LOST ウェイトターン制TRPG


聖域の守護者イメージ

聖域の守護者 28.試練

GM:神々の消失から百年。秀でた技術力を武器に急激な成長を遂げたレイフィールド王国も、大国ギルモア王国と国境を接することとなり、その栄華に陰りを見せ始めていました。

 大国に立ち向かうため、聖域に眠る神の残した遺産を手に入れようとするレイフィールド王国強硬派オルコット大公と、それを良しとしない穏健派カーライル女男爵。それぞれを旗手とする両勢力の水面下の抗争は、強硬派による聖域侵攻とその阻止という形で表面化しました。

 穏健派に属する若者である、ウィル、ゼオル、クラウスはカーライル女男爵の命により、聖域に住むクローネの民たちに退避を求め、その間に国王より強硬派の企てる聖域侵攻を中止するよう裁断が下るのを期待します。ところが、時の国王レイフィールドVI世は強硬派の聖域侵攻に対して傍観を決めこみ、それだけに留まらず王命にてこれの阻止を禁止。これにより穏健派は打つ手を封じられてしまいました。

 強硬派の聖域侵攻を邪魔すれば王命に逆らったことと同じ。しかし、ウィルたちはたとえ王命に逆らうことになろうとも自分たちの信じる正義を貫くため、クローネの民と共に戦う覚悟を示します。そして、そんな彼らの覚悟を受けて、クローネの民の御子であるアンリは女神クローディアから授かりし深淵の力によって強硬派と戦う決意を固め、ウィルたちを自らの守護者とすべく彼らを連れて試練の遺跡へと向かったのでした。

 謎を秘めた厳かなBGM。

GM:さて、あなたたちは守護者の試練を受けるため、アンリに案内されて聖域の奥にある試練の遺跡までたどり着きました。そして、ぽっかりと口を開けた洞窟のような遺跡の入り口へと足を踏み入れていきます。遺跡の中の壁は一見石造りのように見えるのですが、その材質は石とは異なるようです。壁面には神聖文字で色々書かれているようで、その文字が薄ぼんやりと光を放っています。その光のおかげで光源がなくても奥がある程度見通せます。少し奥に進んだところで、大きな扉が行く手をはばみます。その扉には取っ手や鍵穴などはありません。その扉の前にアンリが立ちました。アンリが試練の扉を開くための「解放」という合言葉を神聖語で唱えると――。(アンリに目配せをする)。

アンリ:「解放」

GM:その言葉に反応して、ゴゴゴゴゴゴ……と音を立てて扉が両引きに開いていきます。

クラウス:GM、お祈りは済ませておきますよ。

 GMが戦闘マップをテーブルに広げる。

GM:扉の先は大部屋になっています。壁面には先ほどの通路と同じように神聖文字が書かれていて、淡い光を放っているため外壁周辺は視認できるのですが、部屋の中央付近は暗くてぼんやりとしか見えません。正面奥には巨大なクローディア像が設置されています。部屋のほぼ中央にはまるで生贄をささげるための祭壇のようながものがあって周りより少し高くなっています。祭壇の上にはちょうど人ひとりが横たわれるような寝台があります。そして、部屋の四隅にはそれぞれ台があります。

ウィル:「アンリ、ここが試練の場なのか?」

アンリ:「わかりません。わたしも初めて入りました」

クラウス:少し離れて一番後ろを歩いて周りを見渡しています。(興奮気味に)「あれは!」(キョロキョロ)「あれは!」という状態になっています。

GM:そうすると背後からゴゴゴゴゴゴ……と扉の閉まる音が響きます。

クラウス:「はっ!」(後ろに戻って扉を押さえようとする素振りを見せる)

GM:もし扉を押さえるのであればしまりきる前に間に合いますが、扉はゆっくりと閉じ続けます。万力のような凄い力です。

クラウス:手を挟んだら危険だなと思って離しました。

GM:ズゴゴゴゴゴゴーンッ!と音がして扉が閉まりました。扉が閉まると、ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!と四隅の台の上に火がつきます。

 GMが戦闘マップの燭台に炎のマークを書き入れる。

クラウス:「これからが試練というわけですね」

GM:台に火が灯ったことで、部屋全体が見渡せるくらいに明るくなりました。すると、今まで部屋を満たしていた闇が収縮するように祭壇上に集まっていき、二つの人影を作りました。その人影は通常の人間よりは大きいです。現れたのは黒い肌をした人型の怪物。吟遊詩人技能レベル+知力ボーナス+2Dで伝承判定を行ってください。吟遊詩人技能を持ってない人は知力ボーナス+2Dで判定してください。

ゼオル:吟遊詩人技能?

クラウス:そんなの持ってるわけ……あった。3レベル(笑)。(ころころ)16。

アンリ:12。

GM:12以上の人は、姿をあらわした怪物が悪魔と呼ばれている架空の存在であるということがわかりました。伝承では悪魔は人の身体を乗っ取り、その後徐々に人の魂を食らっていくといわれています。悪魔に肉体を乗っ取られた場合、いかなる方法を用いても二度と悪魔と分離することはできず、悪魔を倒すためには宿主の命もろとも奪う必要があります。また、完全に魂を食われた宿主は神の力をもってしても甦生や転生ができなくなるそうです。

クラウス:なんて恐ろしい。

GM:16を出しているクラウスは、さらに、一説には悪意に支配された人間こそ悪魔であるという伝承があることや、悪魔とは神が人間を強化したあとの姿であり、人間が神と同等の存在になるための途中経過であるという伝承があることを思い出しました。

クラウス:「あれは悪魔! 人間の魂を食らう化け物です」

ゼオル:「その化け物が試練に関係しているのか?」

クラウス:「おそらく」

GM:(ウィルたちから見て左側の駒を指差して)こちらが痩せ型の悪魔、シン・デーモンです。(反対側の駒を指差して)こちらがでっぷりと太った悪魔、ファット・デーモンです。そして、あなたたちの耳に神々しい女性の声が響きます。「汝、守護者の力を欲するか?」

アンリ:「はい」

GM:「では、まず戦いの力を示せ」。その言葉が響き終わると同時にシン・デーモンとファット・デーモンが動き始めました。

 BGMが禍々しい戦闘曲に変わる。

GM:イニシアチブ判定をどうぞ。

ウィル:(ころころ)6。

ゼオル:(ころころ)6。

クラウス:(ころころ)3。

アンリ:(ころころ)3。

GM:ではゼオルどうぞ。

ゼオル:敵の装備を確認しておきたいんですが。

GM:シン・デーモンは両手からそれぞれ爪を伸ばしています。ファット・デーモンは右腕の先が斧状になっています。もう片方の腕は空いています。

クラウス:(敵が盾を装備していないので)つまり矢を撃ちたい放題ですね。

ゼオル:撃ちてー。

GM:プレイヤー同士で作戦などをどんどん相談してもらっていいですからね。

ゼオル:通常移動して「俺は細い方をやる」。細い方がこっちにくればだけど。

クラウス:うーん。どうしようかな。このゲーム、魔法を倍掛けできないんですよね。

GM:(対象拡大のスキルを取得しておけば魔法の倍掛けもできるんだけどね……)。

クラウス:「強化の魔法をかけましょうか?」

ゼオル:「頼む」

クラウス:ただ、かなり時間が掛かります。順番とか色々あるので、誰に何をかけるか相談したいところ。私的に最優先事項はゼオルの武器にファイアー・ウェポンをかけることなんだけど。

ウィル:GM、勝利条件を教えてください。

GM:「敵を殲滅せよ!」です。

一同:だよねー(笑)。

アンリ:50ウェイト耐えろとかあるかも知れないから、聞いておかないとね。

クラウス:「一番最初にやりたいことがあるので強化魔法はちょっと待ってください」

ゼオル:「わかった」

クラウス:「ただ私のまわり十メートル以内に居てくれると助かります」

ゼオル:それだと動けないじゃないか。

クラウス:だから弓矢でも撃っててください。

ゼオル:マジで? いっそ静観してみようかなと思うんだけど。

クラウス&アンリ:静観はありじゃない?

ゼオル:それじゃ、静観。シン・デーモンの強さを調べる。

GM:まずシーフ技能レベル+知力ボーナス+2Dで判定してください。

ゼオル:(ころころ)12。

GM:それだと、あなたの想像の範疇を超えたシーフであることはわかりました。その実力は計り知れないです。さらに知力ボーナス+2Dをどうぞ。

ゼオル:(ころころ)10。

GM:それでは、それ以上のことはわかりませんでした。

ゼオル:奴ができるってことはわかった(笑)。

 前衛は魔法使いたちが援護魔法をかけきるまで飛び道具を撃って敵を牽制したり、敵の援護魔法を阻害するのがセオリーのひとつなのですが、ウィルとゼオルは初期装備として射撃武器を装備しておらず、装備を変更しようとすると時間が掛かるため、仕方なく静観して悪魔たちの実力を推し量ることにしました。

ウィル:じゃあ、俺も静観でファット・デーモンの方を。

GM:ではファイター技能レベル+知力ボーナス+2Dで判定をどうぞ。

ウィル:(ころころ)うわ、低い。11。

GM:あなた以上のファイター技能を持っていることがわかりました。もう一回、知力ボーナス+2Dで判定をどうぞ。

ウィル:(ころころ)おっ、今度は高い。13。

GM:それなら、どうやらプリースト技能を有しているだろうことがわかりました。

クラウス:ファット・デーモンがファイター&プリーストということは……。もう調べなくてもいいや(笑)。

ウィル:「クラウス。右側の悪魔は身体のいたるところに神聖文字が書いてあるぞ」

クラウス:「おそらく白魔法を使うのでしょう。ということは……。もう一方も魔法を使ってくると思って備えてくださいね」

GM:そんな会話をしているところで、シン・デーモンが瞑想2ウェイトを開始しました。

ウィル:やばい、撃てー! 撃てー!

GM:(とは言ってもまだ誰も射撃武器装備してないですよ(汗))。

 悪魔たちが魔法を使うことがわかったので、ゼオルとウィルは魔法の詠唱を阻止するため、装備を射撃武器に換えました。その間にクラウスとアンリは瞑想します。しかし、事前に準備をしていなかったPCたちよりも、さすがにデーモンたちの行動順の方が早く……。




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