LOST ウェイトターン制TRPG


聖域の守護者イメージ

聖域の守護者 26.決意

GM:では、続いてエルモ長老のもとでのアンリのシーンです。

 暗めの重いBGM。

 GMがエルモ長老のカードを提示する。

GM(エルモ長老):「して、こんな時間に何のようじゃ?」

アンリ:「はい。お待たせしました。わたしは守護者を定めました」

GM(エルモ長老):「ほう。アインか?」

アンリ:「いえ」

GM(エルモ長老):「ん?」

アンリ:「あの、外界から来られた三人です」

GM(エルモ長老):(慌てて立ち上がろうとして)ガタッ。「何じゃと!? なぜじゃ? その役割を考えれば外界の者を守護者とするのは道理にあわん」

アンリ:「なぜです? なぜ道理にあわないと仰るのですか?」

GM(エルモ長老):「守護者の役目がわからぬわけではあるまい!」

アンリ:「もちろんです。だからこそあの方たちが適任だとわたしは思うのです。深淵の力を使うとき、おそらくあの方たちとわたしたちの願いは一致することでしょう」

GM(エルモ長老):「そこまであやつらのことを信用しておるのか?」

アンリ:「はい」と言って嬉しそうに笑みを浮かべます。

GM(エルモ長老):「うーむ。しかし、こればかりは御子本人の決めるべきことじゃからな……」

アンリ:「わがままを申します」

GM(エルモ長老):「異論を挟めることでもない。して、試練は行うのか?」

アンリ:「はい」

GM(エルモ長老):「すぐにか?」

アンリ:「はい。ときは急を要していると思います」

GM(エルモ長老):「あの者たちの話しておった王の兵を待たずして……ということか?」

アンリ:「これは長老にお伺いしなくてはならないことなのですが、一度は決められた今回の退避、一族の者たちはいつまで堪えられるものでしょうか? 彼らの言う王の兵の到着まで堪えてもらえるのでしょうか? もしまだ皆が堪えられるというのであれば急ぐ必要はないと思います。ただ予想よりも敵の足が速く、そして巧妙にわたしたちのあとをつけてまいります。先日も彼らは森の中で我々を罠にかけました。わたしたちが思っているほど、敵は森を知らないわけではないのです」

 ちなみに、崖に追い詰められて戦うこととなった前回の戦闘をうけてアンリはこう言ったのかもしれませんが、あれは偶然の産物で別に強硬派の罠というわけではありません。聖域の中で戦うことになれば、やはり地の利はクローネ側にあります。

 また、アンリに守護者を早く決めるように言っていたエルモ長老ではありましたが、その対象が外界の者となれば話は別です。外界の者たちが守護者となったとして、彼らはずっと聖域に残ってくれるのでしょうか? ちょうどひとつ前のシーンでウィルとゼオルが話していましたが、普通に考えれば、彼らは王都に戻ってしまうことでしょう。アンリのプレイヤーが物語を進めるために積極的に他のプレイヤーを守護者としてくれようとしているのか、はたまたアンリがある一点のみを見てそれに突き進んでいるのか。この段階でGMは計りかねていますが、とにかくNPCの立場と目的だけはずれないようにと必死に妥協点を探します。

GM(エルモ長老):「それは何とも言えん」(しばらく間を置いて)「お主自身がすぐに守護者を決めるべきだと言うのであれば止めはせん」と言ってこくりとうなずいた。「じゃが、これまでの御子は守護者を選ぶと二度とその守護者を変えることはできなかった。外界の王のこともある。いまここで外界の者を守護者とする必要があるのか、今一度考えたほうが良いとわしは思う」

アンリ:「わかりました」

GM(エルモ長老):「守護者を決めただけでは深淵の力を使ったことにはならん。そこでとどめることもできる」

アンリ:「では、長老の仰られたように、彼らの王の裁断を待ってから守護者を決めることにします」

GM(エルモ長老):「わしはそうするべきじゃと思う」

アンリ:「いままでご心配ばかりかけてきましたから、せめてさいごはご心配をかけぬようにしたいと思います」

GM(エルモ長老):「しかし、これまで拒んでおったのになぜこの機に?」

アンリ:「なぜ? なぜと言われれば答える術はありません。ただわたしにはわかるのです。それは、いままでの御子がそうであったように、きっとわたしと同じようにその時を選んだのです」

GM(エルモ長老):「御子のみにわかる何かがあると言うのじゃな?」

アンリ:うなずきました。

GM(エルモ長老):「わかった。あらためて覚悟が決まったときにもう一度わしのもとへ来るのじゃぞ」

アンリ:うなずいて退出します。




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