GM:アルヴィを探してあなたたちはこれまで来た道を戻ります。しばらく進むと、左手に高い崖を見て、それを反時計回りに回り込むことになります。北上して西に進んで南下するルートですね。そして南下したところでアルトが足を止めて地面に残された足跡を調べます。(ころころ……ダイスの出目は3)うっ!
クラウス:大丈夫ですか?
GM(アルト):「オニグルミの食べかすは確認できたんだが……足跡が多すぎてアルヴィのものを特定できない」
クラウス:いくぞ、レンジャーズ出動!(笑)
GM:足跡追跡判定はレンジャー技能かハンター技能+知力ボーナス+2Dで行ってください。
ウィル:(ころころ)13。
クラウス:(ころころ)15!
ウィル:すごいな。
ゼオル:クラウスばっかり活躍させるのはバランスが悪いからな。俺はより成功しやすいハンター技能を使って判定する。(ころころ……あまり良くないダイスの目が出る)うわーっ! しょぼーん(泣)。
GM:では、クラウスはいくつかの足跡の中から真新しい子供の足跡が南方へ伸びていることに気がつきました。
クラウス:アルトが足跡を探してわからないと言っているなかでクラウスは茂みの中に入っていき、「これでは?」といった状態ですかね。
ゼオル:「クラウス、いつの間にそんなに腕を上げたんだ……」
クラウス:「たまたまです」(さらり)。足跡を追跡していきます。
GM:クラウスが先導してさらに南下していくと、しばらく進んだところで足跡の数が増えました。どうやらこの足跡の主はこの周囲を歩き回ったようです。途中で足跡が途切れたり、突然現れたりしているので、木に登ったり飛び降りたりしていたことがわかります。
クラウス:「リスを探していたようですね」
GM:では、再び足跡追跡判定を行ってください。
クラウス:(アルトに対して)今度こそ頼みますよ。
ウィル:頑張れクローネ一のハンター。
先ほどアルトから判定を行ってしまったため、アルトが判定に失敗したらPCがフォローするような雰囲気になってしまいました。このアルヴィ行方不明のイベントはウィルたちに対するクローネの民、特にアンリとアルトの信頼を強めることを狙いのひとつとしていたので、できればウィルたちには泥にまみれて行動して欲しいところなのですが……。
GM:(ころころ……ダイスの出目は平均的な値)。
クラウス:大丈夫そうですね。
GM:アルトが「こっちだ」と言って西方に進みます。少し先に三メートルくらいの段差があり、その周囲はとてもぬかるんでいます。段差には何かが滑り落ちた跡がついていました。
GM(アルト):「一昨日の雨でぬかるみになったんだな。滑り落ちた跡がある。行くか?」
アンリ:「うん」
GM:ずるずると段差を滑り降ります。ここは判定なしで降りられます。
ゼオル:ずりずり〜。
ウィル:金属鎧つけてるから降りると登れなくなっちゃうな。(少し心配しつつも段差を降りる)。
GM:滑り降りると、左手側に川が流れています。右手側は高さ三メートルくらいの崖になっていて、子供が登るのは少し難しそうです。川沿いに西方に進めるようになっていて足跡もそちらに進んでいます。しばらく西に進んでいくと進める場所が開けてきました。足跡は右手の崖沿いに進んでいます。
クラウス:ひたすら足跡を追跡していきます。
GM:そうすると、右手の崖の表面に木の根っこがあらわになっている箇所があって、そこには崖を登ろうとして何度か滑ったあとがあります。登ることを諦めたのか、足跡はさらに西に進んでいます。そして、もう少し西に進んだところで、足跡が一気に複数現れました。足跡追跡判定をどうぞ。
ウィル&ゼオル:(ころころ)。
クラウス:これは重金属の……?
GM:アルトの分も振っておこうか(ころころ)。
クラウス:(アルトの判定値を覗き込んで)凄い良い値が出てる。わかるなら私たちに振らせないでくださいよー。(ころころ)11。
GM:11だと、子供の足跡は特定できませんが、深い大きな足跡がついていることはわかります。それが北から南へと進んでいます。それも歩幅が広いです。さらにアルトは、子供の足跡が一度北へ向かったあと、広い歩幅で南方に向かっていることまでわかりました。それを追う形で大きな足跡が続いているようです。
クラウス:ん? もう一回説明してもらっていいですか?
GM:それでは紙に書きますね。
GMが紙にこれまで進んできた道のりと残された足跡を書き込んでいく。
GM:こんな感じで、歩幅の狭い小さな足跡がいったん北上したあと、きびすを返すように広い歩幅で南下していて、その足跡の上に歩幅が広くて大きい足跡がついてる。
ゼオル:逃走中に見える。急いで追いかけよう。
一同:(同意)。
GM:その足跡を追っていくと、足跡は川の中に入っていきました。対岸へ渡りますか?
ウィル:金属鎧を着けていても渡れますか?
GM:ここの水深はあなたたちの腰くらいなので渡るのに問題はありません。川をジャバジャバと進んで対岸にたどり着くと、足跡が見当たらなくなっています。「上流か下流……どちらかに行ったみたいだな」とアルトが呟きます。
アンリ:「上流は無理だと思うけど……」
クラウス:「流されたんですかね」
ゼオル:「その子は泳ぎは得意なのか?」
GM:活発な少年で、泳ぎも得意と言えば得意ですね。
アンリ:「得意だとは思う。でも追われてるときに上流に向かって泳げるかしら?」
GM:普段の川の水量ならば上流に向かって進むこともできるかもしれませんが、今日は水かさも増してるので子供には難しいかもしれませんね。
ゼオル:「下流だな」
ウィル:「その子はこの辺りの地理には詳しいのか?」
GM(アルト):「詳しいが……」まわりを見渡して「この霧じゃ、迷う可能性も高い」
ウィル:「なるほど」
クラウス:「対岸に足跡がなかったということは、下流に泳いだということですかね」
GM(アルト):「泳いだ。もしくは――」
アンリ&ゼオル:「流された……」
GM(アルト):「この先は……」聞き耳をたてる。
GM:ドドドドドドドドド……。
ウィル:うおっ!
GM(アルト):「二百メートル程下ったところで滝になっている」
GM:聖域は何層かの段になっていて、その一段一段はかなりの高低差があります。離れたところから見ると幻想的な風景ですが、もし落ちてしまった場合には……。
クラウス:「あるいは、大公の兵に捕らえられたか」
GM:大人の足跡も対岸にはないので、上流か下流のどちらかに向かったみたいです。
ゼオル:「下流に向かって足跡を探そう」
GM:では、下流の方向へ進みながら足跡追跡を試みます。五十メートル……百メートル……。まだ足跡はありません。百五十メートル進んだところで足跡追跡判定をどうぞ。
クラウス:アルト、頑張ってください。あなたが良い目を出してくるとダイスを振る気にならないんですよ。(ころころ……ダイスの目は1ゾロ)ほら。経験点10点!
ソード・ワールドRPGでは判定時に1ゾロを振ると経験点を10点もらえることになっています。
GM:はい、経験点10点どうぞ(苦笑)。そういえば言い忘れていましたが、LOSTでは判定ロールで1ゾロを振ったときに経験点10点もらえるだけでなく、6ゾロを振った場合にも経験点50点もらえます。
ウィル:おっ、俺一回振ってるな。
アンリ:頑張ればセッションの途中でレベル上げられるかも(笑)。
GM:(それではアルトの分を……)。(ころころ)。かなり近いところで水の流れ落ちる音が聞こえるところで、ようやく小さな足跡が見つかりました。「落ちたわけではなかったか。よかった」とアルトが安堵の声を漏らします。
ウィル:「大人の足跡は?」
GM:アルトの判定結果だと大人の足跡は見つけられていません。子供だけです。
アンリ:「はっ! まさか……?」(さらに下流の滝のほうを見る)
クラウス:「いや、大人の足跡はありますよ。これを見てください」
GM:(ん? ああ、そういうことか)。
GM(アルト):「それは俺のだ」
一同:(笑)。
クラウス:ありがとうございます(笑)。
ウィル:クラウスは足跡追跡で1ゾロ振ってるからな(笑)。
クラウス:さっきまではあんなに調子良かったのに……。
ゼオル:(女口調で)クラウス君はデータにないことはまるで駄目なのね。
クラウス:うるさいな!(笑)
GM:足跡はそこから南東の方向……つまり、これからクローネの民が向かおうとしている退避地がある方向へ進んでいます。どうやら退路には戻らず直接合流しようとしているようです。しばらくその足跡の方に進んでいくと――。
クラウス:大人の足跡は?
GM:見当たりません。しばらく進んだところで、シーフ技能レベルかレンジャー技能レベル+知力ボーナス+2Dで聞き耳判定をどうぞ。
ゼオル:ようやく俺の出番が来たようだな!
GM:アルトの判定はいったん控えます。アルヴィはあなたたちが見つけないとね。
クラウス:せーの! (ころころ……ダイスの目は6ゾロ)50点!。
ゼオル:うわぁー! 活躍できねぇ! 俺を地味にしないでくれーっ!
一同:(爆笑)。
ゼオル:クラウスさんが一人居れば何でもこなせるみたいな……(泣)。
GM:(可哀相に(苦笑))。それでは、滝の音がかすかになってきたところで、その代わりに「誰かー! 助けてー!」という声がクラウスの耳に聞こえてきました。