LOST ウェイトターン制TRPG


聖域の守護者イメージ

聖域の守護者 23.強襲

 BGMはタイムリミットを彷彿とさせる戦闘曲。

 GMが戦闘マップをテーブルに広げる。

GM:配置ですが、ゼオルは崖の壁面。ロープを持っているウィルがその上。緊急時に備えてるクラウスが崖の縁。さて、アンリとアルトはどうしましょう。

アンリ:アンリはアルヴィが心配で崖の縁で下を覗き込んでる。

GM:じゃあ、ついアルトも崖の下を見ちゃったかな。

一同:あーあ(落胆)。

ゼオル:アルト。お前、そこは違うだろ?

GM:(期待するのはわかるけど、身内の窮地にそこまでクレーバーには行動できないでしょう。とは言っても余地は残そうか)。それじゃ、アルトは2Dで10以上なら警戒していたことにします。(ころころ……失敗)やっぱりアルヴィのことが心配だよね(苦笑)。

 GMがPCたちの駒の配置に続いて敵の駒も配置する。

 最初の戦闘でサディアスの駒として使っていたものと同じものが四つ置かれる。

ゼオル:嘘ー!? サディアスが四人?

GM:いやいや、違う違う(笑)。

ウィル:真後ろに立たれるまで気づかない俺たちって(笑)。

GM:(一応、二十メートル以上は離れてるけどね)。

ウィル:全力移動で崖の下に突き飛ばされたりして……。体当たりが怖いな。

ゼオル:やっぱりクラウスに“レビテーション”を使って助けてもらった方が良かったのか?

クラウス:私はどう考えても“レビテーション”の方がいい気がしてたんです。安全ですから。

GM:では、レンジャー技能レベル+知力ボーナス+2Dで不意打ち判定を行ってください。

一同:(ころころ)。

GM:14以上出た人?

一同:(沈黙)。

クラウス:一番凄いレンジャーであるアルトが気づかなかったのであれば、私たちも気づきませんよ。

GM:(どうもアルトを過大評価してるみたいだけど、彼の知力ボーナスは+1だから期待値は皆とあまり変わらないんだよね……)。続いてイニシアチブ判定を行ってください。

ウィル:(ころころ)5です。

ゼオル:(ころころ)1です。

クラウス:(ころころ)2。

アンリ:(ころころ)6。

GM:それでは、あなたたちは「放てっ!」という号令が聞こえるまで敵の存在に気づけませんでした。プンッという音がしてあなたたちが振り向くより早く弓矢が到達します。騎士Dの放った矢がアンリに向かって飛んできます。ちなみに彼らはライト・クロスボウを構え、プレート・メイルを装備しています。一射目は不意打ち扱いなので背後から受けてください。攻撃点は8です。

 LOSTでは戦闘時の敵の達成値は公表しないはずなのですが、このときはつい言ってしまいました。

アンリ:背後からということは回避に-4で回避点12以上で回避成功。(ころころ)失敗。

GM:ダメージは7点です。

アンリ:1点受けました。

GM:続いて騎士Bがクラウスに対して射撃。

クラウス:回避を試みます。(ころころ)8。

GM:命中。ダメージは10点。

クラウス:「うわーっ!」

GM:戦士Cがウィルに対して射撃。

ウィル:騎士Aの号令の声に聞き覚えありますか?

GM:特に聞き覚えのない声ですね。さて、回避行動をとりますか?

ウィル:しません(きっぱり)。

GM:(うん、冷静だ)。

ウィル:「ゼオル、敵が来た! 急いでくれ!」

GM:それでは矢がウィルの背中に命中して9点ダメージです。

ウィル:それは鎧の物理ダメージ減少で止めきりました。

一同:さすが重戦士!

GM:ウィルが回避行動をとらなかったおかげで、ロープ下のゼオルたちにも影響はありませんでした。続けて騎士Aが「つがえっ!」と他の騎士たちに命令を出します。その号令に応じて騎士三人がライト・クロスボウに矢をつがえていくんですが、二度目の掃射の前にアンリの行動です。ここからは受動行動も行えます。

アンリ:後ろを向いて盾を構えます。

GM:方向転換と盾を構えるは併用できないので、今回は振り返るだけですね。でも通常のシールド・ディフレクトは行えるようになりました。続いて――

クラウス:ちょっと待ってください。アンリの行動にあわせて受動行動で方向転換したいんですけど。

ウィル:あれ? 受動行動は攻撃を受けたときとかに行うものなんじゃ?

GM:受動行動は自分の行動時以外であればいつでも行えるので今使ってもらっても問題はありません。

ウィル:なるほど。

GM:(しかし、なんでこのタイミングで方向転換?)。

クラウス:ここは方向転換しどくですから。

ゼオル:矢を放たれたときに方向転換すればいいのでは?

クラウス:でも、後ろを向いたままで自分の行動順が周ってくると損するんで……。

GM:えーと、いま方向転換しても、攻撃されたときに方向転換しても、自分の行動順で方向転換しても、どれを選んでもその次の行動までのウェイトは同じだから損はしないよ。

クラウス:それはそうですが……。(少し考えて)とにかく方向転換します。

 どのタイミングで方向転換してもトータルのウェイトは同じであり、かえって方向転換をギリギリまで先延ばしにしたほうが行動の幅を狭めずに済むため少しだけ有利なのですが、クラウスのプレイヤーは自分の手番を二回使うのと一回使うのを比べて後者の方がお得だと勘違いしてしまったようです。

 (追記)クラウスのプレイヤーからの補足によると、このときはシチュエーション的に後方を確認する時間を長く取りたかったということです。自分の行動順で方向転換して、その直後(1ウェイト後)に状況を把握して魔法の準備をするのは不自然だと感じたとのことで、たしかに言われてみるとそうかもしれません。惜しむらくは他の参加者に意図するところを伝え切れなかったことでした。

GM:次はアルトの番ですが、さて、どうしようかな……。(かなり考えてから)彼は通常移動でアンリの前にかばうようにして立ちます。続いてウィルどうぞ。

ウィル:俺の方からロープを引っ張り上げることは可能ですか?

GM:できます。ウェイト5を消費してファイター技能レベル+筋力ボーナス+2Dで今回の登攀判定と同じ目標値以上を出してください。成功すれば一メートル引っ張っり上げられます。

ウィル:では、引っ張り上げます。(ころころ)13。

GM:成功しました。残り二メートル。続いてアンリ。

アンリ:はい、通常移動。かばわれたのに構わず前に出ます。(アンリの駒をウィルの前に移動させる)

GM:(うわっ、アンリが集中砲火できる場所にでてきたよ! ここでアンリが死ぬとかなり凄い展開になっちゃうんだけどな……(ドキドキ))。ゼオルどうぞ。

ゼオル:さっさと登ります。見ろこの華麗な足さばき。(ころころ)13。

GM:残り一メートル! そして、騎士Aが「放てっ!」と号令を出しますが、掃射直前にクラウスの番です。

クラウス:瞑想1ウェイト。

GM:その直後、騎士Dがアンリに対して射撃。

アンリ:シールドでディフレクトします。(ころころ)10。

GM:攻撃命中。

アンリ:おっ!?(意外そうな声)

GM:ダメージは11点です。

アンリ:おおっ!? 5点受けました。

GM:(この驚き様からすると、さては一回目の掃射のときにたまたま低い攻撃力だったのを口にしちゃったから、それで敵を甘く見てたな。もうシールド・ディフレクトも使っちゃったし、残り二射……やばいかも……)。敵の使っているクロスボウはクローネの民が使っている弓に比べると命中精度も威力も高いですね。これが人類の英知の力だ!

 襲ってきた斥候部隊は決して強敵ではないのですが、不意を突かれ、クロスボウの威力の前に傷つくPCたち。前線の主力となるはずのウィルとゼオルはロープという枷によって事実上戦線離脱状態。さらに背後は断崖絶壁! 崖下まで落下したら死亡確実! はたしてPCたちは無事にアルヴィを救出できるのでしょうか?




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