LOST ウェイトターン制TRPG


宮国紀行イメージ

宮国紀行 第9話(23)

 ブダックと共に、廃倉庫への突入を敢行するセルダル。はたして、窃盗犯は廃倉庫の中に潜んでいるのでしょうか? そして、セルダルとブダックのふたりだけで制圧することができるのでしょうか?

セルダル:
 “忍び足”で裏口まで向かう。(コロコロ)12。

GM:
(コロコロ……シークレット判定)では、セルダルは裏口に張り付きました。扉にはノブがついています。

セルダル:
 裏口の扉に対して“罠感知”を試みる。(コロコロ……1ゾロ)やったー(笑)!

GM:
 では、セルダルには、扉に罠が存在するのかどうかまったくわかりません。

セルダル:
「ワナはねぇよーだな」

 前回も触れたように、判定時のダイス目はPCにも手応えとして伝わっています。もし本当に罠の存在を警戒しているのであれば、ここは再判定してもよかったでしょう。

セルダル:
 んじゃ、ノブを回して扉を開けよーとする。

GM:
 鍵はかかっていないようで、ノブは抵抗なく回りました。

セルダル:
 音をたてないように、ゆっくりと扉を開けた。

GM:
 残念ながら、なにぶん古い扉のため、十分に注意しても多少きしむ音が響いてしまいます。

セルダル:
「チッ……」

 空間の音を操作するたぐいの魔法を使わない限り、ここは判定の余地なしです。しかし、この直後に描写するとおり、このときセルダルはランタンを手にしていたので、扉を開けたあとの隠密行動にさほど意味はありません。フレーバーです。

GM:
 扉は、人がひとり通り抜けられるほど押し開けられました。
 廃倉庫の中は真っ暗です。倉庫の中にセルダルの持ったランタンの明かりが差し込み、積み上げられた大きな木の箱などを照らしました(と言って、全体が黒く塗りつぶされた戦闘マップを提示し、視界の範囲だけ塗りつぶしを解除していく)。

イルヤソール貧民街の廃倉庫1

セルダル:
 その木の箱の縁を掴んで、引きずれる重さかどーか確認しておく。

GM:
 セルダルが木の箱に触れてみると、ずっしり重いのがわかりました。人ひとりの力では、どうやっても動かせそうにありません。

セルダル:
 了解。裏口の扉は、内側から鍵をかけたりできそーか?

GM:
 セルダルが裏口の扉へ目を向けてみると、そこにとりつけられていた錠前は壊れて取れかかっていました。朽ちたというよりは、意図的に壊されたあとのようです。

セルダル:
 なるほど……。なら、“警戒探索”の警戒度:高で奥に進んでく。(コロコロ)6。

 “警戒探索”の判定は本来であればシークレット判定ですが、セルダル編で用いているチャットシステムの機能の関係で、プレイヤー側はシークレット判定を行えません。仕方ないのでここではプレイヤーにオープンで判定させてしまいましたが、GM側でシークレット判定したほうがよかったかもしれません。

GM:
(コロコロ……シークレット判定)特に人の気配は感じられません。

セルダル:
 さらに奥に進む。

GM:
 ならば、そこで敵側の“不意打ち”が発生します。《ハンター技能+知力ボーナス+2D》の対抗判定を行ってください。(コロコロ)目標値は13です。

セルダル:
(コロコロ……1ゾロ)キタッ! こんなとこで経験点が入っても嬉しくねぇけどさ(苦笑)。

短剣を持った男(GM):
 では、セルダルの左手の箱の後ろから、突如、短剣を持った男が斬りかかってきました。
「この田吾作がァー! 死ねやオラァー!」
 命中値は11です。不意打ち状態なので、ディフレクト不可、回避力-4、被クリティカル値-1のペナルティが発生します。

セルダル:
 了解。回避値は、(コロコロ)8で食らった。

短剣を持った男(GM):
 セルダルの横っ腹めがけて突き立てられた短剣によるダメージは、(コロコロ)4点です。

セルダル:
 革鎧で止めた!

GM:
 では、ここから通常の戦闘処理に入ります。

ブダック(GM):
「ん!? いまの声は……」
 男の上げた奇声に反応して、正面入り口で待機していたブダックも行動を開始しました。

盗人の兄貴分(GM):
「バカがッ! のこのこと、ひとりで乗り込んできやがってッ!」と、セルダルの背後からもうひとりの男の声が響きます。

イルヤソール貧民街の廃倉庫2

短剣を持った男(GM):
 セルダルが体勢を整える前に、短剣を持った男――つまり盗人の弟分なのですが、彼がさらなる攻撃を繰り出してきました。不意打ち状態は解除されたので、ただの側面からの攻撃になります。

セルダル:
(コロコロ)ダメだ。回避値7で食らった。

盗人の弟分(GM):
「ヘッ! このウスノロがァッ!」
(コロコロ)ダメージは4点です。

セルダル:
 その攻撃も革鎧で阻んだ。

盗人の兄貴分(GM):
 ここで、新手の盗人の兄貴分がセルダルの背後から片手剣で斬りつけてきました。命中値は12です。
「食らえッ!」

セルダル:
 方向転換して正面で“回避”。(コロコロ)回避値12で回避成功。
 ちなみに、兄貴分の顔に見覚えあるか?

GM:
 はい。ばっちりと見覚えがありますね。行商人を名乗っていたあの男です。

セルダル:
 よっしゃ!
「会いたかったぜ。行商人さんよッ!」

盗人の兄貴分(GM):
 盗人の兄貴分はセルダルの言葉には反応せず、弟分に対して、「おい、挟み込んで仕留めるぞ!」と、指示をだしました。

盗人の弟分(GM):
「あいよ、兄貴ィ!」
 盗人の弟分は、“迎撃移動”でセルダルの背後に回り込みます。

盗人の兄貴分(GM):
 続けて、盗人の兄貴分がセルダルに片手剣で攻撃してきました。

セルダル:
(コロコロ)回避失敗。

盗人の兄貴分(GM):
 ダメージは、(コロコロ)6点です。

セルダル:
 1点通った。

盗人の弟分(GM):
「やった、兄貴ィ! オレだって、やってやるゥゥゥ!」

 セルダルが流血するのを見た盗賊たちは、にわかに盛り上がります。一方、ランタンを床に置き、両手剣を構えたセルダルでしたが、さすがに2対1では荷が勝ちすぎます。頼みのブダックは、その時点ではまだ廃倉庫正面入り口の扉を開けている途中でした。

盗人の弟分(GM):
 張り切る盗人の弟分がセルダルの背後から攻撃します。

セルダル:
 背面は、(コロコロ)回避値6でかわせず。

盗人の弟分(GM):
 短剣によるダメージは、(コロコロ)クリティカルッ!

セルダル:
 それは流石にまずい。“可能性”を使って、クリティカルを抑止する。

盗人の弟分(GM):
 了解です。ではダメージは6点どまりです。

セルダル:
 それでも1点食らった……。
オレの手番。ランタンを床に置いて、両手剣を構えた。

盗人の弟分(GM):
 では、再度、盗人の弟分の攻撃です。
「いい加減、くたばりやがれェ!」

セルダル:
(コロコロ)回避値7で失敗。

盗人の弟分(GM):
 ダメージは、(コロコロ)またもやクリティカルッ!

セルダル:
 なんだこいつッ!? 最後の“可能性”を消費して、クリティカルを抑止!

盗人の弟分(GM):
 ならば、短剣のダメージは5点です。これだと、革鎧で止められて実ダメージは入りませんね。

 連続して発生したクリティカル攻撃をなんとか“可能性”でしのいだセルダルでしたが、ここで“可能性”も尽きてしまい、かなりきわどい勝負となってきました。セルダルの受けているダメージは2点だけですが、もともとの生命点が12点しかないため、すでに危険域です。

ブダック(GM):
 さて、そのタイミングで、ようやくブダックも廃倉庫の中に突入してきました。ブダックは中の様子を見て、「セルダルッ!」と叫びます。

盗人の兄貴分(GM):
「チッ! 増援がいやがったか……。だが、すぐに終わらせてやるッ!」
 盗人の兄貴分がセルダルに向って片手剣を振り下ろしました。

セルダル:
(コロコロ)よしッ! 回避値13でかわした。
 よーやく反撃できるぜ。“渾身の一撃”を盗人の兄貴分に叩き込む。

盗人の兄貴分(GM):
 こちらの回避値は11です。

セルダル:
(コロコロ)命中値12で命中ッ! ダメージは18点ッ!

盗人の兄貴分(GM):
 クリティカルせずに18点とか……(苦笑)。
「グハッ!」
 盗人の兄貴分は、その一撃を深々と食らって鮮血をまき散らしました。(コロコロ)士気判定には成功して踏み止まります。
「ち、畜生ーッ! こんなところで、やられてたまるかよーッ!」

盗人の弟分(GM):
「兄貴ィーッ! よくも兄貴をォォォッ!」
 盗人の弟分がセルダルの背後から攻撃します。

セルダル:
(コロコロ)回避値6で回避失敗。だが、鎧で止まれば問題ねぇ。

盗人の弟分(GM):
(コロコロ)むぅ……。短剣のダメージは4点止まりです。

ブダック(GM):
「待て待て待てーッ!」
 ここで、ついにブダックが盗人の弟分に接敵しました!

盗人の兄貴分(GM):
「お返しだッ!」
 盗人の兄貴分がセルダルに斬りかかります。

セルダル:
(コロコロ)それは16で避けた。

盗人の弟分(GM):
 次は弟分の行動なのですが、引き続きセルダルに攻撃したものか、それとも新手のブダックに攻撃したものか、悩ましいところですね……。《2D》で7以上が出たら、セルダルに攻撃します。(コロコロ)6なので、ブダックのほうを向いてそちらに攻撃することを選択しました。(コロコロ)短剣での攻撃が命中して、ダメージは3点。

ブダック(GM):
 しかし、ブダックは自警団の支給するチェインメイルを装備しているため、それくらいの攻撃ではびくともしません。
「馬鹿め! そんなちんけな刃物が通用するとでも思ったかッ!?」
 そして、ブダックはクォータースタッフで盗人の弟分に反撃します。(コロコロ)命中して、クリティカルヒットッ! 17点ダメージッ!

盗人の弟分(GM):
「うんぎャッ!」
(コロコロ)その一撃を食らった盗人の弟分は、もんどり打って仰向けに倒れると、そのまま昏倒してしまいました。

ブダック(GM):
「見たか、盗人どもッ! これがイルヤソール自警団の実力だッ!」

セルダル:
 おおッ! すげぇぜ、ブダックさんッ!

GM:
 これまで良いところなしだったブダックも、ようやく汚名返上ですね(笑)。
 さて、ここで敵勢力が半壊したため、士気判定を行います。

盗人の兄貴分(GM):
(コロコロ……出目は1ゾロ)まさか、ここで自動失敗とは……(苦笑)。
「あ……あ……」
 盗人の兄貴分は唖然として、一瞬凍りつきます。そして、「く、くそッ。こんなところで捕まってたまるかッ!」と言い放つと、身をひるがえして走り出しました。戦場から逃走すべく、“通常移動”でセルダルから離脱を試みます。

セルダル:
 離脱を阻止する。(コロコロ)くそッ。支配値10は離脱阻止に失敗……。
 自分の手番で、逃げた兄貴分を追いかけてってタックルをかますことってできるか?

GM:
 “体当たり”で転倒させることができますので、その判定を用いましょう。まず命中判定を行ってください。

セルダル:
(コロコロ)ありゃ……。命中値8は失敗。

盗人の兄貴分(GM):
 ならば、盗人の兄貴分はセルダルのタックルをかわすと、そのまま横路地に駆け込み、続けて“潜伏”を試みます。(コロコロ)達成値は12。

セルダル:
「逃がすかよッ!」
 追いかけてって、兄貴分の姿を探す。“捜索”の判定は、(コロコロ……出目は1ゾロ)あ……(絶句)。

GM:
 それは、さすがに……(苦笑)。
 では、廃倉庫からとびだし、しばらく盗人の兄貴分を追いかけてたセルダルでしたが、土地勘がなくさらに明かりもない状態であったため、貧民街を逃げる盗人の姿を見失ってしまいました。

セルダル:
 くそッ……。しかたねぇ。こりゃ、あきらめて廃倉庫に戻るしかねぇな。

おまけ:戦闘ログ

GM:
 では、セルダルが廃倉庫に戻ると、そこではブダックが盗人の弟分をロープで縛り上げているところでした。

セルダル:
「すまねぇ。ひとり逃がしちまった」

ブダック(GM):
「そうか。そいつは残念だったな。しかしまあ、犯人の片割れは、ほれこのとおり」
 ブダックは少し誇らし気に、文字通りお縄にした盗人を見下ろしました。

セルダル:
「さすがだぜ、ブダックさん!」

ブダック(GM):
「はっはっはっ。お前も自警団で腕を磨けば、これくらいできるようになるさ! さあ、とりあえず、こいつを詰め所にまで連行しよう。詰め所に行けば、お前の傷も治療できるしな」

セルダル:
「ああ。だがその前に、もー少し、この廃倉庫の中を調べてみよーぜ。こいつらの盗んだものがそのへんにあるかもしんねぇからな」

ブダック(GM):
「なるほど。それもそうだな。じゃあ、詰め所に戻る前に少し探してみるとするか」

GM:
 そうして、あなたたちが廃倉庫の中を確認してみると、案の定その一角に大量の金品が入った大袋が置かれていました。

セルダル:
「おッ? これが盗品じゃねーか?」

ブダック(GM):
「そのようだ。お手柄だな!」

セルダル:
「ふー。親玉は取り逃がしちまったけど、これでなんとか団長にも顔向けできそーだぜ」

GM:
 こうして、盗人の片割れを捕縛するとともに盗品を取り戻したあなたたちは、自警団の詰め所へと戻っていったのでした。




誤字・脱字などのご指摘、ご意見・ご感想などは メールアイコン まで。