ファット・デーモンの恐るべき一撃を受けて、その場に崩れ落ちるゼオル。今まさにその若き命の灯火が力なく消え行こうとしていました。
GM:では、生命抵抗力+2Dで生死判定をどうぞ。
ゼオル:生命抵抗力は6で目標値は9。(ころころ)成功。
一同:(安堵のため息)。
何とか命を取り留めたゼオルでしたが、前衛の一人が倒れてしまったことで戦局は明らかにPC側に不利です。追い討ちをかけるようにシン・デーモンの攻撃が浅いながらもウィルを傷つけます。
クラウス:うーん。
アンリ:ゼオルの名を呼びつつも、唱えようとしていた魔法をそのまま詠唱して、ウィルに“リプレニッシュ・ヘルス”。
ウィル:「すまない……ゼオル……」
ゼオル:仕方ないよ。たとえ方向転換が使える状態だったとしても、シン・デーモンに攻撃するためにファット・デーモンの攻撃は側面で受けるつもりだったし。
クラウス:ゼオルのダイスの目が悪かったならともかく、あの出目で攻撃を受けてしまったんであれば仕方ないです。
GM:可能性も使わなかったからね。
クラウス:出目8は振りなおしても下がりますから。
GM:可能性を使えば判定を3Dで行うこともできるよ。
ゼオル:そうか。それができたんだっけ。
可能性を余分に消費すれば、失敗した判定をやり直すだけでなく、判定に+1Dすることもできます。ですが、LOSTオリジナルのルールはプレイヤーも忘れがちで、気づくのが遅すぎました。
ウィル:シン・デーモンに対して攻撃。(ころころ)17。
GM:ディフレクト失敗。
ウィル:(ころころ)なんなんだよぉ(泣)。ダメージが全然振るわない。12点です。
GM:そこそこ通りました。
クラウス:ゼオルを起こすのにはどうすればいいですか?
GM:生命点を回復させれば転倒した状態で復活します。さて、次はシン・デーモンの行動です。
クラウス:順番が飛ばされている気がするのは気のせいですかね? アンリの行動順の次は私だと思ってたのですが。
GM:(ノートPCに表示された行動順を確認して)クラウスの順番はまだだね。
リプレイ上では省略していますが、前回の行動順でアンリが5ウェイト瞑想した直後にクラウスが同じく5ウェイト瞑想しています。このときの二人の行動順の間には0.4ウェイトの差がありました。この0.4ウェイトの間にウィルとシン・デーモンの行動順が割り込んできたため、クラウスは順番を飛ばされたのではと感じたようです。さらにシン・デーモンは攻撃間隔が極端に短く、クラウスが一回行動する間に二回攻撃することもあるので、なおさら行動順を飛ばされた気がしたのでしょう。
GM:あらためてシン・デーモンがウィルに攻撃します。
ウィル:ディフレクト。(ころころ)14。
GM:命中。11点ダメージです。
スピードとテクニックに優れるシン・デーモンの攻撃が着実にウィルを捕らえます。
クラウス:“ライトニング”で敵の生命点を削っておきましょう。(ころころ)魔力14。
GM:シン・デーモンとファット・デーモン、どちらも抵抗成功。
クラウス:(ころころ)11点が抵抗されたので半分になって5点ダメージ。
GM:それくらいのダメージでは悪魔の表面ではじけてしまいダメージは通りません。
アンリ:ゼオルは戦闘終了までこのままどうしようもない?
GM:(ついさっき答えた質問だけど……ゼオルがやられて聴牌ってるのかな?)。“キュア・ウーンズ”などで生命点を回復させれば復活します。
アンリ:“リプレニッシュ・ヘルス”でも大丈夫?
GM:大丈夫です。ですが、その場合、生命点がプラスになるまでに20ウェイト以上かかっちゃいますね。
アンリ:それじゃ、即回復の方がいいね。瞑想1ウェイト。
GM:ファット・デーモンが通常移動して、その次に再度アンリの番です。
アンリ:では、ゼオルに“キュア・ウーンズ”。(ころころ)9点回復。
ゼオル:うわぁぁぁ! 一気に半分まで癒えた!
プレイ中は気づきませんでしたが、このときにこれまでの些細なルールミスとは比べ物にならない、戦闘結果に大きく影響するミスが発生していました。なんと、アンリが瞑想1ウェイトで“キュア・ウーンズ”を唱えています。“キュア・ウーンズ”に必要なマナは5点。アンリが瞑想1ウェイトで得られるマナは3点。これではマナが2点足りません。足りないマナを精神点で代用することもできます。しかし、この後のアンリの“キュア・ウーンズ”連発は明らかに彼女の精神点の量を上回るものでした。
この後、ゼオルが立ち上がるまでの間、ウィルとシン・デーモンが一対一で切り結び、アンリが囮になってファット・デーモンをひき付けるといった、かなり危険な綱渡りが繰り広げられました。援護としてクラウスがウィルに“プロテクション”を唱えます。
GM:ファット・デーモンがアンリに大武器攻撃します。
アンリ:ディフレクト。(ころころ)8。
GM:命中。ダメージは14点。
アンリ:まだ生きてます。自分の番に瞑想1ウェイト。
GM:連続してアンリの番です。
アンリ:ゼオルに“キュア・ウーンズ”。(ころころ)2点回復。
ウィルが何とかシン・デーモンに攻撃を命中させてはいたものの、体力の減ったシン・デーモンは回避に専念するようになり、なかなかとどめをさせません。戦局は好転せず、徐々にPCたちの生命点と精神点が失われていきます。アンリの精神点も残り少なくなり、“キュア・ウーンズ”で耐えられるのもあとわずかとなってしまいました。
そんな絶体絶命の窮地を打破したのは彼でした。
クラウス:「これはどうですか?」。“フォース”を撃ちます。
LOSTの“フォース”はソード・ワールドRPGと異なり、必ず命中する物理ダメージ魔法となっています。威力はさほどでもありませんが、魔法防御力が高く、物理防御力が低い魔法使いなどに有効な攻撃魔法です。
クラウス:(ころころ)10点ダメージ。
GM:おっ! その攻撃でシン・デーモンが倒れます。
一同:やったーっ!
クラウス:魔法が殆ど効かなかったので、物理攻撃ならもしかしたらと思ったんですよ。
GM:大正解。シン・デーモンは回避能力は高いものの物理ダメージに弱いのでした。シン・デーモンは“フォース”で打ち抜かれると霧状になって地面に落ち、黒いモヤモヤした塊になりました。
片一方のデーモンを倒して四対一になれば、事故が起きない限りPC側の勝利は揺らぎません。ゼオルとウィルがファット・デーモンを挟み撃ちにしてその膨大な生命点を削っていきます。特にゼオルが敵の背後から行う急所狙いの攻撃は1回目のレーティング判定のクリティカル値が6になり、2回目以降のクリティカル値は9となるので、大ダメージが期待できます。
ファット・デーモンも“コンフュージョン”をウィルに掛けて逆転を狙いますが、アンリの“サニティ”によって解呪されてしまいます。……ところが、本当はアンリは“サニティ”を取得しておらず、他の精神に効果を及ぼす魔法――アンリであれば“デストラクション”か“ファナティシズム”で上書きしないと解呪できないはずでした。
そうこうして、シン・デーモンが倒れてから約40ウェイト後。序盤に掛けた支援魔法の効果が消失し始めた頃に……。
ゼオル:背後から急所狙い。(ころころ)17。
GM:命中。
ゼオル:(ころころ)クリティカルヒット! (ころころ)……合計16点ダメージ!
GM:その一撃がとどめとなりました。ゼオルがレイピアを突き刺したところからファット・デーモンの身体が霧状になり、地面に落ちていきます。
一同:おおーっ!
実プレイ時間1時間半に及ぶ、長い戦いにようやく決着がつきました。
ゼオルの昏倒に始まって、アンリの半壊、ウィルの半壊、クラウスの精神点が残り5点、アンリの精神点が使い切りと満身創痍のPCたち。戦闘後半は勝利が見えた戦いでしたが、クラウスの機転によって早い段階でシン・デーモンにとどめを刺せていなければ全滅もあり得る展開で、まさに試練の名に相応しい戦闘だったと言えるでしょう。
BGMが再び謎を秘めた暗めの曲になる。
GM:二体のデーモンを倒すと……ファット・デーモンの闇の霧とシン・デーモンの闇の霧がヴァンッ、ヴァンッと共鳴して黒い光が広がり、あなたたちを包み込みます。魔法抵抗を試みてください。マジック・ローブや“カウンター・マジック”の効果も有効としてください。
ゼオル:(ころころ)14。
ウィル:(ころころ)16です。
クラウス:(ころころ)16です。
アンリ:(ころころ)17。
GM:(アンリが最高値か……好都合だな)。では、17のアンリはこちらの部屋にどうぞ。(別室にアンリのプレイヤーを誘導する)。
おまけ:戦闘の流れ(Flashで再生されます)