしますが……。

セルダル:
 あ、いや。そこはメルトの判断に任せる。

メルト(GM):
 では、メルトは、「くッ、このままだとまずい……」と言って、“防御重視”を選択します。もし、この状態で“牙攻撃”を食らってしまうと死んでしまう可能性が高いので、ここは守りに入らせてもらいます。

セルダル:
 そーだな。すでに生命点が半分以下なわけだし、いー選択だと思うぞ。

 メルトとしては、ここで自分が無理をせずとも、セルダルがいま相手にしている敵を斬り倒して援護に駆けつけてくれるだろうと期待してのこの選択でした。ところが、その期待をかけられていたセルダルが、ここで不運に見舞われていまいます。

ジャイアント・バットF(GM):
 続いて、ジャイアント・バットFがセルダルの側面から牙で攻撃してきます。

セルダル:
 側面で“回避”を選択。(コロコロ……出目は3)あ……。回避値6で攻撃を食らっちまった。

ジャイアント・バットF(GM):
 おや? 側面からの攻撃に対して回避値6ですか……。ということは、これはただの命中じゃないですね。命中値が回避値の3以上だったため、“とりつき”が発動します。以後、とりつき状態が解除されるまでのあいだ、ジャイアント・バットFはセルダルと同一マスにいる扱いとなり、セルダルに対して自動命中する“牙攻撃”を行えるようになります。
 それに加えて、今回のダメージは……。(コロコロ)5点です。

セルダル:
 ダメージは鎧で止めた。しかし、“とりつき”が厄介だな……。
 じゃあ、自分の番でそれを振りほどく。

ジャイアント・バットF(GM):
 “とりつき”を振りほどくためには、筋力対抗判定で勝つ必要があります。(コロコロ)こちらは8です。

セルダル:
(コロコロ)6……。うーん、すぐには振りほどけねぇか……。

 セルダルはこのジャイアント・バットFの“とりつき”を振りほどくのに思っていた以上に手こずります。そして、もたついているうちに――

ジャイアント・バットF(GM):
 とりつき状態のジャイアント・バットFが、セルダルに攻撃してきました。自動命中なので、直接ダメージを決定します。(コロコロ)8点のダメージです。

セルダル:
「クッ!」
 3点食らった。

GM:
 ふっふっふっ。ようやくダメージで通りましたね。そして、ダメージが通ったということは、病に感染した可能性があるということです(ニヤリ)。

セルダル:
 くぅ……。病に対する抵抗判定は、(コロコロ)ジャスト8で成功。危ねぇ……。

 こうして、セルダルに対して初ダメージを与え、あわよくば病に感染させようかというところまでいったのですが、ジャイアント・バットたちの勢いもここまででした。

セルダル:
 今度こそジャイアント・バットFを振りほどくぞ。(コロコロ)6ゾロで成功! やったぜ、経験点50点ゲット(笑)!
 んじゃ、ジャイアント・バットFをジャイアント・バットDにぶつける感じで、正面に突き飛ばした。

GM:
 さすがに、ジャイアント・バット同士がぶつかってどうこうということはありませんが、イメージは十分伝わりました(笑)。

 ついにセルダルはとりつき状態を振りほどくことに成功します。さらに――

メルト(GM):
 メルトがジャイアント・バットEに攻撃します。(コロコロ)命中値12で命中。ダメージは5点。

ジャイアント・バットE(GM):
 ジャイアント・バットEは生命点が半減したので、士気判定を行います。(コロコロ)失敗。逃走を開始します。

 メルトもこの戦闘ではじめて攻撃を命中させ、ジャイアント・バットEを追い払うことに成功しました。こうなると、もうPC側の勢いはとまりません。

セルダル:
 オレの番。よーやく、にっくきジャイアント・バットFに攻撃できるぜ! (コロコロ)命中して……。ダメージ、ドンッ! 13点は落ちただろ?

ジャイアント・バットF(GM):
 はい。これまで善戦を続けていたジャイアント・バットFも、ついにその一撃で倒されました。(コロコロ)生死判定に失敗したので絶命です。

 この直後、セルダルが叫び声をあげてから30ウェイトが経過してテントの中から自警団員たちが飛び出してくると、残っていたジャイアント・バットたちも闇夜の中に逃げていってしまいました。

GM:
 それでは、敵勢力が撤退を開始し、その追撃はしないこととなったので、ここで戦闘終了とします。




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