LOST ウェイトターン制TRPG


聖域の守護者イメージ

聖域の守護者 13.接触

GM:すでに太陽は真上近くにまで昇ってきています。戦いの準備を終えたアンリとアルトは、アインに案内されて外界の兵士が入ってきたという場所のひとつにたどり着きました。アインはその場で見張りをしていたクローネの戦士と言葉を交わして状況を確認すると、アンリたちの方を見て言います。「奴らはまだ積極的な交戦を行う素振りは見せていないらしい。ここは体勢が整ったからしばらくは大丈夫だ。それより、南西の守備が手薄になっているのが心配だ。お前たちにはそっちの援護を頼めるか?」

アンリ:うなずきました。

GM:それでは、アンリとアルトのふたりで南西へと進んで行きます。すると、前方に地面に倒れている人影が見えてきました。あたりはすでに一戦交えたような状況です。周りを見渡せば、複数のクローネの戦士が倒れているのが確認できます。そして、奥のほうには銀色の甲冑を身にまとった人影が見えます。クローネの民は金属鎧はもっていないので、それだけで外界の兵だということがわかります。その外界の兵が地面に倒れていたクローネの戦士の胸倉をつかんで持ち上げます。

 GMがサディアスのカードを場に提示する。

シーン外のクラウス:ちょっと、ちょっと、ちょっと……。

シーン外のウィル:間に合わなかった!?

シーン外のゼオル:進むべき道を間違えたか?

シーン外のウィル:やはり頑張って山道を通ってくるべきだったか……。

シーン外のクラウス:よっぽどサディアスがやる気で向かってきたんですね。

シーン外のゼオル:サディアスがそこまでやる気だったとは。

シーン外のクラウス:夜を徹して移動して、徹夜明けで指揮をとるとは。どんだけ、やる気満々なんですか!?(笑)

シーン外のウィル:奴のやる気を読めなかったことが俺達の敗因か!(笑)

 サディアスがこの戦闘に登場することはタイムスケジュール的におかしくないはずなのですが、プレイヤーたちは、馬を潰すほどの強行軍を決行した自分達よりも早く、サディアスがクローネの民と接触した事実を受け入れがたかったようで、しばらく茶々が止まりません。サディアスの馬車での移動を推測していたアンリのプレイヤーだけが、ひとり冷静にプレイを続けます。

 気を取り直して戦闘用のスクエアマップをテーブルに広げます。草木の様子や高低差が色と数値で示された1マス3×3メートルスケール、高低差1につき0.5メートルの14×20マスで構成されるマップです。そのマップ上にサディアスと五人の兵士の駒、そしてサディアスに胸倉をつかまれているクローネの戦士の駒を置いていきます。

シーン外のウィル:あっ、俺の苦手な高低差のあるマップだ。

GM:(LOSTの戦闘は高低差ありきですよー)。

アンリ:大丈夫。これは簡単モード。高さの種類が1と4しかないから。

シーン外のゼオル:この緑色の網目は茂みじゃないですか? 移動力を余分に消費しますか?

GM:茂みのマスはシーフ技能の「隠れる」やレンジャー技能の「カモフラージュ」ができる場所です。移動力を余分に消費することはありませんし、射撃などの遮蔽物にもなりません。ちなみに高さ4の濃い緑色のマスは木で射撃の遮蔽物になります。シーフ技能の「登攀」で登ることができます。

シーン外のゼオル:おおっ! 登るしか。

GM:さて、サディアスがクローネの戦士を片腕で持ち上げて言います。「お前らの兵力と、今の力の持ち主を教えろ。素直に話すなら生かしておいてやる」。クローネの兵士はその腕を振りほどこうと暴れはしますが、サディアスの問いに答えようとはしません。それに対してサディアスは空いているほうの拳を固めてドスッドスッドスッと腹部を打ち付けます。

シーン外のクラウス:勝利条件、サディアスの撃破!

GM:(さすがにまだそれはないけどね)。それではマップの端にアンリとアルトを登場させてください。サディアスがクローネの戦士を締め上げてるんですが、どうします?

アンリ:高い声で「やめなさいっ!」と、気づかれていないのに言ってしまいます。

GM:その声に気がついたサディアスは高く持ち上げていたクローネの戦士の身体を少し下ろして、「他の奴が来たか。では、お前は用無しだ」と言うと、空いた手に短剣を持ってその刃を戦士の首もとにピッと走らせます。

シーン外のクラウス:(断末魔的な声)あーッ!

GM:首を切られた男の身体が力なくその場に落ちます。(クローネの戦士の駒を戦闘マップから取り除く)。

アンリ:「なんてことを……」

GM:サディアスたちの装備を説明しておきます。サディアスはプレート・メイルにバスタード・ソード、ラージ・シールド。兵士のうち四人はハード・レザー・アーマーにブロード・ソード、ラージ・シールド。ひとりだけはローブを羽織って、ライト・スタッフを持っています。

シーン外のウィル:ちゃんとベネット伯のアドバイスを聞いてラージ・シールドを装備させてきたんだ?

シーン外のクラウス:てっきり、反抗して「ラージ・シールドは要らん!」っていうタイプかと思いましたが。

GM(サディアス):「そこの女、お前でいい。お前らの兵力と今の力の持ち主を教えれば命だけは助けてやるぞ」

アンリ:「あなた誰?」。メイと出会ったときとは異なる強い口調で言いました。

GM(サディアス):「○○(土着民の意味)に名乗る名などないッ!」と吐き捨てました。

一同:(ざわざわ……)。

アンリ:いやぁ……。(戦力差を考えて)これはイケルかも……。イクの字違うけど。

シーン外のウィル:しんにょうに折ると書いて「逝ける」!

一同:(笑)。

 アンリがメイとサディアスの両者に「あなた誰?」と同じ台詞を投げかけたのはプレイヤーの狙いなんでしょうね。さりげなく心憎い演出です。それに対する両者の答えも、ふたりのコントラストの差をあらわしていて思わずニヤリとしてしまいます。

 また、サディアスの返答では思わず不適切な言葉を使ってしまいました(汗)。ですが、それは汚い言葉を使ってまで蔑んでいるということを表現したいために出てしまった言葉でした。ファイナルファンタジータクティクスの名暴言「家畜に神はいないッ!」って感じで。こんな台詞を言ってくるような相手なら、ためらうことなく攻撃できますよね?(笑)




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