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宮国紀行イメージ

宮国紀行 第9話(16)

 行商人を恐喝した容疑者と思しき、“砂塵の死神”の異名を持つ男スレイマン。そして、そのスレイマンと対峙するイルヤソール自警団団長のクムル。2人はいままさに一触即発の状況にありました。そんな中で、セルダルは……。

セルダル:
「ちょ、ちょっと待ってくれよ」
 慌てて2人のあいだに割って入った。

スレイマン(GM):
「なンだ、テメェ?」

セルダル:
「オレも自警団員だよ。それより、恐喝してねぇってゆーなら、荷物の中身を見せてくれたっていいじゃねぇか。なのに、なんで見せらんねぇのさ? 理由があんなら教えてくれよ」

スレイマン(GM):
「ハッ! 愚問だな。オレの荷物をどーするかはオレの勝手だ。それとも、テメェは知らねぇヤツからケツを見せろって言われたら、はい見てくださいってケツをさらすのか?」

セルダル:
「うッ……。たしかに、そりゃオレも嫌だな。んじゃ、別の方法でアンタの疑いが晴れる方法をみつけよーぜ?」

GM:
 その発言に、その場にいる全員の視線がセルダルへと集まりました。

セルダル:
「えーと……。本当にアンタのことを恐喝したのはコイツなのか?」って、被害者の行商人に確認してみるが……。

行商の男(GM):
「は、はい。この男で間違いありません!」

クムル(GM):
「被害者もこう言ってる。やはり、荷物を確認させてもらうしかないな……」

スレイマン(GM):
「だったら、力尽くでやってみせろや」

GM:
 一応この段階で説明しておきますが、店の中であれば大剣は使いにくそうです。具体的に、命中力に-1のペナルティが発生するものとします。

セルダル:
 だとしても、戦闘は回避してぇところだな……。
「行商人さんよ。脅し取られたのはどんなものなんだ?」

行商の男(GM):
「指輪やネックレスなどの小さくて高価な貴金属です。……それがなにか?」

セルダル:
「教えて欲しいんだよ。取られたもんがなんなのか、全部」

行商の男(GM):
「ぜ、全部と言われましても……。金の指輪に、ダイヤの指輪に……」
 行商の男は、記憶をたどり、奪われた品々を羅列していきました。

スレイマン(GM):
 そんなやり取りを見たスレイマンは、「……くだらねぇ。付き合いきれねぇな」と吐き捨てて、荷物を持って席を立ちます。スレイマンが荷物を持ち上げると、その瞬間、荷物の中からジャラリと貴金属の触れ合う音が聞こえました。

クムル(GM):
「おい、動くなッ!」

スレイマン(GM):
「知ったことか。オレには関係ねぇ話だ。あとはテメェらだけで勝手にやってろ」

セルダル:
「そー言わずに、アンタももーちょっとだけ付き合ってくれよ……」

スレイマン(GM):
「嫌だね。オレは待てと言われて待つよーなマヌケじゃねぇ」
 スレイマンはそのまま店の外に向って歩きだしました。

行商の男(GM):
「お、おい、あんたらッ。まさか、恐喝犯を逃がすつもりじゃないだろうなッ!?」と、行商の男が慌てた様子で叫びます。

セルダル:
 やれやれといった表情をしたあと、クォータースタッフをスレイマンの進路をふさぐように突き出した。

スレイマン(GM):
「ああン? こいつは、なンのつもりだ?」

セルダル:
「頼むから協力してくれよ。これがこの街のルールなんだからさ」

スレイマン(GM):
「だったら、そンなクソッ垂れな街、さっさとおさらばするまでだ」そう言って、スレイマンはクォータースタッフを押しのけました。

セルダル:
「団長、こーゆーときはどーすりゃいーんだ?」

クムル(GM):
「口で言ってもわからない奴には仕方ない。捕縛、しかるのちに荷物の確認だ」

セルダル:
「了解」

スレイマン(GM):
「ほー。このオレとやる気か。だったら表に出ろよ。ここじゃ、せっかくうまいメシを出してくれた店にわりぃだろーが」
 スレイマンとしても、このまま店の中で戦うのは不利だと理解しているのです(笑)。

セルダル:
「ここのメシはうまいのか?」

スレイマン(GM):
「ああ。興味があンならあとで食ってみるンだな。……まあ、メシが食える状態になンのは、ずいぶん先になってからの話だろうがよ」

セルダル:
「なるほど……。だったら、アンタを取り押さえたあとで、ゆっくり食わせてもらうとするぜ」
 団長、やるならもちろん店内でだよなッ(笑)!

 第7話でのゴロツキたちとの戦いにおいて、悩みに悩んだうえで店の外で戦うことを選んだアゼルとは実に対照的な選択です(笑)。

GM:
 では、店内で仕掛けるということで、戦闘マップを用意します。

イルヤソールのとある酒場

 第8話の船の上での戦闘と同じく、込み入った店内を戦闘マップに落とし込んだため、スケールがかなりおかしなことになっていますが、そこには目を瞑ってください(苦笑)。

GM:
 まず、武装の確認をしておきます。
 クムルとブダックは、クォータースタッフとスモールシールド、鎧としてチェインメイルを装備しています。対するスレイマンは、布に包んだ両手剣を肩に担いで片手で持っており、もう一方の手には荷物袋を持っています。鎧は使い込まれたハードレザーアーマーで、さらに鎧の上からマントを羽織り、いかにも旅行者といった格好です。

セルダル:
 オレは、クォータースタッフにスモールシールド。鎧は普段装備してる革鎧で、両手剣は背負ってる。

GM:
 了解です。それと、クムルがコマンダー技能を取得してるため、その指揮下に入ることもできますが、どうしますか?

セルダル:
 もちろん、指揮下に入るぜ。

 こうして、酒場の中でスレイマンを捕縛する戦いが開始されました。

スレイマン(GM):
 では、まずスレイマンの行動ですが、彼はゆったりとした足取りで店の入り口へと向かおうとします。

セルダル:
 これも離脱になるんだよな? だったら、“離脱阻止”!

クムル(GM):
 クムルも同じことを試みます。同時に複数人数で移動阻止系の行動をとる場合は、そのなかでもっとも高い達成値が適用されます。(コロコロ)クムルの達成値は11です。

セルダル:
(コロコロ)オレのほーは、9。

スレイマン(GM):
 では、スレイマンはあなたたちの振りかざした武器をその体格には似つかわしくない動きでヒラリとかわすと、そのまま入り口に向かって足を進めました。

GM:
 スレイマンの回避行動を目にしたので、ここでスレイマンに対して“技量推測”してもかまいませんよ。

セルダル:
 んじゃ、ヘヴィ・ウォリアーとしての技量を確認する。(コロコロ)8だ。

GM:
 それでは、あなたにはスレイマンの実力を測りきれませんでした。

ブダック(GM):
 スレイマンを店の外に出すまいと、ブダックがその前に立ちはだかり、“防御重視”を選択します。
「どこへ行く気だッ! 大人しくこちらの指示に従えッ!」

スレイマン(GM):
「どーしても邪魔するってか? だったら、こっちも容赦しねぇぞ?」
 スレイマンは立ちふさがったブダックににらみをきかし、荷物を床に置くと、両手剣を構えました。

セルダル:
 オレも“防御重視”して、スレイマンに追いすがる。

クムル(GM):
「逃がさんッ!」とクムルも“防御重視”しつつ、スレイマンの背後に迫ります。

ブダック(GM):
 面々の中でいち早く攻撃を繰り出したのは、ブダックでした。
「これでもくらえッ!」という叫び声と共に、クォータースタッフでスレイマンに殴りかかります。(コロコロ)命中値は10でミスです。

酒場の客たち(GM):
 突然始まった捕り物に、酒場の客たちがざわつきはじめました。

スレイマン(GM):
「ついにやりやがったな? だったらお返しだ……」そう小さくつぶやいたスレイマンは、手に持った大剣を横になぎました。“吹き飛ばし攻撃”を選択すると同時に、“手加減”でクリティカルを抑止しておきます。(コロコロ)命中値15でヒット。ダメージは14点。“吹き飛ばし攻撃”の筋力対抗値は11。

ブダック(GM):
(コロコロ)ブダックの筋力対抗値は7で、ものの見事にテーブルめがけて吹き飛ばされました。
「ぶぉわッ! ぐふぅ!」
 テーブルをなぎ倒しつつ背中から床に叩きつけられたブダックは、口から血を吐きだします。生命点が半減したので、士気判定を行います。(コロコロ)13でなんとか成功。もし、クムルの指揮下になければ一撃で戦意を刈り取られていたところでした。

酒場の客たち(GM):
「キャァァァッ!」
「ヒィィィッ!」
 テーブルがひっくり返り、皿などが盛大な音を立てて割れると、それに続いて客たちの悲鳴や叫び声が店内に響き渡ります。

酒場の主人(GM):
 酒場の主人もたまらず声を上げます。
「お、お願いです、どうか店内では暴れないでくださいッ! ああッ! お店が……。私のお店が……」

セルダル:
「こいつは、マジでやるしかねぇか……」
 クォータースタッフを床に落として背負っていた両手剣を構えた。

酒場の客たち(GM):
「とばっちりで怪我でもさせられたらたまんねぇッ! 皆、一旦店の外に逃げろッ!」
 誰かが発したその声を皮切りに、おびえていた客たちは酒場の出入り口に向かって我先に逃げ始めます(と言って、酒場の客たちのユニットを動かす)。しかし、客が一斉に出入り口に向かったことによって、その付近に渋滞が発生してしまいました。全員が店外にでるためには、もうしばらく時間がかかりそうです。

イルヤソールのとある酒場2

GM:
(戦闘マップの配置を確認してから)
 では、セルダル。ここで《スカウト技能レベル+知力ボーナス+2D》の判定を行ってみてください。(コロコロ)目標値は10です。

セルダル:
(コロコロ)4だ。まったくもって絶好調だな(苦笑)。

GM:
 了解です。戦闘処理を続けます。

クムル(GM):
「こいつめッ!」
 クムルがスレイマンの背後から攻撃します。(コロコロ)命中値は15。

スレイマン(GM):
 スレイマンはとっさに振り向いて、それを回避しました。

セルダル:
 なッ!? 命中値15でも当たらねぇのかよ。こりゃ、うしろから攻撃しねぇと当たりゃしねぇぞ……。

ブダック(GM):
 転倒しているブダックは、必死に立ち上がろうとしています。しかし、金属鎧を装備しているため、すぐに起き上がれそうにはありません。

セルダル:
 オレはいまのうちにスレイマンの背後に回っておく。

クムル(GM):
 では、ふたたびクムルの攻撃です。(コロコロ)またも命中せず。

セルダル:
 んじゃ、団長が引き付けてくれてるところで、スレイマンの背後から“渾身の一撃”を放った! (コロコロ)おおッ! 命中値17でどうだッ!

スレイマン(GM):
 むぅ……。その攻撃は、完全にスレイマンの虚をつきました。命中です。

セルダル:
 よっしゃッ! ダメージは、(コロコロ)17点だ!

スレイマン(GM):
「ぐぉッ!」
 セルダルの一撃にスレイマンが苦痛の声を漏らしました。そのダメージだと、さすがにスレイマンの生命点も半分以下になります。士気判定は(コロコロ)18で成功。
「テメェ、やりやがったなッ!」

 セルダルの放った攻撃は、恐ろしいほど鋭く重い一撃でした。相手がスレイマンでなければ、良くて昏倒、そうでなければ絶命していたところです。

GM:
 さて、見事スレイマンに“渾身の一撃”を叩き込んだセルダルでしたが、その振り下ろした両手剣には、革鎧に打ち込んだとは思えないほどの鈍い衝撃が感じられました。スレイマンの身体に触れる直前に攻撃を阻んだその障壁を、あなたはこれまでの経験から“プロテクション”のたぐいであると察することができます。

セルダル:
 なるほど……。やっぱ、一筋縄じゃいかねぇみてぇだな。

酒場の客たち(GM):
 そうやって、戦いが激化する中、客たちの脱出はまだ続いています(と言って、酒場の客たちのユニットを動かす)。

イルヤソールのとある酒場3

GM:
(戦闘マップの配置を確認してから)
 ここでふたたびセルダルは《スカウト技能レベル+知力ボーナス+2D》の判定をどうぞ。(コロコロ)目標値は11です。

セルダル:
(コロコロ)10……。

GM:
 惜しいッ! では、戦闘処理を続けます。

スレイマン(GM):
 さすがに背後を取られるのはまずいと考えたのか、スレイマンはセルダルとクムルに対して側面を向けるように体勢を変え、それと同時にある道具を使用します。このとき、スレイマンは「影よ!」と魔導語で呟いたのですが、それはセルダルにはわからない言葉でした……。(コロコロ)発動。
 周囲にいる者には、スレイマンの身体がにわかに黒ずんだように見えます。

クムル(GM):
 続いて、クムルが側面からスレイマンに攻撃します。(コロコロ)命中値は15。

セルダル:
 よしッ! 側面からの攻撃で15ってことは命中だな。

GM:
 ところが、クムルがスレイマンに狙いを定めてクォータースタッフを振り下ろそうとしたその瞬間、黒い影がスレイマンの残像となり、クムルに目標を見誤らせます。

クムル(GM):
「なんだとッ!?」
 クムルの攻撃は、影だけを捕えて空を切りました。

GM:
 どうやら、その影はスレイマンの装備しているマントから発生しているようです。
 さて、思っていた以上に拮抗した戦いとなりましたが、そろそろかたをつけるとしましょう。

スレイマン(GM):
「そろそろ終いにしよーぜッ!」
 スレイマンは、セルダルに対してクリティカルを抑止した“吹き飛ばし攻撃”を試みます。側面への攻撃となるので、命中値は12です。

セルダル:
「そー簡単にやられるかよッ!」
 回避値は……。(コロコロ……出目は6ゾロ)よっしゃッ!

スレイマン(GM):
「なッ!?」
 そのセルダルの予想外の動きに、思わずスレイマンも両の目を見開きました。

GM:
 いやぁ、やりますねぇ(笑)。

酒場の客たち(GM):
 さて、ここで客の退避の時間です(と言って、酒場の客たちのユニットを動かす)。
 これで、大半の客が店の外に逃げ出すことができました。

イルヤソールのとある酒場4

GM:
(戦闘マップの配置を確認してから)
 今回はクムルが《スカウト技能レベル+知力ボーナス+2D》の判定を行います。(コロコロ)目標値は12です。

クムル(GM):
(コロコロ)8で失敗しました。

ブダック(GM):
 そして、ここでようやくブダックが立ち上がり、戦線に復帰します。
「このやろう!」
 クォータースタッフによる攻撃は、(コロコロ)ミスです。しかし、これでスレイマンを3人で囲む配置となりました。

クムル(GM):
「よし、このまま囲んで取り押さえるぞッ!」と、クムルが指示を送ります。

 スレイマンは相当な実力者でしたが、それでも、クムルとセルダル、そしてブダックの3人が力をあわせることで、なんとか対等な勝負に持ち込むことができました。この後、戦闘はしばらくこう着状態に陥り、酒場の客たちの移動を一回挟むことになります。そして……。

スレイマン(GM):
「チッ、こいつら……。だったら、こっちも本気でいくぜッ! 恨むならテメェを恨めやーッ!」
 業を煮やしたスレイマンは、ここでクムルに対して“渾身の一撃”を放ちます。(コロコロ)命中値は12。

クムル(GM):
 クムルはその攻撃を盾による“ディフレクト”で防ぎました。

セルダル:
 さすがは団長!

 このタイミングで酒場の客たちの退避がようやく完了します。

クムル(GM):
「いいかげんに、大人しくしろッ!」
(コロコロ)クルムの攻撃が命中して、10点のダメージです!

スレイマン(GM):
「ぐぅ」
(コロコロ)さらにダメージを受けたスレイマンでしたが、士気判定には成功しました。
 続いて、スレイマンがクムルに対し反撃します。今度は方向転換して正面にとらえて攻撃しておきます。(コロコロ)命中! ダメージは17点です!

クムル(GM):
「ぐはっ!」
 その一撃で、クムルの生命点が一気に半分を切りました。(コロコロ)しかし、こちらも士気判定には成功して、なんとか踏み止まります。
「噂以上に強い……。だが、こちらとて、これしきのことで倒れるわけにはいかん……」
 辛うじてスレイマンの攻撃に堪えたクムルは、ここでセルダルに次のような指示をだしました。
「ここはオレが隙を作る。セルダル、そのあいだに決めてみせろ!」

セルダル:
「おうよ!」

クムル(GM):
 ということで、クムルはスレイマンに対して、スモールシールドによる“シールド・バッシュ”を試みます。(コロコロ)残念。命中せず……。

セルダル:
 オレは“防御重視”から“攻撃重視”に切り替えて、次の攻撃機会をうかがっておく。

クムル(GM):
 では、クムルがもう一度、“シールド・バッシュ”を試みます。(コロコロ)しかし、失敗……。流れ的にはここで決められれば良かったのですが、そうそう上手くはいきませんね……(苦笑)。

セルダル:
 んじゃ、オレの番。スレイマンの背後から両手剣で攻撃。(コロコロ)命中値は12――いや、“攻撃重視”に切り替えたから14か。

GM:
 ならば、ピッタリ命中します。

セルダル:
 よっしゃッ! ダメージは、(コロコロ)10点!

スレイマン(GM):
 10点のダメージということは……。
「クッ……。まさか、こンなところで……」そううめくと、スレイマンは膝を折って前のめりに倒れました。(コロコロ)生死判定には成功して、昏倒です。

セルダル:
「ふぅ……。手こずらせやがって。最初から大人しくしやがれってんだ」

GM:
 こうして、あなたたち自警団は、抵抗するスレイマンを気絶させることに成功しました。

おまけ:戦闘ログ




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