LOST ウェイトターン制TRPG


聖域の守護者イメージ

聖域の守護者 15.援軍

 戦力差のあるなかで善戦を続けるアンリとアルトのもとに、ついに穏健派の三人が駆けつけます。

GM:次はゼオルの番です。

シーン外のゼオル:(自分の名前が呼ばれたことに気がついてない)。

シーン外のウィル:ゼオル?

シーン外のクラウス:ゼオル!?

GM:ゼオル、マップの左端(北側)のラインに駒を置いてそこから登場してください。

ゼオル:おおっ? 俺? (周りがうなずくのを見て)やったー! ついに登場!

シーン外のウィル:ゼオル!

シーン外のクラウス:ゼオル、来たー!

 仲間の登場に盛り上がる穏健派トリオ(笑)。

 しかし、なぜかゼオルは自分の駒をアンリたちからもっとも遠い北西の角に置きました。

GM:よりによってそこかよ! 一番遠いところだよ! 助ける気なし?(笑)

ゼオル:え? 端っこからの方が難易度高いかなと思って(笑)。

シーン外のウィル:(アンリとアルトを助けられずに)間に合わなかったか……っていう台詞しか言えないじゃないか(笑)。

ゼオル:(駒の出現位置を変えて)それじゃ、こっちに登場。

GM:それでは、三人がこの場に登場するまでの経緯について少し説明します。朝早く森に入ったあなたたちはクローネの民に出会うべく森を歩いていたんですが、彼らもそうそう人前に姿を現そうとはしないため、太陽の位置が高くなるまで出会えずにいました。そして、しばらく聖域をさまよっていたあなたたちの耳に人のうめき声が聞こえてきました。声のするほうに向かってみようということで進んできたら、(戦闘マップを指差して)この状況だったわけです。ちなみに王都から連れてきた四頭の馬のうち二頭は途中で脱落し、残り二頭は聖域の中を引き連れて歩くわけにはいかなかったので、入り口に止めてきています。

シーン外のクラウス:了解です。

 BGMが颯爽とした戦闘曲に変わる。

GM:この段階で勝利条件が変わりました。「クローネの民を守れ!」です。それではゼオルの行動をどうぞ。

ゼオル:通常移動します。(自分の駒をアルトの方に動かす)。

シーン外のクラウス:オルコット大公側の増援部隊に見えないこともないですね(笑)。

ゼオル:確かに敵の増援部隊に見える! 敵じゃないという意思表示をすごくしたいが……。移動後にダガーを投げてもオッケーですか?

GM:いいですよ。

ゼオル:では、戦士Cにスローイングダガー。(ころころ)攻撃力は13。

GM:戦士Cもあなたが走ってきたことには気がつきました。しかし、アルトと隣接しているため、ゼオルの走りこんできた方は向かずにゼオルの攻撃を盾で防ごうとします。横からの攻撃なのでデフレクト値に-2のペナルティを受けますが……13ピッタリでその攻撃を防ぎました。「ラージ・シールドは伊達じゃない!」。対ゼオル用ではないんだけど(笑)

一同:(笑)

ゼオル:シーン的にそこのふたり、逃げろ!と言いたいけど、ゲーム的に逃げられないなぁ(笑)。「そこのふたり、大丈夫か!」と言っておく。

 戦士Aと戦士Bがローブの男の援護魔法を受けるためにその場で待機しているため、実質戦っているのは戦士Cと戦士Dだけという状況になってしまいました。ローブの男があわてて瞑想を開始します。新手の登場にサディアスも前線に加わるべく前進するのですが、金属鎧のためにすばやく動けません。その間にアルトが射撃準備を進めます。

アンリ:(ゼオルを横目に見て)「味方?」と言いつつ5ウェイト瞑想します。

GM:それでは、ウィルの登場です。

ウィル:さて、どうしようかな。グレート・ソードは投げるものじゃないですよね?(笑)

シーン外のクラウス:投げられないですね。でも、3マス移動ならジャストポジションじゃないですか。

ゼオル:(3マス移動で敵に隣接できる場所を指差して)ここかっ! 完璧だ。

ウィル:それじゃ、通常移動。(ゼオルの示した場所に駒を移動させる)。

GM:移動攻撃までしますか?

ゼオル:ちょっと不利になるけど……。

 移動と投擲を含む近接武器攻撃は併用できます。ただし、そのときには別々に行動するよりもウェイトが+1多くなってしまいます。どうしてもその瞬間に相手を攻撃しなければならないとき以外は移動攻撃しないほうがお得です。

 当然、先ほどゼオルが移動攻撃をしたのは自分がアンリたちの味方であることをいち早くアピールするためのものだと思ったのですが……。

ウィル:移動のみで終了します。

ゼオル:絵的に移動攻撃したくなるんですよね(笑)。

 ゼオルの移動攻撃はただの格好付けだったのでしょうか?(笑)

 ここでようやくローブの男が瞑想を終えて“キュア・ウーンズ”の魔法を唱えます。戦士Aに対してかけたのですが、運悪くあまり効果を発揮しません。その間に戦士Cがアルトに攻撃し、こちらは見事に攻撃を命中させ、ダメージは小さいもののつがえていた矢を落させることに成功します。

GM:続いてクラウス――

シーン外のクラウス:いまアルトは矢を構えていたんでしたっけ?

GM:はい。あと少しで射撃するところだったんですが、タッチの差で阻害されました。そして……クラウスの登場です。

クラウス:(戦闘マップを見て色々考えているらしくしばらく気がつかず)あ? 私?

ウィル&ゼオル&GM:登場、登場、登場、登場……。

クラウス:どこに移動しようかな? それじゃ、通常移動でウィルの背後に移動します。「もう始まっていましたか」

 援軍が三人登場したことで完全に形勢逆転となりました。盾を構えてじりじりと近寄っていくプレッシャー要員の戦士たちでは力不足です。業を煮やしたサディアスがひとりでも倒して形勢を押し戻そうとアンリに向かって全力移動し、ついに隣接します。

ウィル:おお、全力で来た。

クラウス:あー、まずい。

ゼオル:やっぱり間に合わないのか?

 しかし、全力移動はウェイトが7と大きいため、サディアスの次の順番はしばらくまわってきません。その間に戦士たちがウィルたちに隣接して切り結んでみますが、その実力差は明らかでした。戦士たちの攻撃はむなしく空を切ります。

 アンリは自分に“シャープネス”をかけてディフレクト値をアップさせ、敵の攻撃に備えます。そして、戦士Cがアルトを攻撃したときに再び範囲ディフレクトでそれを防ぐことに成功します。

 ところが、これがまた二重の意味でルールミスだったのです。範囲ディフレクトが能動行動であることは前述のとおりですが、さらに接敵されているときには使えないという条件があったのでした。アンリの目の前には走りよってきたサディアスがいるので、たとえ能動行動で範囲ディフレクトを行っていたとしてもこの攻撃に対してディフレクトを試みることはできません。

 誰よりもルールを把握しておかなければならないGM、それもシステムをカスタマイズした張本人がたびたびルールミスを見落としてしまったことには本当に反省しきりです。リプレイを書き起こしながら、同じ過ちを繰り返さないようにしっかりと頭に刻み込みました。

GM:それでは、次はクラウス。

クラウス:(かなり考えて)ここかな? いや、ここか? こいつはこいつとこうだから……(ごにょごにょ)。……こうっ! ここに小移動します(ニヤリ)。

 クラウスは敵の位置や移動距離をかなり考えた上で自分の移動場所を決めています。LOSTはソード・ワールドRPGと比べて、ポジショニングがかなり重要です。クラウスのプレイヤーはそういう類のゲームが好きなようで、そういった部分を楽しめているようです。プレイヤーの行動自体も黒魔法使いであるクラウスらしくなってきています。一方、ウィルのプレイヤーも竹を割ったような戦士らしい即決判断で行動します。

ウィル:俺は、戦士Aに対して大武器攻撃。

GM:戦士Aはシールドでディフレクトしようとします。

ウィル:(ころころ)17。

GM:ディフレクト失敗。ダメージをどうぞ。

ウィル:ダメージは(ころころ)18点!

ゼオル:うわぁ……。

GM:すごいオーバーキル(苦笑)。戦士Aの着ていた革鎧がまるで紙のように切れました。

クラウス:(近くにいた戦士Aが倒れたため)これで安心して瞑想できます。

ウィル:戦いを止めたいって言ってたのに早速殺してるな俺(苦笑)。

 さすがはパーティーの主力ファイターです。貴族という経済的バックボーンによって所持している高品質の両手剣の威力もあいまって桁外れの攻撃を繰り出します。

GM:ようやくサディアスの番がきた。アンリに対して攻撃を仕掛けます。

アンリ:武器でディフレクトします。(ころころ)9。

GM:さすがにそれでは防げません。レイフィールド王国でも五指に入ると噂される騎士の攻撃があなたをとらえました! (しかしダメージは奮わず)11点ダメージです。

ウィル:恐ろしい。

GM:(ウィルは18点ダメージを叩き出してるでしょう!)。

アンリ:大丈夫、生きてる。

 アンリはダメージを受けてもとどめを刺されなければ“リプレニッシュ・ヘルス”の効果で徐々に傷が癒えていきます。サディアスの一撃は効果的でしたが、強硬派陣営にはあと一押しする戦力がありません。逆に勢いに乗るPC側が一気に攻勢にでます。

ゼオル:戦士Dをレイピアで突く。(ころころ)16。

GM:ヒット!

ウィル:さすがは養成学校ナンバーワンの剣の使い手。

ゼオル:ダメージは……。(ころころ)。金属鎧?

GM:いえ、革鎧です。

一同:おっ!?

ゼオル:ならばクリティカルヒットして……。(ころころ)ダメだ11点しかいかない。

ウィル:……いや、それサディアスの一撃と同じ。

一同:(笑)。

 そして、戦況をあれこれ考えて位置取りし、長時間瞑想していたクラウスが動きます。

GM:それではクラウスの番です。

クラウス:では、戦士Bと戦士Cが入るラインで“ライトニング”。

一同:おおっ!

GM:それは予想外。この密集陣形でよくぞ……。

クラウス:あと1マス動けていればサディアスも対象にできたんですがね。(ころころ)。魔力は14です。

GM:その詠唱にサディアスが反応して「なんだと! 雷の詠唱!?」と言いました。戦士B、戦士C共に抵抗失敗です。ダメージをどうぞ。

クラウス:(ころころ)魔法ダメージで11点。

GM:それでは、“ライトニング”を受けて戦士Cがバタリと仰向けに倒れました。

クラウス:「これで引いてくれませんかね?」

GM:(うん。サディアスとしては予想以上に犠牲を出してしまったし潮時でしょう。ちょうどサディアスの行動順も回ってきたし……)。「こうもやられてしまっては。戦局は決したか……」。そう言ってサディアスは魔法の詠唱をはじめると、“ダークネス”を唱えました。

 サディアスは前線を闇で覆うと、兵士たちに撤退命令を出します。PCたちは深追いせずにその場でやり過ごしました。こうして強硬派による聖域侵攻作戦の第一波は、アンリとウィルたちの共闘によって無事に食い止めることができたのでした。

 おまけ:戦闘の流れ(Flashで再生されます)




誤字・脱字などのご指摘、ご意見・ご感想などは メールアイコン まで。