LOST ウェイトターン制TRPG


聖域の守護者イメージ

聖域の守護者 07.密談

 BGMは引き続き雨音と不穏な曲。

GM:さて、場面は移りまして、豪雨の降り続けるレイフィールド城下町。庭園と威風堂々とした建物が並ぶ高級区です。その高級区にあってもさらに抜きん出たたたずまいを見せる、城と見まごう豪邸の天窓に、ひとつの人影があります。その人影はどうやら豪邸の中を盗み見ているようです。

 天窓の人影からの視点で部屋の中が見えます。部屋の中には四人の人物が確認できますね。偉そうに背もたれに寄りかかって座っている太った五十代くらいの男。その正面の席には、大柄で、それでいて品のある衣服をまとった三十代後半の男。こちらの男は、左頬から胸元にかけて肌の露出しているところが火傷の跡でゲル化しています。そしてそれぞれの斜め後ろには兵士らしき者が一人ずつ控えています。

 GMが貴族風の肥えた年配男が描かれたカードと自信に満ちた顔の男が描かれたカードをテーブルの上に置く。

GM:太った男がフォークに刺した肉を口に運び、くちゃくちゃと音を立てて食べながらしゃべります。「しかし、王も小心者よのう。迷っている暇などないと申しておるのに……。小心者でありつつ強情というのが厄介極まりない」

GM(大柄な男):「まあまあ、オルコット大公。自身では判断できない国王陛下を正しく導いて差し上げるのも家臣の務めというものです」

GM(オルコット):「ベネット卿。貴様がそう落ち着いていられるのは、先日娶った妾が、遠縁とはいえギルモア王家の血筋の娘だからではないのか?」

GM(ベネット):「ご冗談を。わたくしは男女の関係に政治は持ち込まない主義です。フィリスを妻に迎えたのは純粋に彼女を愛していただけのこと。ただ……彼女を娶る前に、私とギルモアのどちらを取るつもりかと問いはしましたがね」

GM(オルコット):「ふんっ! 貴様のその手の話は面白くもなんともないわ。それよりも、計画はうまく進んでいるのだろうな?」(肉を切っていたナイフをベネット伯に向けて)「悠長にしていられる段階ではないのだぞ」

GM(ベネット):「もちろん、そちらは滞りなく。聖地周辺に集わせた兵を明日の朝には侵攻させます。兵の大半は地方で募った傭兵ども。王都や我ら領内での目だった動きは控えていますので、穏健派にこちらの計画はまだ気取られてないでしょう。クローネの民といったんことを起こしてしまえば、こちらが優勢である限り、陛下は何とでも言いくるめられます。当初の計画通り、遅くとも収穫期が終わるまでには聖域に眠る力を我が軍のものにできますよ」

GM(オルコット):「そうであれば良いがな……。素直にレイフィールド属国王になっておったほうが良かった、などということにならぬようにして欲しいものだ。もしもしくじるようなことがあったときには……貴様も無事で居られると思うなよ。明日の作戦はサディアスに指揮をとらせる。よいな?」

GM(ベネット):「わたくしは構いませんよ。大公がそう言われると思い、現地のものには言い含んであります。皆、サディアス卿の号令で動くことでしょう」そう言ってベネット伯はオルコット大公の後ろに控えている騎士に目を向けます。

 GMが黒い長髪で端整な顔立ちをした騎士の描かれたカードを提示する。

 BGMが変わり、雨音に混じり徐々に遠雷の音が聞こえてくる。

GM(ベネット):(サディアスに対して)「経験者としてひとつ助言させてもらうが、聖域に入る者には大盾をかかさずに持たせておくといい。深淵の力は別格だが、それを抜きにしてもクローネの民には弓のてだれが多い。計画実行前の無用な被害はなるべく避けるべきだからな」

GM:そのベネット伯の忠告に、サディアスは少し苛立たしく「言われずとも心得ております!」と答えます。サディアスの攻撃的な態度にベネット伯は苦笑しました。ちょうどそのとき、大きな雷鳴が鳴り響きます。

 BGMが大きな雷鳴に切り替わる。

GM:稲光によってオルコット大公の顔が不気味に照らし出されました。そしてその背後の壁面に天窓の形が人影のシルエットを伴って映し出されます。次の瞬間、ベネット伯は袖口に仕込んだナイフを素早く抜き取ると振り向きざまに天窓の人影に向かってそれを投げつけました。投げられたナイフは天窓を破り、狙いたがわず人影の肩口に刺さりましたが、致命傷にはいたらなかったようで、人影はその場から姿を消します。

GM(オルコット):「賊か!? サディアス! 追え、追って始末しろ!」

GM(サディアス):「はっ!」

GM:オルコット大公の後ろに控えていたサディアスは、賊を追撃するため部屋を飛び出していきました。そして、ベネット伯も自分の後ろに控えている者に「お前も行って、何者か見定めてこい」と命じます。指示を受けると、ベネット伯の兵も静かに部屋を出て行きました。壊れた窓から室内に雨が降り込み、雷鳴が響き渡ります。雨は止まることを知らず、その力を強めていきました。(ノートパソコンを操作してダメージを算出する)。さて、ゼオル。8点のダメージを受けてください。鎧分ダメージを軽減してかまいません。

ゼオル:「痛てぇー、痛てぇよー」。4点止めて4点通りました。




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