GM:
さて、ジャイアント・ラットとの戦いをはじめる前に確認しておきますが、テジーは新手に備えて周囲を警戒するってことで、戦闘不参加として構いませんよね? 一応、弓矢を放てば命中させることは可能でしょうが、ダメージにはさほど期待できませんので……。あわせて、戦力として数えられないギズリとニルフェルも戦闘には不参加の予定です。
セルダル:
オッケー。
GM:
ちなみに、ギュリスは指揮官として参戦します。指揮下に加わるのであれば士気判定にボーナスを得られますし、そうでなくとも“隙を見つける”で援護してもらうことは可能です。
セルダル:
ありがてぇ。もちろん、指揮下に加わっておくぜ。あとは、オレが一刀一殺していけば万事オッケーだな。
GM:
それでは、戦闘処理を開始しましょう(と言って戦闘マップを提示する)。
ジャイアント・ラットの数が5匹になったことで、戦力比はかなりプレイヤー側に有利な状態となりました。こうなると、戦闘の目標は、単なる敵の撃退から被害を最小限にとどめた勝利へと変わってきます。
ギュリス(GM):
あなたたちが戦うことを決めると、ギュリスは矢継ぎ早に指示を飛ばしはじめました。
「ギズリ! テジー! ニルフェル! あなたたちは馬が暴れないように手綱を確保してなさいッ! で、自警団の人たちは、もう少し東側に移動して、2つの丘のあいだに戦列を展開! 戦列ができたら、各自守りを固めるッ! メルトは東の丘の上の茂みで待機ッ!」
セルダル:
ほほー。ギュリスの奴、やる気満々だな。で、オレにはどんな指示を出してくるんだ?
ギュリス(GM):
ギュリスはセルダルにも目を向けはしましたが、あなたに対しては指示を送りませんでした。
セルダル:
自分で考えて動けってか(苦笑)。
GM:
まあ、GM側からPCの行動を縛るようなことはそうそうできませんよ(苦笑)。
セルダル:
んじゃ、オレも最初は“防御重視”して“待機”しておくか……。
こうして、セルダル以外の面々は各々ギュリスの出した指示に従って行動していきました。そして、ちょうど防衛ラインが完成しようかといったところで、ジャイアント・ラットが眼前に迫ってきます。
ジャイアント・ラットA(GM):
では、ジャイアント・ラットAが“通常移動”で自警団員Cに対して隣接してきました。
自警団員E(GM):
続いて自警団員Eの行動です。迫ってきたジャイアント・ラットAに対して、自警団員Eは前に出て迎え撃とうとします。
ギュリス(GM):
すると、間髪入れず、「そこッ! 戦列を乱すなッ!」とギュリスが怒声を響かせました。
自警団員E(GM):
自警団員Eはその声に圧倒され、踏み出そうとしていた足を戻します。
セルダル:
オレは“小移動”と“武器攻撃”を併用して、ジャイアント・ラットAの側面から攻撃する。
ジャイアント・ラットA(GM):
ジャイアント・ラットの回避値は一律11です。
セルダル:
(コロコロ)命中値13で命中。ダメージは14点。
ジャイアント・ラットA(GM):
あいかわらず重い攻撃ですね……。(コロコロ)その一撃で、ジャイアント・ラットAは昏倒しました。
セルダル:
よしッ!
「次、来るぞッ!」
事前にセルダルが掲げていた一刀一殺という目標も、ジャイアント・ラット相手ならばあながち不可能なことではありません。唯一懸念材料となるのは、回避に秀でる小型モンスターに対してセルダルが攻撃をどれだけ命中させることができるかというところでした。しかし、今回ギュリスが出した指示どおりに自警団が動いた場合、彼らが築いた防衛ラインでジャイアント・ラットは足止めされることとなり、その側面や背後からセルダルが思う存分攻撃できる形になります。
自警団員D(GM):
続いて、自警団員Dがジャイアント・ラットBに攻撃します。(コロコロ)命中。ダメージは、クリティカル! ジャイアント・ラットBに14点のダメージを与えました。
セルダル:
おおッ! そのダメージってことは……。
ジャイアント・ラットB(GM):
はい。(コロコロ)ジャイアント・ラットBは自警団員Dが振るった片手剣の一振りで首を落とされ、絶命しました。
早々にジャイアント・ラットAとジャイアント・ラットBを仕留めることに成功し、完全にPC側の押せ押せムードです。
ギュリス(GM):
「よしッ! いま交戦状態にない者は隊列を解除ッ! 敵のうしろに回り込んでトドメッ!」
残り3匹となったジャイアント・ラットを一気に殲滅するため、ここで意気揚々と号令を発したギュリスでしたが、勝利を確信したときに思わぬ被害を被ってしまうというのはよくある展開です。
ジャイアント・ラットD(GM):
では、ジャイアント・ラットDが正面にいる自警団員Aに攻撃します。(コロコロ……出目は11)お、命中しましたね。では、ダメージを……。クリティカル発生! 13点のダメージです。
セルダル:
うおッ! 結構きついダメージだな……。
自警団員A(GM):
自警団員Aは9点の実ダメージを食らって、残り生命点が5点になりました。ジャイアント・ラットは病原菌持ちのため、病に対する抵抗判定が必要となります。(コロコロ)抵抗には成功。そして、生命点が半分を切ったため、士気判定も行います。(コロコロ)失敗。しかし、ここで隊列を崩すわけにもいきませんので、自警団員Aは精神点を6点消費して、その場にとどまります。
ここまでパーフェクトペースで進んでいた戦闘でしたが、残念ながらここで被害が発生してしまいました。しかし、それでも自警団員Aが病に感染せずに済んだことは、不幸中の幸いだったといえるでしょう。もし行軍中に病が発症し、それを癒す手段がないとなれば、最悪の場合、二次感染、三次感染の恐れもあったわけですから……。
ギュリス(GM):
ギュリスはジャイアント・ラットEに対して、ウェイト4の“隙を見つける”を実行します。(コロコロ)成功。
ジャイアント・ラットE(GM):
そのジャイアント・ラットEが、メルトに対して“牙攻撃”を行います。(コロコロ)命中値11は……同値で失敗!
セルダル:
危ねぇ……。
メルト(GM):
続いて、メルトがジャイアント・ラットEに攻撃。(コロコロ)命中値12。こちらも同値で失敗……。
ギュリス(GM):
そこですかさずギュリスが助言を送ります。
「いまだッ! メルト、踏み込めッ!」
この助言で命中値に+1のボーナスが加わり、攻撃が命中します。
メルト(GM):
(コロコロ)メルトはギュリスの助言どおり、深く踏み込んでジャイアント・ラットEに斬りつけると、見事に9点のダメージを与えました。
ジャイアント・ラットとメルトの実力は拮抗していましたが、助言を授けてくれる仲間がいるかどうかは両者の決定的な差でした。
GM:
続いて、セルダルの番です。
セルダル:
ん? ジャイアント・ラットEは士気判定しなくていーのか? さっきメルトが与えたダメージで生命点は半減したはずだろ?
GM:
ああ、そのことでしたら、実はこのジャイアント・ラットたちは遭遇時におこなった反応判定の結果によって飢餓状態にあるということになっているのです。そして、飢餓状態にあるものは捕食対象との戦闘において戦意を喪失しないのですよ。
セルダル:
なるほど、そーゆーことか……。んじゃ、オレは両手剣でジャイアント・ラットCに攻撃。(コロコロ)命中。ダメージは、クリティカルして32点!
ジャイアント・ラットC(GM):
(コロコロ)生死判定に失敗。ジャイアント・ラットCは両手剣で一刀両断されました。
セルダルがさらに1匹仕留めたことで、ジャイアント・ラットは残り2匹に……。
ジャイアント・ラットD(GM):
ジャイアント・ラットDが自警団員Aに“牙攻撃”。(コロコロ)失敗……。
自警団員C(GM):
そして、そのジャイアント・ラットDの背後から、自警団員Cが片手剣で攻撃します。(コロコロ)命中。クリティカルして12点ダメージ!
ジャイアント・ラットD(GM):
(コロコロ)その攻撃で、ジャイアント・ラットDは昏倒しました。
自警団員Aが敵を引き付けているうちに、背後から自警団員Cが一突きして、残り1匹。
自警団員A(GM):
正面のジャイアント・ラットDが倒れたので、自警団員Aは方向転換して横にいるジャイアント・ラットEに片手剣で攻撃します。(コロコロ)命中。クリティカルして15点ダメージ!
ジャイアント・ラットE(GM):
(コロコロ)その攻撃でジャイアント・ラットEは絶命しました。
最後は唯一ジャイアント・ラットからダメージを受けていた自警団員Aが、お返しとばかりにトドメを決めてみせました。
GM:
こうして、あなたたちはジャイアント・ラットを殲滅することに成功したのでした。
おまけ:戦闘ログ、戦闘中の大まかな動き
GM:
……できれば、最後のトドメはセルダルにと思っていたのですが、自警団員Aが予想以上に頑張っちゃいましたね(笑)。
セルダル:
まあ、ジャイアント・ラットEはすでにダメージ受けてたし、クリティカルでトドメさしたんだから、文句なしだろ。
GM:
そうですね。では、戦闘疲労を決定しておきましょう。
この戦闘疲労判定により、ほとんどの者が移動にペナルティが発生するほどの疲労をためてしまいました。とりわけ、メルトと自警団員Eの疲労は色濃く、もう少し負荷がかかると捻挫や骨折などのペナルティも発生しかねない状態となってしまいます。
メルト(GM):
「なんとか撃退できましたね……」そう言って、メルトは額についた汗をぬぐいました。
セルダル:
「おう。おつかれさん」
ギズリ(GM):
「ふぅ……。オレのアレキサンダーに怪我がなくてよかったぜ」
ギズリはそんなことを口にしながら、馬と一緒にいるロバの背中を撫でています。
セルダル:
「馬を押さえとくのもたいへんだったよな。ありがとよ」
ギズリ(GM):
「ああ、さすがに疲れちまった。お前らも疲労してるみたいだし、こりゃ、ここでしばらく休むしかねぇな」
セルダル:
「同感だ。いーよな、隊長?」
メルト(GM):
「そうですね……。そのあいだに雨が降ってくれるといいんですが……」そう言って、メルトは空を見上げました。
セルダル:
「水かぁ……」
ギズリ(GM):
ここでギズリが“天候予測”を行います。(コロコロ)達成値は14です。
セルダル:
すげぇぜ、ギズリさん!
ギズリ(GM):
「雨を期待してんなら、しばらくは無理そうだ。まあ、馬にはそこらの草をはませてりゃ当分のあいだは持つだろ。……ただ、問題はオレたちのほうだな。明日、予定どおり進めりゃ、なんとかなるだろうけどよ」
セルダル:
「なあに、多少喉が渇くくれぇのこと、あのネズミ10匹に絡まれんのに比べたら屁でもねぇさ。なぁ?」って言って、笑いながら自警団員たちのほーを見た。
自警団員たち(GM):
自警団の面々は、それぞれが慣れない実戦で相当疲労しているようです。すでにその場に座り込み、休んでいる者すらいます。
セルダル:
ありゃ……。これじゃ、空元気も出せそーにねぇな(苦笑)。
メルト(GM):
「……仕方ありません。ここでテントを張ってしまいますか」
ギズリ(GM):
「おう。それじゃ、オレはそのあいだにアレキサンダーと一緒にもう一度水源を探してくる」
セルダル:
「疲れてるところすまねぇが、頼むぜギズリさん」
ギズリ(GM):
「まあ、人それぞれ、役割ってのがあるからな」そう言うと、ギズリは水源を探すためにロバのアレキサンダーと共に周辺を調べ始めました。
それでは、生存術判定を行います。すでにこの地点では一度判定を行っているので、再判定となり6時間が費やされることになります。(コロコロ)13で成功! ギズリは、見事に水源を発見してみせました。
セルダル:
おお! 格好いーぜ、ギズリさん!
ギズリ(GM):
では、日が沈むころになり、キャンプの周辺をグルリと歩いていたギズリが戻ってきます。
「おーい、水が染み出してきそうな場所を見つけたぞー! 誰か、手を貸してくれ!」
セルダル:
「ホントーかよ!」
ギズリ(GM):
「土を掘って出てきた水をろ過すればいけると思う。まず、土を掘るもん。あと水袋と大量の布を集めてくれ」
セルダル:
「了解だ。力仕事はオレにまかせてくれ」
GM:
ということで、あなたたちは自分たちが所持する水袋分の水を確保できるようになりました。通常の水袋は2リットル入るので、人間が1日で消費する分は賄えます。
ギズリ(GM):
水をろ過して飲料用にすると同時に、ギズリは馬たちを水が染み出る場所まで連れて行くと、それを直接なめさせました。
GM:
これで今日の分の馬の水も足りたものとします。
セルダル:
「これで明日は安心して先に進めるな!」
あとはゆっくり休んで疲労を全快させりゃ完璧だ。